転生した精霊モドキは無自覚に愛される

suiko

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第一章

~64~

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漁業会が発足したのはサズワイト国暦6021年、今から68年前の事だ。


当時、港町では不漁につぐ不漁で、
その日食べる物にすら困る程だったと言う

港町に住む者達の訴えを聞き、その代の国王はその余りにもな状態に酷く同情し、とある法律を設立した。

市民団体保護法

それはただ、団体に所属する者の納税を免除するだけの法であり
市民団体の生活を守ってくれる訳でも、まして援助する訳でも無いものだったけれど
漁業会はそこから返り咲いた。

港町を統治する貴族を出し抜いたのだった。


その時点でこの法律を見直し、無くしてしまえていたならば

たらればを言ってももう遅く、結局この国はその長い歴史に新たな項目が増えるのだろう
別に対した事ではない
国王が代替わりしようと、国政状況が変わろうと、
国民が消えて居なくなる訳でも無い、変わらず朝日は登り夜がやってくるように、
漁業会がやった事などもそこまで対した事では無いのだ
一つ一つの積み重ねが今に続いているというだけの事
結果的に改革を齎したというだけの事


来年、サズワイト国暦6090年花の節の朝月に、私とライネル・サズワイトの結婚式が決まった。
花の節の祭りに合わせて盛大に行うとの事
そこまで派手に行ってどうするというのやら







冷たい風が木葉を飛ばす
空は快晴、満月
王城のホールと庭を占拠しての漁業会の親談パーティーが行われていた。
主催は漁業会の重鎮にあたる数名、トルエー男爵、ナビスキ子爵、ワック子爵、マクヒリ子爵、ティリー子爵をはじめとした貴族位持ちと、ジクス、ブラハム、ガジェット、ダジーク、ハンナ、アルト、カミーユ、
様々な分野において纏め役を行っている者、突出した発明をした者等が中心となり国王陛下との打ち合わせを行い開催された
当初の予定では小規模に、との事だったが
いざ開催されると随分な人数が集まったパーティーとなっている


「うわ、演奏家まで雇ったんだ。本格的だね」

「ふ、皮肉なものだな。王城で行われているこのパーティーが王族主催で無いとは」

「はは、それ俺の前で言うのかい」

「ああ、ライネルはもう、そんなもの必要ないだろう?」

「ま、それもそうか
折角だし、ホールで踊るかい?」

「折角だからな、いいだろう」


いつもは汚れた作業服を着ている者も、そうでない者も、
今日のこの時ばかりは煌びやかなドレスやタキシードを身にまとい
豪華な食事、耽美な音楽を楽しんでいた




ざわり

「え、あれって・・」
「なんで居るんだ?」
「おい、あいつらに招待送るような奴はいないよな?」
「当たり前だろ、勝手に侵入してきたんだろ」
「非常識にも程があるでしょうに」
「まぁ、なんて事」


私達と同じようにホールで踊っていた者達の周りがざわつく
視界の端に黒い髪が見え、無視をしたかったがパートナーが動きを止めた為叶わない

「少しごめん、行ってくる」


黒髪の女性の隣には、ライネルにそっくりな金髪の青年がいた。




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