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SIDE 静流
しおりを挟むクルージングから一週間
俺達は会議を行っていた
メンバーは
俺 晶 光一 虎 春 樹 の6人だ
議題はプロポーズと結婚式である
俺と晶と光一は既にプロポーズ済み
しかし虎はこの前の旅行で自分の気持ちに気づいたばかりで結婚の意識がない
別に本人達がまだ結婚は…と言うのなら無理に合同結婚式はしなくて良いとは思っている
しかし、虎と鷹は麒麟会へ入社した当時から両親が居ない
この世界では珍しくはないのだが、こういう場合、施設で育った者は施設、親戚宅に住んでいた者は親戚が家族と見なされるように現在法律などが変更されている
例えそれが何年も音信不通で関わって来ていなくてもだ
もし虎か鷹、どちらかが俺達の知らない所で大怪我をして手術が必要になったり最悪死んだ場合、他人の俺達には連絡は来ない
連絡が行くのは音信不通の親族や施設の人間だ
その為身寄りの無い恋人が居る人は早くに結婚したがる傾向にある
今回の会議では虎が鷹とどうしたいのか確認するのが一つの目的だ
まず光一が鷹が麒麟会へ入った理由を教え、春が当時の鷹の写真を入手し虎に見せた
「あ…この子はあの時の………」
虎も思い出したのか、あの時の子と鷹が同一人物だと知り驚いていた
「いいか、虎。鷹は凄くモテる。」
晶が虎の肩に腕を回す
「はい、知ってます」
虎は頷く
「これからお前達は舎弟頭と補佐として、組員の前に出るだろう。俺達と違って仕事中にお前達が恋人である所を他者に見せるとは思えない」
「まぁ、そうですね。」
虎は肯定する
「そうなれば他の組員は、鷹はフリーだと思う。」
「…え?」
虎は驚いた顔をした
「そりゃそうだろう。考えてみろ、恋人だったらあの可愛い鷹が誰にも取られないよう囲いたくなるだろ。でも鷹は囲われて満足するタイプでは無く一緒に戦いたいタイプだ。
それなら結婚し、結婚指輪を鷹につけることで他を規制することができる。
が、結婚指輪もしてない、恋人の影も無ければそりゃあフリーだと思われる」
「…………そんな………」
ショックを受けている虎に追い打ちをかける
「虎は鷹と結婚まで考えてないのか?お互い身寄りが無い事もわかってるだろ?それに今のままじゃ恋人としての時間はほとんど取れないんじゃないか?」
「うっ……」
虎は言葉を詰まらせる
それもそうだろう
実際、休みの日以外は仕事中恋人同士のようにはしていられない
休みの日でもお互いの休みが被るとは限らない
しかし龍洞財閥も麒麟会も伴侶が共に働いてる場合、互いの休みを同じ日にする決まりがある
この決まりは静流がいつか結ばれる旬と光一の為に作った決まりだ
だがこの決まりのおかげで、女子社員の結婚後の離職率は減り、育休制度もしっかりしている為、毎年入社倍率が高い
「結婚すれば二人の時間を手に入れる事もできるし、鷹に結婚指輪を付けさせることで他者に付け入る隙を与えない。
でも…まぁ結婚は、生涯その相手だけを愛しぬくっていう誓いだからな。
そう思えてない内はするもんじゃないか。」
「そんな事思ってません!私は鷹以外愛することはありませんから!」
虎が全力で否定した
晶の話術に引っかかってしまった虎は、ハッとした顔をした
話術に引っかかった事に気づいたようだ
「じゃあプロポーズする?」
晶は満面の笑みで虎に質問する
「…………します。でも鷹の返事は正直わかりません。断られたら慰めてくださいね。」
珍しく弱気な虎に光一が背中を叩く
「ばーか!自信持ってプロポーズしてこい!」
「そうだよ。ちゃんと虎の気持ちを伝えたらいい。お付き合いの長さなんて結婚には関係ないんだから。」
付き合いの長さを言ってしまえば、俺や晶なんて出会って直ぐに自分のモノにする気満々で囲い込んで行ったんだから。
「はい、鷹にプロポーズしてきます!」
そう言って虎は部屋を出ていった
「よし、虎の方は片付いたね。次の議題に移るよ」
樹がそう言ってスケジュール帳を出してきた
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