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第一章
~19~
しおりを挟む辺り前の事かもしれないが、この世界の私の住むサズワイト王国には季節があり、暦もある
しかし天体学といった分野が進んでいない事もありかなり大雑把な物だ。
私の産まれた日は花の節の朝月であり、兄は雪の節の夜月である。
これはその季節の前半、中期、後半、といった大体これくらいだろう。といった決め方をしており
一年の計も季節が一巡したので一年経ったのだろう。といったトンデモなく時期や時間にルーズな生活基盤となっている
何せ時間を計る道具と言えば砂時計か水時計が一般的とされている上に、時間を計る魔道具ですら太陽が登ってから沈むまで、太陽が沈んでからまた登るまでが目視で分かるというだけの道具でしかない
だからだろうか、私の受け持つ理化学科の授業で最も受講者が多いのが気象学に次いで天体学となっている
「 ・・・と、なるので。一日、および太陽が登り再び登るまでの時間が大体86400秒、分に直して14400分、約24時間となる
何か質問はあるかね?」
「はぁい、月は時間とかんけーないんですかぁ?」
手を挙げたのはメッシュール・ガルパンであった
何故貴族学科の生徒が居るのかね、専用の教室に戻りたまえ
と、言いそうになる口を閉ざす。
「月の公転は約2,360,591.58秒、分に直して39343.193分、時間に直して655.7198時間、役27.3日となる。
そして月相の周期は約29.5日かかるとされている。これを元に暦を作る事も可能だ。
月と地球に置いての授業は今後行う予定なのでその時に詳しく教えるつもりだ。
他に質問は?」
「無いようだな。では休み時間が終わったら次の授業は実験室で行うのでそちらに集まるように、以上だ」
昼時に何故か絡んで来たエドガー・コロネが目障りだったり、
またしても貴族学科の生徒の筈のメッシュール・ガルパンが私の授業に参加していたりとあったが
特に大きな事も無く、今日の授業が全て終わり明日の授業内容を見直していた。
「んーー~、よっし終わったぁ。おらよ」
「やっと終わらせたのかね。もう少し速く出来ないのかね?」
「うっせぇ、これでも頑張ったんだぞ」
「頑張るだけなら誰でも出来る。結果を出したまえ
次はこちらをやっておけ」
「げえ、まだやんのかよ」
「速くやれ」
私に与えられた職員室は新しい校舎の一階でそれなりに広い
その部屋の端で私から出された課題を睨みつけながらも律儀にこなす姿は狗らしいと言えるだろう
コンコン
「失礼します。フロイライト先生・・・」
「おや、ライネル・サズワイトくん
生徒でもない君が一体何の用かね?」
「えーー・・・・と、それより、そちらの方は・・?」
「おー、そういやこの姿のオレは初めてかあ?」
「え、えと、え"!?」
ちらり、と二人の様子を見るが大した事でもなく目の前の資料作りに集中する
学院生活中は私より少し高い程度の身長の姿でいる事の多いルークだが、私が旅に出る際には護衛兼従者として同行させる為
時折成人男性の姿になって貰っては戦闘訓練等をさせている。
本当に良い拾い物だ。
幼い子供の姿から髭の生えた老人まで変幻自在
特種体質なのかはわからないが、とても便利であるのは確かだ。
「ルーク、さん?え、その姿・・・」
「おー、まぁあんま気にすんな。ちいとばかり人にゃ言えない複雑な事情ってやつだ」
「ええ・・・ミーシャ嬢、ルークさんのこれって・・」
「ノーコメントだ。
それより一体何の用かね?」
「え、あ、えと、電線の構造と変電設備との接続に関しての案が纏まったのでミーシャ嬢に確認して頂きたいとの事です」
「資料はそこに置いておけ、後日改めてそちらに出よう」
「ありがとうございます。きっと皆喜びますよ
でも、無理はしないで下さいね?ちゃんと休んでますか?」
「心配は無用だ
いつまでそこにいるつもりかね?まだ何か用でも?」
「いえ・・・では、また明日」
「冷めてーなぁ、も少し愛想良くしたらどーだ?」
「無駄口を叩く暇があるようだな。
ほら、追加の課題だ。これらもやっておけ」
「げぇっ!!」
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