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SIDE 若頭
しおりを挟む矢沢組の屋敷へ向かった俺達は順調に隠していた金と金に変わる物を見つけていた
そんな時、要が地下へ降りる階段を発見し要と佐山と3人で地下へ降りた
そこには多額の金と棒金があり、上へと運び出す
「若頭!!」
焦ったように地下の奥の部屋から呼ぶ佐山の元へ行くと両手に手錠をかけられ、足には重りのついた鎖を嵌められ服を血に染めた人間が倒れていた
近寄り髪を鷲掴み顔を上げさせると、何度も殴られたのか顔は腫れ上がり血で染まっていた
微かな呼吸音に生きている事は辛うじてわかるが、死ぬのも時間の問題だろう
着ているYシャツから伸びる手足は女子供より細くまるで骨と皮だけのようだ
「佐山、手錠と南京錠の鍵探してこい」
佐山は走って部屋を出ていく
「おい、聞こえるか?」
見た感じ少年と言えるこいつを抱き上げて自分の膝へ降ろす
そのあまりの軽さに舌打ちが漏れた
それから佐山が見つけてきた鍵で手錠と南京錠を外し、急いで屋敷へ戻った
戻る時、要が抱き抱えると言ったが何故か手放すことができず自分で抱き抱えたまま車に乗り込んだ
少年はガタガタと小刻みに震え先程より息苦しそうにしている
自分の上着をぬぎ少年に被せてギュッと抱きしめた
無意識なのだろうが、擦り寄る様に頭を俺の肩に預けてくる
その姿に胸が締め付けられた
そして何故か思ってしまったのだ
コイツは俺の物だと
誰にも渡さないと
矢沢の屋敷を出る時に親父に連絡を入れていた通り、屋敷住みの組員はどこにも居なかった
急いで応接室へと運び、要にセイを呼ぶよう伝える
親父や姐さん、本部長は少年を見て言葉を無くしていたが、直ぐにセイが来て地下へと少年を連れて行った
セイに任せれば大丈夫だろう
地下に運んだ時、セイはじっと俺の目を見つめしっかりと頷いてくれた
治療が終わるまで矢沢の屋敷の報告と少年について親父達に報告する
親父に「アイツをどうする気だ」と問われたが何も言えない
アイツは俺のだ
ただそれだけだから
誰か何を言おうと、手放したりしない
例え相手が会長であっても親父であっても
そして、本部長が助け舟を出し少年の事は本部長が調査する事になった
少年の治療も終わり目が覚めるのも3時間はかかると言うので、少年が眠る部屋で麒麟会へ上納するリスト作りをする事にした
まずは少年が目を覚まさないと何も始まらない
早く目を開けて欲しい
目を開けて俺を見てほしい
そんな事を思う自分が理解できず、リスト作りに没頭する事にした
応援ありがとうございます!
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