殲滅された小国の姫

とうたら

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告白

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◇◇◇

 アルバートが神殿から戻ったと聞き、シルヴィアは駆け出したい気持ちを抑えながら足早にアルバートの元へ向かった。

 アルバートの部屋には、専属医師ハリスも来ていた。

「ハリス先生!」
「シルヴィアお嬢様。アルバート様は、気を失っておいでです」

「ノア。お兄様は、魔力を吸われたの?」
「左様にございます。私もそうでしたので、恐らくは、明朝までお目覚めになられぬかと存じます」
「ノアも同じ神殿で洗礼を授かりましたの?」
「左様にございます」

 もうしばらく様子を見るというハリスを残し、シルヴィアは、ウィリアムの元へ報告に行くノアと共に、アルバートの部屋を後にした。

「ノアの時は、洗礼の後どうでしたの?」
「私は、洗礼の場で気を失い、翌朝目覚めた後も暫くは身体が重く感じられ、吐き気や眩暈、頭痛がございました。五日程で回復いたしましたが、思えば、魔力枯渇が原因でしょう」
「まあ!魔力の枯渇には、その様な影響がございますの?!」
「学友に聞いたところ、魔力量によって、症状は異なるようでございます」
「魔力量が多いほど、症状が重くなるということかしら」
「左様にございます」
「ノア。お父様とのお話がお済みになったら、わたくしの部屋へいらして下さいまし。もっと学園の事を伺いとうございますわ」
「畏まりました」



 シルヴィアの元を訪れたノアは、マリーに迎えられ高鳴る心臓を、用意されお茶とお菓子をいただくマナーに集中することで、何とか鎮めようとしている。

 シルヴィアはルフを撫でながら、ノアに学園の話を促した。

「私の同期はおりませんでした。学園全体でも平民出身は五人程でした」

 ノアは平民だったが、洗礼の儀式で魔力持ちと判り、グランドール国立学園への入学が許されたのだ。

◇◇

グランドール国立学園は王都にある共学寄宿学校だ。
王侯貴族の子息が多数在学し、質の高い教育と人材育成を目的としている。
期間は十三歳から十六歳までの四年。
学年別ではなく能力別で、講義を受ける。
卒業所要単位をクリアした時点で卒業出来る。
卒業できなかった者は退学処分となる。

貴族は伴侶探しと人脈作りが主な目的である。
厳格な階級制のもと、下級貴族にとっては上級貴族と知り合う貴重な場である。
婚姻が決まった令嬢は退学するのが通例となっている。

学費は、寄付金制度で、一口金貨十枚。(日本円で約十万円)
年間二十口以上を前納する。
学園祭などのイベントごとに寄付を募っている。

平民の場合、基礎学力と貴族の慣習を学ぶために7歳で入学するのが通例となっている。
学費、寮費、食費などは一切徴収されず、「学生手当」の名目で給与が支給される。
但し、卒業後三年間は任官の義務がある。
任官と同時に準男爵位を叙爵じょしゃくされ準貴族となる。
三年間の勤務後、男爵位へ陞爵しょうしゃく
後は、働き次第で陞爵され、領地を賜わることも夢ではない。
博士号を有する者には国からの研究支援を受けることも出来る。

◇◇

「ノアはわたくしが生まれる前から、お兄様のお側にいらっしゃるの?」
「はい。シルヴィアお嬢様御誕生の一月前からでございます」
「あら?ノアは何歳おいくつですの?」
「今年十七になります」
「まあ!本来なら、まだ在学中ということかしら」

 ノアは一心不乱に励み、十一歳で卒業所要単位をクリアし、任官した。任官中の功績によって男爵位を賜わり、ナイトレイ家へ仕える希望が叶った。

「在学中も任官中も、厳しくしごかれましたが、ナイトレイ家の御威光の御陰で、蔑まれることはございませんでした」
「ふふ。謙遜なさらないで。それは、ノア自身の魅力と実力に因るところですわ」
「過分なお褒めをいただき、恐縮に存じます」

「ところで、ノアとマリーはまだ婚約なさいませんの?」

 シルヴィアの一言に、ノアは盛大にむせた。マリーは透かさずハンカチーフをノアに手渡した。

「シルヴィア様。なぜ、その様にお思いですか?」
「忍ぶれど色に出るものですわ。お兄様も、ご存じよ」

 これには、鉄仮面と称されるマリーも赤面し、両手で顔を覆い隠した。この好機を見逃すノアではない。

「私は、マリー嬢のことを愛しく想っております。マリー嬢、どうか私に機会を与えてはいただけませんか」

 ノアはソファーに腰掛けるマリーの前で両膝を着き、騎士叙任式の刀礼で騎士が主君に対し願い事をするかのように乞うた。

◇◇◇
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