Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――

金斬 児狐

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4巻

4-6

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《百五十七日目》

 普段通りに午前訓練を終え、ぶらぶらと町を歩こうかと思って琥珀宮から出ると、その途端に傭兵団《戦に備えよパラベラム》への入団希望者が殺到してきた。パッと見でも六十人以上は居るだろうか。
 一般的な革系防具で身を固めた軽戦士や、片手剣とフレイルと盾を装備した少年戦士、大きな斧を持った虎耳獣人、ショートボウを背中に担いだ弓兵などなど、【職業】も種族も多種多様である。
 昨日は外に出なかったので分からなかったが、どうやら俺達が滞在している琥珀宮の近くでは出待ちの冒険者や傭兵がたむろしていたらしい。
 一日待っていた反動か、我先にと迫ってくる入団希望者の集団に引っ張られる形で、なんだなんだと野次馬も集まって、ろくに前に進む事もできないほどになってしまった。
 中には俺を狙う暗殺者も交じっていたので、それを選別して撃滅し、後で喰う為に捕縛しつつ、さて、としばし悩む。
 とりあえず、いつまでも門前に留まっていては面倒事が発生しそうだったので、宮殿から少し離れた大きな噴水のある中央公園で、大雑把な面接をする事にした。
 ぞろぞろとついてくる希望者の姿はまるでカルガモの散歩のようで、笑みが漏れた。
 無論苦笑だが。
 しかも移動中にもどんどん集まってくるのだから面倒くさい。どうやら他の場所にいた仲間を呼びに行く者も少なくないらしい。
 もうこれ以上増やしてもらいたくないのだが、そうはいっても聞かないだろうな、と諦めて目的地に急いだ。
 俺達が中央公園に着いた時には、希望者は二百人近くに膨れ上がっていた。
 これで見所のある輩が一人もいなかったら悲しいので、そんな事はないように、と願ってみる。

 さて、肝心の面接であるが、三十人ほど見てやる気が失せた。
 どいつもこいつも、あまり大差が無い。もちろん使えるのも居るかもしれないが、時間の無駄な気もする。今も並ぶ人数は増え、時間が経つにつれて列が長くなっている。これではいつ終わるかも分からない。
 それに正直、今は新団員を無理に補充しなくても問題ない。
 拠点にはすでに結構な数がいるし、新しいゴブリンやホブゴブリンがこれからも増えていく。訓練したり勉強させたりで使えるようになるには多少時間が必要だが、とにかく十分な戦力を確保済み。
 即席の戦力だって、ブラックスケルトンやブラックフォモールを生成すれば十分以上にまかなえる。

 が同時に、色んな面に対応するに、いい人材はさっさと見つけておくべきだとも思う。
 使える手札は多いほうがいい。今後はもっとゴチャゴチャとした厄介事が待っているだろうし。
 という訳で、正式に《戦に備えよパラベラム》に加入する条件として、一つの条件を提示する事にした。
 それは数日後に開催される《英勇武踏祭》にて本戦まで勝ち進む、というものだ。
 最近ちょくちょく話に出てくる《英勇武踏祭》とは、簡単に言うと強さを競う喧嘩けんか祭りである。
 三年に一度、ここ王都の《円形闘技場コロッセオ》にて開催される大イベントであり、今回で五十回目を迎えるらしい。
 街中を見回せばそれを宣伝するポスターやら垂幕たれまくがいくつもあり、大々的に宣伝されている。
 見物客かあるいは出場者だろうヒトも増え、今やそこら中が普段以上の活気に満ちていた。
 それにどうやら五十回という節目だからか、他の国の王族や皇族も結構な数が来るそうだ。
 当然それ等を守る護衛の騎士団や他国と交渉する為の文官団、祭りに出場する国の代表者もたくさん来るだろう。
 それはつまり、他国の【英雄】や【勇者】を喰うチャンスが十分ある、という事だ。そう考えただけで腹が空いてきた。
【英雄】や【勇者】はどういった味がするのだろうか。肉質は、骨の硬さは、血の味は、得られるアビリティは……と考えるだけでよだれが出そうになった。
 ああ、早く来ないだろうか。

 話を祭りの説明に戻すが、毎回の出場者の平均数は数千名にもなるそうだ。
 そんな数の参加者が集まる理由はいくつもあるが、中でも一番大きいのは、優勝者、あるいはベスト16にまで入った者達に贈られる景品にある。
 その景品は毎年変わるが、過去にはこんな品々が含まれていたそうだ。

 ・【知恵ある蛇/竜・龍】から採れた素材を使用して作られた屠竜剣とりゅうけん
 ・希少な魔法金属で造られたゴーレム兵五体とその予備パーツ各種。
 ・騎獣として調教された雷雲ただよわすライトニングワイバーンと、その鱗から造った雷竜槍。
 ・王国内に点在する迷宮の秘匿ひとくされた情報の開示及び使用許可。
 ・生命力等を大幅に底上げするアミュレット及び宝玉。

 などなど、かなり豪華だ。
 個人的には迷宮の情報と、ライトニングワイバーンが欲しい。ジャダルワイバーンの肉が美味しかったので、別種のワイバーン肉もぜひ喰ってみたいのだ。
 それにベスト16からベスト9までは金貨五枚、ベスト8からベスト4までは金貨十枚、ベスト3から上はそれに金貨が五枚ずつ増えて、つまり優勝者には金貨二十五枚がついてくる。一生遊んで暮らせる額ではないが、数年は遊べるはずだ。
 その為、腕に覚えがある者がこぞって参加する。
 つまり祭りの本戦まで勝ち進むとなると、それなり以上の実力者である証明になる。
 予選は数十人でのバトルロイヤル形式らしいので、これだけで大分絞れるだろう。
 それにそれぐらいではないと、ただの捨て駒にしかならない可能性がある。捨て駒にはブラックスケルトン達がいる。無駄飯喰らいの足手纏いは不要です。
 そんな考えでこの条件を提示すると、諦めたり悔しんだり、喜んだり気合いを入れたりと、それぞれ様々な反応を見せて希望者は散って行った。
 面接はこうして終了し、俺達は最初の予定通りにぶらぶら放浪してから帰った。

 今日の晩飯は、先日のジャダルワイバーンの肉の残りを焼いたステーキだ。
 表面を高熱でこんがりと焼いて肉汁を閉じ込め、王都で仕入れた迷宮産の塩と自家製ソースで味付けした肉は、食欲をそそる匂いを発していた。
 大きく口を開けて齧り付くと、シッカリとした歯ごたえで、噛めば噛むほど溢れる肉汁がたまらない。
 食欲の赴くまま、五、六枚ばかし巨大ワイバーン肉のステーキを楽しんでいると、それは起きた。

[能力名【亜竜の瞳レッサー・ドラゴンアイ】のラーニング完了]

 ……あれ? なんで、アビリティをラーニングできたんだ? もうとっくに制限時間は過ぎているはずなのに? いや、そういえばレッドベアーの時もラーニングできたのは変だった。あの時は混乱していたので気にする余裕が無かったが、やはり制限時間を過ぎていたはず。
 そうなると、もしかしたらかなり前から、それこそゴブリンになった時から、俺の【吸喰能力アブソープション】は前世のモノとは変わっているのかもしれない。
 混乱しつつも憶測を並べ、その原因を探る。
 こんな事は初めてだ。どうやら今日はなかなか寝れそうにないらしい。


《百五十八日目》

 遥か遠くに、豆粒ほどに見える王都を、朝日が照らしている。
 昨日の『何故かラーニングできたよ』事件を切っ掛けに、俺はワイバーン肉を喰い続けた。女武者達と闘技場で多少喰っていたとはいえ、まだまだ軽く数十人前の肉が残っていた。
 だがそれ等を全て喰っても新しいアビリティは得られなかった。そこで新しい肉を確保しようと、俺は皆を率いてジャダル山脈に行く事にした。
 昨夜思い立ってすぐに出発。骸骨百足に揺られる事数時間。道中の危険は骸骨百足と分体で排除しつつ到着。山頂に白雪が積もったジャダル山脈の中腹にて、俺達はジャダルワイバーン及び生息しているモンスター狩りを開始した。
 ジャダル山脈はジャダルワイバーンが住んでいる事で有名だが、他にも多くのモンスターが生息している危険地帯だ。

 たとえば〝蛇鶏コカトリス〟。
 外見は蛇の尾と鱗を持つ人間サイズの大きな鶏。石化効果を持つ魔眼とくちばし、それから掠るだけで動けなくなる毒爪が危険だが、その肉はサッパリとした美味で知られている。王族皇族のパーティに出される料理にも使われるらしく、お転婆姫もコカトリスの唐揚げは好物だと言っていた。
 ただしコカトリスは純粋に強い部類のモンスターなので、その肉が市場に出回る事は少ない。

 たとえば〝女鬼蛇ナーガ〟。
 下半身が大蛇である女型の鬼。他種族の男を誘惑し、涸れるまで精を絞り取るという、ドライアドや淫魔サキュバスと似た性質を持ち、美人ばかりだ。
 そして美貌で引き寄せられた愚者は、行為が終われば絞め殺されて丸呑みされるとかなんとか。
 亜人の一種でもあるので知恵が働き、眷族の蛇――ナイトバイパーなどなど――を使役するので結構厄介な部類に属する。
 ただし巣には高値で取引される素材が転がっているので、命知らずな商人が取引を持ちかける事もあるとか。

 たとえば〝熊蜂ベアービー〟。
 魔獣蟲類まじゅうちゅうるいの一種で、熊に蜂のような足を六本と二対四枚のはねと毒針、そして部分的に外骨格を加えたような外見をしている。
 蜂の俊敏性と飛行能力、強力な毒針に加えて強固な鎧を持つ熊。何それ怖い。
 ただ個体数は比較的少ない事だけが救いと言えるだろう。

 この他にも多種多様なモンスターが生息している。
 ジャダル山脈は俺にとって未知食材の宝庫である上、それなりに高レベル地帯なので経験値も美味しい。
 俺は単独行動で好き勝手やる事に決めて、残りのメンバーの指揮はカナ美ちゃんに一任した。
 何故かお転婆姫と少年騎士もついてきてしまっているが、先日新しく加わった剣闘王や女武者も居るので、ジャダルワイバーンの群れに襲われても大丈夫だろう、きっと。ダメならイヤーカフス経由で連絡が来るはずだ。
 という事で始めた単独ハンティング。
 時間が惜しいので【早期索敵警戒網フェーズドアレイレーダー】と【空間識覚センス・エリア】を同時発動。
 これで一気に広範囲を知覚できるようになり、目標物を探しやすくなった。すぐそばに反応はあったが、どれもたいした事がないようなので無視し、もっと興味を引かれるモンスターを探す。
 俺の存在がばれないようにできるだけ無音で山中を走りながら獲物を探していると、数分と経たずにいいモノが見つかった。

 最初に見つけたのは〝熊蜂〟の巣だった。
 断崖絶壁の岩肌に造られたそれは、もはや一種の要塞と言える。何でできているのか不明だが、灰色の巣は一〇〇メートル単位の大きさがある。半球状の巣が崖に張り付いている様は、見ていてなんだか気持ちが悪い。
 ベアービーにはそれぞれの役割があるようで、モンスターという餌を捕ってくる〝働きベアービー〟もいれば、巣の奥で〝ベアービー・チャイルド〟の世話をしている個体もいる。巣の周囲を飛び回って外敵に備えている一際ひときわ巨大で屈強な全身を外骨格に覆われた〝兵隊ベアービー〟もいれば、巣の奥で惰眠を貪っている〝怠け者ベアービー〟もいるようだ。
 ただ確かに大きな巣の割には個体数が少ない。
 全て合わせて、せいぜい八十匹程度だろうか。これはベアービー・チャイルドなども含めた数なので、戦えそうなのは五十匹から六十匹といったところか。
 これほどの大きさの巣でこれだけしかいないというのは驚きだが、各個体が大きい故に広さが必要なのだろう。
 ともかく、さっそくベアービーの巣を発見できたのは幸先がいい。
 何故かと言えば、ベアービーの蜂蜜は高級食材の一種として知られているからだ。チャイルドも、蜂の子よろしく食べられるらしい。
 ちなみにベアービーが巣に運んだモンスターの死骸は、肉団子にして食べる事もあるが、大半はとある魔花の種を植えこみ、苗床にして綺麗な花を咲かせて、その蜜を溜め込むのだとか。自分で餌の元を栽培するとか、ベアービーって意外と凄いな、と感心してみる。
 さて、と気を取り直して、拠点の近くで養蜂ようほうする為、ベアービー達を《使い魔》にする事にした。
 手順は簡単で、麻痺毒を燃やした煙を、気流を操作して巣に流し込み、充満させる。それからしばらく待ち、反応が無くなるのを確認してから巣の中へ。
 結果として普通のベアービーの二倍以上の大きさを誇る〝ベアービー・クイーン〟を一匹、ゴブリンと同じくらいの大きさがあるチャイルドを五匹、巣を作る働きベアービーを十匹、兵隊ベアービーを六匹、《使い魔》にできた。
 他は全て殺し、新鮮なうちに食べてみた。独特な癖のある熊肉の味もよかったが、蟲の足や熊の手といった部位は蜂蜜が染み付いているのか甘く、特に美味い。

[能力名【養蜂ようほうたくみ】のラーニング完了]
[能力名【蜂の一刺し】のラーニング完了]

 養蜂に関して高い補正が発生する【養蜂の匠】を得られたのは【幸運】だった。
 それにやや赤色をした蜂蜜も大量に確保できた。
 一口味見してみると、あまりの美味さに思わず叫んでしまった。身体の奥底から力が漲るような感覚もある。
 ふむ、これは養蜂に成功した際には、ぜひとも食卓に並べたい。味もそうだが、疲れが吹き飛ぶ。
 それにエルフとの有用な交易品にもなりそうだ。
 その他にも巣にあったモンスター素材を回収し、巨大な巣は大雑把に切り裂いて分解、アイテムボックスに突っ込んだ。巣の外郭はかなり頑丈だったので、何かに使えないかと回収してみた次第である。

 探索を再開すると、今度は〝首狩り兎ボーパルバニー〟が群れで襲ってきた。
 以前見つけたブレードラビットの上位種らしく、額には緩やかな弧を描く鋭い刃が生え、尻尾には刃付きの鞭のようなものが生えている。音もなく近づき、頭部の刃や尻尾の刃鞭で攻撃してくるので多少は厄介な部類なのだろう。
 邪魔なのでサクッと殺し、その兎肉を食べました。何もラーニングできなかったが、腹の足しにはなった。味はそれなりなので、ツマミによさそうである。
 特に頭部の刃は煎餅せんべいのようにパリッとした歯応えで、ピリっと辛く、より一層酒が欲しくなった。

 その次は〝岩石巨人ロックゴーレム〟と遭遇した。
 ボーパルバニーの肉を喰おうとして、丁度いい高さの岩があったのでそこに腰かけると、それは身体の半分以上が土に埋もれたロックゴーレムだったのである。
 ゴーレム系のモンスターは基本的に、人間の特定職業持ちが素材に魔力を与えて儀式をする事で誕生するか、土地に魔力と活力が満ちている場所に自然発生する。
 自然発生したゴーレムはほぼ間違いなくその土地の特徴を色濃く体現し、火山近くだと溶岩で出来た〝溶岩巨人ラーヴァゴーレム〟、氷山近くでは氷雪で出来た〝氷塊巨人アイスゴーレム〟、砂漠なら流砂で出来た〝砂漠巨人デザートゴーレム〟となる。
 ゴーレム系に共通する特徴として疲労する事がないので活動時間が非常に長く、また破損しても核が壊れない限りはその環境にある素材で簡単に自己修復する。だから人間が造ったダンジョンを徘徊するダンジョンモンスターとしても有名だ。
 勿論神がそれぞれの権能けんのうを使って造る神代ダンジョンや、派生ダンジョンでも見かける事は多々あるらしい。むしろそういった場合の方が各段に強いという。ダンジョンによるモンスター強化を受けるだけでなく、環境に適した能力があるからだ。

 今回のロックゴーレムは五メートルほどで、巨鬼トロルと同程度。痛覚が存在しない上、素材が岩なので攻撃力と防御力はロックゴーレムに軍配が上がるだろうが、動きの機敏さでは僅かにトロルが勝っていた。
 ロックゴーレムの攻撃はどれも大ぶりで、当たれば痛いだろうが、致命的ではない。
 邪魔なのでさくっと胴体部分になる岩を砕き、その中からロックゴーレムを形作る拳大の魔核を採取した。この魔核はスライムと同じく、ゴーレム唯一の急所だ。
 これを壊すか、あるいは取り出せば倒す事が出来る。
 魔核は何かに再利用も出来るが、今回は口に放り込み、コロコロと飴のように味わいながら次の獲物を探して彷徨さまよった。

 そうして一日狩りを続け、当初の目的だったジャダルワイバーンも十頭ほど殺して肉を確保したし、それ以外のモンスター素材もかなり集まった。
 残念ながら新しいアビリティは得られなかったが、なぜ数日置いておいた肉からアビリティをラーニング出来たのか調べるには十分な素材が手に入ったので、目的は達成できている。
 とりあえず、四日ほど時間を置いてみようと思う。
 お転婆姫達も楽しめたようで、ご満悦だった。

 ちなみに使い魔にしたベアービー達は、骸骨百足を一台造って拠点へと送る。
 流石さすがに王都に連れて行く訳にはいかないだろう。


《百五十九日目》

 午前訓練をしていると、俺達を監視していた【闇守の勇者】アルリッヒ・ティン・アグバーが隠れるのを止めて、堂々と訓練に参加したいと申し出てきた。
 前にも言ったように、やせ細ったその姿は幽鬼のようでかなり不気味だ。
 これからはそのアルリッヒに近くで監視される訳だが、しかしそれを絶対に断るほどの理由はない。むしろアルリッヒという王国内でも高い地位にいる存在に監視され、それを出し抜いた方が色々有効に働く。
 そんな訳で、アルリッヒの要望を受け入れる事となった。
 現在の雇い主であるお転婆姫の指示があった事も理由としては大きい。『多い方が面白いのじゃ』だそうだ。当然裏の意味もあるが、それはともかく――
 参加させたらどうなるものかと気を張っていたが、特に変わった事もなく、粛々と訓練に励むアルリッヒ――面倒なので今後は闇勇と呼称しよう――には好感が持てた。

 外に出るとまた希望者が殺到してきそうなので、午後は琥珀宮で過ごす。
 昨日の山狩りで更にレベルアップし、肉も喰って自己強化した赤髪ショートが手合わせをしたいと言ってきたので、オーロとアルジェントも交えてやってみた。
 赤髪ショートの成長の早さも驚きだが、オーロとアルジェントのコンビネーションは思っていた以上に良くなっている。
 俺の血と姉妹さん達の血が流れているからか、何処となく心が通じるらしく、何の合図もなしに動きを合わせている。まるでただ呼吸するかのような自然さで、一歩間違えればお互いに当たって自滅するだろう苛烈な攻撃が繋がっていく。
 子供達の成長を嬉しく思いつつ、平和に過ごした。
 とはいえ分体で色々裏工作したり、お転婆姫と悪だくみしていたわけだが。
【貴族派】の精神力と戦力、そして財力を着実に削っていく作業は、そこそこ面白い。領地内で徴収した税を不正に着服していた貴族から、貴金属やらマジックアイテムやらを回収しているので、同時に懐も温かくなるのがとてもいい。
 あと二、三人も狩れば、こちらにかなり有利になりそうである。
 ヒトが抱く未知への恐怖というものは簡単に煽れるので、仕掛ける側としてはありがたい。

 そして夜は久々にカナ美ちゃんと夜空のデートに出かけた。
 王都の明るさで星は多少見難かったが、点々と魔法のあかりに照らされた王都の夜景が良かったので不満はない。
 さて、祭りまであと二日。
 どんな事が起こるのか、楽しみである。


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