欠陥だらけの完全無欠〜パーティ追放された二人が組んだら、最強のコンビになりました〜

侍兵士

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11 仲間が増えた

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「いやぁ~食べた食べた~~、ありがとねお2人さん~、もうダメかと思ったよ~」
「いえいえ、こっちも助けて貰ったし……」

 空腹で倒れた女性を連れて、私たちはギルド支部へ来ていた。
 ここには食堂もあるし、ついでにクエストの報告もできるしで、二度手間にならずに済んだ。

 ………まぁ、この人に食べさせてあげたご飯で、今日の取り分ほとんど持っていかれたんだけど。
 命には代えられないし、何より恩人だからそれはしょうがない。

「ほんとに助かったよ~、なんてお礼をしたらいいか~」
「私たちも助けて貰っちゃったからおあいこよ、気にしないで!」

 ミラは早くも打ち解けたようで、すでに敬語ではなくタメ語で会話できるようになっていた。この子のコミュニケーション能力は、正直異常だと思う。

「1ヶ月何も食べてなかったからね~、流石に今度ばかりは死ぬかと思ってたよ~」
「へぇ、1ヶ月も……………1ヶ月ぅ!?」
「お金無くて~~」

 多分、普通の人だったら2週間ぐらい前にはもう死んでる気がする。
 その状態で立ててるなんて、この人相当の大物なのかもしれない。

「だからこっちとしては命を助けて貰ったも同然なわけ~、だから何かさせて貰わないと気が済まないよ~」
「う~ん………あ、そうだわ! いいこと思いついた!」

 ミラが何か思いついたかのように、両の手のひらをパン、と合わせる。
 そういえば、私がこの子とパーティを組んだ時もこんな風にやってたっけなぁ。

「あなた、私たちのパーティに入ってよ! 背中に剣持ってるってことは、前衛職なんでしょ?」

 ミラのその提案は、今の私たちにとって非常に重要な提案だった。
 私たちは魔法使い2人だけのパーティで、正直かなりバランスが悪い状態だ。ここで前衛の人が入ってくれるなら、これから先がかなり楽になる。ミラ、ナイス提案。

「……パーティ、かぁ~………」

 しかし、提案された本人は、良好そうな反応を示していなかった。
 女性は少しの間逡巡したあと、申し訳なさそうに眉を歪めてから、ぺこりと頭を下げた。

「ごめんねぇ~、わたし今、世界中を武者修行で回ってて……一つのパーティに留まることは難しいかな~」
「そっかぁ……ごめんなさい、無理言っちゃって」

 なるほど、世界中を旅しているなら、1つの街に留まりがちなパーティに加入するというのは難しいかもしれない。
 ……でも、折角のチャンスだし、ダメもとで勧誘してみようかな。

「えっと、私たちのパーティに入れば毎日美味しいご飯が食べられるよ」
「入る~~~~~~!!」

 ちょろすぎるこの人!!!
 まさか交渉が1秒で成立するとは思わなかった。武者修行どうしたんだ。

「え、ほ、ほんとにいいの? 嫌なら断っても……」
「美味しいご飯に代えられることなんてないよ~、これからよろしくね~!」

 女性は私の手を掴んで、上下にブンブンと振り回した。
 結構食に重きを置くタイプの子なんだろうか、誘っといてあれだけど、食費とか大丈夫かなぁ……。

「えっと、じゃあ今日はもう遅いから、明日からクエストに加わってもらうね」
「わかった~……あ、そういえば自己紹介がまだだったね~、わたしはアザミっていうの~、職業は一応戦士で登録してあるから~」

 あ、名乗ってくれた。まぁさすがに仲間になるんだから、「名乗るほどじゃない」とは言えないか。

「私はラズカだよ、こっちがミラ」
「明日からよろしくね、アザミ!」
「うん~、お役に立てるか分からないけど頑張るよ~」

 アザミは柔らかな口調でニッコリと笑い、快く了承してくれた。
 ……今さらだけど、どう見ても戦士って雰囲気の子じゃないなぁ。





 そして、翌朝。
 再び私たちは、昨日アンスラが発生した場所に来ていた。何が楽しいのか、またうじゃうじゃと大量発生しているらしい。
 まぁ、今回はちゃんとアンスラで依頼登録してくれたみたいで、昨日のより数段割がいい。頑張ろう。

「わぁ~、うじゃうじゃ沸いてるねぇ~」
「これ見よがしにぷよぷよしよってからに……」
「よし、じゃあ頑張りましょうか! 時間はかかるけど……」

 ミラが棍棒を持って、鼻をフンス、と鳴らしながら気合いを入れている。
 
「いや、2人は休んでていいよ~」
「「えっ?」」
「せっかくの初陣だし~、ここは私がやったげる~」

 アザミが手をグルグルと回しながら、間延びした声で私たちを制止させた。
 ……まぁ、一応アザミの実力も見ておきたいし……。

「じゃあ、お願いしようかな」
「辛くなったらすぐ言うのよ」
「は~い」

 アザミはそう言って、一歩前方に踏み出した。
 あのゆるふわな雰囲気で、本当に剣とか振るえるんだろうか……今さらながら、心配になってきた。
 アザミは背負った大剣の柄を握って、少しだけ鍔から抜いた――――と思ったら、すぐにそれをしまった。

「よし、じゃあ帰ろうか~」
「はっ?」

 アザミはこちらへ振り返って、妙なことを言い出す。
 まだアンスラを一匹も倒せてないのに、この子何を………………。


 次の瞬間、体が浮きそうになるほどの爆風と爆音が発生したと同時に、大量のアンスラ達が跡形もなく消滅した。


「「…………え?」」

 私とミラは絶句する。
 待って、何したのアザミは? 何も見えなかったんだけど。え?

「な、な、何したのアザミ………?」
「何って~、ふつーにこう~、ズバズバッと~」

 アザミは剣を振るような仕草で、右手を上から下にシュッ、と振り下ろした。
 ま、まさか、音が遅れて聞こえるほどのスピードであの大剣を振ったっていうの………? 何それ……人間業じゃないんだけど。

「すっ………すっ……」
「酢~?」

 ミラが体を震わせながら、俯いて『すっ……』と呟いている。
 あ、やばい、これは……。

「あ、アザミ、避け……」
「すっごぉぉぉおぉおおぉい!!!!」
「ゲホ~っ………!?」

 遅かった……!
 ミラは感極まったのか、アザミに向かって勢いよく突進……もとい、ハグをした。
 その勢いで、アザミはミラ諸共地面に倒れこんだ。

「アザミ、アンタめっちゃくちゃすごいじゃないっ! 誘ってよかったわ! これならアンスラなんか怖く…………」
「……………」
「……あ、あれ? お、おーいアザミ……?」

 ………変だな、起き上がらない。またお腹空いた、とでも言いだすんだろうか。

「………ぁ、げ……………」
「げ?」
「………ゲボァッ……」

 アザミは少し呻いたかと思うと――口から血を吹き出して、ガクッ、と死んだように目を閉じた。

「あっ………アザミィィィイィィイイ!?」
「ミラ、いくらなんでも殺すほどの勢いで………」

 この子のタックル、もしかしたら世界を狙えるんじゃないだろうか……。

「ちっがうわよ! あんたにやったのと同じぐらいの勢いでやったんですけど!?」
「あれ結構痛かったよ……けど、死ぬほどじゃないような……」
「呑気なこと言ってる場合じゃないわ! 早く回復魔法かけなきゃ!」
「あ、そうだね……《共鳴レゾナンス》」

 私はミラの手を握り、《共鳴レゾナンス》を発動させる。
 すぐさま回復魔法の術式を送り込んで、ミラはそれを唱えた。

「《治療ヒーリング》……!」
「……ゲホッ………あ、わたし、倒れてた~……?」
「よ、良かったぁ! ごめんねいきなり突進して!」

 ミラが涙を目に浮かべて、今度はちゃんと優しくアザミを抱きしめた。

「いやいや気にしなくてもいいよ~、そんな~」
「で、でも………」
「わたし~、スライムの攻撃でも瀕死になっちゃうぐらいだから~」
「「………え?」」

 え? あれほどの強さを見せておきながら、スライムの攻撃で死んじゃうって?
 流石に冗談が………いや、待てよ………?

「………もしかしてそれって、《無防の呪い》……?」
「……! 知ってるの~……?」

 アザミは少し驚いたように、目を見開いた。

「え? なにそれ? ラズカ、知ってるの?」
「うん………古い文献に書いてあって、そこで読んだことがあるんだけど……」

 類は友を呼ぶ、というか。
 《レゾナンス》にはもしかして、曰く付きが集まる性質でもあるのかもしれない。

「ずっと昔に世界を支配していた……《魔王》の一族にかけられた呪いだよ」

 ……とはいえ、今回は曰く付きが過ぎる気がするけども。
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