自分が読みたいタイプの追放悪役令嬢のやり直しモノ

じょるでぃ

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学園にて

クラスの出し物

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「私たちのクラスは、初期王朝をモデルにした喫茶店なんだ」


 ランチを一緒してるフィーユとコーニーが、自分たちのクラスの出し物を教えてくれた。
「へー、じゃあレース編み集めるの大変だねぇ」
「ん?どうして?」
 ポロっとこぼすと、何を言ってるの?とばかりにフィーユとコーニーふたり揃ってキョトンとしてる。

「だって初期王朝のデザインを取り入れるんなら、壁とか扉とか柱とか、あちこち凝った刺繍の白レースで飾らなきゃそれっぽくなんないじゃん。教室全体だと一部屋でも大変だよ?」
「……そのような研究、初めて聞きましたが…?」
 と、コーニーが不審げに眉をひそめて言った。食後のハーブティーを飲んでたエルサも、それは知らないと首を振る。


「王朝史研究はどうか知らないけど、当時の資料読んでたら挿し絵とか記述とかにちょくちょく出てるでしょ?初期王朝の絵画とかさ。レース無かったら、当時のそれっぽい雰囲気出ないんじゃない?」
「サリー様はどちらでその資料をお読みになられたのですか?」
 コーニーは見た事無いらしい。まぁ王朝史の初期の事なんて、歴史の授業で習う程度の知識あれば十分だし。
 わたしだって王妃教育で叩き込まれでもしなけりゃ、こんな興味無い事、覚えてるわきゃない。


 フィーユたちのクラスも、当時の衣装を模した服に初期のティーパーティーを再現するくらいを考えてたみたい。部屋を飾るまでは考えてなかったんだってさ。
 なのでいつ読んだんだっけかな?と記憶の底を掘り返し、なんて書籍の挿し絵だったかをいくつか思い出す。
「ありがとうございます。クラスで改めて話し合ってみます」と、コーニーは頭を下げた。


(う~ん、まだ何か壁があるんだよねぇ…)

 大人しいというか、感情の起伏を抑えて表情を変えないようにしてるっぽいコーニー嬢は、フィーユと一緒にいててもまだわたしたちから一歩下がったところに居る感じがする。
 まぁ本人がそこに居心地良さを感じてるなら無理強いする必要はない。わたしたちは変わらず友達として接するだけだ。
 いつかわたしたちを受け入れてくれると良いな。


「サリーたちの方はどんな事するの?」
 無邪気なフィーユの好奇心に、今度はわたしが頭を抱えた。
「講堂の舞台で演劇だよ。主役は……」
 と、アンバーがいたずらっぽく笑って、わたしを見た。


「男女逆転劇!?」

 フィーユが瞬間的に目をキラキラとさせた。クラスの女の子たちと同じ反応だ。絶対に観に行く!なんてはしゃぎだしちゃってる。
 エルサが提案したこの奇抜なアイデアに、ウチのクラスも一気に魅了された。そしてそのまま、出し物は舞台演劇で決まってしまった。

 それも、主役ヴィランである『ティボール・ラフネス役』には、わたしの意志を完全に無視した満場一致で、サリー・ラフネスの名前を選出してしまったのだ。


「わたしゃ演技なんてやった事無いし、舞台に上がりたいとも思った事無いのに…」

 でも、わたし以外でティボー役をやって納得してもらえる子はいないから、と説得された。そら本物のラフネスが側にいるとこでラフネスを演じるなんて、プロの俳優でも嫌がるだろう。


 ロジャー・フェアネス役は、前に歌劇を観に行って以来俳優に憧れているアンバーが立候補した。脚本はエルサと、文学仲間の女の子たちで共同で書く。
 その脚本の構成と全体のプロデュースは、ご実家が劇団のパトロンもしてるフレンくんが名乗り出た。

(お?最近のアプローチはますます積極的になってるねぇ)

 と一瞬思ったものの、これ言うとフレンくんが必死になって否定するから黙っておいた。当のエルサには全く気づいてもらえてないから、ちょっと不憫ではある。


 こうして見ると、なんだかウチの班が我が物顔で主導権握ってるみたいだ。けれどクラスは40人しか居ないから、実際はくまなく全員で取り組んでる。
 大道具の子も何人か、モブで舞台に立ってもらわなきゃ人数が足りないほどだし。

 なので今は、出来上がった台本覚えて演技の練習するのに必死だ。人前で演説するのより、よっぽど照れが強い。
(エルサの脚本、キザすぎるんだよねぇ…)
 彼女の中でのティボール像は、なかなかに女泣かせのクズ男だから、特にね。

「同じラフネスだし、サリーの事イメージして書いたんだ!」
 とか言って嬉しそうにされちゃ、わたしに出来るのは友達のために覚悟決めるだけなんだよね。


 はぁ~、なかなかに荷が重いわ(笑)








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