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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
そうなった時は殿下に頑張ってもらいましょう
しおりを挟む「……ありそうで怖いな」
思い詰めた様子で殿下は呟く。インディー様とサクヤの表情も暗い。
ふと、思ったことを口にしただけだけど、何だかありそうに思えて私も暗くなる。
「もし、来たらどうします?」
「参加出来る訳ないだろ。何せ、ランスは病弱で殆ど外に出ることがないからな」
確かに表向きはそうなっているので、断ることは簡単に出来るわね。問題はその先ーー。
「誕生日会はそれで何とか出来るでしょうけど、問題はその先ですわ。何かと接触をはかって来そうですわね」
誕生日会に関して招待状を送らなかったとしても、近い将来、ポーター公爵家は第二王子に接触してくるわ。かなりの高確率でね。
だって、ポーター公爵家がグリード公爵家に勝つ方法は二つしかないからね。
一つ目は、私を負い落とし、王太子殿下の婚約者にディア様を据えること。
二つ目は、ランス殿下を担ぎ出し、ディア様をランス殿下の婚約者に据え、王太子殿下を廃嫡させる。そして、病弱なランス殿下に代わって政治の表舞台に立つことだ。
前半の成功率は非常に低い。
殿下は私と婚約破棄する気なんて更々ないからね。もし私が国を出ようとしたら、まず間違いなく付いてくるわ。
それに比べて後半は、まだ希望あるように見える。まだね……でも実際は、前半よりも可能性は低いんだけどね。皆無って言った方がいいくらいだよ。だって、ランス殿下は実在しない存在だからね。
どっちにせよ、ポーター公爵家がグリード公爵家に勝つことなんて、はなっから無理なんだけどね。
「まぁそうなれば、そうなったで、こちら側は特に困らないけどな。面倒くさいが」
最後の一言が本音ね。
「でしょうね。警戒されることなく懐に飛び込めますから。寧ろ、ウェルカムですよね」
そう答えると、殿下は苦虫を噛み砕いたかのような顔をしています。
「はいはい。議論はそこまで。マリエール様、もう遅いですよ。殿下、マリエール様から離れて下さい。……まぁそうなった時は、殿下に頑張ってもらうことでいいですよね。まだ実際に届いてないし」
インディー様が締め括ります。
とうに陽がくれてたようですね。話に夢中になっていましたわ。では、帰りますか。……殿下。毎回、捨てられた子犬のような目をするのは止めて下さい。
「殿下が頑張るってことは、インディー様も頑張るってことですよね」
帰りの廊下を歩きながら漏れるのはそんな呟き。それを間近で聞いていたサクヤは、何とも言えない微妙な表情をしていた。
インディー様が動くということは、必然的に私も駆り出されるのかと、思ってたかどうかはサクヤに訊かないと分かりませんよね。
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