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零side
俺が律と皇と家族になったのは今から半年程前の事だ。
俺が丹羽高校への編入を決め、準備をしている時だった。
両親が不慮の事故で亡くなった。
あまりにも突然の事だった。
両親は俺にとても良くしてくれた。
学校で虐められていること、生きているのが辛いこと····数えるとキリがない。
俺が学校に行きたくない理由を話すと両親は「無理に行かなくていいのよ。」と優しく俺を受け入れてくれた。
だから、亡くなったと知らせが耳に入った時はショックで頭が真っ白になった。
両親の葬式には主に仕事関係の人、親戚の多くが集まった。
「可哀想に。お子さんはまだ、中学生なんでしょ?」
「行く宛てがあるのかしら。」
「貴方引き取ってあげたら?」
「嫌よ、あんな子。何考えているのか分からないじゃない。」
「気味が悪い。」「変な子。」「親御さんはいい人なのに子供がね·····」
葬式では両親の死を悲しむと共に俺への哀れみの目や化け物扱いが起きた。
(···もう、聞き飽きたよ····。)
(····これから、どうしよう。)
葬儀が全て終わり、いつもの日常がやってきた。
そして、両親の死を境に周りからの視線も変わった。
「ほら、あいつだよ。」
「あぁ····人殺し。」
"人殺し"いつしかそう呼ばれるようになっていた。
教室へ行くと机には複数の落書き、また違う日には花瓶、教科書は破かれ、上靴は捨てられ········悪口だけでは済まなくなった。
そして、俺は不登校になった。
もう誰も信じられない。信じたくない。
俺の心の中にはそういった感情しか無かった。
そんな時、こんな俺を唯一見放さなかったのは律と皇の両親だった。
2人は俺の両親とはとても仲が良く、奥さんの方は俺の母と幼なじみなのだ。
そんな2人は俺に、「零君さえ良ければ私たちと一緒に暮らさない?」と。
今の俺の中で唯一信頼出来るのは2人だけだった。
だからそんな事を言ってくれて有難かったが、2人には既に子供がいる。
俺よりも下の子だ。
そう言うと、「大丈夫よ。零君もきっと仲良くなれるわ!」と言ってくれた。
それから数日後に俺はここ、丹羽高校へ編入した。
彼ら、柳川夫妻(俺の両親代わりになる人)のお子さんとはまだ1度も会ったことがない。
だが、今日から一緒に暮らすらしい。
「零君。あんま縮こまらなくていいのよ。気楽に行きましょう。」
「は、はい。」
「零君はさ、その前髪結んだら?」
と、(仮)父になる人(柳川涼太)は尋ねてきた。
「はい、そうします。」
正直躊躇ったが、一緒に暮らすのだから顔は合わせた方がいいと思いこの日だけは髪を結うことにした。
鏡で自分の顔を確認する。
(·······うわ····不細工だな。)
自分で気分を落とす。
とりあえず、髪ゴムで前髪をくるりんぱしてピンで留めた。
俺の髪型は俺の母が好んだ髪型だ。
女子のショートよりも少し短め。
(これも、そろそろ切らなきゃ、か。)
「可愛いわ!最高よ!」そう言ってくれる母も、「零は凄いな!俺達の誇りだ!」と言ってくれる父も、もう居ない。
「零君ー?」
「は、はい!今行きます!」
俺は駆け足で1階のリビングへと向かった。
リビングに入ると、そこには2人の男の子姿があった。
「零君。紹介するね。こっちが中学3年の柳川律。そして、5歳の柳川皇です!」
と、晴子さんは紹介してくれた。
「ほら、挨拶して。」
律、と呼ばれる子は俺に向かって話した。
「俺は、律です。よろしく。」
ぶっきらぼうな子だけど、優しい雰囲気を纏った子だった。
「こ、皇で、しゅ。····お願い、し、ます。」
顔を真っ赤にして話すその姿はとても愛くるしかった。
そして心做しか律君の方も顔が赤く染っていた。
「俺は、留盛零です。よろしくね。」
一応俺なりの笑顔で言った。
すると、2人のは顔を逸らしてしまった。
「あらあら。」
よく分からなかったが、何とか仲良くやっていけそうだ。
俺が律と皇と家族になったのは今から半年程前の事だ。
俺が丹羽高校への編入を決め、準備をしている時だった。
両親が不慮の事故で亡くなった。
あまりにも突然の事だった。
両親は俺にとても良くしてくれた。
学校で虐められていること、生きているのが辛いこと····数えるとキリがない。
俺が学校に行きたくない理由を話すと両親は「無理に行かなくていいのよ。」と優しく俺を受け入れてくれた。
だから、亡くなったと知らせが耳に入った時はショックで頭が真っ白になった。
両親の葬式には主に仕事関係の人、親戚の多くが集まった。
「可哀想に。お子さんはまだ、中学生なんでしょ?」
「行く宛てがあるのかしら。」
「貴方引き取ってあげたら?」
「嫌よ、あんな子。何考えているのか分からないじゃない。」
「気味が悪い。」「変な子。」「親御さんはいい人なのに子供がね·····」
葬式では両親の死を悲しむと共に俺への哀れみの目や化け物扱いが起きた。
(···もう、聞き飽きたよ····。)
(····これから、どうしよう。)
葬儀が全て終わり、いつもの日常がやってきた。
そして、両親の死を境に周りからの視線も変わった。
「ほら、あいつだよ。」
「あぁ····人殺し。」
"人殺し"いつしかそう呼ばれるようになっていた。
教室へ行くと机には複数の落書き、また違う日には花瓶、教科書は破かれ、上靴は捨てられ········悪口だけでは済まなくなった。
そして、俺は不登校になった。
もう誰も信じられない。信じたくない。
俺の心の中にはそういった感情しか無かった。
そんな時、こんな俺を唯一見放さなかったのは律と皇の両親だった。
2人は俺の両親とはとても仲が良く、奥さんの方は俺の母と幼なじみなのだ。
そんな2人は俺に、「零君さえ良ければ私たちと一緒に暮らさない?」と。
今の俺の中で唯一信頼出来るのは2人だけだった。
だからそんな事を言ってくれて有難かったが、2人には既に子供がいる。
俺よりも下の子だ。
そう言うと、「大丈夫よ。零君もきっと仲良くなれるわ!」と言ってくれた。
それから数日後に俺はここ、丹羽高校へ編入した。
彼ら、柳川夫妻(俺の両親代わりになる人)のお子さんとはまだ1度も会ったことがない。
だが、今日から一緒に暮らすらしい。
「零君。あんま縮こまらなくていいのよ。気楽に行きましょう。」
「は、はい。」
「零君はさ、その前髪結んだら?」
と、(仮)父になる人(柳川涼太)は尋ねてきた。
「はい、そうします。」
正直躊躇ったが、一緒に暮らすのだから顔は合わせた方がいいと思いこの日だけは髪を結うことにした。
鏡で自分の顔を確認する。
(·······うわ····不細工だな。)
自分で気分を落とす。
とりあえず、髪ゴムで前髪をくるりんぱしてピンで留めた。
俺の髪型は俺の母が好んだ髪型だ。
女子のショートよりも少し短め。
(これも、そろそろ切らなきゃ、か。)
「可愛いわ!最高よ!」そう言ってくれる母も、「零は凄いな!俺達の誇りだ!」と言ってくれる父も、もう居ない。
「零君ー?」
「は、はい!今行きます!」
俺は駆け足で1階のリビングへと向かった。
リビングに入ると、そこには2人の男の子姿があった。
「零君。紹介するね。こっちが中学3年の柳川律。そして、5歳の柳川皇です!」
と、晴子さんは紹介してくれた。
「ほら、挨拶して。」
律、と呼ばれる子は俺に向かって話した。
「俺は、律です。よろしく。」
ぶっきらぼうな子だけど、優しい雰囲気を纏った子だった。
「こ、皇で、しゅ。····お願い、し、ます。」
顔を真っ赤にして話すその姿はとても愛くるしかった。
そして心做しか律君の方も顔が赤く染っていた。
「俺は、留盛零です。よろしくね。」
一応俺なりの笑顔で言った。
すると、2人のは顔を逸らしてしまった。
「あらあら。」
よく分からなかったが、何とか仲良くやっていけそうだ。
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