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仕事が終わって約束したチェーン店のカフェに行くと、そこだけ絵か!って言いたくなるような美形が脚を組んでコーヒー飲んで図書館から借りた本読んでた。もちろん田宮さんだ。
「‥うっす」
「藤野くん!」
なんか超絶美形に声を掛けるの恥ずかしいな。俺が声掛けたらこの美しい空間歪まね?
田宮さんがこちらに気付き、嬉しそうに微笑む。そしたら周りにいた女の子がちらちらこっちを見てくる。えっ、なあにこれー!女子に注目してされてるー!!恥ずかしいぃ!!!
いや、もちろんわかってる。この視線はこの美形男子の連れって誰よ。の視線だ。俺が急にモテ出したわけじゃない。
わかっているけどちょっと浮かれるよ、女子から注目浴びることなんてないもん。あっ、あの子可愛い。
「藤野くん、お疲れ様」
俺が可愛い女の子を見つめているとすかさず田宮さんが声を掛けてきた。田宮邪魔すんな。今もうちょっとで目が合うとこだったんだぞ(妄想)。
「ういっす。あっ、俺もなんか頼んで来ていいですか?」
「コーヒー?カフェラテ?」
「あ、お、オレンジジュース‥」
コーヒー嫌いなんだよな。苦いし。ちょっと恥ずかしいじゃん。語尾が小さくなっていく。
田宮さんはくすって笑って「待ってて」って言って断る隙もなくカウンターに買いに行ってくれた。
ちょっと笑われた‥。やっぱ24にもなってコーヒー飲めないのはこう言う場面であれだな。口付けなくてもコーヒー頼めばよかったかな。でも仕事終わりで喉乾いてんだよね。
というか、年上の美形男子が俺のためにわざわざオレンジジュースを買いに行ってくれたよ?なにこれ。田宮さんめっちゃいい人じゃん。
俺は向かいの席に腰掛けると手持ち無沙汰でテーブルに置いてあった『あの子と知り合いになりたい!なんでも交友術!!』をぱらぱらと見る。
ふんふん。なるほどなあ‥。俺も人付き合い得意じゃないけど、こうやって本を読んで学ぼうなんて考えたこともなかったなあ。
「藤野くんも興味ある?」
「えっ、ああ‥まあ、はあ」
こう言うとこだな。上手い返しも出来ねえの。興味あるかないかより俺も学ぶべきなのかも。
「待ってる間に読んでたんだけど、こういう会話を一緒にできる人がほしくって」
田宮さんはそう話しながら買ってきてくれたオレンジジュースをテーブルに置きながら椅子に腰掛ける。
「あ、いくらですか」
「ふふ。お疲れ様」
優しく労う感じでスマートに支払いを拒否された。なんか手慣れてんなー。
「田宮さんみたいな人、この初心者交友術みたいな本必要ないんじゃないっすか」
「そう見えるなら悪いことじゃないよね。でも初心忘れずべからず、っていうか。さっきも言ったけど一緒に会話を楽しんでくれる人が欲しいんだよね」
「はあ」
そこらへんにゴロゴロいそうだけどな。周りの女の子も未だちらちらこっち見てるし。
「‥‥田宮さん、彼女とかいないんすか」
俺がそう聞くと田宮さんはぱっと明るい表情になった。
「気になる?」
あー、いるな、これ。自慢話くるかー?
「いや、まあ、田宮さんの彼女さんとかすごい美人そう」
「んー、どちらかっていうと可愛い子の方が好みかな。地味めで、そうだな、図書館とかで働いてる少し恥ずかしがり屋なひと」
地味めで図書館で働いてる?枝多さんとかタイプかな?意外。華やかなタイプは華やかな人とくっつくのかと思ってたよ。枝多さんも美人か可愛いかで言ったら可愛いか、まあ普通か、可愛いか?まあ恋は盲目っていうもんな。
「今、アプローチ中なんだ」
「そうなんすか!?えっ、じゃあ彼女いないんですね」
俺と同じじゃん!なんか急に仲良くなれそうな気がしてきた!
「えっ‥、じゃあ、図書カード作ったのもその人と近づくため?」
枝多さんか?狙いは枝多さんなのか?!
「ふふ、そうだね」
多分枝多さんが見たら即OKしそうなとろける笑顔で田宮さんはうなずく。
「お、俺、応援します!!」
正直、彼女がいないと知ったばかりの田宮さんに先を越されるのは癪だけど、慣れ親しんだ仕事仲間の枝多さんの恋のチャンスを応援しないわけがないだろう?枝多さんは俺より先輩で日頃から世話になってるし。だけどここだけの話、枝多さんが可愛いかって言われたら普通だけどな。美形男子の趣味はちょっとわからん。
「じゃあ色々相談に乗ってほしいな」
田宮さんはスマホを取り出す。あ、あー!!わかった!それでさっき俺の連絡先を知りたがってたのね!会話の練習する人探してるっていうのは口実で、枝多さんと知り合いになるきっかけを作るために同僚の俺に声を掛けてきたのか!やっぱり先入観はいけないな、田宮さんは爆イケに見えて本当はシャイなんだ。
え?その歳でそこまで不慣れってことは田宮さん童貞ってことないよな?まさかな??まあここだけの話、俺は童貞だけど。
こんなに美形に生まれてそんでもって御曹司とか言うオプションも付いてきてるのに好きな人にどう接していいかわかんないなんて、田宮さん好感度高すぎるだろ!田宮さんを応援してあげたすぎるわ!!
俺は田宮さんの目をしっかりと見つめうなずく。
「任せてください‥!」
「‥うっす」
「藤野くん!」
なんか超絶美形に声を掛けるの恥ずかしいな。俺が声掛けたらこの美しい空間歪まね?
田宮さんがこちらに気付き、嬉しそうに微笑む。そしたら周りにいた女の子がちらちらこっちを見てくる。えっ、なあにこれー!女子に注目してされてるー!!恥ずかしいぃ!!!
いや、もちろんわかってる。この視線はこの美形男子の連れって誰よ。の視線だ。俺が急にモテ出したわけじゃない。
わかっているけどちょっと浮かれるよ、女子から注目浴びることなんてないもん。あっ、あの子可愛い。
「藤野くん、お疲れ様」
俺が可愛い女の子を見つめているとすかさず田宮さんが声を掛けてきた。田宮邪魔すんな。今もうちょっとで目が合うとこだったんだぞ(妄想)。
「ういっす。あっ、俺もなんか頼んで来ていいですか?」
「コーヒー?カフェラテ?」
「あ、お、オレンジジュース‥」
コーヒー嫌いなんだよな。苦いし。ちょっと恥ずかしいじゃん。語尾が小さくなっていく。
田宮さんはくすって笑って「待ってて」って言って断る隙もなくカウンターに買いに行ってくれた。
ちょっと笑われた‥。やっぱ24にもなってコーヒー飲めないのはこう言う場面であれだな。口付けなくてもコーヒー頼めばよかったかな。でも仕事終わりで喉乾いてんだよね。
というか、年上の美形男子が俺のためにわざわざオレンジジュースを買いに行ってくれたよ?なにこれ。田宮さんめっちゃいい人じゃん。
俺は向かいの席に腰掛けると手持ち無沙汰でテーブルに置いてあった『あの子と知り合いになりたい!なんでも交友術!!』をぱらぱらと見る。
ふんふん。なるほどなあ‥。俺も人付き合い得意じゃないけど、こうやって本を読んで学ぼうなんて考えたこともなかったなあ。
「藤野くんも興味ある?」
「えっ、ああ‥まあ、はあ」
こう言うとこだな。上手い返しも出来ねえの。興味あるかないかより俺も学ぶべきなのかも。
「待ってる間に読んでたんだけど、こういう会話を一緒にできる人がほしくって」
田宮さんはそう話しながら買ってきてくれたオレンジジュースをテーブルに置きながら椅子に腰掛ける。
「あ、いくらですか」
「ふふ。お疲れ様」
優しく労う感じでスマートに支払いを拒否された。なんか手慣れてんなー。
「田宮さんみたいな人、この初心者交友術みたいな本必要ないんじゃないっすか」
「そう見えるなら悪いことじゃないよね。でも初心忘れずべからず、っていうか。さっきも言ったけど一緒に会話を楽しんでくれる人が欲しいんだよね」
「はあ」
そこらへんにゴロゴロいそうだけどな。周りの女の子も未だちらちらこっち見てるし。
「‥‥田宮さん、彼女とかいないんすか」
俺がそう聞くと田宮さんはぱっと明るい表情になった。
「気になる?」
あー、いるな、これ。自慢話くるかー?
「いや、まあ、田宮さんの彼女さんとかすごい美人そう」
「んー、どちらかっていうと可愛い子の方が好みかな。地味めで、そうだな、図書館とかで働いてる少し恥ずかしがり屋なひと」
地味めで図書館で働いてる?枝多さんとかタイプかな?意外。華やかなタイプは華やかな人とくっつくのかと思ってたよ。枝多さんも美人か可愛いかで言ったら可愛いか、まあ普通か、可愛いか?まあ恋は盲目っていうもんな。
「今、アプローチ中なんだ」
「そうなんすか!?えっ、じゃあ彼女いないんですね」
俺と同じじゃん!なんか急に仲良くなれそうな気がしてきた!
「えっ‥、じゃあ、図書カード作ったのもその人と近づくため?」
枝多さんか?狙いは枝多さんなのか?!
「ふふ、そうだね」
多分枝多さんが見たら即OKしそうなとろける笑顔で田宮さんはうなずく。
「お、俺、応援します!!」
正直、彼女がいないと知ったばかりの田宮さんに先を越されるのは癪だけど、慣れ親しんだ仕事仲間の枝多さんの恋のチャンスを応援しないわけがないだろう?枝多さんは俺より先輩で日頃から世話になってるし。だけどここだけの話、枝多さんが可愛いかって言われたら普通だけどな。美形男子の趣味はちょっとわからん。
「じゃあ色々相談に乗ってほしいな」
田宮さんはスマホを取り出す。あ、あー!!わかった!それでさっき俺の連絡先を知りたがってたのね!会話の練習する人探してるっていうのは口実で、枝多さんと知り合いになるきっかけを作るために同僚の俺に声を掛けてきたのか!やっぱり先入観はいけないな、田宮さんは爆イケに見えて本当はシャイなんだ。
え?その歳でそこまで不慣れってことは田宮さん童貞ってことないよな?まさかな??まあここだけの話、俺は童貞だけど。
こんなに美形に生まれてそんでもって御曹司とか言うオプションも付いてきてるのに好きな人にどう接していいかわかんないなんて、田宮さん好感度高すぎるだろ!田宮さんを応援してあげたすぎるわ!!
俺は田宮さんの目をしっかりと見つめうなずく。
「任せてください‥!」
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