裏切りの蜜は甘く 【完結】

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SIDE 穂高

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静流がセイの元へ向かい俺達は昼食を取りながら今後の予定を話し合った

「では今日は何時になるかはわかりませんが、吾妻組へセイ君のお披露目と挨拶だけにしておわりですね。」


「そうだな。晶たちも来れるなら紹介しておいた方が良かったんだがな。」


「虎の運転なら大丈夫な気もするんですけどね?榊君の運転では酔わなかったらしいので。」


「そうなのか?後で運転手の仕置をしておく。」


客を乗せてるのに、そんな荒い運転をしたのか

ましてや車椅子に乗っている璃一が乗る車なのに


静流達が来る前に側近達には晶やセイ、璃一の事は粗方話しておいた


それなのに配慮せずそんな事をした奴が居るとは……


そろそろこちらも動かないといけないな



「明日は、会合でしたね?そこでもセイ君のお披露目と西日本で起こっている問題を話し合い、組長が引退する所は挨拶をするんでしたっけ」


「ああ。明々後日は視察だ。ミナミに行くから警戒を怠らない方がいい。女がわんさか群がるぞ。」


「セイ君が一緒なら静流が切れそうですねぇ………」


「そうなんだよなぁ…二重に囲って視察に行くしかないな。店でも静流とセイには接客は付けない方がいいだろうし」


彼奴等の隣に女が座るなんて想像しただけで怖いわ…


「視察にはどなたが同行を?」


「親父が行くことになっている。ただ……最近色ボケ爺に成り下がっててな……そろそろ潮時なんだよ。何か仕出かしたら手加減せず潰してくれて構わない」


「おやおや…穂高も苦労しますね。」


旬はそう思ってなさ気な顔で笑う


「たまに静流って予知能力でも使えるんじゃないかって怖くなるぞ」


「確かに。親父さんに初めて会った後、すぐ代替わりする事になるから地盤を固めとけって言ってましたからね。どれほど先まで見えているのやら。」


「ほんとにな。下の組からもそろそろ見限られる頃だと思う。下手したら明日の会合で、話が上がるかもしれん。」


「それは手を打たないといけませんね。まぁ、穂高が組長になり関西吾妻会を率いて行けば他の組も安心するでしょう」


そうだと良いが………


「あと、静流に先に話とかないといけないことがある。」


「…何です?」


嫌な予感がすると顔に出ている旬


「親父がまだ諦めていない。」


「…咲良と静流の結婚ですか。咲良もその気のようですね?」


「ああ。静流にその気はないから今までスルーしていたけど、今回はセイが居るからな。そんな気が無かろうと話しが上がってるってだけでも、セイが嫌な思いをするだろう。」


「そうですね。では先に晶に事情を話しましょう。今向こうがどうなっているかわかりませんから。」



「そうだな。」


旬はすぐに晶に連絡をとった


聞こえてくる会話によると、2人は仲直りできたようだ

だが現在晶達は部屋を追い出されてるらしい


「……静流がお仕置きされてる?」


食後の珈琲を飲んでいた俺の耳に飛び込んできた言葉に、珈琲が器官に入り咽る


旬はニヤニヤしながら会話を続ける


「へぇ~…セイ君が静流を押し倒すとは……ほうほう………本音ダダ漏れですか……そうなんですか?あー…でも確かに要所要所でダークなセイ君が現れてましたね。」


ダークなセイ君?


「わかりました。そうそう、虎の運転なら璃一君も安全に車に乗れると思うんですが、晶達もこちらに来ませんか?用事が終わればそちらに戻ってもらってもかまわないので。………はい、ではよろしくお願いします。」



電話を切った旬はニヤニヤしたままだ


「晶、何だって?」


「セイ君が怒って静流を押し倒し仲直りした後、お仕置きするからと晶達を追い出したそうですよ。なんでも、セイ君は空気を読みすぎて我慢してしまうのでこれからは空気を読むなと言ったら、本音ダダ漏れで捲し立てられたそうです。」


旬は楽しそうに笑う


「へぇ?ゴールドの時でも本音ダダ漏れなんて一度も無かったけどな。」


「晶曰く、セイ君はお腹の中は真っ黒で超毒舌らしいですよ。興味の無いものにはなかなかエゲツないらしく、心を折るのが上手いそうです。」


「あぁ…そう言えばそうだった。敵に回したくないって思った記憶がある。」


「そうなんですか?確かに尋問を行ってた時のセイ君は相手を追い詰めていくのが上手かったですよ。」


「静流もエゲツないが、そのパートナーがセイで右腕に晶やお前達って……静流は何処まで人間離れする気なんだか…」


呆れて溜息が出る


「何言ってるんですか。その右腕に貴方も含まれてますからね?自分は違うみたいに逃げちゃ駄目ですよ」


ジロリと睨む旬に苦笑いが出る


「こうやって珈琲飲みながら静流の事話してると大学時代を思い出すな。」


「そうですねぇ。あの頃はあの頃で楽しかったですね。」


「ああ。あの頃から考えたら皆落ち着いたもんだな」


「本当に。光一は見た目に似合わずプレイボーイで毎日取っ替え引っ替え可愛い男の子を喰い散らかしてましたしね」


「あれも酷かったなぁ…」



俺達はしばし昔話に花を咲かせた








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