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3巻
3-10
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ちなみに、復讐者を倒すと同時に空から降ってきた【陽光之魂剣】の情報を読みとったらこうなった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名称:【陽光之魂剣】
分類:【■■/刀剣】
等級:【■■■■】級
能力:【陽光之魂剣】【異教天罰】陽光収束】【太陽の卵】【勇者の卵】【能力増設】【未解放】【未解放】【未解放】【未解放】
備考:夜天童子が《異教徒/詩篇覚醒者/主要人物》との【終末論・征服戦争】に勝利して得た■■■■級の■剣。世界に存在する神々がとる三形態《■■/■■/■■》の一つである■■であり、その刃は陽光をそのまま鍛えたような輝きを宿している。これに触れる事ができるのは夜天童子本人か夜天童子の許しを得た者のみであり、許しなく触れた者には想像を絶する災いが降りかかる事だろう。■■である為、破壊は例外を除き、絶対に不可能。
さらに情報を閲覧しますか?
《YES》《NO》
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
何これ凄い、としか言えなかった。
この世界の謎の正体に、一気に近づけた気がする。
不満があるとすれば、現在の俺ではコレを喰えなかった、という事くらいか。
まさか何度噛みついても欠片も割れないとは……少々、プライドが傷ついた。情報も幾つか伏字状態なので、いつか読みとれるようになった暁には、コレを喰う事もできるのだろうか。
取りあえず、【異空間収納能力】に入れておく。
あと、少し気がかりなのは国家詩篇〔シュテルンベルト〕うんぬんかんぬんについてだ。
英勇詩篇〔輝き導く戦勇の背〕は国家詩篇〔シュテルンベルト〕から永久に削除されてしまったそうだし、そうなると詩篇として成立するのだろうか? 成立するにしても、何かしら不具合が発生するんじゃないか?
もしかして、俺はちょっとヤバい事をしたのかもしれない。
……まあ、よく分からない事を深く考えるのは時間の無駄だ。もし何かあったらお転婆姫と少年騎士とかは助けられれば助ける、くらいに思っておけば別にいいか。
うん、それで行こう。正直、王国に災厄が降りかかっても、個人的にはどうでもいいし。
その後、復讐者が村中に油を撒いて火をつけた。村人達に贈る盛大な送り火、といったところだろうか。祈りを捧げる復讐者に倣い、再度俺とダム美ちゃんも祈りを捧げた。
南無。
骸骨馬車に戻ると、村が燃え出したのに驚いていた赤髪ショート達に復讐者を紹介し、用意しておいてもらった昼食を喰い、拠点に向けて再度出発した。
復讐者は精悍な見た目通り真面目な性格らしく、それでいて元々は庶民だからか気取ったところが無い。話し易いので皆の受けは良かった。
オーロとアルジェントの教育役に丁度いいかもしれないな。それは今後見極めようと思う。
今日は山頂で野営する事になった。夜はかなり寒く、本来野宿するのには適さないのだが、俺達にとっては大した問題ではない。
骸骨百足の形を組み変えれば全員がゆったりと寝られるスペースを確保できるし、全体をコーティングしている分体が風を防いでくれる。
それに加えて温かい毛布があり、毛皮の塊であるクマ次郎とクロ三郎がいるのだから寒いはずが無かった。
寝床に着いた途端、俺の意識はさっさと眠りに落ちていき――
[世界詩篇〔黒蝕鬼物語〕第四章【王国革命のススメ】の開始条件の三分の一以上が満たされました。
解放条件クリアにより第一節【雌伏の時】第二節【予兆の陽】第三節【狼煙の唄】第四節【破喰の牙】まで進む事が可能です。
現時点から世界詩篇〔黒蝕鬼物語〕第四章【王国革命のススメ】を開始する事が可能ですが、開始しますか?
《YES》《NO》]
……え?
と、取りあえず《NO》で。
[《NO》が選択されました。
以後は自動的に発動するか、あるいは夜天童子の意思で発動可能となりますが、残りの条件をクリアするごとに【王国革命のススメ】の成功確率は上昇します。
現在の成功確率は《38%》です]
あぁ~……うん、取りあえず今は寝よう。
《百二十二日目》
昨日寝る前に見たモノは、なにやら厄介事の臭いしかない。しばらく無視する事にしよう。面倒だし、情報が少な過ぎて判断できないからな。
うん、この選択でいいような気がしてきた。
今日は山を下り、広大な草原を進んでいる。
脳内地図と王都などで買った地図を照らし合わせてみると、拠点がある《クーデルン大森林》に最短距離で進むには、現在地である《カスダッダ大草原》から《シーリスカ森林》を抜け、防衛都市《トリエント》を過ぎ、〝四翼大鷲〟が住んでいる山道、丘陵地や《クルート》村を通るルートがいいようだ。
骸骨百足を本気の速度で進ませれば、往きにかかった日数ほどは必要ないだろう。
さて、朝の訓練時に復讐者と手合わせしてみると、基本的に戦闘能力はかなり高かった。しかしやや戦技やレベル、それに【職業】による補正に頼り過ぎているようだ。
これからの戦闘訓練でそれを矯正していけば、以前フォモール族がいる山で出会ったあの不可思議な雰囲気の青年に匹敵する存在になるかもしれない。今だからこそ分かるが、多分アイツも《詩篇覚醒者/主要人物》ってやつの一人だったんだろうなぁ。で、他のメンバーが《副要人物》とかなんだろう。うん、今度出逢ったら挑発して敵対してみようか。今ならヤれる。
手合わせした感触から、俺の中で復讐者は鈍鉄騎士以上ダム美ちゃん未満、といった感じの序列に収まった。《主要人物》としての能力を解放したらどれくらい強くなるのかは今のところ不明だが、素の状態ではこんなモノだった。
うん、かなり使えると思ったのは間違いではないらしい。
今日は《カスダッダ大草原》を越え、《シーリスカ森林》に入る手前で野宿した。
《百二十三日目》
《シーリスカ森林》の中を進んでいると、父親エルフから連絡が入った。
どうやらエルフの里に居た裏切り者達の粛清が完了したらしい。間違いの無いよう念入りに調査し、俺が提供した情報とも照らし合わせて断定したそうだ。
俺としてはそこまで興味のある要件ではなかったのでぼんやり聞き流し、それを聞き終わってから俺達が運営する温泉などについての感想を聞いてみた。
拠点に残った者達からイヤーカフスを通して温泉はかなり好評だ、という情報は入ってきているが、やはりお客から直接感想を聞いてみたくなったのだ。
父親エルフの感想は、『まるで天国に居るようだった』との事。
温泉の話をしていると、無性に自分も入りたくなってきた。湯船でエルフ酒をグイッと飲みたい。露天風呂で飲むエルフ酒、さぞ美味い事だろう。
父親エルフと、戻ったら一緒に飲もうと約束して、通信を終えた。
うん、早く帰りたくなってきたぞ。
って事で、骸骨百足の速度を上げる。木々が生い茂る森の中だろうとも、地形を操作して一本の道を造る。俺達を阻めるモノなどいなかった。
待っていろ、温泉とエルフ酒よ。
《百二十四日目》
防衛都市《トリエント》には入らずにその横を通過。空からの諜報やゴブリン達を乗せた空戦部隊を作る為に二十体ほど〝四翼大鷲〟を捕獲し、《使い魔》にしていたところで再び謎の声が脳裏に響いた。
[世界詩篇〔黒蝕鬼物語〕《副要人物》であるアス江が存在進化しました]
[条件〝1〟【存在進化】クリアに伴い、称号【地殻雷鎚】が贈られます]
向こうの様子を確認すると、アス江ちゃんは眠っていた。どうも徹夜でボス狩りを行っていたらしい。仕方ないので一時間ほど時間を空けて起きるのを待ち、再度連絡を取って詳しい話を聞いてみる。
どうやら迷宮最下層に籠ってボス狩りをしていたアス江ちゃんはランクアップして、【地雷鬼・亜種】になったそうだ。亜種になるには【加護】が必要なのでどの神から貰ったのかと聞いてみれば、【地震の神】から貰ったらしい。
見た目は【半地雷鬼】の時と大きく変わっていないが、以前とは比べ物にならないほど肉体が強化された上に新しい能力にも目覚め、身長は四メートルほどになったそうだ。
【半地雷鬼】だった頃と比べてサイズ的に何とかつり合いがとれるようになったので、夜の営みも再開できそうだと、ミノ吉くんが嬉しそうに言っていた。全く、元気なモノだ。
俺も他鬼の事は言えないけどな。
ちなみにアス江ちゃんの真名は【大地母鬼】と言うそうだ。
更にミノ吉くんの【斧滅大帝】と同じような系統で、【地殻雷鎚】なる称号を得たらしい。
……俺って、称号持っていたっけ? 持っていないような気がする。スキルやアビリティは沢山あるんだが。二人がちょっと羨ましくなった。
まぁいい。
また、同じグループに居たホブ水さんはセイ治くんと同じ【半聖光鬼】にランクアップし、【足軽コボルド】だった柴犬は【武士コボルド】になったそうだ。
柴犬も真名を得たそうで、【紫煙之介】と言うようだがそれはぶっちゃけどうでもいい。
とにかく、その事を赤髪ショート達にも伝えてみる。
するとダム美ちゃんを除いた全員――アス江ちゃんを知らない復讐者は除く――はそれぞれイヤーカフスを介してアス江ちゃんに祝いの言葉を贈っていた。
いや、ダム美ちゃんだって喜んでない訳ではない。
ただ、最初期から一緒に居た四鬼の中で、自分だけが三回目の存在進化を果たしていない事が悔しいのだろう。その美貌に若干の陰りがある。
ダム美ちゃんの気持ちは分からなくもないし、できるだけ力になりたい。現在のレベルは幾つなのか聞いてみると、〝89〟だそうなので、ランクアップできる〝100〟までもうすぐだった。
どうせなら拠点に帰る前にランクアップさせたいと思い、〝四翼大鷲〟を更に十体ほど《使い魔》にした後、山道を抜けた先にある丘陵地に赴いた。ブラックオーガやブラックトロル、そしてブラックフォモール達を使って経験値稼ぎをさせるのだ。ここなら暴れても誰にも被害は発生しない。
ついでに、赤髪ショートや復讐者、風鬼さん達も参加させた。
人間と大鬼のハーフである【半人大鬼】のオーロとアルジェントも、既に鍛え始めても良いくらいに育っている。成長を阻害してしまうほどには激しくならないよう、それでいて強くなれるように鍛え上げる事にした。
苦手意識を持たれては困るので、あくまで二人が楽しく、それでいて自主的に続けられるように気を使う。楽しめて、かつ強くなれるような訓練を考えるのは案外疲れたが、親なのだからこのぐらいはどうという事は無い。
二人より後に生まれた鬼若も、大鬼よりも上位の存在である【上級大鬼】のためか、もう訓練を始められるくらいに成長していたので、同じく参加させる。
ニコラが訓練できるようになるには、まだあと数年は必要だ。俺の血を引く為か普通よりも成長が早いとは言え、この子は一応人間なのである。
まぁコレは仕方ない。そもそも他の三人が早すぎるだけなのだから。これくらいは個性の範疇と言えよう。
どの子も可愛いのには違いないし。
今日は昼から夜までぶっ通しで戦闘訓練に費やした。皆確実に昨日よりも強くなっている。
尊い犠牲となった巨人達の死体は、勿体ないのでできる限り喰ってみた。
生成したのは合計百体ほどだが、一体の大きさが大きさだけに、俺でも四十体程度を平らげるのが限界だった。
それでも我ながらよく喰ったもんだと思うが、あの量が俺の身体のどこに消えたのか、自分でも不思議ではある。
[能力名【体力値上昇】のラーニング完了]
[能力名【超回復】のラーニング完了]
[能力名【鬼殺し】のラーニング完了]
[能力名【物理攻撃強化】のラーニング完了]
[能力名【強打乱舞】のラーニング完了]
[能力名【大物殺し】のラーニング完了]
[能力名【装甲圧殺】のラーニング完了]
[能力名【幸運値低下】のラーニング完了]
四十体喰ってもたった八つしかアビリティを得られなかった。
【使徒鬼・絶滅種】になってからはアビリティを得難いのがちょっと歯痒いな。
夜になると、皆足腰が立たなくなるくらいに疲労困憊となった。
全身汗だくの泥だらけ。訓練中に大怪我を負う事もあったが、それは俺が治したので残っているのは掠り傷程度だ。ただ疲労まで完全に回復できないので、身体が重だるいようだ。
そして皆と同じように、俺も疲れていた。
オーロとアルジェント、鬼若の訓練相手を四時間ほどで切り上げて以降は鍛冶師さん達と喋ったりしていただけなので怪我など一つもないし、肉体的な疲れは無い。
しかしどうも調子に乗って魔力を使い過ぎたらしい。転生してからこれまで、常に身体の奥底に満ちていた魔力が、初めて枯渇寸前にまで陥った。
どうもこの世界特有の症状――〝魔力欠乏症〟を発症しかけたらしい。
〝魔力欠乏症〟を完全に発症すると絶対に失神するらしいので、その一歩手前といったところだったが、身体が重だるく、異様な眠気に襲われた。
それを回復させるには、以前フォモールが住む山で出会ったあの魔術師の女性にそうしたように、【魔力回復薬】で魔力を補充するのが一番手っ取り早い。
だからグイッと一本嚥下する。
実は今回初めて飲んだのだが、その感想を一言で纏めると、苦い、となる。あまり進んで飲みたいとは思えない味だった。
まぁ、今の自分の限界を知れたので良かったとしておこう。
巨人のどれを生成しても、一体につきスケルトン約五十体分の魔力を消費する。であるならば、自前の魔力のみで生成できるスケルトンは、百×五十で約五千体が最大か。
……正直自分でも驚きの数になった。
太陽がある時は分体で加工しなければならないとは言え、その気になれば普通に国が落とせる戦力を確保できるという事になる。
闇から魔力を回復できる夜の間ならば、言わずもがな……うむ、有意義な一日だった。
今日はこうした疲れもあって、毛布に包まれると即座に意識が無くなった。
[世界詩篇〔黒蝕鬼物語〕《副要人物》であるダム美が存在進化しました]
[条件〝1〟【存在進化】クリアに伴い、称号【氷界女帝】が贈られます]
[条件〝1〟【存在進化】クリアに伴い、【■■の正妻】が正式に発動しました]
[夜天童子が解放条件〝1〟【鬼人化】をクリアしている為、【■■の正妻】の封印が限定解除されました]
[称号【■■の正妻】は称号【鬼■の正妻】に変化しました]
[ダム美に称号【鬼■の正妻】が贈られます]
[称号【鬼■の正妻】の正式発動に伴い、新しく称号【鬼■の権妻】が解放されました]
[条件適合者の選抜を開始]
[……選抜が完了しました。条件適合者に称号が贈られます]
[赤髪ショート(ルベリア・ウォールライン)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[鍛冶師さん(エメリー・フルラット)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[姉さん(フェリシア・ティミアノ)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[妹さん(アルマ・ティミアノ)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[錬金術師さん(スピネル・フェアン)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[女騎士(テレーゼ・イースト・エッケルマン)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[ドライアドさん(ドリアーヌ・デュブエ)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[以後、新たな条件適合者が発生すると自動的に【鬼■の権妻】が付与されるようになりました]
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名称:【陽光之魂剣】
分類:【■■/刀剣】
等級:【■■■■】級
能力:【陽光之魂剣】【異教天罰】陽光収束】【太陽の卵】【勇者の卵】【能力増設】【未解放】【未解放】【未解放】【未解放】
備考:夜天童子が《異教徒/詩篇覚醒者/主要人物》との【終末論・征服戦争】に勝利して得た■■■■級の■剣。世界に存在する神々がとる三形態《■■/■■/■■》の一つである■■であり、その刃は陽光をそのまま鍛えたような輝きを宿している。これに触れる事ができるのは夜天童子本人か夜天童子の許しを得た者のみであり、許しなく触れた者には想像を絶する災いが降りかかる事だろう。■■である為、破壊は例外を除き、絶対に不可能。
さらに情報を閲覧しますか?
《YES》《NO》
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何これ凄い、としか言えなかった。
この世界の謎の正体に、一気に近づけた気がする。
不満があるとすれば、現在の俺ではコレを喰えなかった、という事くらいか。
まさか何度噛みついても欠片も割れないとは……少々、プライドが傷ついた。情報も幾つか伏字状態なので、いつか読みとれるようになった暁には、コレを喰う事もできるのだろうか。
取りあえず、【異空間収納能力】に入れておく。
あと、少し気がかりなのは国家詩篇〔シュテルンベルト〕うんぬんかんぬんについてだ。
英勇詩篇〔輝き導く戦勇の背〕は国家詩篇〔シュテルンベルト〕から永久に削除されてしまったそうだし、そうなると詩篇として成立するのだろうか? 成立するにしても、何かしら不具合が発生するんじゃないか?
もしかして、俺はちょっとヤバい事をしたのかもしれない。
……まあ、よく分からない事を深く考えるのは時間の無駄だ。もし何かあったらお転婆姫と少年騎士とかは助けられれば助ける、くらいに思っておけば別にいいか。
うん、それで行こう。正直、王国に災厄が降りかかっても、個人的にはどうでもいいし。
その後、復讐者が村中に油を撒いて火をつけた。村人達に贈る盛大な送り火、といったところだろうか。祈りを捧げる復讐者に倣い、再度俺とダム美ちゃんも祈りを捧げた。
南無。
骸骨馬車に戻ると、村が燃え出したのに驚いていた赤髪ショート達に復讐者を紹介し、用意しておいてもらった昼食を喰い、拠点に向けて再度出発した。
復讐者は精悍な見た目通り真面目な性格らしく、それでいて元々は庶民だからか気取ったところが無い。話し易いので皆の受けは良かった。
オーロとアルジェントの教育役に丁度いいかもしれないな。それは今後見極めようと思う。
今日は山頂で野営する事になった。夜はかなり寒く、本来野宿するのには適さないのだが、俺達にとっては大した問題ではない。
骸骨百足の形を組み変えれば全員がゆったりと寝られるスペースを確保できるし、全体をコーティングしている分体が風を防いでくれる。
それに加えて温かい毛布があり、毛皮の塊であるクマ次郎とクロ三郎がいるのだから寒いはずが無かった。
寝床に着いた途端、俺の意識はさっさと眠りに落ちていき――
[世界詩篇〔黒蝕鬼物語〕第四章【王国革命のススメ】の開始条件の三分の一以上が満たされました。
解放条件クリアにより第一節【雌伏の時】第二節【予兆の陽】第三節【狼煙の唄】第四節【破喰の牙】まで進む事が可能です。
現時点から世界詩篇〔黒蝕鬼物語〕第四章【王国革命のススメ】を開始する事が可能ですが、開始しますか?
《YES》《NO》]
……え?
と、取りあえず《NO》で。
[《NO》が選択されました。
以後は自動的に発動するか、あるいは夜天童子の意思で発動可能となりますが、残りの条件をクリアするごとに【王国革命のススメ】の成功確率は上昇します。
現在の成功確率は《38%》です]
あぁ~……うん、取りあえず今は寝よう。
《百二十二日目》
昨日寝る前に見たモノは、なにやら厄介事の臭いしかない。しばらく無視する事にしよう。面倒だし、情報が少な過ぎて判断できないからな。
うん、この選択でいいような気がしてきた。
今日は山を下り、広大な草原を進んでいる。
脳内地図と王都などで買った地図を照らし合わせてみると、拠点がある《クーデルン大森林》に最短距離で進むには、現在地である《カスダッダ大草原》から《シーリスカ森林》を抜け、防衛都市《トリエント》を過ぎ、〝四翼大鷲〟が住んでいる山道、丘陵地や《クルート》村を通るルートがいいようだ。
骸骨百足を本気の速度で進ませれば、往きにかかった日数ほどは必要ないだろう。
さて、朝の訓練時に復讐者と手合わせしてみると、基本的に戦闘能力はかなり高かった。しかしやや戦技やレベル、それに【職業】による補正に頼り過ぎているようだ。
これからの戦闘訓練でそれを矯正していけば、以前フォモール族がいる山で出会ったあの不可思議な雰囲気の青年に匹敵する存在になるかもしれない。今だからこそ分かるが、多分アイツも《詩篇覚醒者/主要人物》ってやつの一人だったんだろうなぁ。で、他のメンバーが《副要人物》とかなんだろう。うん、今度出逢ったら挑発して敵対してみようか。今ならヤれる。
手合わせした感触から、俺の中で復讐者は鈍鉄騎士以上ダム美ちゃん未満、といった感じの序列に収まった。《主要人物》としての能力を解放したらどれくらい強くなるのかは今のところ不明だが、素の状態ではこんなモノだった。
うん、かなり使えると思ったのは間違いではないらしい。
今日は《カスダッダ大草原》を越え、《シーリスカ森林》に入る手前で野宿した。
《百二十三日目》
《シーリスカ森林》の中を進んでいると、父親エルフから連絡が入った。
どうやらエルフの里に居た裏切り者達の粛清が完了したらしい。間違いの無いよう念入りに調査し、俺が提供した情報とも照らし合わせて断定したそうだ。
俺としてはそこまで興味のある要件ではなかったのでぼんやり聞き流し、それを聞き終わってから俺達が運営する温泉などについての感想を聞いてみた。
拠点に残った者達からイヤーカフスを通して温泉はかなり好評だ、という情報は入ってきているが、やはりお客から直接感想を聞いてみたくなったのだ。
父親エルフの感想は、『まるで天国に居るようだった』との事。
温泉の話をしていると、無性に自分も入りたくなってきた。湯船でエルフ酒をグイッと飲みたい。露天風呂で飲むエルフ酒、さぞ美味い事だろう。
父親エルフと、戻ったら一緒に飲もうと約束して、通信を終えた。
うん、早く帰りたくなってきたぞ。
って事で、骸骨百足の速度を上げる。木々が生い茂る森の中だろうとも、地形を操作して一本の道を造る。俺達を阻めるモノなどいなかった。
待っていろ、温泉とエルフ酒よ。
《百二十四日目》
防衛都市《トリエント》には入らずにその横を通過。空からの諜報やゴブリン達を乗せた空戦部隊を作る為に二十体ほど〝四翼大鷲〟を捕獲し、《使い魔》にしていたところで再び謎の声が脳裏に響いた。
[世界詩篇〔黒蝕鬼物語〕《副要人物》であるアス江が存在進化しました]
[条件〝1〟【存在進化】クリアに伴い、称号【地殻雷鎚】が贈られます]
向こうの様子を確認すると、アス江ちゃんは眠っていた。どうも徹夜でボス狩りを行っていたらしい。仕方ないので一時間ほど時間を空けて起きるのを待ち、再度連絡を取って詳しい話を聞いてみる。
どうやら迷宮最下層に籠ってボス狩りをしていたアス江ちゃんはランクアップして、【地雷鬼・亜種】になったそうだ。亜種になるには【加護】が必要なのでどの神から貰ったのかと聞いてみれば、【地震の神】から貰ったらしい。
見た目は【半地雷鬼】の時と大きく変わっていないが、以前とは比べ物にならないほど肉体が強化された上に新しい能力にも目覚め、身長は四メートルほどになったそうだ。
【半地雷鬼】だった頃と比べてサイズ的に何とかつり合いがとれるようになったので、夜の営みも再開できそうだと、ミノ吉くんが嬉しそうに言っていた。全く、元気なモノだ。
俺も他鬼の事は言えないけどな。
ちなみにアス江ちゃんの真名は【大地母鬼】と言うそうだ。
更にミノ吉くんの【斧滅大帝】と同じような系統で、【地殻雷鎚】なる称号を得たらしい。
……俺って、称号持っていたっけ? 持っていないような気がする。スキルやアビリティは沢山あるんだが。二人がちょっと羨ましくなった。
まぁいい。
また、同じグループに居たホブ水さんはセイ治くんと同じ【半聖光鬼】にランクアップし、【足軽コボルド】だった柴犬は【武士コボルド】になったそうだ。
柴犬も真名を得たそうで、【紫煙之介】と言うようだがそれはぶっちゃけどうでもいい。
とにかく、その事を赤髪ショート達にも伝えてみる。
するとダム美ちゃんを除いた全員――アス江ちゃんを知らない復讐者は除く――はそれぞれイヤーカフスを介してアス江ちゃんに祝いの言葉を贈っていた。
いや、ダム美ちゃんだって喜んでない訳ではない。
ただ、最初期から一緒に居た四鬼の中で、自分だけが三回目の存在進化を果たしていない事が悔しいのだろう。その美貌に若干の陰りがある。
ダム美ちゃんの気持ちは分からなくもないし、できるだけ力になりたい。現在のレベルは幾つなのか聞いてみると、〝89〟だそうなので、ランクアップできる〝100〟までもうすぐだった。
どうせなら拠点に帰る前にランクアップさせたいと思い、〝四翼大鷲〟を更に十体ほど《使い魔》にした後、山道を抜けた先にある丘陵地に赴いた。ブラックオーガやブラックトロル、そしてブラックフォモール達を使って経験値稼ぎをさせるのだ。ここなら暴れても誰にも被害は発生しない。
ついでに、赤髪ショートや復讐者、風鬼さん達も参加させた。
人間と大鬼のハーフである【半人大鬼】のオーロとアルジェントも、既に鍛え始めても良いくらいに育っている。成長を阻害してしまうほどには激しくならないよう、それでいて強くなれるように鍛え上げる事にした。
苦手意識を持たれては困るので、あくまで二人が楽しく、それでいて自主的に続けられるように気を使う。楽しめて、かつ強くなれるような訓練を考えるのは案外疲れたが、親なのだからこのぐらいはどうという事は無い。
二人より後に生まれた鬼若も、大鬼よりも上位の存在である【上級大鬼】のためか、もう訓練を始められるくらいに成長していたので、同じく参加させる。
ニコラが訓練できるようになるには、まだあと数年は必要だ。俺の血を引く為か普通よりも成長が早いとは言え、この子は一応人間なのである。
まぁコレは仕方ない。そもそも他の三人が早すぎるだけなのだから。これくらいは個性の範疇と言えよう。
どの子も可愛いのには違いないし。
今日は昼から夜までぶっ通しで戦闘訓練に費やした。皆確実に昨日よりも強くなっている。
尊い犠牲となった巨人達の死体は、勿体ないのでできる限り喰ってみた。
生成したのは合計百体ほどだが、一体の大きさが大きさだけに、俺でも四十体程度を平らげるのが限界だった。
それでも我ながらよく喰ったもんだと思うが、あの量が俺の身体のどこに消えたのか、自分でも不思議ではある。
[能力名【体力値上昇】のラーニング完了]
[能力名【超回復】のラーニング完了]
[能力名【鬼殺し】のラーニング完了]
[能力名【物理攻撃強化】のラーニング完了]
[能力名【強打乱舞】のラーニング完了]
[能力名【大物殺し】のラーニング完了]
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[能力名【幸運値低下】のラーニング完了]
四十体喰ってもたった八つしかアビリティを得られなかった。
【使徒鬼・絶滅種】になってからはアビリティを得難いのがちょっと歯痒いな。
夜になると、皆足腰が立たなくなるくらいに疲労困憊となった。
全身汗だくの泥だらけ。訓練中に大怪我を負う事もあったが、それは俺が治したので残っているのは掠り傷程度だ。ただ疲労まで完全に回復できないので、身体が重だるいようだ。
そして皆と同じように、俺も疲れていた。
オーロとアルジェント、鬼若の訓練相手を四時間ほどで切り上げて以降は鍛冶師さん達と喋ったりしていただけなので怪我など一つもないし、肉体的な疲れは無い。
しかしどうも調子に乗って魔力を使い過ぎたらしい。転生してからこれまで、常に身体の奥底に満ちていた魔力が、初めて枯渇寸前にまで陥った。
どうもこの世界特有の症状――〝魔力欠乏症〟を発症しかけたらしい。
〝魔力欠乏症〟を完全に発症すると絶対に失神するらしいので、その一歩手前といったところだったが、身体が重だるく、異様な眠気に襲われた。
それを回復させるには、以前フォモールが住む山で出会ったあの魔術師の女性にそうしたように、【魔力回復薬】で魔力を補充するのが一番手っ取り早い。
だからグイッと一本嚥下する。
実は今回初めて飲んだのだが、その感想を一言で纏めると、苦い、となる。あまり進んで飲みたいとは思えない味だった。
まぁ、今の自分の限界を知れたので良かったとしておこう。
巨人のどれを生成しても、一体につきスケルトン約五十体分の魔力を消費する。であるならば、自前の魔力のみで生成できるスケルトンは、百×五十で約五千体が最大か。
……正直自分でも驚きの数になった。
太陽がある時は分体で加工しなければならないとは言え、その気になれば普通に国が落とせる戦力を確保できるという事になる。
闇から魔力を回復できる夜の間ならば、言わずもがな……うむ、有意義な一日だった。
今日はこうした疲れもあって、毛布に包まれると即座に意識が無くなった。
[世界詩篇〔黒蝕鬼物語〕《副要人物》であるダム美が存在進化しました]
[条件〝1〟【存在進化】クリアに伴い、称号【氷界女帝】が贈られます]
[条件〝1〟【存在進化】クリアに伴い、【■■の正妻】が正式に発動しました]
[夜天童子が解放条件〝1〟【鬼人化】をクリアしている為、【■■の正妻】の封印が限定解除されました]
[称号【■■の正妻】は称号【鬼■の正妻】に変化しました]
[ダム美に称号【鬼■の正妻】が贈られます]
[称号【鬼■の正妻】の正式発動に伴い、新しく称号【鬼■の権妻】が解放されました]
[条件適合者の選抜を開始]
[……選抜が完了しました。条件適合者に称号が贈られます]
[赤髪ショート(ルベリア・ウォールライン)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[鍛冶師さん(エメリー・フルラット)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[姉さん(フェリシア・ティミアノ)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[妹さん(アルマ・ティミアノ)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[錬金術師さん(スピネル・フェアン)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[女騎士(テレーゼ・イースト・エッケルマン)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[ドライアドさん(ドリアーヌ・デュブエ)に【鬼■の権妻】が付与されます]
[以後、新たな条件適合者が発生すると自動的に【鬼■の権妻】が付与されるようになりました]
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わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
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※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
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