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第一章
~65~
しおりを挟む「レオクリスさん、貴方、何故ここに居るのですか?
招待状はどうされたんです?」
「弟のお前が参加するパーティーに俺が居て何が悪い?」
「招待状は?」
「寧ろ何故俺だけ除け者なんだ?
おかしいだろう」
「何も、おかしくなどありませんよ」
両者共に互いに互いを敵視している
ライネルは身内に恥を晒されたくない為、来年には結婚が決まっている。
しかもこのパーティーには漁業会の皆が来ている。
随分と世話になったオトノーさんを初めとした多くの人に返し切れない程の恩がある
腐っても身内だ、迷惑をかけるような事はして欲しくない
レオクリスは余りの理不尽に弟に憎しみを抱いている
何故自分だけが除け者にされている?
弟が良くて兄である俺が悪いなんて事があるのか?
俺の何が悪い?何か不備があるのか?
何も無いじゃないか
俺は何もしていない、兄である俺が優遇されないのはおかしい
次代の国王は俺であるべきで、ミーシャの隣は俺こそが立つべきなのに
「非常識だわ!
正式なパーティーにおいて、ファーストダンスは自分のパートナーか身内と決まっている筈よ!」
「うん?えっと・・・」
コツコツとミーシャがライネルの隣に立つ
「非常識はどちらかね?招待もされていない者が勝手に侵入するなど」
「同じ王太子であるレオクリス様とライネル様は同等の立場の筈よ。
ライネル様だけが招待を受けているなんて、それこそおかしな話だわ、出鱈目言わないで!」
「そうだ。いつもいつもライネルばかりが贔屓されている
お父様もお母様も、俺に何も言わなかった
ミーシャも・・・っ!」
「・・・・ねぇ、ミーシャ」
「なんだね、ライネル」
「面倒臭い、相手したくない」
「同意見だ」
「ミーシャッ!
なんでそいつと居るんだ!君の婚約者は俺だろう!?」
「黙秘権を行使する」
「あ、俺も同じく」
「ちょっ!黙秘権ってねぇあんた・・レオクリス様!
こんな、薄情な人のどこが良いんですか!?
私は絶対に貴方の味方です!何があっても傍を離れません!
こんな人、別れるべきです!
こんな浮気するような人ですよ!?
平然とした顔で、良くレオクリス様の前に立てるわね!」
「ねえ!?レオクリス様!!」
「・・・・ねぇ、ミーシャ
一つ、聞きたい事があるのだけれど」
ミーシャは顔を上げ、目線が合う
「ミーシャは、、俺の事どう思っているの?
俺の事、嫌い?好き?」
「嫌いでは無いよ。
ただ、君は人の話を聞かな過ぎる。国王陛下と王妃陛下から何も聞いていないのかね?今の今まで?」
「兄さんずっと逃げてたから・・・なんでこういう時に限って強気になっちゃうかな」
「逃げてなんかいない!俺はこの国を守る為に動いていたんだ!
お前みたいに遊び惚けていた訳じゃない」
「そうよ、この国を多くの魔物が襲うわ
多くの人が犠牲になる。それを食い止める為に私達は奔走しているの
貴方達とは違うのよ」
「ほう、魔物が?それはいつかね?詳しくわかるかな?」
「そうはいかないわよ!そうやって私の予言を良いように利用して手柄を横取りする気でしょう!?
今までだってそうしてきたものね!
私だって馬鹿じゃないわ!」
「そうか、なら別に良い、用心だけしておこう」
「と、言うより
兄さんもユキノ嬢も出て行ってくれないかな?迷惑なんだけど」
「何故?出て行く理由が無いな」
「ええー・・・それ本気で言ってる?」
「レオクリス・サズワイト、君はこのパーティーの内容を知っていて無断侵入してきたのかね?」
「レオ様になんて口の利き方!不敬よ!」
「君は黙っていたまえ」
「いいや、俺は今日王城でパーティーがある事もついさっき知ったばかりだ
お父様とお母様が俺に何も言わないのはおかしいだろう
ライネル、お前そんなに俺をコケにして楽しいか?
このパーティーもお前が勝手に仕出かしたんだろう?
寧ろ責められるべきはライネルの方じゃあ無いのか?」
「それこそ何故?って言いたいよ
元はと言えば父様が来いって、話があるって言っても全然来なかった兄さんにこそ非があると思うけどなぁ」
「ライネルだって昔から好き勝手してきたじゃないか、それでお前は許されて俺は許されないのか?」
「俺はちゃんと父様と母様に話を通してるから
話すらまともに出来ない人と一緒にされたくないね」
「ライネル、喧嘩をするなら後にしろ
レオクリス・サズワイト。ユキノ嬢。君達は招待されていない部外者だ。迷惑なのでご退場願いたい」
「うっさいわね!大体あんた何なのよ!きっもちわるいのよ!
その話し方もその髪も目も!
この国を救えるのは私だけなの!本物の聖女は私!
すっこんでなさいよ!」
「そうかね、別に君が私の事を嫌いでも構わん
国を救うと言うなら好きにしろ、邪魔はせんよ
そのかわり私も好きにさせて貰う
人様の迷惑になる事をしないと言うごく一般的で当たり前の事すら出来ないのかね?君達は」
「迷惑なのは貴方の方よ!好き勝手し過ぎでしょう!?
一体どれだけストーリーぶち壊せば気が済むのよ!
お陰で何もかも滅茶苦茶!!ぜんっぜん思い通りにいかないのも!あんたのせいよ!」
「責任転嫁されてもな。
そも、私はローズ・ブロッサムとは違いゲーム知識は持ち合わせていない
君の言うストーリーとやらも知らない
私の行動が君の知るそれと違っていたとして比較も出来ない
私は私の生きたいように生きてきただけだ、それに何か非があるのかね?」
「そうやって誤魔化して!私の事馬鹿にしてるんでしょ!?」
「何故そうなる」
流石に相手するのが疲れてきた。とばかりにミーシャは頭を抑える
「あー、もう、とにかく出よう?
迷惑だから。俺達も一緒に出るからさ
まずここから出よう?」
「ミーシャ!
俺と、婚約破棄してくれ!」
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