2 / 2
1.満月の日
しおりを挟む
「そういえば、そろそろ勿忘草の時期だな...」
姉さんに、お供えをしているときにハッと思いついた。
「姉さんの好きな勿忘草、買ってくるよ」
そして、出かける支度を済ましいつもの花屋に行った。
「こんにちは~!あっ、もしかして勿忘草ですか?」
「そうです。勿忘草お願いします」
「了解いたしました~!いつもありがとうございます!」
花屋の子は、いかにも元気ハツラツって感じの子で近所の人達にも人気がある。
1週間に1度ここに花を買いに来てるからすっかり顔馴染みになった。
「こちらでどうですか?」
ピンクと水色の2色で、とても可愛く仕上がっていた。
姉さん好きそうだな。
「気に入りました。ありがとうございます」
僕は彼女にそう言うと嬉しそうにした。
「はい!ありがとうございました!」
僕はここに何年間通っているのだろう。
そんなこともいちいち考えないと、分からなくなるほど時間は刻一刻と過ぎていく。
「どう?気に入ってくれた?」
姉さんの仏壇に勿忘草をお供えする。
僕は姉さんの写真に話しかける。
「ねえ、どうして自殺したの?しかも僕の目の前で。弟なんだから、それくらい教えてくれたっていいじゃん」
「......」
「ふふふ、だよね。馬鹿みたいだ僕」
そりゃ、死んだ人に話しかけても返ってくるわけないよな。
自嘲的な笑みを浮かべていたら、ピンポーンと家のインターホンが鳴った。
モニターを確認すると知らない男性が立っていた。
黒髪で眼鏡をかけていて、いかにも優等生オーラをだしている。
「どちらさまですか?」
全く見覚えのない。
「君嶋と言います。お姉さんの雪絵さんについてお話があるのですが」
「お話ってなんの用ですか?」
姉さんの話しって一体なんなんだ?
よく分からない。
「あ!もしかして、悠くんですか?」
何でも僕の名前を知っているんだ?
「はい。そうですけど...」
「なら開けてください」
さっきまで表情が豊かだったのに、いきなり変わった。
優等生のイメージがまるっきり変わった。
一体なんなんだよ...
「どうしてですか?」
「どうしてって、そりゃ悠くんともお話したいからね」
「はぁ...」
僕は無難に返事をする。
その返事で感情を読み取ったのか一気に悪巧みをしているかのような笑みを浮かべだす。
「お姉さんの死について知りたくない?」
「え...?」
「僕は、結構知ってると思うよ。まあ、君よりかはね」
ああ、この人は詐欺師と同じ顔をしているのに...
どうして僕は...
「わかりました」
僕は、姉さんの死について少しでも知りたくてついつい詐欺師であろう客を招き入れてしまう。
「どうもありがとう」
君嶋さんは、最初の頃とは違う空気感を出し続ける。
それは、有無を言わせないような空気。
「で、姉さんの自殺について全部教えてください!」
僕は、取り憑かれたように姉さんの自殺の真相を知りたがった。
まるで今までの自分ではないような。
「ふふっ。全部は教えられないよ」
「どうしてですか?」
「どうしてってそりゃ、タダじゃ教えらんないでしょ?普通は」
君嶋さんはまるで僕のことを試しているよう言い方をする。
「何が目的なんですか?あなたは一体姉さんの何なんですか!」
「え~?目的?そりゃ、悠くんとお話だよ」
必死に笑いを堪えながら言う。
真面目な話をしているのに、そんな笑う必要ないだろってイラついてしまう。
「質問に答えてください。あなたは一体姉さんのなんなんですか!?」
「どうしよっかな~?」
「ふざけないでください。僕は、真剣なんですけど」
「別にふざけてないよ?」
いやいや、ふざけてるだろって心の中でツッコミを入れてしまう。
君嶋さんのヘラヘラとふざけている態度にイラつきが増していく。
「教えてくれないんですか?」
一体、君嶋さんは何が目的なんだ?
何を知っているんだ。
姉さんが自殺をした理由を本当に知っているのか?
知っていたとしても、信用なんぞできない。
「そんな怖い顔しないでよー。しょうがないから教えてあげるよ今回はタダでね」
「タダなのは感謝します」
「どーも」
君嶋さんは面倒くさそうに手をヒラヒラとさせる。
「では、あなたは一体誰なんですか?姉さんの何を知っているんですか?」
「まあ、最初はとりあえず自己紹介からしよっか!えーっと、僕の名前は君嶋龍二で、雪絵とお付き合いをしていましたとさ」
......?
お...付き...合い?
......姉さんと?
......こいつが?
「あなたが姉さんの彼氏って信じられるわけないじゃないですか?」
君嶋さんは困った顔をしながらスマホをとりだす。
「これじゃ証拠にならないかな?」
君嶋さんが僕に見せたのは、姉さんと君嶋さんが仲良く写っている2ショット写真だった。
それも、2人とも幸せな笑顔で写っている。
だけど、僕は姉さんに彼氏がいたなんて1回も聞いたことなんてなかった。
「信じてくれたかな?」
君嶋さんは、スマホをしまう。
「はい」
「で、なに話そっか?」
「は???」
だって、僕に話があるから家に訪ねて来たんじゃないの?
君嶋さんは本当に何を考えているのかが分からなくて怖い。
「じゃあ、僕と雪絵の出会いの話は?どう?」
「はぁ」
まあ、興味ないわけじゃないし。
ぶっちゃけ興味がある。
「じゃあ、話せるとこまで話すね」
そう言い、君嶋さんは楽しそうに話し出した。
姉さんに、お供えをしているときにハッと思いついた。
「姉さんの好きな勿忘草、買ってくるよ」
そして、出かける支度を済ましいつもの花屋に行った。
「こんにちは~!あっ、もしかして勿忘草ですか?」
「そうです。勿忘草お願いします」
「了解いたしました~!いつもありがとうございます!」
花屋の子は、いかにも元気ハツラツって感じの子で近所の人達にも人気がある。
1週間に1度ここに花を買いに来てるからすっかり顔馴染みになった。
「こちらでどうですか?」
ピンクと水色の2色で、とても可愛く仕上がっていた。
姉さん好きそうだな。
「気に入りました。ありがとうございます」
僕は彼女にそう言うと嬉しそうにした。
「はい!ありがとうございました!」
僕はここに何年間通っているのだろう。
そんなこともいちいち考えないと、分からなくなるほど時間は刻一刻と過ぎていく。
「どう?気に入ってくれた?」
姉さんの仏壇に勿忘草をお供えする。
僕は姉さんの写真に話しかける。
「ねえ、どうして自殺したの?しかも僕の目の前で。弟なんだから、それくらい教えてくれたっていいじゃん」
「......」
「ふふふ、だよね。馬鹿みたいだ僕」
そりゃ、死んだ人に話しかけても返ってくるわけないよな。
自嘲的な笑みを浮かべていたら、ピンポーンと家のインターホンが鳴った。
モニターを確認すると知らない男性が立っていた。
黒髪で眼鏡をかけていて、いかにも優等生オーラをだしている。
「どちらさまですか?」
全く見覚えのない。
「君嶋と言います。お姉さんの雪絵さんについてお話があるのですが」
「お話ってなんの用ですか?」
姉さんの話しって一体なんなんだ?
よく分からない。
「あ!もしかして、悠くんですか?」
何でも僕の名前を知っているんだ?
「はい。そうですけど...」
「なら開けてください」
さっきまで表情が豊かだったのに、いきなり変わった。
優等生のイメージがまるっきり変わった。
一体なんなんだよ...
「どうしてですか?」
「どうしてって、そりゃ悠くんともお話したいからね」
「はぁ...」
僕は無難に返事をする。
その返事で感情を読み取ったのか一気に悪巧みをしているかのような笑みを浮かべだす。
「お姉さんの死について知りたくない?」
「え...?」
「僕は、結構知ってると思うよ。まあ、君よりかはね」
ああ、この人は詐欺師と同じ顔をしているのに...
どうして僕は...
「わかりました」
僕は、姉さんの死について少しでも知りたくてついつい詐欺師であろう客を招き入れてしまう。
「どうもありがとう」
君嶋さんは、最初の頃とは違う空気感を出し続ける。
それは、有無を言わせないような空気。
「で、姉さんの自殺について全部教えてください!」
僕は、取り憑かれたように姉さんの自殺の真相を知りたがった。
まるで今までの自分ではないような。
「ふふっ。全部は教えられないよ」
「どうしてですか?」
「どうしてってそりゃ、タダじゃ教えらんないでしょ?普通は」
君嶋さんはまるで僕のことを試しているよう言い方をする。
「何が目的なんですか?あなたは一体姉さんの何なんですか!」
「え~?目的?そりゃ、悠くんとお話だよ」
必死に笑いを堪えながら言う。
真面目な話をしているのに、そんな笑う必要ないだろってイラついてしまう。
「質問に答えてください。あなたは一体姉さんのなんなんですか!?」
「どうしよっかな~?」
「ふざけないでください。僕は、真剣なんですけど」
「別にふざけてないよ?」
いやいや、ふざけてるだろって心の中でツッコミを入れてしまう。
君嶋さんのヘラヘラとふざけている態度にイラつきが増していく。
「教えてくれないんですか?」
一体、君嶋さんは何が目的なんだ?
何を知っているんだ。
姉さんが自殺をした理由を本当に知っているのか?
知っていたとしても、信用なんぞできない。
「そんな怖い顔しないでよー。しょうがないから教えてあげるよ今回はタダでね」
「タダなのは感謝します」
「どーも」
君嶋さんは面倒くさそうに手をヒラヒラとさせる。
「では、あなたは一体誰なんですか?姉さんの何を知っているんですか?」
「まあ、最初はとりあえず自己紹介からしよっか!えーっと、僕の名前は君嶋龍二で、雪絵とお付き合いをしていましたとさ」
......?
お...付き...合い?
......姉さんと?
......こいつが?
「あなたが姉さんの彼氏って信じられるわけないじゃないですか?」
君嶋さんは困った顔をしながらスマホをとりだす。
「これじゃ証拠にならないかな?」
君嶋さんが僕に見せたのは、姉さんと君嶋さんが仲良く写っている2ショット写真だった。
それも、2人とも幸せな笑顔で写っている。
だけど、僕は姉さんに彼氏がいたなんて1回も聞いたことなんてなかった。
「信じてくれたかな?」
君嶋さんは、スマホをしまう。
「はい」
「で、なに話そっか?」
「は???」
だって、僕に話があるから家に訪ねて来たんじゃないの?
君嶋さんは本当に何を考えているのかが分からなくて怖い。
「じゃあ、僕と雪絵の出会いの話は?どう?」
「はぁ」
まあ、興味ないわけじゃないし。
ぶっちゃけ興味がある。
「じゃあ、話せるとこまで話すね」
そう言い、君嶋さんは楽しそうに話し出した。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる