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外伝
外伝-14
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「アハハハハッ!!」
胸に湧き上がる興奮からか、ルークは嗤った。錆ついたようにぎこちない笑み。それは仲間を殺された恨みによって狂気染みているようだった。
嗤うルークの視線の先には、腕から膨大な血を噴出し、それを驚きながら見ている大鬼の姿があった。
その姿はあまりにも無防備。今のルークならば簡単に首を刎ねられただろう。
だが走る速度があまりに速過ぎて大鬼を大幅に追い越してしまったルークは、止めの追撃を放つ事ができなかった。それに軽く舌打ちをしつつ、強靭な両足で大地を削って何とか急制動をかける。
「制御が難しいけど、凄いな、これはッ。簡単に、お前を殺せそうだ」
ルークの愛剣【不治の傷を刻む聖剣】による損傷は、通常の治療では絶対に回復させる事ができない。先ほどルークの窮地を救った霊薬【エクシルク】も例外ではなかった。
ただの掠り傷をも致命的な損傷とする攻撃で、腕を切断。それはつまり、勝利を決定付ける一撃を与えたという事だった。
大鬼の強靭な生命力ならばすぐ塞がるはずの傷口から、止めどなく血が流れている事がそれを証明していた。
「それはコライユの分だ。そして――」
何とか形勢を立て直そうともがく大鬼の僅かな隙を見逃さず、再びルークは一瞬で距離を詰めた。
足元の地面を蹴り砕くほどの勢いを乗せ、十数メートルの距離を疾駆、ロングコート状の光の衣が弾ける事で更に加速する。
恐らく大鬼からすれば、ルークの姿は光と共に消失したように見えただろう。
そして再び両者が擦れ違った後には、今度は両膝を聖剣で切断され、立つ事も出来なくなった大鬼が地に転がっている。
まだ勢いを完全に制御できていない為、再度地面を削るように急停止しながら、それを見たルークが吼えた。
「――それがアイオラの分だッ」
心の奥底から吐き出すような言葉。
仲間を殺した怨敵に対する恨みを乗せた言葉。目には怒りが宿り、四肢には殺意が漲っていた。殺してやる、と全身で訴えている。
「そして、クレリアの分を……え?」
聖剣を前方に突き出し、全速力で正面から刺し殺す止めの刺突の構えを取ったルークは、それを見た。
地に倒れながらも上体を起こし、血溜まりの中で不敵に笑う、大鬼の表情を。
自らの右肩に喰らいつき、骨肉を噛み千切り、より多くの血を流しながらも口の中の我が身を咀嚼する大鬼の姿を。
「何……まさかッ」
大鬼の行動に驚いたのは数瞬だけで、ルークはそれが何を意味しているのかをすぐさま理解した。
聖剣の固有能力によって、その刃で負わせた損傷は何があろうと治らない。
だが、傷口の周囲の肉を纏めて抉れば傷は上書きされ、回復も可能になる。それは聖剣の能力への非常に簡単な対処法であり、単純な能力の欠点と言えるだろう。
だが実際にするとなると、そう簡単な話ではない。
失った血肉を取り戻すほどの強力な再生能力を持っていなかったり、癒すだけの治癒能力が無ければ、手当てが遅れて死ぬ事になるからだ。
そして攻撃を受けた部分によっては肉を抉るのが不可能な場合もあるし、傷の大きさによっては抉る事すら出来ない。
それに欠損部位の排除自体、戦闘中にはあまり行われない手法だ。ルークが戦っている相手に、怪我の治療を許すはずもない。
無理やりにでも治療を行おうとすれば、ルークに致命的な隙を見せる事になる。
だが、大鬼はそんな事など関係ないとばかりに、躊躇いなく行動していた。
本能でそうすべきだと判断したからか、あるいは何かしらの対策があるのか。
「やらせるかッ」
ルークは余計な考えを思考の外に追いやり、今度は自分の両足を銀腕で斬り落とした大鬼に向けて、真正面から突っ込んだ。光の衣はまるで一条の彗星のような軌跡を残し、彼は大鬼の心臓を目指す。
その眼前に、再度出現する虹色の光壁。
「一度見ればこんなモノなんて」
予め身構えていたルークは、今度は慌てず聖剣で壁を切り裂いた。僅かに抵抗しながらも両断された壁はしかし、そのすぐ直後に二枚目の壁が新たに出現する。それも斬り裂くと三枚目、四枚目と続いた。
「何枚あっても同じ事だッ」
その度に斬り裂いて進むが、壁は斬られる度に形状や在り方を変化させていった。まるで剣戟を流すように回転したり、ヒトが燃えそうなほどの光熱を発したり、目も眩むような光を発したりと、少しずつ壊し難くなっていく。
それが十枚は続いただろうか。明らかに失速しながらもルークと大鬼の距離は埋まり、聖剣の剣尖が大鬼の胸に届きそうになる。
だがまたしても不可解な現象がルークを襲った。急に彼の身体が、手にする聖剣が、そして身に纏う衣服すらも、十倍にも二十倍にも重くなったのだ。一歩踏み出すだけで、大地が僅かに陥没する。約七〇キロだったルークが、今は七〇〇キロを超える重量となっていた。
幸いにも光の衣の効果によって強化された肉体が、即座に潰される事は無い。慌てて抗おうとするが、変化は足元でも起きていた。
「なん、だこれッ。重い、奇妙な力を使う――けどッ、舐めるな!!」
いつの間にか沼地のようになった地面では突然増加した重量を支える事はできず、足をとられたルークは体勢を崩した。
だがルークは爪先に有らん限りの力を込めて跳躍。
全身を重く圧する力によってほんの少ししか飛べなかったが、飛び蹴りを繰り出し、大鬼の肩に片足を乗せる事ができた。速度と重量の乗った足は大鬼の体躯を押し倒し、上から圧し掛かる形になる。
それを嫌ったのか大鬼は銀腕を動かすが、ルークがそれを聖剣で弾く。幾ら大鬼が屈強な腹筋や背筋に力を入れても、両膝から下を失っていては、バランスを保つ事はできなかった。
「もらったッ」
大鬼が地面に背をつくのと、ルークの聖剣が大鬼の胸の中心を貫き、その身体を地面に縫い止めたのは同時だった。大鬼は驚いたように目を見開き、大きな口を開け、驚愕の目でルークの顔を見る。
だが大鬼を殺したはずのルークの目には困惑があった。
「なんだこの感触は。内臓が、無い?」
聖剣は確かに大鬼の胸に突き刺さっている。だが傷口からは血が流れず、臓物を斬り裂いた感触も無かった。まるで薄皮一枚だけを斬ったような手ごたえにルークは小首を傾げる。
「一体どうなって……なんだ、これ?」
大鬼の死体の首を斬り落としてみると、不思議な事に体内は空洞となっていた。死体は背面中央が頭頂部から臀部まで真っすぐ裂け、やや粘着質の液体が内面を濡らしている。
それはまるで、虫が【脱皮】した後の抜け殻のようだった。
「大鬼の抜け殻? おいおい、本当に一体何だこれ。さっきの壁といい、地面といい、こんな力を使う大鬼なんて聞いた事もない。複数の加護を得ているとしても、あり得るのか?」
魔蟲の類は脱皮する事で成長する。甲蟲人や甲虫人も、脱皮によって外骨格の硬度を上げていく。そしてその抜け殻は希少で、マジックアイテムの有用な材料となる。ルークもこれまでに大量の抜け殻を採取してきたが、流石に【大鬼の抜け殻】など噂に聞いた事すらなかった。
手で触って検分するが、それが何なのか答えは出ない。ただ、ある一つの事実が、思った以上に軽かった抜け殻を持ち上げた時に見つかった。
「……穴? なんで?」
大鬼の背面で隠されていた地面に、小さな穴が開いていた。
それを見て、ルークの背筋に悪寒が走る。自分の命が狩られる直前のような感覚に襲われたのだ。
「まさ、か――ッ」
知覚はしていなかった。ただ【勇者】として染みついた感覚に従い、咄嗟に振るった聖剣は背後の地面から隆起した朱槍を弾いた。即座に飛び退いた瞬間、先ほどまで立っていた地面が爆裂した。
そしてそこから現れたのは、殺したはずの大鬼だった。しかも、斬り落としたはずの片腕両足は元に戻っている。心なしか全身が小さくなっているようだが、そんな事は大した問題ではない。
「【脱皮】して完全回復、ってところかな。厄介な化物め」
そう吐き捨てて、ルークは再び死地に赴いた。
◆◆◆
戦いは数時間続いた後で、ようやく決着がついた。
大鬼は地形が大きく変わるほどの暴威をふるったが、戦いの中で急激に成長していった【光の勇者】の命すら代償にした聖剣の一振りで首を斬り落とされ、ようやく息絶えた。その亡骸は、死んだ後も些かも存在感を損なう事がない。
全身を大鬼と自分の血で赤く濡らしたルークは、大鬼の亡骸の横で大の字に寝転がって、戦いの余波によって分厚い雲が消し飛んだ青空を見ていた。
「あーあ。ここまで、か」
ルークは、自分が既に助からないと理解していた。
戦いの合間に片手間で殺された獣人の二人も含め、仲間全員を屠った怨敵である大鬼を討つ事はできた。命を断った時の確かな感触は今もルークの手の中にあり、ある種の達成感に満ちている。
だが大鬼は殺される寸前、その銀腕でルークの腹部を貫いていた。それによって腸は千切れて体外に飛び出し、腰椎も砕けて周囲に散っている。
明らかに致命傷である。ルークの下半身の感覚は既に消失していた。胸部にもほぼ致命傷と言っていい裂傷があり、もはや痛みを感じる段階は過ぎていた。
周囲に治療を施してくれる生者は居らず、魔力も回復アイテムも全て使い切っている。どうしようもなかった。
迫る死を前に、ただ考える事しかできない。
「楽しかった、なぁ。本当に、楽しかった」
思い起こすのは旅の思い出。皆で笑い、皆と出会い、皆と別れて来た記憶。
自然と涙が溢れ出し、ルークの視界はゆらゆらと歪んだ。
「悔しい、なぁ。ああ、悔しいなぁ」
そして走馬灯も終りに近づくと、人生最後の戦いが脳裏に再現される。
存在自体あり得ないような大鬼。【仙人】を彷彿させる卓越した動きでルークを容赦なく追い詰め、更に予測不可能の攻撃を繰り出してきた化物。
ルークは、自分が大鬼に勝った、とは思っていなかった。
確かに殺しはしたが、自分も殺されるような結果では、ただの相討ちである。いや、大切な仲間を全て殺された時点で、ルークは一度負けたのだ。殺した事が勝ちだとしても、自分が死ぬ事でまた負ける。
一勝二敗、負け越しだ。
「でも……これで、会えるかなぁ」
後悔はある。未練もある。そんな全ての思いが削ぎ落ちて、最期の時に思うのはやはり、最愛のアリアの事だった。
結局こんな所で死んでしまう情けないザマでは、アリアに怒られてしまうだろうな、と身体から抜け落ちて行く自分を感じながら、ルークは微笑んだ。
心臓が動きを止め、脳が活動を停止して、意識が消失するその時まで。
後にはただ、凍てつく世界と屍だけが残される。
「――はッ」
【告知される死因】の効果が終了し、意識が現在にまで引き戻される。
発動してから一秒も経過しておらず、黒い大鬼は今も目の前に佇んでいた。
だが戦えばどれほどの犠牲を強いられるのかを知ってしまった私は、コチラにゆっくりと近づいてくる大鬼に対して即座に対処できるように身構える。
ゴクリ、と私は息を呑み込んだ。冷や汗が止まらず、悪寒がする。
今見た幻影が本当ならば、そんな存在と、消耗した状態で戦うなんて流石に嫌気が差す。
しかしアリアとの誓いの為にも、諦める訳にはいかないし、諦めるつもりもない。
ココで諦めればアリアとの約束を反故にするばかりか、仲間の命も護れない。それだけは、我慢ならない。【不治の傷を刻む聖剣】を握る力が無意識のうちに強くなる。
再度、魂を燃やすように気力を絞り出し、重い身体に動けと命令を下す。油断なく、一瞬で殺さなければ殺される。身じろぐだけで傷口から血が漏れ出るが、構うものかと一歩踏み出した。
その時、コチラに近づきながら視線を向けていた黒い大鬼と眼があった。
「お疲れ様。いい勝負だったな」
一般的に【大勢に害成すモノ】として認識されている大鬼が、人間の言葉を流暢に喋った。
固まる思考。動かなくなる肉体。まるで時が止まったかのような一瞬の静寂。
大鬼が苦笑のようなモノを見せた。
「……は?」
我ながら間抜けな声だったと思う。
もはや思考が止まる事を回避できなかった。
ただどうやら、あの絶望的な戦いは回避できたらしい。
◆◆◆
オガ朗と名乗った黒い大鬼とは、会話を交わして仲間達を治療してもらった後、お互いの目的地に向かう為に別れた。
穏便に事が済んだのは僥倖だったと言えるだろう。
バロールの死体だけは全て黒い大鬼に持っていかれたが、護衛フォモール達からも有用な素材を剥ぎ取れているので問題はない。命を助けて貰った代償と考えれば安いモノだ。
彼は、バロールを倒したのは自分の主であって、今も離れたところから私達を狙っている、などと言っていたが、私はそんなモノは居ないと確信している。バロールを倒したのは、彼自身に他ならない。
「世界は、広いなぁ。まさかあんなのが居るなんて、思ってもみなかった」
私はそう言わずに居られなかった。
この旅で世界の広さは体感していたが、私の想像を超える存在はまだまだいるらしい。【詩篇】すら持っていない相手にあんな目にあわされていたかもしれないだなんて……もっと精進しなくてはなるまい。
大切なモノを護る為にも。奪われてしまわない為にも。
「そうですね、ルーク様。でも、多分あの大鬼は際立って特別な存在だった、と思います。それこそ【鬼王】とかになるくらいに」
と言うのはコライユだ。自らの腕でその華奢な身体を抱きしめるようにして、プルプルと小さく震えている。
あの黒い大鬼――オガ朗の冷徹とも言える眼を、私以外で唯一見たが故の反応だろう。
聖職者であるコライユは【加護持ち】に対し、それがたとえ敵であろうとも礼儀正しく敬うように接してきた。そんな彼女でさえ、あの眼を見てしまえばこんな反応をするのも何ら不思議ではない。
アレは言うなれば、捕食者の眼だった。否が応でも、私達が喰われる側だと感じさせるような眼だったのだから。
「確かにねぇ、ありゃヤバいわ。亜種にしちゃ、魔力量の桁が違ってたよ。というより、ありゃ本当に大鬼なのかい?」
「違う、と言いたいんですけどねぇ。あれは」
呆れるクレリアに、セレスが苦笑で返した。
「……大鬼、だったのは間違いない」
腕組みし、確信した表情でアイオラが頷いている。
「臭いは間違いなく大鬼のそれだったでありますぞッ」
チェロアイトは槍の石突きで地面を打ち鳴らしながら、自分の鼻で導き出した答えに自信を持っている。
皆が皆、思考の大部分をオガ朗に占領されながらも、しかし周囲の警戒を怠らずに私達は薄暗い洞窟の中を歩いていた。
何故こんな場所に来ているのか。それはバロールが死に、オガ朗と別れた後、新たな【神託】が下されたからだ。
私の脳内に直接響く【光の神】の声に導かれ、示されるままに歩いた結果、私達はココに居る。
どうやらこの洞窟の最奥に、【光の神】からの贈り物があるらしいのだ。
「あー止め止め。鬱々と考えるのは止めだよ。折角故郷に帰れるんだ、こんな遠い国で出会った大鬼に悩むのは止め止め、止めにしよう。答えも出ないしね」
魔杖を振り回し、クレリアが沈んだ空気を薙ぎ払うような仕草で言った。
そんなクレリアに皆苦笑を浮かべつつも、若干ほぐれた空気が談笑の切っ掛けとなった。そして笑いながら歩き続けていった私達は、ついにそこへ到達した。
胸に湧き上がる興奮からか、ルークは嗤った。錆ついたようにぎこちない笑み。それは仲間を殺された恨みによって狂気染みているようだった。
嗤うルークの視線の先には、腕から膨大な血を噴出し、それを驚きながら見ている大鬼の姿があった。
その姿はあまりにも無防備。今のルークならば簡単に首を刎ねられただろう。
だが走る速度があまりに速過ぎて大鬼を大幅に追い越してしまったルークは、止めの追撃を放つ事ができなかった。それに軽く舌打ちをしつつ、強靭な両足で大地を削って何とか急制動をかける。
「制御が難しいけど、凄いな、これはッ。簡単に、お前を殺せそうだ」
ルークの愛剣【不治の傷を刻む聖剣】による損傷は、通常の治療では絶対に回復させる事ができない。先ほどルークの窮地を救った霊薬【エクシルク】も例外ではなかった。
ただの掠り傷をも致命的な損傷とする攻撃で、腕を切断。それはつまり、勝利を決定付ける一撃を与えたという事だった。
大鬼の強靭な生命力ならばすぐ塞がるはずの傷口から、止めどなく血が流れている事がそれを証明していた。
「それはコライユの分だ。そして――」
何とか形勢を立て直そうともがく大鬼の僅かな隙を見逃さず、再びルークは一瞬で距離を詰めた。
足元の地面を蹴り砕くほどの勢いを乗せ、十数メートルの距離を疾駆、ロングコート状の光の衣が弾ける事で更に加速する。
恐らく大鬼からすれば、ルークの姿は光と共に消失したように見えただろう。
そして再び両者が擦れ違った後には、今度は両膝を聖剣で切断され、立つ事も出来なくなった大鬼が地に転がっている。
まだ勢いを完全に制御できていない為、再度地面を削るように急停止しながら、それを見たルークが吼えた。
「――それがアイオラの分だッ」
心の奥底から吐き出すような言葉。
仲間を殺した怨敵に対する恨みを乗せた言葉。目には怒りが宿り、四肢には殺意が漲っていた。殺してやる、と全身で訴えている。
「そして、クレリアの分を……え?」
聖剣を前方に突き出し、全速力で正面から刺し殺す止めの刺突の構えを取ったルークは、それを見た。
地に倒れながらも上体を起こし、血溜まりの中で不敵に笑う、大鬼の表情を。
自らの右肩に喰らいつき、骨肉を噛み千切り、より多くの血を流しながらも口の中の我が身を咀嚼する大鬼の姿を。
「何……まさかッ」
大鬼の行動に驚いたのは数瞬だけで、ルークはそれが何を意味しているのかをすぐさま理解した。
聖剣の固有能力によって、その刃で負わせた損傷は何があろうと治らない。
だが、傷口の周囲の肉を纏めて抉れば傷は上書きされ、回復も可能になる。それは聖剣の能力への非常に簡単な対処法であり、単純な能力の欠点と言えるだろう。
だが実際にするとなると、そう簡単な話ではない。
失った血肉を取り戻すほどの強力な再生能力を持っていなかったり、癒すだけの治癒能力が無ければ、手当てが遅れて死ぬ事になるからだ。
そして攻撃を受けた部分によっては肉を抉るのが不可能な場合もあるし、傷の大きさによっては抉る事すら出来ない。
それに欠損部位の排除自体、戦闘中にはあまり行われない手法だ。ルークが戦っている相手に、怪我の治療を許すはずもない。
無理やりにでも治療を行おうとすれば、ルークに致命的な隙を見せる事になる。
だが、大鬼はそんな事など関係ないとばかりに、躊躇いなく行動していた。
本能でそうすべきだと判断したからか、あるいは何かしらの対策があるのか。
「やらせるかッ」
ルークは余計な考えを思考の外に追いやり、今度は自分の両足を銀腕で斬り落とした大鬼に向けて、真正面から突っ込んだ。光の衣はまるで一条の彗星のような軌跡を残し、彼は大鬼の心臓を目指す。
その眼前に、再度出現する虹色の光壁。
「一度見ればこんなモノなんて」
予め身構えていたルークは、今度は慌てず聖剣で壁を切り裂いた。僅かに抵抗しながらも両断された壁はしかし、そのすぐ直後に二枚目の壁が新たに出現する。それも斬り裂くと三枚目、四枚目と続いた。
「何枚あっても同じ事だッ」
その度に斬り裂いて進むが、壁は斬られる度に形状や在り方を変化させていった。まるで剣戟を流すように回転したり、ヒトが燃えそうなほどの光熱を発したり、目も眩むような光を発したりと、少しずつ壊し難くなっていく。
それが十枚は続いただろうか。明らかに失速しながらもルークと大鬼の距離は埋まり、聖剣の剣尖が大鬼の胸に届きそうになる。
だがまたしても不可解な現象がルークを襲った。急に彼の身体が、手にする聖剣が、そして身に纏う衣服すらも、十倍にも二十倍にも重くなったのだ。一歩踏み出すだけで、大地が僅かに陥没する。約七〇キロだったルークが、今は七〇〇キロを超える重量となっていた。
幸いにも光の衣の効果によって強化された肉体が、即座に潰される事は無い。慌てて抗おうとするが、変化は足元でも起きていた。
「なん、だこれッ。重い、奇妙な力を使う――けどッ、舐めるな!!」
いつの間にか沼地のようになった地面では突然増加した重量を支える事はできず、足をとられたルークは体勢を崩した。
だがルークは爪先に有らん限りの力を込めて跳躍。
全身を重く圧する力によってほんの少ししか飛べなかったが、飛び蹴りを繰り出し、大鬼の肩に片足を乗せる事ができた。速度と重量の乗った足は大鬼の体躯を押し倒し、上から圧し掛かる形になる。
それを嫌ったのか大鬼は銀腕を動かすが、ルークがそれを聖剣で弾く。幾ら大鬼が屈強な腹筋や背筋に力を入れても、両膝から下を失っていては、バランスを保つ事はできなかった。
「もらったッ」
大鬼が地面に背をつくのと、ルークの聖剣が大鬼の胸の中心を貫き、その身体を地面に縫い止めたのは同時だった。大鬼は驚いたように目を見開き、大きな口を開け、驚愕の目でルークの顔を見る。
だが大鬼を殺したはずのルークの目には困惑があった。
「なんだこの感触は。内臓が、無い?」
聖剣は確かに大鬼の胸に突き刺さっている。だが傷口からは血が流れず、臓物を斬り裂いた感触も無かった。まるで薄皮一枚だけを斬ったような手ごたえにルークは小首を傾げる。
「一体どうなって……なんだ、これ?」
大鬼の死体の首を斬り落としてみると、不思議な事に体内は空洞となっていた。死体は背面中央が頭頂部から臀部まで真っすぐ裂け、やや粘着質の液体が内面を濡らしている。
それはまるで、虫が【脱皮】した後の抜け殻のようだった。
「大鬼の抜け殻? おいおい、本当に一体何だこれ。さっきの壁といい、地面といい、こんな力を使う大鬼なんて聞いた事もない。複数の加護を得ているとしても、あり得るのか?」
魔蟲の類は脱皮する事で成長する。甲蟲人や甲虫人も、脱皮によって外骨格の硬度を上げていく。そしてその抜け殻は希少で、マジックアイテムの有用な材料となる。ルークもこれまでに大量の抜け殻を採取してきたが、流石に【大鬼の抜け殻】など噂に聞いた事すらなかった。
手で触って検分するが、それが何なのか答えは出ない。ただ、ある一つの事実が、思った以上に軽かった抜け殻を持ち上げた時に見つかった。
「……穴? なんで?」
大鬼の背面で隠されていた地面に、小さな穴が開いていた。
それを見て、ルークの背筋に悪寒が走る。自分の命が狩られる直前のような感覚に襲われたのだ。
「まさ、か――ッ」
知覚はしていなかった。ただ【勇者】として染みついた感覚に従い、咄嗟に振るった聖剣は背後の地面から隆起した朱槍を弾いた。即座に飛び退いた瞬間、先ほどまで立っていた地面が爆裂した。
そしてそこから現れたのは、殺したはずの大鬼だった。しかも、斬り落としたはずの片腕両足は元に戻っている。心なしか全身が小さくなっているようだが、そんな事は大した問題ではない。
「【脱皮】して完全回復、ってところかな。厄介な化物め」
そう吐き捨てて、ルークは再び死地に赴いた。
◆◆◆
戦いは数時間続いた後で、ようやく決着がついた。
大鬼は地形が大きく変わるほどの暴威をふるったが、戦いの中で急激に成長していった【光の勇者】の命すら代償にした聖剣の一振りで首を斬り落とされ、ようやく息絶えた。その亡骸は、死んだ後も些かも存在感を損なう事がない。
全身を大鬼と自分の血で赤く濡らしたルークは、大鬼の亡骸の横で大の字に寝転がって、戦いの余波によって分厚い雲が消し飛んだ青空を見ていた。
「あーあ。ここまで、か」
ルークは、自分が既に助からないと理解していた。
戦いの合間に片手間で殺された獣人の二人も含め、仲間全員を屠った怨敵である大鬼を討つ事はできた。命を断った時の確かな感触は今もルークの手の中にあり、ある種の達成感に満ちている。
だが大鬼は殺される寸前、その銀腕でルークの腹部を貫いていた。それによって腸は千切れて体外に飛び出し、腰椎も砕けて周囲に散っている。
明らかに致命傷である。ルークの下半身の感覚は既に消失していた。胸部にもほぼ致命傷と言っていい裂傷があり、もはや痛みを感じる段階は過ぎていた。
周囲に治療を施してくれる生者は居らず、魔力も回復アイテムも全て使い切っている。どうしようもなかった。
迫る死を前に、ただ考える事しかできない。
「楽しかった、なぁ。本当に、楽しかった」
思い起こすのは旅の思い出。皆で笑い、皆と出会い、皆と別れて来た記憶。
自然と涙が溢れ出し、ルークの視界はゆらゆらと歪んだ。
「悔しい、なぁ。ああ、悔しいなぁ」
そして走馬灯も終りに近づくと、人生最後の戦いが脳裏に再現される。
存在自体あり得ないような大鬼。【仙人】を彷彿させる卓越した動きでルークを容赦なく追い詰め、更に予測不可能の攻撃を繰り出してきた化物。
ルークは、自分が大鬼に勝った、とは思っていなかった。
確かに殺しはしたが、自分も殺されるような結果では、ただの相討ちである。いや、大切な仲間を全て殺された時点で、ルークは一度負けたのだ。殺した事が勝ちだとしても、自分が死ぬ事でまた負ける。
一勝二敗、負け越しだ。
「でも……これで、会えるかなぁ」
後悔はある。未練もある。そんな全ての思いが削ぎ落ちて、最期の時に思うのはやはり、最愛のアリアの事だった。
結局こんな所で死んでしまう情けないザマでは、アリアに怒られてしまうだろうな、と身体から抜け落ちて行く自分を感じながら、ルークは微笑んだ。
心臓が動きを止め、脳が活動を停止して、意識が消失するその時まで。
後にはただ、凍てつく世界と屍だけが残される。
「――はッ」
【告知される死因】の効果が終了し、意識が現在にまで引き戻される。
発動してから一秒も経過しておらず、黒い大鬼は今も目の前に佇んでいた。
だが戦えばどれほどの犠牲を強いられるのかを知ってしまった私は、コチラにゆっくりと近づいてくる大鬼に対して即座に対処できるように身構える。
ゴクリ、と私は息を呑み込んだ。冷や汗が止まらず、悪寒がする。
今見た幻影が本当ならば、そんな存在と、消耗した状態で戦うなんて流石に嫌気が差す。
しかしアリアとの誓いの為にも、諦める訳にはいかないし、諦めるつもりもない。
ココで諦めればアリアとの約束を反故にするばかりか、仲間の命も護れない。それだけは、我慢ならない。【不治の傷を刻む聖剣】を握る力が無意識のうちに強くなる。
再度、魂を燃やすように気力を絞り出し、重い身体に動けと命令を下す。油断なく、一瞬で殺さなければ殺される。身じろぐだけで傷口から血が漏れ出るが、構うものかと一歩踏み出した。
その時、コチラに近づきながら視線を向けていた黒い大鬼と眼があった。
「お疲れ様。いい勝負だったな」
一般的に【大勢に害成すモノ】として認識されている大鬼が、人間の言葉を流暢に喋った。
固まる思考。動かなくなる肉体。まるで時が止まったかのような一瞬の静寂。
大鬼が苦笑のようなモノを見せた。
「……は?」
我ながら間抜けな声だったと思う。
もはや思考が止まる事を回避できなかった。
ただどうやら、あの絶望的な戦いは回避できたらしい。
◆◆◆
オガ朗と名乗った黒い大鬼とは、会話を交わして仲間達を治療してもらった後、お互いの目的地に向かう為に別れた。
穏便に事が済んだのは僥倖だったと言えるだろう。
バロールの死体だけは全て黒い大鬼に持っていかれたが、護衛フォモール達からも有用な素材を剥ぎ取れているので問題はない。命を助けて貰った代償と考えれば安いモノだ。
彼は、バロールを倒したのは自分の主であって、今も離れたところから私達を狙っている、などと言っていたが、私はそんなモノは居ないと確信している。バロールを倒したのは、彼自身に他ならない。
「世界は、広いなぁ。まさかあんなのが居るなんて、思ってもみなかった」
私はそう言わずに居られなかった。
この旅で世界の広さは体感していたが、私の想像を超える存在はまだまだいるらしい。【詩篇】すら持っていない相手にあんな目にあわされていたかもしれないだなんて……もっと精進しなくてはなるまい。
大切なモノを護る為にも。奪われてしまわない為にも。
「そうですね、ルーク様。でも、多分あの大鬼は際立って特別な存在だった、と思います。それこそ【鬼王】とかになるくらいに」
と言うのはコライユだ。自らの腕でその華奢な身体を抱きしめるようにして、プルプルと小さく震えている。
あの黒い大鬼――オガ朗の冷徹とも言える眼を、私以外で唯一見たが故の反応だろう。
聖職者であるコライユは【加護持ち】に対し、それがたとえ敵であろうとも礼儀正しく敬うように接してきた。そんな彼女でさえ、あの眼を見てしまえばこんな反応をするのも何ら不思議ではない。
アレは言うなれば、捕食者の眼だった。否が応でも、私達が喰われる側だと感じさせるような眼だったのだから。
「確かにねぇ、ありゃヤバいわ。亜種にしちゃ、魔力量の桁が違ってたよ。というより、ありゃ本当に大鬼なのかい?」
「違う、と言いたいんですけどねぇ。あれは」
呆れるクレリアに、セレスが苦笑で返した。
「……大鬼、だったのは間違いない」
腕組みし、確信した表情でアイオラが頷いている。
「臭いは間違いなく大鬼のそれだったでありますぞッ」
チェロアイトは槍の石突きで地面を打ち鳴らしながら、自分の鼻で導き出した答えに自信を持っている。
皆が皆、思考の大部分をオガ朗に占領されながらも、しかし周囲の警戒を怠らずに私達は薄暗い洞窟の中を歩いていた。
何故こんな場所に来ているのか。それはバロールが死に、オガ朗と別れた後、新たな【神託】が下されたからだ。
私の脳内に直接響く【光の神】の声に導かれ、示されるままに歩いた結果、私達はココに居る。
どうやらこの洞窟の最奥に、【光の神】からの贈り物があるらしいのだ。
「あー止め止め。鬱々と考えるのは止めだよ。折角故郷に帰れるんだ、こんな遠い国で出会った大鬼に悩むのは止め止め、止めにしよう。答えも出ないしね」
魔杖を振り回し、クレリアが沈んだ空気を薙ぎ払うような仕草で言った。
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