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2巻
2-11
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大百足――アルティルムの顎肢は更に深くオーガに喰い込み、大量の血が流れている。
次第に毒に侵された範囲が広がり、既に胴体の三分の一は紫色に変わっていた。
オーガの両腕の筋肉が隆起し、掴み潰さんが如く力を込めて顎肢に抗い、苦しみつつも引き抜こうとしている。
だが種族としての力の差か、逃げられない。溢れる血の量も時間が経つ事に増え、既にオーガの下半身は血に染まっていた。
噛まれてから一分程が経った頃。オーガの全身からようやく力が抜けて、ダラリと項垂れた。
「待て、アルティルム。あまり壊したら、後処理が面倒でしょ」
死んだ、あるいはもう動けるだけの力を失ったと判断したフィリポは、アルティルムにオーガを地面に下ろす様に短剣で指示する。
まるで主人に懐く子犬のように従順なアルティルムは、オーガを地面に横たえると深く刺さった顎肢を抜き、巨大な頭部をフィリポに近づける。
それに微笑みながら、フィリポはゴリゴリと短剣で頭部の甲殻を削ぐ。心地よさそうに身悶えするアルティルム。
「よしよし、よくやったよくやった。それじゃ、また任地に戻って頑張るんだぞ。ここはもう、終わりだろうし」
「キィィィィィ」
名残り惜しそうな奇声を上げつつ、アルティルムは一度上空に伸び、落下する勢いをつけて地面に頭から突っ込んだ。激しく土石の飛沫を上げながら、十数秒と経たずにぐねぐねと蠢くその巨躯は地下に消え、震動もやがて止んだ。
アルティルムが戦場から去ると、フィリポは笑みを浮かべ、オーガの死体がある筈の場所を見た。
「さてと、オーガさんの死体を持ち帰って……え?」
楽しげな声音が、一転、理解できない、とでもいうような困惑したモノに変わった。
「……え? え? 何これ?」
フィリポはまるで幻でも見ているかのように茫然とした表情を浮かべ、ある一点を凝視している。
アルティルムの猛毒を持つ顎肢に腹部を破られ、背骨を砕かれたオーガの体が転がっていた筈の場所。だがそこにあるのはただの赤黒い血溜りである。
血溜まりは周囲の赤く染まった土の中で尚も存在感を放っているが、決してオーガの死体ではない。
死体はどこに行ったのか、何が起きたのか、どういう事なのか。
フィリポの脳裏を過る疑問、理解不能の事態。
様々な事を考え始めた為に動きが止まり、棒立ちとなる。
あまりにも隙だらけな姿。フィリポの死角にいたそれがそんな好機を見逃す筈もなく接近、音もなくフィリポの背後をとる。しかし流石は【英雄】と言うべきか、フィリポの身体は自然と動いた。
フィリポが小柄な体を全力で低く屈ませた瞬間、まるで針のように鋭く細い銀色の何かが突き抜けていった。
「――ッチ」
小さな舌打ち。回避された事への僅かな苛立ちが籠ったそれをすぐ傍で聞いたフィリポは、地に着いた四肢を使い、獣のような動きで即座に横へ跳んだ。
反射的なその行動により、頭上から断頭台のように振り下ろされた刃の回避にも成功する。
もう少しで殺されていた、という事実に背中を冷や汗で滲ませつつ、怪訝そうな視線で襲いかかって来た敵を睨みつけるフィリポ。
「心底驚いたよ、オーガさん。あの状態で、どうやって助かったの?」
フィリポの視線の先には、オーガが居た。それも傷一つない姿で、落としたはずのハルバードを握っている。
投げかけられた問いに、オーガは呆れながら、
「教える訳ないだろ」
と答えた。それにフィリポは笑い、
「ですよねー」
と頷く。
「まあ、死んだのは偽物なんだろうけどさ、それにしても僕を騙すなんて凄いね。僕の複眼、結構色んな事を見られる筈なんだけど、すっかり騙されちゃった」
フィリポの糸目が全開で開かれた。
蟲そのままである複眼に、オーガの姿が無数に映る。
「アルティルムを帰したのは、ちょっと早かったかなぁ。もう遠くまで行っちゃってるだろうし、仕方ない」
苦笑しつつ、フィリポは再び懐からガラス管を取り出した。
今度のガラス管は一本。だが、その中には毒々しい色合いの大きな芋虫が一匹、黄色い液体の中で漂っていた。
「これ、僕の奥の手その一ね。オーガさんがオーガなのに強過ぎるからこれを使って遊ぼうと思うんだけど、その前に、改めてお互いの自己紹介でもどうかな? 殺すにしても相手の事をちゃんと知っていたいよね」
「それはそうかもしれないが、断る。今はあまり知られたくないからな」
「うわ、オーガさんてば冷たいよ。いいもんいいもん、僕だけでも名乗るから。僕の名はフィリポ・ベルド・ロッカータ。キーリカ帝国のとある貴族の次男坊で、ご存知の通り【八英傑騎甲団】に所属している【骸蟲英雄】さ。ちなみに僕の序列は第七位だから下から二番目。僕より強いのもいるんだから、僕と対等だからって――」
フィリポが語る中、数メートル離れた場所でオーガはハルバードで突きを繰り出した。穂先が届く距離ではないが、しかし三本の雷槍が迸り、フィリポの顔面に突き進んだ。
フィリポは【英雄】として備えた常人を超えた反応速度と身体能力を駆使して何とかギリギリの所で回避したものの、逃げ遅れた触覚のような髪の一部が燃え、身体を電流が駆け巡った。
「痛ッ! 酷いよオーガさ――」
不意打ちに抗議しようとしたフィリポを無視し、地を蹴り砕き一瞬で距離を詰めたオーガがハルバードを振り下ろす。刀身が霞むほど速く振られ、斧頭に水刃を纏わせる事で破壊力を増したはずの一撃は、しかし難なく止められた。
甲高い金属音の悲鳴が響き、生臭い異臭が漂う。
ハルバードを防いだのはフィリポの腹部から伸びる六本の触手だった。折り重なる小さな甲殻に全体を覆われた触手は、攻撃を防ぐと共に個別に動き始め、オーガを捕らえようとする。オーガは即座に後方に跳びそれをかわす。
「ちぇー。奥の手その一を使う前にその二を使っちゃったよ。本当はもっと後で出したかったんだけど、オーガさん速過ぎ。さっきまでより格段に速くなってない? ま、いいや」
オーガが答える気配がないのを退屈そうに確認し、フィリポは再び短剣で周囲の魔蟲を操作し始める。
アルティルムの邪魔にならぬよう停止したままだった魔蟲は、今度はオーガを無視してフィリポの周囲に集結し、フィリポの腹部から伸びる触手に突き刺され、その本体を吸収されていく。
魔蟲を一体吸収する毎に触手は太く、強靭なモノに成長し、フィリポ自身の肉体にも変化をもたらし始める。
背中の服が弾け飛んだと思えば、そこには蜻蛉と蝶の翅を混ぜ合わせたような新しい器官が形成されていた。両腕にはまるで手甲のような緑色の甲殻が現れ、頭は蟷螂のような形に変化した。他にも各部位が変化し、全体的に魔蟲の特徴が色濃く表れ、もはや人間には見えない姿になっていく。
どの魔蟲よりも凶悪な外見で、どの魔蟲よりも纏う空気が重く、どの魔蟲よりも生に満ち溢れていた。
その変貌にはオーガも眉間に皺を寄せつつ、獰猛な笑みを浮かべた。
それはまるで美味しそうな獲物を、食材を前にしたような表情だった。爛々と光るオーガの瞳は食欲に火がついた餓狼のようで、小さく開かれた口に並ぶ歯は唾液に濡れて輝いている。
「かなり美味そうな匂いじゃないか。喰い応えがありそうだ」
「アハハ、ようやくソノ気になってクレタんだ、オーガさん。でも、もう遅イ――ヨッ」
キリキリと魔蟲のような耳障りな高音で話すフィリポの姿が、霞んで消えた。
次の瞬間にはオーガの背後に回り込み、腹部の巨大化した六本の触手が襲いかかる。
しかしオーガはそれも察知していたようで、背後を振り返ったのと同時にハルバードで三本の触手を根元から切り落とす。
青い体液が、斬られた触手の断面から噴き出す。残る三本の触手もオーガに迫るが、突如発生した炎の刃に二本が斬られ、最後の一本を銀色の左腕が掴んで握り潰した。
オーガは反撃を許さずそのまま追撃。フィリポの胴体を拳がめり込むほどの強さで殴打し、その身体を後方に吹き飛ばすと、高速で編まれた魔術の黒槍を投擲した。
フィリポを殺すのに十分な破壊を宿した黒槍は、フィリポの翅が急制動、急加速した事で回避されたが、蟷螂のような口からは大量の青い血液が吐き出されている。
その様が触手を全て斬り落とされ、腹部を殴打されたフィリポのダメージの深さを物語っていた。
「ガフッ、がふ……まさか、コレを避けラレてこんな手酷い反撃ヲされるなんて、予想外だよ、オーガさん。本当に、何でオーガさんみたいなノガ《詩篇覚醒者/主要人物》じゃないのか、不思議だヨ」
仕留めようと駆け出す寸前だったオーガは、聞き慣れない単語に動きを止めた。
「なんだ、その《詩篇覚醒者/主要人物》というのは」
「フフフ、教えなーイヨーだ。一杯無視されたモンね、コレくらい自分で調べなヨ」
「そうか、分かった。なら、無理やり聞きだすさ」
オーガが駆ける。
一歩踏み出す事に地は砕け、ハルバードが霞む程速く振るわれる。
それを迎え撃つフィリポの両腕と、新しく生えた蟲の脚。触手もしばらくすると再生し、常人なら数秒と耐えられぬであろう攻防が繰り広げられる。
両者の戦いは広範囲に影響を及ぼし、余波だけで死ぬ者も多数いた。
鬼と蟲の化物同士が戦う様子は、戦場の中でも一際目立ち、両者の血肉を削りながら更に激しいものとなっていった。
◆◆◆
「いやー、楽しカった。うん、ここラで一旦休戦にシヨっか」
頸部を狙ったハルバードの斬線を紙一重で回避した直後。触手を使って足下の血土や死体を巻き上げ、一瞬だけオーガの視界から身を隠したフィリポは、大きく距離をとって唐突にそんな事を言った。
その声からは、この戦いは十分堪能した、という感情がありありと伝わってくる。
「……逃がすと思っているのか?」
眉間に皺を寄せ、淡々とオーガが訊く。戦い始めた時と違い、蟲の外骨格を彷彿させる赤黒い全身鎧を装備していた。
【英雄】が繰り出す強烈な攻撃を幾度も受けたようで、腕や腹部などには小さいながらも幾つか孔が開いていた。鎧の至る所にも大小無数の傷が見られ、酸化したオーガの血がこびり付いている。
そんなオーガと対峙しているフィリポの姿は、輪をかけて痛々しい。右腕の肘から先がねじ切られ、背中の翅の左半分は根元から引き抜かれている。複眼も一つ潰されており、溢れ出した青い血が体の半分を濡らしていた。
だがそんな大怪我を負いつつも、両者の動きにぎこちなさはない。この程度では致命傷にはならない程、どちらも生命力が強いからだ。
「思ってなイケど、全力で逃げさせテもらうヨ」
不敵な笑み――蟲のような頭部故、常人にはそうと見分けがつかない――を浮かべながらゆっくりと後ずさるフィリポに対し、オーガは音も無く接近する。
この戦いは、終始オーガが有利に進めていた。
【加護】持ちの中でも選ばれし存在である【英雄】フィリポを、同じく【加護】持ちとはいえオーガ如きが追い詰めるという信じられない状況。
オーガの行動に迷いはない。どんな反撃をされても、全てを叩き潰して迫らんという戦意が漲っている。
「くひヒ、怖いなァ、本当に怖いヨ、オーガさん。でもね、逃げ足に関しテは、ちょっト自信がアルんだヨ」
オーガの鋭い眼光に射抜かれながら、フィリポは躊躇いなく行動を起こす。オーガはそれを止めるべく動こうとしたが、目の前の奇妙な光景に踏み止まった。
まず、フィリポの背中の中心が縦に割れた。そしてその中から、ネットリとした半透明の液体に濡れた全裸のフィリポが現れる。複眼以外は蟲のような特徴を持たない、最初に出会った時の姿だ。ねじ切られていた右腕なども元に戻り、傷一つ無い。
それはまるで蟲が羽化するような光景。脱ぎ捨てられた外皮が音を立てて地面に転がった。
「じゃね、オーガさん。今度ヤル時は、お互いに本気の本気で楽しもうよ」
そして全裸のまま、フィリポは背中を見せて走り始めた。後方を一切気にしない全速力で、地面に転がる鎧などを踏み潰し、あるいは飛び越えながら逃げていく。
「――ッチ」
呆気にとられ、数瞬遅れてオーガが駆け出す。その速度は人間の姿に戻ったフィリポよりも断然速く、すぐ追いつくかに思えた。
だが、その前に何者かが立ちはだかった。
「邪魔だ!」
それは、脱ぎ捨てられた外皮だった。
構造的に不安定なのか不規則に左右に揺れ、全身ボロボロなその様子は、まるでゾンビのようである。複眼は青白く染まり、無数の小さな牙が覗く蟲の口からはダラダラと半透明の体液を溢れさせ、腹部から伸びる触手は獲物を求めて蠢いている。
奇声を上げつつ進路を妨げる外皮に向けて、オーガは躊躇いなくハルバードを振り下ろした。
頭上から迫るハルバードに対して外皮は腕を交差させ、更に触手を重ね合わせて防ごうとする。
だがオーガはそれら諸共、地面までをも大きく斬り裂いた。
その勢いのままに、二つに両断された外皮の間を走り抜け、フィリポを探すオーガ。だが既に戦場の中に紛れ、見つけることは出来ない。
「まだ追いつけるが……潮時か」
完全に死んでいなかったのか、足下から触手を伸ばして悪足掻きを見せる外皮を踏み砕きつつ、オーガは忌々しそうにフィリポが居る方向を見据える。トドメを刺された外皮は、やがてグズグズに溶けてその形を失った。
数秒だけ睨んで背を翻し、オーガは戦場から立ち去った。
此度の戦いはこうして終わりを迎えたが、両者が再会するのは、そう遠くはない。
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一方その頃、俺の分体の一つは単身敵本陣近くに潜っていた。
【職業・妖術師】の得意な状態異常攻撃で周囲の敵の認識力を低下させ、【職業・暗殺者】や【認識阻害】、【隠れ身】などの隠密系アビリティを発動して気配を消し、さらに【隠者の衣】と呼ばれるマジックアイテムの黒い外套を装備しているからこそできる荒業である。
危険を冒してまでこのような事をしているのは、敵の総大将である次期皇帝に接近する為だ。
しかし殺すつもりは無い。殺せば、帝国も威信をかけてエルフを根絶やしにするだろう。被害がどれ程出ようとも、殺し尽くすまで諦めないはずだ。
それは絶対に避けなければならない。帝国に本気でこられたら、数の差で容易く押し潰される。いくらなんでも、厳し過ぎる。
父親エルフとはこれからも良き仲でありたいのだ。殺させる訳にはいかん。この森だけで採れる素材もあるし、拠点を失うのも嫌だ。
などと考えている間に、一際立派な鎧を着た次期皇帝の背後をとる事に成功。
周囲には護衛も居るが、こっそり話しかけた次期皇帝を除いて誰も俺には気付いていない。
その耳元で撤退するよう告げ、姫の病に効く俺の血から造った紅い薬入りの小瓶を胸ポケットに滑り込ませつつ、その使用方法を教える。
他にも色々ごにょごにょと囁き――
分かったかと訊くと静かに頷いたので、速やかにその場から離れた。
これで用は済んだので、通信機を通してアス江ちゃんにお願いし、両軍を遮る長大な土壁を出現させてもらう。敵も半分近く削ったのだ、これで十分だろう。
アチラが土壁を壊す前に、味方と元奴隷部隊員の負傷者と死体、それにキメラの死体などをできる限り回収し、急いで撤退する。
本当なら優秀そうな敵兵の肉も持ち帰りたかったのだが、流石に時間が足りない。戦闘中に色々とつまみ食いしていたので、今回はそれで諦めるとしよう。戦利品も数多くあるのだ。
我慢だ、我慢。
人間軍の追撃は大量に生成したブラックスケルトン達を犠牲にする事で回避。拠点の洞窟まで撤退して急いで負傷者の治療を行う。
重傷者を重点的に治療していると、撤退中に要請したエルフ軍の医療部隊が到着し、治療速度が一気に上がったため手当てが遅れて死ぬ者は少なかった。
その後応援のエルフ軍は皆帰還し、一緒に連れ帰った百名ほどの元奴隷部隊員の面々のみがポツンと残された。
俺としてもわざわざ殺さないといけないような相手でもない。それぞれの意思を尊重するからどっかに行くならご自由に、とりあえず今夜だけなら泊まらせてやるから、ココのルールは誰かに聞いてくれ、とだけ言って、洞窟の外に出る。
今回の戦争で、俺達の中から初めて死者が出た。ホブゴブリンが六、ホブゴブリン・メイジが二、ゴブリンが八、コボルドが十、男エルフが四の計三十名である。
今までに無い程の乱戦で、敵兵も強かった。帝国の【英雄】の一人まで出張って来た戦場でこの程度の被害ですんだのだから、僥倖だったとも言えるだろう。
幸い全員の遺体は回収できている。これだけは何とか確保していた。
遺体の内臓を取り出して皆で喰い、その死体はいつか年上ゴブリン達に捕らえられていた女性達のように燃やしてやる。弔う数が数だけに使用する油草などの量も多くなる。轟々と上る火柱と飛び散る火花。一応拠点の場所を知られないように、黒煙は風を操って散らした。
周囲には皆の姿があった。祈りを捧げる者もいれば涙を流している者もおり、ただ無表情でジッと炎を見つめる者もいる。
俺は別に悲しいとは思わなかった。涙が出る事も無い。
ただ、喰ったアイツ等の分まで意地汚く生きよう、そう思っただけである。
遺体が燃え尽きるのを見届けた後、戦闘で摩耗した武具の点検をしつつ、回収したキメラの肉を喰った。
俺の【吸喰能力】を発揮できる制限時間内に喰わないと、勿体ないからな。
[能力名【合成】のラーニング完了]
[能力名【混沌の亡者】のラーニング完了]
キメラを喰うと、面白いアビリティを二つ獲得できた。
【合成】は、アイテムやアビリティ同士を掛け合わせ、新しいモノにする事ができるようだ。他にも色々使い道がありそうで、重宝しそうだ。
【混沌の亡者】はゴーストなどの非実体系モンスターを混ぜ合わせて強化するアビリティのようだ。
今日は疲れたので試すのは後にする。
元奴隷部隊組の寝所を適当に用意してから、ゆっくりと温泉に浸かって寝室の俺製ベッドに寝転ぶ。
今回の一戦で物事が上手く転がってくれれば、父親エルフとの契約は終わる事になる。
その時は色々と準備して、いよいよ森の外に行こう。そう心に決め、深い眠りに落ちるのだった。
次第に毒に侵された範囲が広がり、既に胴体の三分の一は紫色に変わっていた。
オーガの両腕の筋肉が隆起し、掴み潰さんが如く力を込めて顎肢に抗い、苦しみつつも引き抜こうとしている。
だが種族としての力の差か、逃げられない。溢れる血の量も時間が経つ事に増え、既にオーガの下半身は血に染まっていた。
噛まれてから一分程が経った頃。オーガの全身からようやく力が抜けて、ダラリと項垂れた。
「待て、アルティルム。あまり壊したら、後処理が面倒でしょ」
死んだ、あるいはもう動けるだけの力を失ったと判断したフィリポは、アルティルムにオーガを地面に下ろす様に短剣で指示する。
まるで主人に懐く子犬のように従順なアルティルムは、オーガを地面に横たえると深く刺さった顎肢を抜き、巨大な頭部をフィリポに近づける。
それに微笑みながら、フィリポはゴリゴリと短剣で頭部の甲殻を削ぐ。心地よさそうに身悶えするアルティルム。
「よしよし、よくやったよくやった。それじゃ、また任地に戻って頑張るんだぞ。ここはもう、終わりだろうし」
「キィィィィィ」
名残り惜しそうな奇声を上げつつ、アルティルムは一度上空に伸び、落下する勢いをつけて地面に頭から突っ込んだ。激しく土石の飛沫を上げながら、十数秒と経たずにぐねぐねと蠢くその巨躯は地下に消え、震動もやがて止んだ。
アルティルムが戦場から去ると、フィリポは笑みを浮かべ、オーガの死体がある筈の場所を見た。
「さてと、オーガさんの死体を持ち帰って……え?」
楽しげな声音が、一転、理解できない、とでもいうような困惑したモノに変わった。
「……え? え? 何これ?」
フィリポはまるで幻でも見ているかのように茫然とした表情を浮かべ、ある一点を凝視している。
アルティルムの猛毒を持つ顎肢に腹部を破られ、背骨を砕かれたオーガの体が転がっていた筈の場所。だがそこにあるのはただの赤黒い血溜りである。
血溜まりは周囲の赤く染まった土の中で尚も存在感を放っているが、決してオーガの死体ではない。
死体はどこに行ったのか、何が起きたのか、どういう事なのか。
フィリポの脳裏を過る疑問、理解不能の事態。
様々な事を考え始めた為に動きが止まり、棒立ちとなる。
あまりにも隙だらけな姿。フィリポの死角にいたそれがそんな好機を見逃す筈もなく接近、音もなくフィリポの背後をとる。しかし流石は【英雄】と言うべきか、フィリポの身体は自然と動いた。
フィリポが小柄な体を全力で低く屈ませた瞬間、まるで針のように鋭く細い銀色の何かが突き抜けていった。
「――ッチ」
小さな舌打ち。回避された事への僅かな苛立ちが籠ったそれをすぐ傍で聞いたフィリポは、地に着いた四肢を使い、獣のような動きで即座に横へ跳んだ。
反射的なその行動により、頭上から断頭台のように振り下ろされた刃の回避にも成功する。
もう少しで殺されていた、という事実に背中を冷や汗で滲ませつつ、怪訝そうな視線で襲いかかって来た敵を睨みつけるフィリポ。
「心底驚いたよ、オーガさん。あの状態で、どうやって助かったの?」
フィリポの視線の先には、オーガが居た。それも傷一つない姿で、落としたはずのハルバードを握っている。
投げかけられた問いに、オーガは呆れながら、
「教える訳ないだろ」
と答えた。それにフィリポは笑い、
「ですよねー」
と頷く。
「まあ、死んだのは偽物なんだろうけどさ、それにしても僕を騙すなんて凄いね。僕の複眼、結構色んな事を見られる筈なんだけど、すっかり騙されちゃった」
フィリポの糸目が全開で開かれた。
蟲そのままである複眼に、オーガの姿が無数に映る。
「アルティルムを帰したのは、ちょっと早かったかなぁ。もう遠くまで行っちゃってるだろうし、仕方ない」
苦笑しつつ、フィリポは再び懐からガラス管を取り出した。
今度のガラス管は一本。だが、その中には毒々しい色合いの大きな芋虫が一匹、黄色い液体の中で漂っていた。
「これ、僕の奥の手その一ね。オーガさんがオーガなのに強過ぎるからこれを使って遊ぼうと思うんだけど、その前に、改めてお互いの自己紹介でもどうかな? 殺すにしても相手の事をちゃんと知っていたいよね」
「それはそうかもしれないが、断る。今はあまり知られたくないからな」
「うわ、オーガさんてば冷たいよ。いいもんいいもん、僕だけでも名乗るから。僕の名はフィリポ・ベルド・ロッカータ。キーリカ帝国のとある貴族の次男坊で、ご存知の通り【八英傑騎甲団】に所属している【骸蟲英雄】さ。ちなみに僕の序列は第七位だから下から二番目。僕より強いのもいるんだから、僕と対等だからって――」
フィリポが語る中、数メートル離れた場所でオーガはハルバードで突きを繰り出した。穂先が届く距離ではないが、しかし三本の雷槍が迸り、フィリポの顔面に突き進んだ。
フィリポは【英雄】として備えた常人を超えた反応速度と身体能力を駆使して何とかギリギリの所で回避したものの、逃げ遅れた触覚のような髪の一部が燃え、身体を電流が駆け巡った。
「痛ッ! 酷いよオーガさ――」
不意打ちに抗議しようとしたフィリポを無視し、地を蹴り砕き一瞬で距離を詰めたオーガがハルバードを振り下ろす。刀身が霞むほど速く振られ、斧頭に水刃を纏わせる事で破壊力を増したはずの一撃は、しかし難なく止められた。
甲高い金属音の悲鳴が響き、生臭い異臭が漂う。
ハルバードを防いだのはフィリポの腹部から伸びる六本の触手だった。折り重なる小さな甲殻に全体を覆われた触手は、攻撃を防ぐと共に個別に動き始め、オーガを捕らえようとする。オーガは即座に後方に跳びそれをかわす。
「ちぇー。奥の手その一を使う前にその二を使っちゃったよ。本当はもっと後で出したかったんだけど、オーガさん速過ぎ。さっきまでより格段に速くなってない? ま、いいや」
オーガが答える気配がないのを退屈そうに確認し、フィリポは再び短剣で周囲の魔蟲を操作し始める。
アルティルムの邪魔にならぬよう停止したままだった魔蟲は、今度はオーガを無視してフィリポの周囲に集結し、フィリポの腹部から伸びる触手に突き刺され、その本体を吸収されていく。
魔蟲を一体吸収する毎に触手は太く、強靭なモノに成長し、フィリポ自身の肉体にも変化をもたらし始める。
背中の服が弾け飛んだと思えば、そこには蜻蛉と蝶の翅を混ぜ合わせたような新しい器官が形成されていた。両腕にはまるで手甲のような緑色の甲殻が現れ、頭は蟷螂のような形に変化した。他にも各部位が変化し、全体的に魔蟲の特徴が色濃く表れ、もはや人間には見えない姿になっていく。
どの魔蟲よりも凶悪な外見で、どの魔蟲よりも纏う空気が重く、どの魔蟲よりも生に満ち溢れていた。
その変貌にはオーガも眉間に皺を寄せつつ、獰猛な笑みを浮かべた。
それはまるで美味しそうな獲物を、食材を前にしたような表情だった。爛々と光るオーガの瞳は食欲に火がついた餓狼のようで、小さく開かれた口に並ぶ歯は唾液に濡れて輝いている。
「かなり美味そうな匂いじゃないか。喰い応えがありそうだ」
「アハハ、ようやくソノ気になってクレタんだ、オーガさん。でも、もう遅イ――ヨッ」
キリキリと魔蟲のような耳障りな高音で話すフィリポの姿が、霞んで消えた。
次の瞬間にはオーガの背後に回り込み、腹部の巨大化した六本の触手が襲いかかる。
しかしオーガはそれも察知していたようで、背後を振り返ったのと同時にハルバードで三本の触手を根元から切り落とす。
青い体液が、斬られた触手の断面から噴き出す。残る三本の触手もオーガに迫るが、突如発生した炎の刃に二本が斬られ、最後の一本を銀色の左腕が掴んで握り潰した。
オーガは反撃を許さずそのまま追撃。フィリポの胴体を拳がめり込むほどの強さで殴打し、その身体を後方に吹き飛ばすと、高速で編まれた魔術の黒槍を投擲した。
フィリポを殺すのに十分な破壊を宿した黒槍は、フィリポの翅が急制動、急加速した事で回避されたが、蟷螂のような口からは大量の青い血液が吐き出されている。
その様が触手を全て斬り落とされ、腹部を殴打されたフィリポのダメージの深さを物語っていた。
「ガフッ、がふ……まさか、コレを避けラレてこんな手酷い反撃ヲされるなんて、予想外だよ、オーガさん。本当に、何でオーガさんみたいなノガ《詩篇覚醒者/主要人物》じゃないのか、不思議だヨ」
仕留めようと駆け出す寸前だったオーガは、聞き慣れない単語に動きを止めた。
「なんだ、その《詩篇覚醒者/主要人物》というのは」
「フフフ、教えなーイヨーだ。一杯無視されたモンね、コレくらい自分で調べなヨ」
「そうか、分かった。なら、無理やり聞きだすさ」
オーガが駆ける。
一歩踏み出す事に地は砕け、ハルバードが霞む程速く振るわれる。
それを迎え撃つフィリポの両腕と、新しく生えた蟲の脚。触手もしばらくすると再生し、常人なら数秒と耐えられぬであろう攻防が繰り広げられる。
両者の戦いは広範囲に影響を及ぼし、余波だけで死ぬ者も多数いた。
鬼と蟲の化物同士が戦う様子は、戦場の中でも一際目立ち、両者の血肉を削りながら更に激しいものとなっていった。
◆◆◆
「いやー、楽しカった。うん、ここラで一旦休戦にシヨっか」
頸部を狙ったハルバードの斬線を紙一重で回避した直後。触手を使って足下の血土や死体を巻き上げ、一瞬だけオーガの視界から身を隠したフィリポは、大きく距離をとって唐突にそんな事を言った。
その声からは、この戦いは十分堪能した、という感情がありありと伝わってくる。
「……逃がすと思っているのか?」
眉間に皺を寄せ、淡々とオーガが訊く。戦い始めた時と違い、蟲の外骨格を彷彿させる赤黒い全身鎧を装備していた。
【英雄】が繰り出す強烈な攻撃を幾度も受けたようで、腕や腹部などには小さいながらも幾つか孔が開いていた。鎧の至る所にも大小無数の傷が見られ、酸化したオーガの血がこびり付いている。
そんなオーガと対峙しているフィリポの姿は、輪をかけて痛々しい。右腕の肘から先がねじ切られ、背中の翅の左半分は根元から引き抜かれている。複眼も一つ潰されており、溢れ出した青い血が体の半分を濡らしていた。
だがそんな大怪我を負いつつも、両者の動きにぎこちなさはない。この程度では致命傷にはならない程、どちらも生命力が強いからだ。
「思ってなイケど、全力で逃げさせテもらうヨ」
不敵な笑み――蟲のような頭部故、常人にはそうと見分けがつかない――を浮かべながらゆっくりと後ずさるフィリポに対し、オーガは音も無く接近する。
この戦いは、終始オーガが有利に進めていた。
【加護】持ちの中でも選ばれし存在である【英雄】フィリポを、同じく【加護】持ちとはいえオーガ如きが追い詰めるという信じられない状況。
オーガの行動に迷いはない。どんな反撃をされても、全てを叩き潰して迫らんという戦意が漲っている。
「くひヒ、怖いなァ、本当に怖いヨ、オーガさん。でもね、逃げ足に関しテは、ちょっト自信がアルんだヨ」
オーガの鋭い眼光に射抜かれながら、フィリポは躊躇いなく行動を起こす。オーガはそれを止めるべく動こうとしたが、目の前の奇妙な光景に踏み止まった。
まず、フィリポの背中の中心が縦に割れた。そしてその中から、ネットリとした半透明の液体に濡れた全裸のフィリポが現れる。複眼以外は蟲のような特徴を持たない、最初に出会った時の姿だ。ねじ切られていた右腕なども元に戻り、傷一つ無い。
それはまるで蟲が羽化するような光景。脱ぎ捨てられた外皮が音を立てて地面に転がった。
「じゃね、オーガさん。今度ヤル時は、お互いに本気の本気で楽しもうよ」
そして全裸のまま、フィリポは背中を見せて走り始めた。後方を一切気にしない全速力で、地面に転がる鎧などを踏み潰し、あるいは飛び越えながら逃げていく。
「――ッチ」
呆気にとられ、数瞬遅れてオーガが駆け出す。その速度は人間の姿に戻ったフィリポよりも断然速く、すぐ追いつくかに思えた。
だが、その前に何者かが立ちはだかった。
「邪魔だ!」
それは、脱ぎ捨てられた外皮だった。
構造的に不安定なのか不規則に左右に揺れ、全身ボロボロなその様子は、まるでゾンビのようである。複眼は青白く染まり、無数の小さな牙が覗く蟲の口からはダラダラと半透明の体液を溢れさせ、腹部から伸びる触手は獲物を求めて蠢いている。
奇声を上げつつ進路を妨げる外皮に向けて、オーガは躊躇いなくハルバードを振り下ろした。
頭上から迫るハルバードに対して外皮は腕を交差させ、更に触手を重ね合わせて防ごうとする。
だがオーガはそれら諸共、地面までをも大きく斬り裂いた。
その勢いのままに、二つに両断された外皮の間を走り抜け、フィリポを探すオーガ。だが既に戦場の中に紛れ、見つけることは出来ない。
「まだ追いつけるが……潮時か」
完全に死んでいなかったのか、足下から触手を伸ばして悪足掻きを見せる外皮を踏み砕きつつ、オーガは忌々しそうにフィリポが居る方向を見据える。トドメを刺された外皮は、やがてグズグズに溶けてその形を失った。
数秒だけ睨んで背を翻し、オーガは戦場から立ち去った。
此度の戦いはこうして終わりを迎えたが、両者が再会するのは、そう遠くはない。
==================
一方その頃、俺の分体の一つは単身敵本陣近くに潜っていた。
【職業・妖術師】の得意な状態異常攻撃で周囲の敵の認識力を低下させ、【職業・暗殺者】や【認識阻害】、【隠れ身】などの隠密系アビリティを発動して気配を消し、さらに【隠者の衣】と呼ばれるマジックアイテムの黒い外套を装備しているからこそできる荒業である。
危険を冒してまでこのような事をしているのは、敵の総大将である次期皇帝に接近する為だ。
しかし殺すつもりは無い。殺せば、帝国も威信をかけてエルフを根絶やしにするだろう。被害がどれ程出ようとも、殺し尽くすまで諦めないはずだ。
それは絶対に避けなければならない。帝国に本気でこられたら、数の差で容易く押し潰される。いくらなんでも、厳し過ぎる。
父親エルフとはこれからも良き仲でありたいのだ。殺させる訳にはいかん。この森だけで採れる素材もあるし、拠点を失うのも嫌だ。
などと考えている間に、一際立派な鎧を着た次期皇帝の背後をとる事に成功。
周囲には護衛も居るが、こっそり話しかけた次期皇帝を除いて誰も俺には気付いていない。
その耳元で撤退するよう告げ、姫の病に効く俺の血から造った紅い薬入りの小瓶を胸ポケットに滑り込ませつつ、その使用方法を教える。
他にも色々ごにょごにょと囁き――
分かったかと訊くと静かに頷いたので、速やかにその場から離れた。
これで用は済んだので、通信機を通してアス江ちゃんにお願いし、両軍を遮る長大な土壁を出現させてもらう。敵も半分近く削ったのだ、これで十分だろう。
アチラが土壁を壊す前に、味方と元奴隷部隊員の負傷者と死体、それにキメラの死体などをできる限り回収し、急いで撤退する。
本当なら優秀そうな敵兵の肉も持ち帰りたかったのだが、流石に時間が足りない。戦闘中に色々とつまみ食いしていたので、今回はそれで諦めるとしよう。戦利品も数多くあるのだ。
我慢だ、我慢。
人間軍の追撃は大量に生成したブラックスケルトン達を犠牲にする事で回避。拠点の洞窟まで撤退して急いで負傷者の治療を行う。
重傷者を重点的に治療していると、撤退中に要請したエルフ軍の医療部隊が到着し、治療速度が一気に上がったため手当てが遅れて死ぬ者は少なかった。
その後応援のエルフ軍は皆帰還し、一緒に連れ帰った百名ほどの元奴隷部隊員の面々のみがポツンと残された。
俺としてもわざわざ殺さないといけないような相手でもない。それぞれの意思を尊重するからどっかに行くならご自由に、とりあえず今夜だけなら泊まらせてやるから、ココのルールは誰かに聞いてくれ、とだけ言って、洞窟の外に出る。
今回の戦争で、俺達の中から初めて死者が出た。ホブゴブリンが六、ホブゴブリン・メイジが二、ゴブリンが八、コボルドが十、男エルフが四の計三十名である。
今までに無い程の乱戦で、敵兵も強かった。帝国の【英雄】の一人まで出張って来た戦場でこの程度の被害ですんだのだから、僥倖だったとも言えるだろう。
幸い全員の遺体は回収できている。これだけは何とか確保していた。
遺体の内臓を取り出して皆で喰い、その死体はいつか年上ゴブリン達に捕らえられていた女性達のように燃やしてやる。弔う数が数だけに使用する油草などの量も多くなる。轟々と上る火柱と飛び散る火花。一応拠点の場所を知られないように、黒煙は風を操って散らした。
周囲には皆の姿があった。祈りを捧げる者もいれば涙を流している者もおり、ただ無表情でジッと炎を見つめる者もいる。
俺は別に悲しいとは思わなかった。涙が出る事も無い。
ただ、喰ったアイツ等の分まで意地汚く生きよう、そう思っただけである。
遺体が燃え尽きるのを見届けた後、戦闘で摩耗した武具の点検をしつつ、回収したキメラの肉を喰った。
俺の【吸喰能力】を発揮できる制限時間内に喰わないと、勿体ないからな。
[能力名【合成】のラーニング完了]
[能力名【混沌の亡者】のラーニング完了]
キメラを喰うと、面白いアビリティを二つ獲得できた。
【合成】は、アイテムやアビリティ同士を掛け合わせ、新しいモノにする事ができるようだ。他にも色々使い道がありそうで、重宝しそうだ。
【混沌の亡者】はゴーストなどの非実体系モンスターを混ぜ合わせて強化するアビリティのようだ。
今日は疲れたので試すのは後にする。
元奴隷部隊組の寝所を適当に用意してから、ゆっくりと温泉に浸かって寝室の俺製ベッドに寝転ぶ。
今回の一戦で物事が上手く転がってくれれば、父親エルフとの契約は終わる事になる。
その時は色々と準備して、いよいよ森の外に行こう。そう心に決め、深い眠りに落ちるのだった。
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