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1日目:採寸
エレベーター
しおりを挟む除毛を終えてぐったりとした桃香は、病院の検査着のようなガウンを渡され着替えた。
(うう、すっごく色んなところ見られちゃったし。あ、あ、あそこの毛が無くなっちゃうなんて……っ)
スースーする下半身。しかもブラもショーツもなく、着ているのはガウンのみの状態だ。せめてショーツを履かせてほしいが、「除毛クリームを塗ったあとはしばらく布による摩擦が良くない」と言われた。
「では測定室に行きます」
「測定室?」
「全身スーツを作るために、体を3Dスキャンで測定するんです。測定室は5階にあるので行きましょう」
すたすたと歩きだした阪部は更衣室のドアを開けて、桃香も出るように合図している。しかし桃香は慌てて訴える。
「え、このまま……っ?」
こんなガウン1枚で1階の沐浴室から5階まで行くのかと桃香が驚く。
「え?あぁ、そのままで大丈夫ですよ。あとの工程でもすぐに脱いでもらうので都合がいいです」
「脱ぐって……ええ!?」
慌てふためく桃香をよそに、阪部は腕時計を見て「時間が押しているので」といい、桃香を更衣室の外に出した。
「行きましょう、尾嵜が待っているので」
「そ、そんな!」
◆◆◆◆
ぶるん、ぶるん
ぶるん、ぶるん
ガウンの下では歩くたびにGカップが揺れ動く。沐浴室を出た二人は、外部の者は入れない研究員専用のエレベーターに乗るため、上行きのボタンを押してエレベーターの到着を待つ。
研究員専用のスペースは二人以外誰もいない。しかし、いつ他の研究員が歩いてくるか分からない。
(あぁっ、やだ、はやく、はやく、エレベーターきてっ)
桃香は足を擦り合わせながらエレベーターを待つ。体は緊張からか小さく震えている。
見かねた阪部が声をかける。
「この研究所は色々な実験やモニターをしています。寺方さん以外の人も検査着を着て移動してもらっていますから」
しかしそんなフォローをされても恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。桃香は返事をせず下を向く。
検査着のようなガウンは、綿でできており、厚みのある生地ではなかった。全体的にゆったり着れるサイズだが、乳房のところだけがパツンと張っていて窮屈だ。緊張でわずかに勃ち上がっている乳首の位置が外から分かってしまう。
エレベーターが上から降りてきた。ようやく1階にきたてポーン、という到着を表す音が鳴る。
(やっと乗れる!)
早く乗ってしまいたいと桃香はパッと顔をあげる。するとエレベーターのドアが開くと、4人の男性研究員が出てきてその一人と目が合う。
「……きゃっ!」
桃香の悲鳴がエレベーターホールに異様に響く。全裸を見られている阪部はともかく、今のガウン1枚の姿を見られたくないと、桃香はしゃがみ込んだ。
するとエレベーターから出てきた研究員たちが何事かと駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
体調悪化でしゃがみ込んだと思ったのか、一人の研究員が桃香の肩をポンポンっと小さく叩く。
阪部は桃香がしゃがみ込んだ理由がわかり、研究員たちに大丈夫だと説明する。
「寺方さん、立てますか?」
桃香は今の状況が自分に注目を集めているとわかり、ゆっくりと立ち上がる。
「すみ、ません。大丈夫です」
猫背になりながら、腕を胸の前でクロスさせている。
研究員たちは大丈夫なら良かったと安心して去っていった。
ようやくのことでエレベーターに二人で乗り込む。
阪部が閉ボタンを押そうとしたとき、エレベーターの外から声がかかる。
「待った!」
阪部が開ボタンを押すと、男性研究員が一人と、桃香と同じようなガウンを着た男女が中に入ってきた。
またもや桃香が小さく声を上げて、しゃがみ込まないまでも体をぎゅっと縮こませて、両腕を体の前で強くクロスする。亀が首を引っ込めるように、エレベーターの端で桃香は大袈裟なほど防御の体勢になる。
男性研究員が四階のボタンを押して、エレベーターが上っていく。
しかし桃香とは違い、他のモニターらしき男女二名はあたかもガウンが普通のように振る舞っている。軽い雑談までしている。
(なんであんなに平気そうなの?これじゃ恥ずかしがってる私の方が恥ずかしくなっちゃう)
桃香は今までの恥ずかしさとは違う恥ずかしさを感じ、恐る恐る体勢を普通に戻す。
(これは普通のこと。普通のことだってば。ちゃんとした研究所のモニターなんだ。恥ずかしがったら余計に注目を集めちゃうっ)
四階で彼らが降りていき、阪部と桃香の目的地の五階に着いた。
エレベーターに乗りこんだ時とは違って、桃香はピンと背筋を張って歩き出す。
乳房の揺れにも構わず、また、スースーとする股間にも構わずに阪部に付いて歩いていった。
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