綺麗な花には、棘がある ～短編集～

6話 オミナエシ

「ずっと一緒にいれたらいいね」

テレビをみながらキミは、そう言った。

「一緒にいたいね」

僕は、キミにそう返す。

１ヶ月後も、１年後も、１０年後、２０年後、３０年後もその後もずっとね。

そう言ったはずなのに...

キミはいなくなってしまう。

「ずっと一緒にいようね」って言ったのに。

キミは、僕との約束を1回も破らなかったよね。

だけど、この約束は破るんだね？

キミは、自分が死ぬって分かってて、「ずっと一緒にいれたらいいね」って言ったんだよね？

あれ、どうゆう意味だったの？

キミは、たまに残酷なことを言うね。

僕は、キミのこと何にも知らなかったよ？

これから、もっともっと知れたらいいのにって思ってたのに...

そうやってキミは、僕のことなんて構わずに、どんどん前へ進んでしまう。

少しは、休んだっていいのに。

たまには、キミよりも前に行かせてくれよな？って言いたかったよ。

僕は、後悔をしてばかりだよ。

もっと、「好き」とか、胡散臭いかもしれないけど「愛してる」って言いたかった。

そして、1番は
「ありがとう」
って言いたかったな。

最期にキミに精一杯の感謝と愛を込めて「ありがとう」と伝えたかった。

だけど、それはもう無理なのかな？

キミは、今どこにいるの？

会いたいよ。

僕を変えてくれたのは、キミのおかげなんだ。

僕を正しい道へ導いてくれてありがとう。

僕は、キミにもらったオルゴールの蓋を開けたら、白い紙が入っていた。

その白い紙をめくると、それはキミからへの手紙だった。
 


私が愛する人へ

こんなところに手紙が入ってるだなんてびっくりしたでしょ？

ごめんね？怒ってるよね？

言いたかったけど、言えなかったんだ。

だって、キミに悲しい顔をして欲しくなかったから。

ずっと笑っていて欲しかった。

私は、キミに嘘をついてしまったね。

嘘をついたのは、いけない事だから謝ります。

ごめんなさい(笑)

キミと、遊園地へ行ったことや、
一緒にテレビをみたりしたことは、ありきたりだけど、とても幸せで楽しい時間でした。

それと、どの映画を観るかで喧嘩とかもしたよね？

全て、楽しい思い出だったよ。

私に希望と幸せと、思い出までくれてありがとう。

とても幸せでした。

だけど、本音を言うと、もっとキミと一緒にいたかった。

もっと、触れたかった。

触れ合いたかった。

そして、結婚もしたかったなぁ。

キミは、これから先があるからイイ人見つけたら結婚して、子供をつくって、家庭をつくってね？

私のことは、気にしなくていいからね！

私は、気にしないから！
まぁ、少しはヤキモチ妬くかもしれないけどね(笑)

だけど、キミの幸せが私の幸せ。

私は、天国にもし行けたら、天国からキミとキミの大事なひと達のことを見守っています。

だから、私の分まで長生きして、幸せになってね！

後悔のしない人生にすること！！

これは、私の最期のお願いです。

キミに幸あれ！！！

じゃ！アディオス！

今までお世話になりました。

ありがとう。

私より


僕は、この手紙を読んで涙が止まらなくなった。

「なんだよ。人のことばっか考えて。ちょっとは自分のことも考えろよ」

キミは、いつも自分のことよりも他の人ばっか考えてたよね。

「だけど、こちらこそ今までありがとう」

僕は、青空に向かって言った。

「幸あれ！」

と、キミの声が聞こえた気がした。

「キミが、天国でも幸せでありますように」

僕は精一杯のお願いをした。



fin


オミナエシの花言葉
「美人」
「はかない恋」
「親切」
「約束を守る」