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2巻
2-4
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そうして夜、自分の工房で色々と作業していたら鍛冶師さんが近づいてきて、鍛冶場に来てほしいとの事。なんだなんだと思いながら行ってみると、そこにあったのは、真新しくなったハルバードだった。
以前レッドベアーとの死闘の際に用いたハルバード。酷使してしまった結果使い物にならなくなっていたので、鍛冶師さんに直す様に頼んでいたのだ。
つまりは、ついに修理が完了した訳である。
しかも所々に、鍛冶師さんが手を加えているらしい。自ら自慢げに語ってくれたところによると……
まずハルバードの特徴とも言える斧頭は、水精石と錬鉄とミスラルを混ぜ合わせて造られた合金製になっている。水精石を混ぜているので、以前の精霊石ナイフと同じように振ると水が噴出する。
ただ振っただけでは大袈裟な水芸でしかないが、一定以上の速度で振ると水が鋭利な水刃になるのだ。
それを利用して、ただでさえ三メートルもあるハルバードの攻撃範囲を更に拡張できるらしい。試しに振ってみたが、やや離れた場所に転がっていた大きな岩塊を水刃で難無く両断できた。
斧頭そのものの切れ味も、ほぼ鈍器と言ってよかった時より改善されているので、普通の刃物としても扱えるようだ。
次いで穂先だが、斧頭と同じように精霊石と錬鉄とミスラルの合金製になっている。配合された精霊石は雷を放つ雷精石だそうだ。
高速で突きを放てば穂先から雷の槍が迸り、遠く離れた敵に雷速の攻撃を叩きこむ事ができる。この雷は貫通の効果も持っているらしく、障害物があってもその背後の敵まで攻撃できるのだ。
試しに何度か突きを繰り返していて、ふとした思い付きで【三連突き】を発動させてみたところ、不可視の穂先からも雷撃が放たれ、一突きで三つの雷槍が発生し、的を消し飛ばした。
何と便利な事か。
斧頭の反対側にあるピックも同じく合金製で、配合されたのは火精石だ。
試しにアイテムボックスから取り出した丸太にピックを突き刺してみたら、轟々と炎が噴き出すという素敵仕様である。
穂先と逆の先端部分である石突きには、三角錐状に鋭く研磨された土精石の合金が嵌めこまれている。
それで敵を突く事もできるし、地形操作系アビリティの補助具としても使いやすい。
何よりすごかったのが、配合されている全ての精霊石の効果が、これまでよりも強力になっていた事だ。以前俺が強化エンチャントしたナイフと同等かそれ以上の力がありそうだ。何故だろうかと思っていると、鍛冶師さんがその訳を教えてくれた。
なんと、新しい職業を得ていたそうだ。俺を驚かそうと、ハルバードが完成するまで秘密にしていたらしい。
これを知っているのは今のところ俺だけらしく、秘密を分けあえてちょっと嬉しかった。
新しく得た職業名は【精霊鍛冶師】というもので、多様な精霊石を一定期間扱う、その扱いに長ける、など幾つか面倒な条件をクリアすると得られるレアジョブの一つだそうな。
嬉しかったのでハグしました。最近では色々あって力加減も無意識の内にできるようになっている。腕の中の鍛冶師さんが向けてくる笑顔はとても可愛かったです。
色々と燃えた。
《六十七日目》
今日もホブゴブリンが三ゴブ増えた。今回はメイジやクレリックがいなかったのが少々残念ではある。まあ、普通メイジなんかは一つの群れに一ゴブか二ゴブ程度らしいので、現状でも異常なのだが。
それぞれにいつも通り祝いの品を贈る。
今日は訓練の後、バディーを組ませてコボルド達を実戦兼食料調達に行かせた。経験値取得効率の為にスケルトンとばかり戦うのではなく、多種多様な種族と闘って応用力を養う必要もあるからだ。
なぜなら、俺はいつか群れごとこの森を出て行くつもりなので、今の内に色んなモンスターと対峙して経験を積ませておくのだ。
という事で今日の俺は暇ができ、一人でハンティングに出かける事にした。
スタンプボアの生息区域は既に調べてあるし、この前やつらの気配を覚えたので直ぐに見つけられるだろう。
さて出発……しようとして、オガ吉くんに止められた。
人気のない所で話がしたい、という事なので拠点の外に出てしばらく歩き、周囲に誰も居ないのを確認してから話を聞いた。
それによるとどうも、ついに(またはやっと)アス江ちゃんに告白する決心がついたそうだ。彼女がランクアップして美しくなったので更に想いが強くなり、もうイクしかないと思ったらしい。
しかし何と言えばいいのか分からない。だから、教えて欲しいと言われました。
既にオガ吉くんは俺の心友である。そんなのはお安い御用、自分の事のように相談に乗るのは、まあ、当然だろう。
スタンプボア狩りを断念し、昼から夕方までを作戦会議に費やしたのであった。
そしてオガ吉くんの告白作戦は、今夜に決行される事が決定。
その結果は、明日になれば分かるだろう。
《六十八日目》
成功した。
何が? 当然、オガ吉くんの告白が、である。
朝の訓練前の日課になっているオガ吉くんとの組み手を始める前に、やや赤面しながら報告してくれたのだ。
まあ、成功すると思っていたので驚きはない。オガ吉くんは気が付いていなかったらしいが、アス江ちゃんも前々からオガ吉くんの事が好きだったのだから。
実はアス江ちゃんはアス江ちゃんでダム美ちゃんに相談していて、その情報が俺に流れて来ていたのだ。だから振られる心配はあまりしていなかった。ぶちまけてしまえば、昨日の作戦会議の間に、イヤーカフス型通信機を使ってダム美ちゃんと密談し、二人の仲をおぜん立てしておいたのだ。
だから、この結果は当然と言えば当然だ。
気になるのは、昨夜さっそく盛り上がり過ぎて、アス江ちゃんが壊れなかったかどうか。
アス江ちゃんは現在、ベルベットのダンジョンの影響でココら一帯に発生している精霊石と希少金属の採掘関連担当のトップなので、動けなかったりしたら作業効率がかなり悪くなる。
ほら、今のアス江ちゃんって掘削機みたいな存在だし。状態によっては色々と予定を調節しなければならない。
と思っていたが、報告を聞く限り大丈夫なようだ。
オガ吉くんが初めてでは無かった事と、アス江ちゃんがタフだった事、それと昨日の作戦会議で教え込んでいた約束を守って、加減できた事が要因だろう。
微笑ましい事である。
それにしても、今日の組み手はオガ吉くんが元気過ぎて、イイのを何発か喰らってしまった。久しぶりにガクガクと膝が笑っている。
あまりに元気過ぎて鬱陶しいので、ブラックスケルトン系を幾体か宛がって気持ちの高ぶりを発散させた方がいいかもしれん。即実行に移した。
昼になって訓練が終わり、オガ吉くんと共にハインドベアーでも捕獲しに行こうとしたところ、ダム美ちゃんとアス江ちゃんもついていきたいと言ってきた。
アス江ちゃんに採掘作業は予定通りに進んでいるのか聞いたら、午前中に頑張ってノルマはクリアしたので、問題ないそうだ。
という訳で、久々に四人でハンティングに行った。
残念ながら目的のハインドベアーは見かけなかったが、スタンプボアを五体、一メートル強の巨大な体躯に毒々しい紫色の液体が滴る鎌が特徴的な〝ポイズンマンティス〟を六体、一メートルはあるだろう巨大な角と黒光りする鉄のような外骨格を持つ〝大兜虫〟を四体、コガネグモを五体、オニグモを四体、灰色の甲殻で六〇センチ程の〝飛脚飛蝗〟を三体、黄色い体毛と異様に発達した太く長い尻尾が目立つ〝イエローモンキー〟を十一体狩る事に成功した。
まだ来た事の無かったエリアなだけあって、初めて喰うモンスターが多い。飛び抜けて美味い、と言えるモンスターは居ないが、十分喰える味だ。
ただし、ポイズンマンティスはオーガさえ殺せるという毒が心配だし、硬い甲殻を持つ大兜虫などの甲殻虫系モンスターも俺以外が喰うにはあまり適さず、残念ながら土産としてはイマイチだ。
残念なことに。そう、残念な事に。
という訳でそれぞれの使えそうな部位は剥ぎ取ってアイテムボックスに収納し、残りはボリボリと皆で喰いました。
[能力名【脱皮】のラーニング完了]
[能力名【鞘翅生成】のラーニング完了]
[能力名【致死の毒刃】のラーニング完了]
[能力名【無音暗殺】のラーニング完了]
[能力名【正面突破】のラーニング完了]
[能力名【不協和音】のラーニング完了]
[能力名【寄生】のラーニング完了]
[能力名【跳躍力強化】のラーニング完了]
[能力名【強靭なる生命】のラーニング完了]
[能力名【外骨格着装】のラーニング完了]
[能力名【錬鉄の外殻鎧】のラーニング完了]
[能力名【湧き上がる戦闘本能】のラーニング完了]
[能力名【寒冷脆弱】のラーニング完了]
俺は変身ヒーローモドキになった。
いや、大兜虫を喰って得た【外骨格着装】を早速発動させると、何故か俺が着ていたレッドベアーの素材で造った防具が一瞬で取り込まれた。そしてそれを元にしたらしい、赤黒い独特の光沢がある甲殻の全身鎧を纏った二メートル五〇センチ以上あるヒト型クワガタ、のような状態になったのだ。
何故大兜虫を喰ってクワガタになったのか、と一瞬疑問に思ったが、きっと俺の双角が原因だろう。何となくそんな感じがする。
やや湾曲しながら伸びる刀剣のような双角に意識を向けると、ガチンガチンと動かす事ができた。広げたり狭めたり、自由自在だ。
試しに木を挟んでみると、ジョギン、と、さしたる抵抗も感じずに切断できてしまった。凄まじい切れ味である。面白いな、コレ。
しばらく外骨格について調査をする。
それで分かったのだがこの外骨格、凄く動きやすいくせに非常に頑丈なようだ。
どれ程の強度があるのか試す為にオガ吉くんに殴ってもらったのだが、殴られた部分が多少凹みはしたものの時間が経つにつれて元に戻っていった。どうやら外骨格自体に自己治癒能力が備わっているようだ。
そして殆ど痛みは無かった。衝撃を分散してダメージを軽減する機構も組み込まれているらしい。
それに転生前の職場で配備されていた生体金属製パワードスーツのように、何かを着ている気が全くしないこの一体感。ほんの少しも動きを阻害される感覚が無く、身体によく馴染む。むしろ普段よりも動きやすい様な気さえする。
更には全身のパワーアシストまでしてくれるようで、普段以上の速度で走れたり、肉体強化系のアビリティを使った時と同じくらいの膂力を発揮できた。
【外骨格着装】には、特にこれといったデメリットが見当たらない。いや、目立ち過ぎる、という部分はデメリットだろうか。うん、まあ、これは非常にいいアビリティだ。
ただ、【外骨格着装】を解除すると素っ裸になったのは勘弁してもらいたい。着ていた防具が素材に使われたのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
以前作っておいたズボンがあったからまだ良かったモノの、俺にストリップ趣味はないのだ。別に見られて困るメンバーではないが、あえて見せたいとは思わない。
それにレッドベアーとの戦いの思い出の品、ともいえる防具が無くなったのも痛い様な気がしたが、別に形が変わっただけと思えば問題無いか、と自己完結。
なぜなら、意識すると脳内に――
[アビリティ【外骨格着装】
登録〝1〟【赤熊獣王の威光】の登録完了
登録〝2〟【 】空き
登録〝3〟【 】空き
登録〝4〟【 】空き
登録〝5〟【 】空き
残り〝4〟までフォームの登録が可能です。
何番を装着しますか?]
――と表示されるので、完全に無くなった訳ではないのだ。
フォームは状況に応じて選ぶ事ができるようだ。結構応用力がありそうで、便利なアビリティである。取りあえず、空戦用と海戦用のフォームはさっさと登録していきたい。
それから【鞘翅生成】によって虫が空を飛ぶ為の器官である鞘翅が造れるようになったのは良いが、実際に飛んでみると思ったよりコントロールが難しかった。バランスを取るのが難しく、慣れないと結構疲れる。帰ったら練習する事にしよう。
今回のハンティングは非常に満足のいく結果だった。上機嫌のままお土産を引っ提げて帰って喰いました。
スタンプボアの肉はウマかとです。
[能力名【猪突猛進】のラーニング完了]
[能力名【尻尾強撃】のラーニング完了]
その後は飛行の練習をしたり、作業場で作品を造ったりしてると夜になったので、ぐっすりと眠った。
うむ、有意義な一日だった。
《六十九日目》
久しぶりの雨だったので、今日は赤髪ショートや鍛冶師さん、姉妹さんに錬金術師さん達と戯れる事に決めた。夜は皆で一緒に寝ているのだが、朝や昼は色々と用事があるのであまり構っていなかったからだ。
【魔喰の戦士】を獲得してからというモノ、赤髪ショートの快進撃が凄まじい。今までは技量が同等程度なのに肉体面で負けていたのだが、それを巻き返した形だ。着実にその力を伸ばしている。
最近特に『訓練してよ、私とちょっと組み手してよ』と迫ってくるので、とても可愛いです。
なんだろう。赤髪ショートの可愛らしい顔と相まって、まるで子犬がじゃれてくる感じだ。もしくは、ミニチュアダックスとかの小さい犬が、尻尾をブンブン振っている感じで、グッとくる。他のやつらからしたら、メキメキと力を伸ばしてきた今の赤髪ショートは、ドーベルマンのような存在に見えているのかもしれないが。
朝は赤髪ショートと戯れました。訓練に汗水流し、充実した時間である。
訓練終わりの汗まみれな身体をさっと洗った後は、鍛冶師さんの所へ。
最近はエルフのキルエとアルエが造るミスラルと別の金属などを混ぜ合わせて混銀合金を造る事に熱中しているらしく、その試験品らしきナイフやショートソードが工房のアチコチに転がっている。
キルエとアルエとは、以前攻め込んできた馬鹿エルフを護衛していた女性エルフ二名の事だ。今後は面倒なので護衛エルフさんと纏めて呼ぼう。大体二人で行動する事が多いし。
エルフしか造る事ができない特殊な金属――ミスラル。捕獲したエルフの中でも護衛エルフさん達しか造る技術を持っていなかった。
どうもこの二人、結構血統の良い家の娘なようだ。ミスラルの製造法はエルフ全員が知っている事ではなく、鍛冶を担う家系にのみ伝わる技術だそうで、一般のエルフでは作れない。
だがこの二人は生家がミスラルの製造法を継承する家系だったので、精鋭として訓練を受ける傍ら、みっちり教え込まれていたのだ。
ちなみに補修・改善された俺のハルバードがこのアマルガム製である。
まあ、二人しかいないので大量には造れないのだが、それは仕方ない。製造方法を聞きだしてみたが、俺では到底造れそうにない。護衛エルフさん達が造れるだけでも幸運だったと言える。
鍛冶師さんと護衛エルフさん達が新しい作品についての意見を出し合っている所に加わり、以前お願いした連射式クロスボウ、つまりは連弩の開発は成功したか訊いてみた。
連弩は従来のクロスボウよりも使う矢が小さいので威力と飛距離が劣るのだが、取りあえず遠距離攻撃法の手数を増やすのが優先だ。
すると試作品が完成していたので、訓練しているゴブリン達の所まで持って行き、早速試射させてみた。
結果は上々だ。十分使えるモノが出来上がっていた。
これなら問題ないだろうという事で量産をお願いし、ついでに護衛エルフさん達が造っていたミスラルを左手の銀腕――【伝説】級【神迷遺産】である【白銀の義腕】――に取り込み、指先からインゴットとして抽出し、銀腕の成分を吸収した新たな金属で、また俺専用の作品を造って、と頼んでおく。
『分かった、私にまっかせなさい!』と明るく笑いながら胸をはる鍛冶師さんは可愛らしかったです。思わず唇を塞いだのも仕方あるまい。
その後色々と意見を交換した。拠点防衛の為の装置とか、色々と造らねばならないし。
夕方になって、姉妹さん達の所に行く。
最近姉妹さん達も新しい職業【料理長】を獲得したらしく、せっせと調理に勤しむゴブリン達の指揮を担当していた。
群れのメンバーの数が数だけに、早めに調理を開始しなければ夕食に間に合わない。厨房はすでに修羅場に突入していた。
幸い調理用具は略奪品やら鍛冶師さん作のものやらがあるが、それでも人手、あるいはゴブ手が足りていない。
だから俺も加わり、次々と食材を刻んでいく。こう見えても俺、料理はそこそこできるのだ。
飯の仕度が終わった後、姉妹さんと共に料理の研究を開始した。目標は転生前の世界の料理の再現だ。
今の所、ポテトチップスとかは似た様なモノが作れている。
食材が全然違うので非常に難航しているが、料理人である二人に相談すれば比較的早く実現しそうなので心配はしていない。食の探求は面白いです。
美味しい夕飯の後、錬金術師さんの所に向かった。
錬金術師さんは最近、ブラックスケルトンの骨を使ったオリジナルのマジックアイテム製作に専念しているのだが、その結果はまだ教えてもらえていなかった。
なので今回はなんとかそれを聞きだそうと思っていた……のだが、聞いてみると、サラッと包み隠さずに教えてくれたので拍子抜けだった。
が、本当のサプライズはその後だ。
錬金術師さんから差し出されたのは、ブラックスケルトンの骨を削って造ったのだろう、無骨で黒い杭。
長さ二〇センチ程度のものが十本。鉄のような硬さで、簡単には壊れそうにない。そしてその能力は〝突き刺した者を一定時間その場から動けなくする〟というモノだ。
へー凄いじゃん、と感心していると『私が【魔道具製作師】を得て初めて造った思い出の品だから、私だと思って大事にしてね』と言われました。
どうやら錬金術師さんも新たに獲得した【職業】を黙っていたらしい。
こんな可愛らしい言い方と笑顔は反則だと思う。普段クールな彼女が見せる茶目っ気とのギャップにやられました。
隠れてイチャイチャしてたらいつかのように乱入者が。
その後はあえて言うまい。
以前レッドベアーとの死闘の際に用いたハルバード。酷使してしまった結果使い物にならなくなっていたので、鍛冶師さんに直す様に頼んでいたのだ。
つまりは、ついに修理が完了した訳である。
しかも所々に、鍛冶師さんが手を加えているらしい。自ら自慢げに語ってくれたところによると……
まずハルバードの特徴とも言える斧頭は、水精石と錬鉄とミスラルを混ぜ合わせて造られた合金製になっている。水精石を混ぜているので、以前の精霊石ナイフと同じように振ると水が噴出する。
ただ振っただけでは大袈裟な水芸でしかないが、一定以上の速度で振ると水が鋭利な水刃になるのだ。
それを利用して、ただでさえ三メートルもあるハルバードの攻撃範囲を更に拡張できるらしい。試しに振ってみたが、やや離れた場所に転がっていた大きな岩塊を水刃で難無く両断できた。
斧頭そのものの切れ味も、ほぼ鈍器と言ってよかった時より改善されているので、普通の刃物としても扱えるようだ。
次いで穂先だが、斧頭と同じように精霊石と錬鉄とミスラルの合金製になっている。配合された精霊石は雷を放つ雷精石だそうだ。
高速で突きを放てば穂先から雷の槍が迸り、遠く離れた敵に雷速の攻撃を叩きこむ事ができる。この雷は貫通の効果も持っているらしく、障害物があってもその背後の敵まで攻撃できるのだ。
試しに何度か突きを繰り返していて、ふとした思い付きで【三連突き】を発動させてみたところ、不可視の穂先からも雷撃が放たれ、一突きで三つの雷槍が発生し、的を消し飛ばした。
何と便利な事か。
斧頭の反対側にあるピックも同じく合金製で、配合されたのは火精石だ。
試しにアイテムボックスから取り出した丸太にピックを突き刺してみたら、轟々と炎が噴き出すという素敵仕様である。
穂先と逆の先端部分である石突きには、三角錐状に鋭く研磨された土精石の合金が嵌めこまれている。
それで敵を突く事もできるし、地形操作系アビリティの補助具としても使いやすい。
何よりすごかったのが、配合されている全ての精霊石の効果が、これまでよりも強力になっていた事だ。以前俺が強化エンチャントしたナイフと同等かそれ以上の力がありそうだ。何故だろうかと思っていると、鍛冶師さんがその訳を教えてくれた。
なんと、新しい職業を得ていたそうだ。俺を驚かそうと、ハルバードが完成するまで秘密にしていたらしい。
これを知っているのは今のところ俺だけらしく、秘密を分けあえてちょっと嬉しかった。
新しく得た職業名は【精霊鍛冶師】というもので、多様な精霊石を一定期間扱う、その扱いに長ける、など幾つか面倒な条件をクリアすると得られるレアジョブの一つだそうな。
嬉しかったのでハグしました。最近では色々あって力加減も無意識の内にできるようになっている。腕の中の鍛冶師さんが向けてくる笑顔はとても可愛かったです。
色々と燃えた。
《六十七日目》
今日もホブゴブリンが三ゴブ増えた。今回はメイジやクレリックがいなかったのが少々残念ではある。まあ、普通メイジなんかは一つの群れに一ゴブか二ゴブ程度らしいので、現状でも異常なのだが。
それぞれにいつも通り祝いの品を贈る。
今日は訓練の後、バディーを組ませてコボルド達を実戦兼食料調達に行かせた。経験値取得効率の為にスケルトンとばかり戦うのではなく、多種多様な種族と闘って応用力を養う必要もあるからだ。
なぜなら、俺はいつか群れごとこの森を出て行くつもりなので、今の内に色んなモンスターと対峙して経験を積ませておくのだ。
という事で今日の俺は暇ができ、一人でハンティングに出かける事にした。
スタンプボアの生息区域は既に調べてあるし、この前やつらの気配を覚えたので直ぐに見つけられるだろう。
さて出発……しようとして、オガ吉くんに止められた。
人気のない所で話がしたい、という事なので拠点の外に出てしばらく歩き、周囲に誰も居ないのを確認してから話を聞いた。
それによるとどうも、ついに(またはやっと)アス江ちゃんに告白する決心がついたそうだ。彼女がランクアップして美しくなったので更に想いが強くなり、もうイクしかないと思ったらしい。
しかし何と言えばいいのか分からない。だから、教えて欲しいと言われました。
既にオガ吉くんは俺の心友である。そんなのはお安い御用、自分の事のように相談に乗るのは、まあ、当然だろう。
スタンプボア狩りを断念し、昼から夕方までを作戦会議に費やしたのであった。
そしてオガ吉くんの告白作戦は、今夜に決行される事が決定。
その結果は、明日になれば分かるだろう。
《六十八日目》
成功した。
何が? 当然、オガ吉くんの告白が、である。
朝の訓練前の日課になっているオガ吉くんとの組み手を始める前に、やや赤面しながら報告してくれたのだ。
まあ、成功すると思っていたので驚きはない。オガ吉くんは気が付いていなかったらしいが、アス江ちゃんも前々からオガ吉くんの事が好きだったのだから。
実はアス江ちゃんはアス江ちゃんでダム美ちゃんに相談していて、その情報が俺に流れて来ていたのだ。だから振られる心配はあまりしていなかった。ぶちまけてしまえば、昨日の作戦会議の間に、イヤーカフス型通信機を使ってダム美ちゃんと密談し、二人の仲をおぜん立てしておいたのだ。
だから、この結果は当然と言えば当然だ。
気になるのは、昨夜さっそく盛り上がり過ぎて、アス江ちゃんが壊れなかったかどうか。
アス江ちゃんは現在、ベルベットのダンジョンの影響でココら一帯に発生している精霊石と希少金属の採掘関連担当のトップなので、動けなかったりしたら作業効率がかなり悪くなる。
ほら、今のアス江ちゃんって掘削機みたいな存在だし。状態によっては色々と予定を調節しなければならない。
と思っていたが、報告を聞く限り大丈夫なようだ。
オガ吉くんが初めてでは無かった事と、アス江ちゃんがタフだった事、それと昨日の作戦会議で教え込んでいた約束を守って、加減できた事が要因だろう。
微笑ましい事である。
それにしても、今日の組み手はオガ吉くんが元気過ぎて、イイのを何発か喰らってしまった。久しぶりにガクガクと膝が笑っている。
あまりに元気過ぎて鬱陶しいので、ブラックスケルトン系を幾体か宛がって気持ちの高ぶりを発散させた方がいいかもしれん。即実行に移した。
昼になって訓練が終わり、オガ吉くんと共にハインドベアーでも捕獲しに行こうとしたところ、ダム美ちゃんとアス江ちゃんもついていきたいと言ってきた。
アス江ちゃんに採掘作業は予定通りに進んでいるのか聞いたら、午前中に頑張ってノルマはクリアしたので、問題ないそうだ。
という訳で、久々に四人でハンティングに行った。
残念ながら目的のハインドベアーは見かけなかったが、スタンプボアを五体、一メートル強の巨大な体躯に毒々しい紫色の液体が滴る鎌が特徴的な〝ポイズンマンティス〟を六体、一メートルはあるだろう巨大な角と黒光りする鉄のような外骨格を持つ〝大兜虫〟を四体、コガネグモを五体、オニグモを四体、灰色の甲殻で六〇センチ程の〝飛脚飛蝗〟を三体、黄色い体毛と異様に発達した太く長い尻尾が目立つ〝イエローモンキー〟を十一体狩る事に成功した。
まだ来た事の無かったエリアなだけあって、初めて喰うモンスターが多い。飛び抜けて美味い、と言えるモンスターは居ないが、十分喰える味だ。
ただし、ポイズンマンティスはオーガさえ殺せるという毒が心配だし、硬い甲殻を持つ大兜虫などの甲殻虫系モンスターも俺以外が喰うにはあまり適さず、残念ながら土産としてはイマイチだ。
残念なことに。そう、残念な事に。
という訳でそれぞれの使えそうな部位は剥ぎ取ってアイテムボックスに収納し、残りはボリボリと皆で喰いました。
[能力名【脱皮】のラーニング完了]
[能力名【鞘翅生成】のラーニング完了]
[能力名【致死の毒刃】のラーニング完了]
[能力名【無音暗殺】のラーニング完了]
[能力名【正面突破】のラーニング完了]
[能力名【不協和音】のラーニング完了]
[能力名【寄生】のラーニング完了]
[能力名【跳躍力強化】のラーニング完了]
[能力名【強靭なる生命】のラーニング完了]
[能力名【外骨格着装】のラーニング完了]
[能力名【錬鉄の外殻鎧】のラーニング完了]
[能力名【湧き上がる戦闘本能】のラーニング完了]
[能力名【寒冷脆弱】のラーニング完了]
俺は変身ヒーローモドキになった。
いや、大兜虫を喰って得た【外骨格着装】を早速発動させると、何故か俺が着ていたレッドベアーの素材で造った防具が一瞬で取り込まれた。そしてそれを元にしたらしい、赤黒い独特の光沢がある甲殻の全身鎧を纏った二メートル五〇センチ以上あるヒト型クワガタ、のような状態になったのだ。
何故大兜虫を喰ってクワガタになったのか、と一瞬疑問に思ったが、きっと俺の双角が原因だろう。何となくそんな感じがする。
やや湾曲しながら伸びる刀剣のような双角に意識を向けると、ガチンガチンと動かす事ができた。広げたり狭めたり、自由自在だ。
試しに木を挟んでみると、ジョギン、と、さしたる抵抗も感じずに切断できてしまった。凄まじい切れ味である。面白いな、コレ。
しばらく外骨格について調査をする。
それで分かったのだがこの外骨格、凄く動きやすいくせに非常に頑丈なようだ。
どれ程の強度があるのか試す為にオガ吉くんに殴ってもらったのだが、殴られた部分が多少凹みはしたものの時間が経つにつれて元に戻っていった。どうやら外骨格自体に自己治癒能力が備わっているようだ。
そして殆ど痛みは無かった。衝撃を分散してダメージを軽減する機構も組み込まれているらしい。
それに転生前の職場で配備されていた生体金属製パワードスーツのように、何かを着ている気が全くしないこの一体感。ほんの少しも動きを阻害される感覚が無く、身体によく馴染む。むしろ普段よりも動きやすい様な気さえする。
更には全身のパワーアシストまでしてくれるようで、普段以上の速度で走れたり、肉体強化系のアビリティを使った時と同じくらいの膂力を発揮できた。
【外骨格着装】には、特にこれといったデメリットが見当たらない。いや、目立ち過ぎる、という部分はデメリットだろうか。うん、まあ、これは非常にいいアビリティだ。
ただ、【外骨格着装】を解除すると素っ裸になったのは勘弁してもらいたい。着ていた防具が素材に使われたのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
以前作っておいたズボンがあったからまだ良かったモノの、俺にストリップ趣味はないのだ。別に見られて困るメンバーではないが、あえて見せたいとは思わない。
それにレッドベアーとの戦いの思い出の品、ともいえる防具が無くなったのも痛い様な気がしたが、別に形が変わっただけと思えば問題無いか、と自己完結。
なぜなら、意識すると脳内に――
[アビリティ【外骨格着装】
登録〝1〟【赤熊獣王の威光】の登録完了
登録〝2〟【 】空き
登録〝3〟【 】空き
登録〝4〟【 】空き
登録〝5〟【 】空き
残り〝4〟までフォームの登録が可能です。
何番を装着しますか?]
――と表示されるので、完全に無くなった訳ではないのだ。
フォームは状況に応じて選ぶ事ができるようだ。結構応用力がありそうで、便利なアビリティである。取りあえず、空戦用と海戦用のフォームはさっさと登録していきたい。
それから【鞘翅生成】によって虫が空を飛ぶ為の器官である鞘翅が造れるようになったのは良いが、実際に飛んでみると思ったよりコントロールが難しかった。バランスを取るのが難しく、慣れないと結構疲れる。帰ったら練習する事にしよう。
今回のハンティングは非常に満足のいく結果だった。上機嫌のままお土産を引っ提げて帰って喰いました。
スタンプボアの肉はウマかとです。
[能力名【猪突猛進】のラーニング完了]
[能力名【尻尾強撃】のラーニング完了]
その後は飛行の練習をしたり、作業場で作品を造ったりしてると夜になったので、ぐっすりと眠った。
うむ、有意義な一日だった。
《六十九日目》
久しぶりの雨だったので、今日は赤髪ショートや鍛冶師さん、姉妹さんに錬金術師さん達と戯れる事に決めた。夜は皆で一緒に寝ているのだが、朝や昼は色々と用事があるのであまり構っていなかったからだ。
【魔喰の戦士】を獲得してからというモノ、赤髪ショートの快進撃が凄まじい。今までは技量が同等程度なのに肉体面で負けていたのだが、それを巻き返した形だ。着実にその力を伸ばしている。
最近特に『訓練してよ、私とちょっと組み手してよ』と迫ってくるので、とても可愛いです。
なんだろう。赤髪ショートの可愛らしい顔と相まって、まるで子犬がじゃれてくる感じだ。もしくは、ミニチュアダックスとかの小さい犬が、尻尾をブンブン振っている感じで、グッとくる。他のやつらからしたら、メキメキと力を伸ばしてきた今の赤髪ショートは、ドーベルマンのような存在に見えているのかもしれないが。
朝は赤髪ショートと戯れました。訓練に汗水流し、充実した時間である。
訓練終わりの汗まみれな身体をさっと洗った後は、鍛冶師さんの所へ。
最近はエルフのキルエとアルエが造るミスラルと別の金属などを混ぜ合わせて混銀合金を造る事に熱中しているらしく、その試験品らしきナイフやショートソードが工房のアチコチに転がっている。
キルエとアルエとは、以前攻め込んできた馬鹿エルフを護衛していた女性エルフ二名の事だ。今後は面倒なので護衛エルフさんと纏めて呼ぼう。大体二人で行動する事が多いし。
エルフしか造る事ができない特殊な金属――ミスラル。捕獲したエルフの中でも護衛エルフさん達しか造る技術を持っていなかった。
どうもこの二人、結構血統の良い家の娘なようだ。ミスラルの製造法はエルフ全員が知っている事ではなく、鍛冶を担う家系にのみ伝わる技術だそうで、一般のエルフでは作れない。
だがこの二人は生家がミスラルの製造法を継承する家系だったので、精鋭として訓練を受ける傍ら、みっちり教え込まれていたのだ。
ちなみに補修・改善された俺のハルバードがこのアマルガム製である。
まあ、二人しかいないので大量には造れないのだが、それは仕方ない。製造方法を聞きだしてみたが、俺では到底造れそうにない。護衛エルフさん達が造れるだけでも幸運だったと言える。
鍛冶師さんと護衛エルフさん達が新しい作品についての意見を出し合っている所に加わり、以前お願いした連射式クロスボウ、つまりは連弩の開発は成功したか訊いてみた。
連弩は従来のクロスボウよりも使う矢が小さいので威力と飛距離が劣るのだが、取りあえず遠距離攻撃法の手数を増やすのが優先だ。
すると試作品が完成していたので、訓練しているゴブリン達の所まで持って行き、早速試射させてみた。
結果は上々だ。十分使えるモノが出来上がっていた。
これなら問題ないだろうという事で量産をお願いし、ついでに護衛エルフさん達が造っていたミスラルを左手の銀腕――【伝説】級【神迷遺産】である【白銀の義腕】――に取り込み、指先からインゴットとして抽出し、銀腕の成分を吸収した新たな金属で、また俺専用の作品を造って、と頼んでおく。
『分かった、私にまっかせなさい!』と明るく笑いながら胸をはる鍛冶師さんは可愛らしかったです。思わず唇を塞いだのも仕方あるまい。
その後色々と意見を交換した。拠点防衛の為の装置とか、色々と造らねばならないし。
夕方になって、姉妹さん達の所に行く。
最近姉妹さん達も新しい職業【料理長】を獲得したらしく、せっせと調理に勤しむゴブリン達の指揮を担当していた。
群れのメンバーの数が数だけに、早めに調理を開始しなければ夕食に間に合わない。厨房はすでに修羅場に突入していた。
幸い調理用具は略奪品やら鍛冶師さん作のものやらがあるが、それでも人手、あるいはゴブ手が足りていない。
だから俺も加わり、次々と食材を刻んでいく。こう見えても俺、料理はそこそこできるのだ。
飯の仕度が終わった後、姉妹さんと共に料理の研究を開始した。目標は転生前の世界の料理の再現だ。
今の所、ポテトチップスとかは似た様なモノが作れている。
食材が全然違うので非常に難航しているが、料理人である二人に相談すれば比較的早く実現しそうなので心配はしていない。食の探求は面白いです。
美味しい夕飯の後、錬金術師さんの所に向かった。
錬金術師さんは最近、ブラックスケルトンの骨を使ったオリジナルのマジックアイテム製作に専念しているのだが、その結果はまだ教えてもらえていなかった。
なので今回はなんとかそれを聞きだそうと思っていた……のだが、聞いてみると、サラッと包み隠さずに教えてくれたので拍子抜けだった。
が、本当のサプライズはその後だ。
錬金術師さんから差し出されたのは、ブラックスケルトンの骨を削って造ったのだろう、無骨で黒い杭。
長さ二〇センチ程度のものが十本。鉄のような硬さで、簡単には壊れそうにない。そしてその能力は〝突き刺した者を一定時間その場から動けなくする〟というモノだ。
へー凄いじゃん、と感心していると『私が【魔道具製作師】を得て初めて造った思い出の品だから、私だと思って大事にしてね』と言われました。
どうやら錬金術師さんも新たに獲得した【職業】を黙っていたらしい。
こんな可愛らしい言い方と笑顔は反則だと思う。普段クールな彼女が見せる茶目っ気とのギャップにやられました。
隠れてイチャイチャしてたらいつかのように乱入者が。
その後はあえて言うまい。
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