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SIDE 晶
しおりを挟むセイを部屋へ向かわせ俺達はコックピット側にある部屋へ急いだ
ドアを開けるとむさ苦しい男達がこちらを見る
「お疲れ様です」
声を揃えて挨拶するのは麒麟会の組員、光一の部下達だ
セイにバレない様に、セイが部屋に入るまで隠れていてくれた
「お疲れ様。旬達は?」
「飛行機の点検と、機長達にご挨拶に向かわれました。」
そう答えてくれたのは虎吉という、静流専属の組員を纏める光一の右腕の様な男
「そうか。もう少しだけここで待機しててくれ。それから、この子が璃一だ。療養中で初めての外出になるから、体調を崩す事もあるかも知れないがよろしく頼む」
「りいちです、よろしくおねがいします。」
車椅子に乗った璃一はペコっと頭を下げる
「虎吉と申します。旬さんから璃一さんの事は伺っています。私共にお手伝いできる事があれば何なりとお申しつけ下さい」
虎はまるで執事の様に頭を下げる
「わぁ…とらさん、ひつじみたい」
「璃一、ひつじじゃなく執事な……」
「??あ……ひじゃなくしだった…これじゃ、とらなのかひつじなのかわかんなくなっちゃう」
璃一のボケに強面の男達が吹き出した
「璃一さんは面白い方ですね。これから一週間とても楽しみになりました」
「ぼくもたのしみー!このまえね、ほーくんがかえるとき、おおさかにきたらタコヤキパーティーしようっていってたの!!
おこのみやきとタコヤキがたのしみなんだー!」
「両方とても美味しいですし、たこ焼きは中に好きな具材を入れて楽しむのも良いですよ。」
「とらさんしたことあるの?」
「はい、穂高様が来られる時にたまに準備いたします」
「へー!ぐざいはなにがおすすめ??」
「お酒を飲む方でしたらタコワサやキムチ、飲まない方に人気はチーズとウインナーでしょうか」
「おいしそう!!はやくたべたーい!」
璃一は虎とたこ焼き談義に花を咲かせる
俺と他の組員はそれを笑いながら見ていた
コンコンっとドアが叩かれ旬が入ってきた
「ここに居たんですね。おはようございます。そろそろ離陸しますから席につきましょう」
「おはよーございます!りりくって、そらとぶの?」
「璃一君お久しぶりです。そうですよ、今から飛行機で空を飛びます。最初は、空に向かって斜めに傾くので座席に座ってシートベルトをちゃんと着用しましょうね。」
旬がそう言うと、ワクワクした顔で頷いた
「セイさんは静流と一緒なので到着前に呼びに行きましょう。それまでは久々の2人きりの時間を堪能してもらいましょうか」
「そうだな、これで2人共元に戻ってくれるといいんだが。にしても、まさかあの2人が連絡先さえ交換してないとは思わなかったな」
「ええ、何故電話しないのかと思ってたんですが…しかも、私共に聞いてくることもしませんでしたからね。2人共本当に思考停止してたみたいですね」
旬は苦笑いをこぼし、俺達を座席に案内した
璃一は離陸する時の圧に驚きしがみつきながらも窓の外を見ていた
シートベルトを外してからは皆でリビングの様になっている所で寛ぐ
たまに微かに叫び声の様な声が聞こえた気がしないでも無いが、光一がそっとドアを閉めたため、俺たち以外は気づいてないと…思う
いや、虎と旬は気づいていたな
虎は目を泳がせ、旬はため息を吐いてたから
そんな一同を載せた飛行機は目的地大阪へと向かったのだった
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