転生した精霊モドキは無自覚に愛される

suiko

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第一章

~18~

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「また本が増えるわねぇ」

「・・・・・」

「この本も、これも、この辺りにある本は全部著者ミーシャ・フロイライト
秀才だからって、流石に無理がありすぎるんじゃない?」

「・・・・・」

「無視はやめて欲しいわぁ」

「・・・・・」

「ちょっと聞いてるの?」

「・・・・うん?一体何かね」

「もう!少しは誤魔化しなさいよって事よぉ!」



リフルが何やら喚いているが、そこまで問題でもない事のため無視をさせて貰う。
フロイライト家が納める領地にある空き家、だった場所を私個人が立ち上げた出版会社の事務所として使用している。
資金稼ぎの一環として執筆活動を始め、既存の出版社にいくつか作品を出していたが
私の作品に興味を持ってくれた幾人かが起業を勧めてくれてフロイライン出版社がある。
出版社名はファミリーネームを少し変えただけでなんの捻りもない

そして私は書いた。
とにかく量を書いた。
この世界に活版印刷の技術があって本当に良かった


転生した事による知識チートというのはとても便利だ。
絵や図を使った生物図鑑や、天気、気象についての本
後は私の授業内容に合わせた理科、化学系統の本等
乱雑に書き連ねた覚えがある。
今も思い出したように執筆活動は行っているものの


「ったく、いつの時代の知識かわからないけども
近未来どころじゃないでしょうこんなの」

「なら省いておけばいい」

「なら、って他人事ねぇ。自分の書いた本でしょうに」

「それで転生の事を勘づく輩がいたとしてなんの問題もない」

「あぁ、そう」


時代に合わない知識というのはどうしても目立ってしまう
私の場合産まれた時から衆目に晒される事を余儀なくされている為特に気にしてはいなかったが、時に頭の良い者や勘の良い者というのは気づかなくても良いものに気付いてしまう事がある。
リフルを初めとした私の出版社で働いてくれている数人は私の本の内容から私自身に対して懐疑心めいたものを抱き、
ミーシャ・フロイライトとは何者であるのか
等とくだらない話題を飽きもせず討論するようになっていた
私はそれに対し何もしなかったが
最終結論としてあげられた物が
一、千里眼の持ち主である
二、宇宙人か何かである
三、神、もしくは超常の存在である

といった所まできて流石の私も呆れはてネタバレ、もとい口を滑らせたのだった。


「転生だかなんだか知らないけど、こっちの身にもなってよね・・」

本人にとっては小声のつもりなのだろうが私と彼女しかいない事務所では愚痴も筒抜けだ。
私は別に転生者である事を隠している訳ではない、聞かれたならば正直に答えるし必要とあらば公表したって構わないとは思っている。
今の所公表することによるメリットがないし必要に迫られている訳でもないから自分から話す事がないというだけの事
私が転生者であると知っている人物はそれなりにいる。
両親と兄もその一部だ。
ただあの両親がちゃんと理解出来ているかは疑問が残るが


「さて、次回作予定の原文だ。確認の程よろしく頼む」

「編集作業?っての必要ないんじゃないの?」

「私一人では見落としや″こちらの者達″では理解し難い内容の可能性があるからな、客観的観点から確認してくれると助かるのだがね」

「はいはい、私達凡人が天才様のお役に立てるなんて光栄でございますー」



自作のタイプライターを机の端に寄せて来月分の執筆内容について考える
リフルは勿論、フロイライト出版社で働いてくれている者達は私が転生者である事を知っている仲であり、共犯者でもある
私の知る物語、ミステリーからファンタジー物までの内容を彼等に簡単なあらすじを教えては本を書かせている。言い方は悪いが異世界にある既存の本の内容を盗作させている訳だ。
転生した世界が悪ければ著作権侵害で犯罪者間違い無しな事をしているのだが
まぁこの世界に私の罪を告発出来るような人物は居ないので罪悪感なぞ欠片もない
彼等もまた私の語る内容が既存である事を知った上で美味しい思いをしているのだから文句はないだろう
ゴーストライター?そんな言葉はこの世界には存在すらしていないが何か?

「じゃ、これ一階に持ってくから」


この事務所は一階の殆どが製本工場となっている
勿論それらの技術は現在フロイライト出版社だけの独占状態だ。
他社の出版社の殆どは未だに手作業で製本を行っているのだからご苦労な事だ。
それを思い、次は効率の良い活版印刷についての本でも書くか悩むのだった。






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