Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――

金斬 児狐

文字の大きさ
55 / 270
外伝

外伝-7

しおりを挟む
 夜の赤花と赤い鬼
〈ブラさと襲来・赤い花は夜に咲く〉 




《時間軸:百三十日目の話》

 赤い全身鎧フルプレートアーマーとマントを装着し、全身が赤く染まった一本角の鬼――ブラ里が、夜闇に包まれた森の中を疾駆していた。
 右手には鮮血で造られたような赤い刀身を持つ一本の長剣ロングソード――他者の血をすするマジックアイテム【鮮血皇女せんけつこうじょ】――が握られ、その刀身はまるで獲物を欲する餓獣がじゅうのように、怪しげな光沢を放っている。
 ヘルムと一体化した仮面から覗く、紅玉髄カーネリアンのような瞳が、その光沢を見てまるで飼い犬をなだめるかのような微笑みを浮かべる。
 その眼だけの微笑みには、見る者をゾッとさせ、それでいてきつけるという奇妙な魅力があった。
 しばし浮かべていたその微笑みも、やがて消えた。ブラ里が暗い森から草木のまばらな一帯に飛び出し、百数十メートルほど先にある、篝火かがりびの焚かれた洞窟の入り口を発見したからだ。


 ブラ里はより一層疾走速度を上げた。踏みしめられた地面は強い脚力によってへこみ、蹴り飛ばされた土が散弾のように後方へ飛んでいく。飛ぶように一歩踏み出す毎に、ブラ里は二〇メートル近く移動する。バタバタと激しくなびく背中の赤マントがその速度を物語っている。
 こんな速さで激しい動作をすれば本来全身鎧がこすれる音、あるいはきしむ音が響くはずだ。しかし今はどんな音も聞こえる事はない。全く、微かにも聞こえない。
 何故か。
 その理由は、ブラ里を包むように張られた魔術にあった。

(流石はせいちゃん、イイ仕事するわねぇ~)

 ブラ里は、数十メートルほど離れた所にいる人間の男がコチラにまだ気が付いていない事を確認すると、魔法の効果を実感し、後方に居る幼馴染おさななじみに称賛の念を抱いた。
 深淵系統第一階梯かいてい魔術〝阻む音衝カルム・クリフ〟が、ブラ里が生み出す音を消してくれているのだ。何かを攻撃しない限り、どんなに激しく動いても、どんなに大声を出しても自分以外には音が届かなくする不可視の膜だ。
 欠点は、音を消すだけで姿を見えなくする効果はないという事と、行使する事が難しい深淵系統魔術である事だけだ。
 幼馴染の働きを無駄にしないよう、ブラ里はより一層気合いを入れた。
 四肢にみなぎっていた力は更に強くなり、敵を見据える瞳には殺意が籠る。温かい血を欲して喉が鳴り、肉を喰らいたいとあえぐ牙と舌が、ヘルムの下でなまめかしく動かされた。

(それじゃ、イタダキマ~ス)

 種族的な本能をたぎらせるブラ里の視線の先には、先ほどの人間の男。
 男は右手で松明たいまつを持ち、洞窟の外のあらかじめ決められたルートを徘徊して見回っている。敵が接近すれば即座に仲間に伝え、命を張って侵攻を遅らせる立場だと、ブラ里は考えた。
 使い捨て要員か、あるいは信頼をおかれている強者。
 どちらなのか見極める為に観察を続ける。うすよごれた灰色の髪、出来物の多い顔、眠たげな眼。中肉中背の上半身には草臥くたびれた革鎧、腰には鉄製の剣が一本とナイフが二本、それに警告用の角笛、はいているのは質素なズボンと汚れたブーツ。
 ブラ里は標的を、使い捨て要員と判断。
 殺害方法は即座に決まった。
 走りながら一瞬膝を曲げて大きく跳躍。踏み砕かれた地面に亀裂が走り、局地的に陥没する。その行動が攻撃と判定されたのか、〝阻む音衝カルム・クリフ〟が効果を失った。
 ついに音が響いた。
 男が慌てて音が聞こえた方向を見る。しかしそこにあるのは陥没し、ひび割れた地面のみ。それも闇のせいで、何とか見えるギリギリの範囲。ブラ里の姿は既にそこにない。突然の状況に、彼の顔にはありありと理解不能の色が浮かんだ。
 その斜め上方、強靭な下肢によって生み出された力が、全身鎧の重量を物ともせず、十数メートルほどの高さにまでブラ里を跳躍させていた。
 ブラ里は長剣を両手でしっかりと保持、大きく振り上げ、落下の力を一撃に込めた。一秒も経たず、かかげられた凶刃が獲物の肉を切り裂く状態が完成する。
 そこで視界の上方をよぎる影にようやく気付いた男が、反射的に見上げ、驚愕の表情を浮かべる。状況の全てを理解できていない表情の中で、ただ恐怖だけは、誰が見てもハッキリと分かるほど強かった。
 ブラ里は再び眼だけで微笑みを浮かべた。獲物の血に飢えた、肉食獣の微笑みを。
 そんな眼を直視したからか、男の口からか細い悲鳴が漏れる。
 咄嗟とっさに取り出した角笛が地面に落ちる。

「ひぃ――ブベラッ」

 響くはずだった断末魔すらもじ伏せるブラ里の一撃。
 鬼の膂力りょりょく+長剣の鋭さ+鎧を含めた鬼の重量+跳躍によって得た落下エネルギーの混合技は獲物の正中線を正確に捉え、頭頂から股までを一刀両断。それだけにとどまらず、地面までをも深々と切り裂いた。
 斬痕が刻まれ、大地を揺るがす轟音。立ち上る土煙。ビリビリと甘美な衝撃を、ブラ里は全身で感じる。
 地面を切り裂いた事で起こった小さな揺れで、洞窟内に居る使い捨て要員の仲間に事を知られたのだろう。ブラ里の優れた聴覚は、洞窟内がにわかに慌ただしくなり始めるのを知覚した。
 あと数十秒もせずに、洞窟から武装した新たな獲物が蟻のように出てくるだろう。それを斬り伏せ、血肉をすするのはさぞ楽しいに違いない。
 しかし今は目の前の獲物で楽しもうと、ブラ里は視線を落とした。視線の先の地面には、二つに分断された死体があり、その中身が溢れ出ている。周囲一帯を濡らすおびただしい量の鮮血、中身の入った胃や腸などの消化器官、血の臭いに混じる糞便の臭気。
 糞便の臭気はともかく、むせかえるような血の香りは、ブラ里の食欲をそそった。

「では、まずは目玉から」

 半分になった頭部から飛び出ていた眼球の一つを拾い、それを口元に持っていく。
 装着者の意思に呼応し、口元を覆っていた仮面の金属板が部分的に左右に開いた。
 晒された口とプックリと膨らんだ桜色の唇が、使い捨て要員の目玉を優しく挟み、口腔から伸びる舌が味わうように表面を舐める。
 そしてパク、とブラ里は目玉を食べた。飴のように口腔で少しだけ転がし、やがて噛み砕いてその味を堪能する。

「ん~、やっぱり新鮮な目玉は美味しいですね~」

 その目玉の美味しさに、口元が弧を描く。しかし次の瞬間には、冷徹なモノに変化していた。

「さて、思ったよりも素早いですね~」

 カシュン、と音を立てて、仮面の口元が再び閉ざされる。
 ブラ里の表情を読み取れるのは、再び眼だけとなった。

「では、行きますか~」

 ブラ里は次の獲物を求め、嬉々とした表情で、洞窟内部から慌ただしく飛び出してきた男達に向かって駆け出した。そのいずれもが先ほどの使い捨て要員よりも少々上質な装備品で身を固めており、一目で荒事で生活していると分かる強面こわもてだ。
 ブラ里が持つ赤いロングソードは、使い捨て要員の血を吸った事でより一層妖しい光を放っている。

「マンディル! クソ、やられてやがるッ」

 真っ先に飛び出してきて叫んだ者――上質な金属鎧で太い肉体を包んでいる大男、得物はバトルアックス、力自慢の接近戦闘家、脅威度〝小〟。
 その奥に隊列を組んで来る一団――身軽な革防具を装備した弓兵風の男達、得物は弓と腰のナイフ、つがえられたやじりに光沢、恐らくは毒が塗られている、脅威度〝小〟。

「撃ち殺せ!」

 最奥から弓兵達に指示を出す優男やさおとこ――宝石をはめ込んだ一本の杖と灰色のローブを装備、恐らく【魔術師ウィザード】、集団の司令官の可能性大、脅威度〝中〟。
 読み取った情報から、ブラ里はまず優男を優先的に殺害する事を決定。
 真正面から突進し、土を後方に蹴り飛ばしながら一気に加速。
 優男の指示によって射出された数本の矢、その全てがブラ里に当たるコースを取っている。彼等の熟練度の表れだ。
 だがブラ里は矢を無視。ロングソードで薙ぎ払う事すらせず、ただ愚直に前進を続ける。
 飛来する矢が全て的中する。ブラ里の右肩、左わき、頭部、右胸、左足に衝突――だが赤い全身鎧によって呆気なく無力化。ガキンと甲高い音を発したものの、全身鎧には傷一つなく、当たった矢は衝撃で自壊した。
 毒が塗られていたとしても、傷一つ負わせられないのでは意味がない。
 地面に落ちていく矢のなれの果てを置き去りにし、ブラ里は詠唱を始めた優男に急速接近。
 その前に、戦斧を携えた大男が立ちはだかった。

「オラァァァァアアアアアアア!!」

 怒声、轟風。見かけ通りの膂力りょりょくによって振り下ろされた十数キロのとうが迫る。
 それをマトモに受ければ、流石にブラ里とて体勢を崩される。あるいは少なくないダメージを受けるかもしれない。矢とは重さも威力も段違いの上、マジックアイテムらしき斧の一撃は無視できない。
 バトルアックスを迎撃せんと、ロングソードの赤い刀身が弧を描く。
 ――衝突。
 戦斧と長剣の真っ向勝負。通常なら刀身の厚みや重量、頑丈さなどの差によってバトルアックスが勝っていたであろう勝負はしかし、今回は逆の結果に終わった。
 マジックアイテムとしての格が違い過ぎたのだ。
 比べる必要性すらないほどに、切れ味、強度、内包する魔力、存在強度、ありとあらゆる面の性能が違い過ぎた。
 ロングソードがバトルアックスの刀身に埋没していく。火花を飛び散らせつつ、まるで水面を斬るが如く、バトルアックスを滑らかに切断していく。
 愛用の得物が苦も無く切り裂かれていくその様を見て、大男は何を思ったのか。
 得物と同じく己自身も斬られる様を想像するのか、何が起きているのか理解する事も追いつかないのか。ともかく、ブラ里は己が手の中に転がってきた大男の命を堪能する。

「ばか――ブルガァ!!」

 バトルアックスは完全に切断され、大男の肉体も胸部の辺りで上下に斬り分けられた。大男の上半分が空を舞い、高速で横回転しながら地面に落下していく。切断面からはまるで噴水のように鮮血が噴き上がり、ブラ里の全身を血で濡らす。
 そこに、仲間/大男の無残な死に対する怒りと恐怖に震える男達から射かけられた矢が再度飛来する。
 先ほどよりも彼我の距離が近づいていたので、矢の威力は高まっていた、はずだった。
 しかしまたも呆気なく弾かれる。全身鎧の防御力の高さを物語る結果だった。
 ブラ里は尚も止まらない。既に標的とした優男までは一足一刀の距離だ。優男の前に居る、顔面蒼白あるいは顔面紅潮の弓兵達を踏み潰しながら、優男に斬撃を喰らわせようとし――

「――〝捉え封じる蔦の手シルド・レーデ〟ッ!!」

 ブラ里の足下から、つたが急激に成長して伸びる。蔦はヒトの手に酷似した形をしており、まるで天に昇るように上へ上へと成長していく。
 ブラ里は蔦の中に巻き込まれ、捕らえられた。ロングソードを握っていた右手と下半身の殆ど全てが蔦の中で、強制的にその場に釘づけにされる。
 身動きができない。動かせるのは左手と上半身のみ。優男の思わぬ反撃に、紅玉髄カーネリアンのような双眸が不愉快そうに歪む。
 樹葉系統第二階梯魔術〝捉え封じる蔦の手シルド・レーデ
 標的の足下の地面から、その肉体を捕らえる蔦を発生させる魔術だ。手蔦てづたはかなり頑丈であり、拘束範囲が狭いほど、それに比例して捕縛する力が強くなる。ただ高速で動くモノを捕らえるのには技術と運が必要で、今回成功したのはマグレに近かった。
 殺傷力は皆無ながら、標的の体勢を崩し捕らえるのには非常に有効な為、使用する者はそこそこ多い。

「今だッ、鎧の隙間を狙えッ」

 足止めを成功させた優男が声を張り上げた。
 それに何とか反応し、弓兵全員が弓を捨てて、腰から短剣ナイフを抜く。ナイフの刀身に青線で刻まれた魔術の付与陣から、かろうじてながら【希少レア】級に分類されるレベルのマジックアイテムであるとブラ里は即座に看破した。
 装甲が比較的薄い関節部ぐらいの守りなら突破できるかもしれない。その程度の切れ味はありそうだ。
 現状ブラ里は動きを封じられている、危機的状況。ピンチ。残った左腕で防御するにも、何本ものナイフ全てを迎撃する事は難しい。
 蔦から無理やり力尽くで抜け出すにも、時間がかかり過ぎて間に合わない。

「案外やりますねェ~。じゃ、ちょっと本気を出しますか」

 ほんのり温かく、それでいて透き通るような美声。
 ブラ里の呟きを聞き、接近していた弓兵達の背中を寒気が走る。彼等がその恐怖を何とかじ伏せようと、少しでも早く恐怖の源を消そうと勇気を振り絞るのを、ブラ里は微笑みを浮かべて歓迎した。

[ブラ里は鬼能アビリタその血は剣と成りてブルート・シュヴェールト】を繰り出した]

 唐突に、周囲に散っていた死体――使い捨て要員と大男――二人分の〝血〟がうごめいた。
 地に吸われていくはずだったその血は、まるで意思があるかのように空中に浮き上がり、その形を赤い二本の血剣へと変貌させていく。

「なんだ、こりゃあ……」
「……は?」
「コレってまさか……」

 弓兵達かられた言葉――それはそのまま最期の言葉となった。
 宙に浮かぶ血剣が暴風となって、ブラ里の周囲を無造作に薙ぎ払う。ブラ里を捕らえていた蔦はバラバラに切断され、弓兵達がただの肉塊へと解体されていく。
 それらは全て一瞬の出来事だった。
 唯一距離をとっていた魔術師の優男だけを残し、それ以外の標的全てが死に絶え、無残なしかばねさらしている。死者の増加によってより一層濃くなった血の香りを、ブラ里は大きく息を吸いこんで堪能した。
 蔦から解放されたブラ里の眼が喜悦きえつに歪む。顔面を覆う金属板さえなければ、優男にもそこに浮かんだ満面の笑みを見る事ができたに違いない。
 殺す事が心底楽しいのだろう、と思わせる不吉な笑みを。
 仲間を無惨に殺された恐怖が優男の心をむしばんだ。優男の身体が、その意思とは無関係に震え出す。

「な、な、なな、何者なんだよお前ッ。何が目的で俺達を襲うッ」

 震えながら優男は悲鳴そのままの声を上げた。ガチガチと音を鳴らす歯は、優男の心情を如実に示していた。

「襲う理由、ですか?」

 ブラ里は小首を傾げた。
 何を当然な事を聞いているのか、とでも言いたげなこわだった。それがより一層優男に恐怖を湧き上がらせる。
 ブラ里からすれば男達を襲い、殺し尽くすのは当然の事なのだ。
 まるで雑草でも刈るように、無造作な仕草で振られるロングソードが。増えた死体の血を使って新たに製造され、既に十を超えた宙に漂う無数の血剣が。虫でも見るようなブラ里の視線が。優男に生きる術は無いと言外に物語る。

「当然、貴方達が溜め込んでいる財が欲しいからですけど?」

 貴方達だって他人を襲って奪っているんですから、襲われて奪われる側になったって文句は有りませんよね、《羊喰いの狼テキラ・ベラ》の皆さん? と愉快そうに語る。優男は、どう足掻あがいても逃げられないのだと瞬時にさとった。
 盗賊団《羊喰いの狼》。
 それが、優男達が所属する盗賊団の名前である。
《羊喰いの狼》はヒトが滅多に訪れない山中にある天然の洞窟を根城にし、ふもとにある街道を行く旅商人や奴隷商などを襲って財を得ていた。獲物には冒険者や専属の護衛が張り付いている事が殆どだが、団長の実力と、団員の連携でそれをモノともせずに略奪を繰り返した結果、近隣ではそこそこの規模を誇るようになっている。
 最近ではやり過ぎて有名になってきたので、そろそろ別の場所に移動するかという話し合いもされているところだった。しかしその状況も、一体の赤い鬼によって切り崩されつつあった。

「まだお仕事が残っていますんで、それでは――」

 ブラ里の言葉に、優男は魔杖を掲げ、慌てて詠唱を始める。しかし心臓を握られたような恐怖によって呂律ろれつの回らない舌では正確な詠唱ができるはずもなく、当然のように詠唱失敗ファンブルてのひらに掻き集められ〝炎素〟になりかけていた魔力はボフンと煙を上げて霧散し、優男の掌を微かに燃やした。
 それでもなんとか優男が絶叫を上げる為に口を開けようとして――

「サヨウナラ。よい旅を」

 たった一歩だった。
 優男が気が付く間もなく踏み出されたブラ里の一歩で、二名の間にあった距離は消失。眼では追いきれない速度で振り下ろされたロングソードが空を断ち、舞う血剣が風切り音を奏でる。
 優男の身体に走る幾つもの斬線。右肩から左わき腹、左耳から右耳、右太もも、左腕、その他数え切れないほどの切断部がずれていく。
 優男は、最初の見張りの男と同じく断末魔を上げる事すらできずに命を失った。

「さて、次は誰でしょうか」

 殺した時点で興味を失ったのか、肉がバラける光景を最後まで見届ける事も無く、ブラ里は舌舐めずりをしながら洞窟から出てくるだろう次の標的達を待った。
 他者の命を奪う事に何とも言えない快感を抱きながら、優男だった物体の近くに転がっている魔杖を拾い、マジックアイテムの腕輪の能力で亜空間に収納する。この盗賊団の情報をアポろうから教えてもらった時、装備類はできるだけ回収するように、と言われていたのをようやく思い出したからだ。
 興奮し過ぎて獲物をバラバラにし、装備までダメにしてしまった失態に、今更ながらブラ里は後悔の念を抱いたが、

「でも、まあいいですよね。本当のお宝は奥にあるでしょうし」

 と、本命を確保すればどうとでもなる問題だと判断した。事実、その通りなので問題はない。

「早く、強いって噂の団長さんが来てくれませんかね~。もう、興奮で胸がはち切れそうなんですよぉ~」

 歓喜に震えるブラ里は、それからも洞窟から飛び出してくる十数人を一人一人確実に葬りながら、ただ待ち続けた。



しおりを挟む
感想 393

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

強くてニューサーガ

阿部正行
ファンタジー
人族と魔族が争い続ける世界で魔王が大侵攻と言われる総攻撃を仕掛けてきた。 滅びかける人族が最後の賭けとも言うべき反撃をする。 激闘の末、ほとんど相撃ちで魔王を倒した人族の魔法剣士カイル。 自らの命も消えかけ、後悔のなか死を迎えようとしている時ふと目に入ったのは赤い宝石。 次に気づいたときは滅んだはずの故郷の自分の部屋。 そして死んだはずの人たちとの再会…… イベント戦闘で全て負け、選択肢を全て間違え最終決戦で仲間全員が死に限りなくバッドエンドに近いエンディングを迎えてしまった主人公がもう一度やり直す時、一体どんな結末を迎えるのか? 強くてニューゲームファンタジー!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。