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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
一筋の光明
しおりを挟む嘗て、この国はあの糞女神を信仰していた。今はもうないが、当時は大神殿まであって巫女も神官も大勢いた。
アレクと初めて会った時、私は糞女神に感謝した。マジ、黒歴史だわ。
考えてみれば、アレクとの惚気を糞女神に報告してたんだから、アレクに執着している糞女神にとっては面白くはなかったでょうね。ましてや、何をしようとしているのか筒抜けだったんだから、手を打つのも楽だったと思うわ。マジで。といって、許す気は全くないわよ。
散々煮え湯を飲まされてきたのよ。ここからは私のターンよ。違うわね。私と殿下のターンよ。
「一般的に女子学生って言っても、ピンからキリまでありますよね」
平民、貴族を含め女子学生は王都だけでもかなりいる。恋をし、糞女神に叶うよう願いを掛けている学生もそれなりにいると思う。それら全部をチェックするなんて、ゼリアス様の力を借りても難しいでしょうね。
「確かにな。しかし、糞女神は誰に執着している?」
あ~~なるほどね。
ゼリアス様の台詞に、思わず殿下に視線を移しニヤリと笑う。殿下は苦虫を噛み潰したような顔をしているけどね。
「つまり、殿下に恋をしている方に絞れと。……殿下はモテますからね。となると、殿下と婚姻出来る高位貴族に絞った方がいいですわね」
伯爵家以上に限定出来るわね。さすがに小説じゃないんだから、子爵家や男爵家、平民はありえないわ。まぁ、でもあの糞女神だから絶対はないと言い切れないけど。
「それが無難だな。中でも、マリエール、お前と対抗出来る者が一番怪しいだろうな」
確かに。
「とするならば、一人心当たりがありますわ」
真っ先に顔が浮かんだわ。
「誰だ?」
「まさか、ポーター公爵家か」
ほぼ同時に声を発する、ゼリアス様と殿下。
殿下、自覚があったんですね。
「ええ。ポーター公爵家のディア様は殿下の幼馴染でしたわね。ましてや、最終まで私と競り合った。そして、殿下に好意を持っておいでだわ。今も」
にっこりと微笑みながら答える。途端に焦り出す殿下。
「俺はマリエール一筋だ。ディアは妹のようなものだ!!」
「妹ですか……私より二つ年上ですが」
殿下がディア様に好意を持っていないことは明らか。そのことは心配していない。ましてや、精神関与を防ぐ魔法具も装備している。その上、ゼリアス様の加護。殿下に何かを仕掛けることは難しいでしょうね。でも……学園なら、周囲を味方に付けることなら出来るんじゃない。取り込むこともね。それが最も厄介。反対に今の私では手を出せない……
「だが「ゼリアス様。一つだけご確認したいことがあります。ゼリアス様の加護が付与されてることは、糞女神には気付かれることはありませんか?」
殿下の言葉を遮ってゼリアス様に質問する。
「その点は大丈夫だ。誰にも気付かれないようにしよう」
「私が願えば、気付かれるようになるのですか?」
「可能だ」
「分かりましたわ。ゼリアス様。私どうしてもやらなければならないことが出来ました。なので、ここで失礼しても宜しいでしょうか?」
この世界の最高神に対して、無礼な言い方だと思うが、本当に時間がないの。どうしてもやらなきゎいけないことが出来たから。
「構わん。マリエール、有意義な時間だった。また会おうぞ」
何かを察したゼリアス様は怒ることなく、途中退席を認めてくれた。
「はい。ゼリアス様」
私もです。実に有意義な時間でした。一筋の光明が見えたのだから。自分にも出来ることがあると分かった。それが分かっただけで、心がとても軽くなった。
「お、おい!! マリエール!!」
「殿下。明日、王宮に伺います。その時に詳しく話します」
周囲がボンヤリとしてきたので、私は慌てて殿下にそれだけ伝えた。
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