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12 新しい仲間も曰くつきだった
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《無防の呪い》。
それは、《身を守る》という行為のことごとくを封殺する呪いだ。
この呪いにかかったものは、ありとあらゆる攻撃に対する耐性を失う上に、鎧や盾などの、防御に関係する類の装備の一切を身につけられなくなる。
おまけに防御魔法の類も効果を為さず、スライムクラスの最下級の魔物の攻撃でさえ、致命傷になり得るほどのダメージを負ってしまうようになるのだ。
遥か昔に、圧倒的な武力を以ってして他種族を支配していた魔族の王、《魔王》は、その時世界中を冒険している途中だった《冒賢者》に倒され、末代に渡るまでこの呪いをかけられたという伝承がある。
「………魔王の一族に、かけられた呪い……?」
「そうだよ~、よく知ってるね~」
知られたことについては大して気にしていないのか、アザミは感心したように私を見る。
「そのとおりだよ~、魔王はわたしのご先祖様なんだ~」
「ま、待って、魔王って、多分だけど人間じゃないのよね?」
「うん、だからわたしも人間じゃないんだ~」
あまりにもサラッと衝撃的な事実を暴露するアザミに、ミラは口をあんぐりと開けて驚愕の表情を浮かべている。
魔族というのは、非常に優れた能力を持つ種族だったと聞く。その中でも魔王は一際卓越した力を誇っていたらしい。なるほど、それならばさっき見せた圧倒的な戦闘力にも頷ける。
「で、でもどう見たって人間にしか見えないけど……」
「魔族は限りなく人間に近いからね~、でもほら、ここ触ってみて~」
アザミはミラの手をとり、己の頭の側面へと持っていった。
「………あっ、なんかでっぱりがある、たんこぶ?」
「ツノだよ~」
ミラのとんちんかんな発言に、アザミは声を上げてケラケラと笑った。
この流れでたんこぶの紹介をするわけがないでしょ……。
「まぁラズちゃんの言うとおり~、ご先祖さまが勝手したせいで~、わたしたちの代まで迷惑被ってるわけなんだよ~」
「ら、ラズちゃん……」
「だからこの呪いを解くために世界中巡ってるってわけ~」
なるほど、武者修行というのは建前で、旅をしているのは呪いを解くためだったのか。
「誰かに協力してもらいたかったけど、正体が正体だからね~、パーティとかに入ってもしバレたりしたらと思うと怖がらせちゃうかもだし~」
「あ……ご、ごめん、聞いちゃいけないことだったかも……」
言ってしまってからじゃ遅いけど、地雷を踏んでしまっていたかもしれない。この子にとって、あまり触れられたくない話だったら非常に申し訳ない。
「いいよ別に~、わたし自身はこの呪いについてはあんまり気にしてないし~」
「え、そ、そうなの?」
「うん~、けどお母さんやお父さんは普通の人なのに~、呪いのせいで色々不便してるら~、わたしが解いてあげなくちゃ~って思って~」
……つまりこの子は、自分のことなんてどうでもよくて、親を苦しめたくない一心で旅をしているってことなのか……。
魔王の子孫って知って、少しでも警戒してしまった自分が恥ずかしい。
「う~ん…… ラズカ、なんとかして呪いを解く方法とか無いの? なんか呪いを解く魔法とか使ってさ」
「……あるにはあるけど、多分無理だと思う」
「どうして?」
「ただの魔法使いがかけたなら問題は無いんだけど……その相手が《冒賢者》ともなると、呪いが強力すぎて解けないかも」
そう。さっきも言ったけど、魔王の一族に《無防の呪い》を施したのは、伝承にある最高の魔法使い、《冒賢者》の1人だ。
伝説級の魔法使いのかけた呪いともなると、解呪魔法を使った際に何らかが起きるように、仕掛けを施しているかもしれない。
故に、うかつに解いてしまえば取り返しのつかないことになってしまう可能性があるのだ。
「下手に解いたほうが、逆に大変なことになるかもしれないから」
「そっかぁ……ごめんねアザミ、何もしてあげられなくて」
「あはは、会ったばかりで、しかも魔王の子孫なのに2人とも優しいんだね~」
アザミは申し訳なさそうに、しかし少しだけ嬉しそうにクスッと笑った。
「そんな、優しいだなんてことはないよ、ただ……」
「ただ?」
「……何でもない」
……血統のせいで色々言われる辛さは、私もよく知ってるし。
私もこの体に流れる血のおかげで、何度心無いことを言われたか分からない。現に、昨日ロベリアにだって言われてしまったし。
「……アザミはすごいね、自分の血筋にきちんと向き合ってる……」
「あは、成り行きだよ~、背負っちゃったからしょうがないよね~」
「………そういうところがすごいんだよ」
私だったら、そんなものとても重すぎて背負えやしない。
「ラズカ?」
「あっ……ご、ごめんね、ボーっとしてた」
いけない、しけた顔をしてたら、ミラに心配をかけてしまう。シャキッとしなきゃ。
「と、とにかく終わったから、ギルドに報告しに行こうか」
「うん、そうしよ~、おつかれ~」
「あたし達何もしてないけどね、はは」
私たちはアンスラが大量発生した高原をあとにして、ギルドへと報告に向かうのだった。
「…………」
その際、先を歩く私の背中を、ミラがずっと無言で見ていたことに私は気づかなかった。
それは、《身を守る》という行為のことごとくを封殺する呪いだ。
この呪いにかかったものは、ありとあらゆる攻撃に対する耐性を失う上に、鎧や盾などの、防御に関係する類の装備の一切を身につけられなくなる。
おまけに防御魔法の類も効果を為さず、スライムクラスの最下級の魔物の攻撃でさえ、致命傷になり得るほどのダメージを負ってしまうようになるのだ。
遥か昔に、圧倒的な武力を以ってして他種族を支配していた魔族の王、《魔王》は、その時世界中を冒険している途中だった《冒賢者》に倒され、末代に渡るまでこの呪いをかけられたという伝承がある。
「………魔王の一族に、かけられた呪い……?」
「そうだよ~、よく知ってるね~」
知られたことについては大して気にしていないのか、アザミは感心したように私を見る。
「そのとおりだよ~、魔王はわたしのご先祖様なんだ~」
「ま、待って、魔王って、多分だけど人間じゃないのよね?」
「うん、だからわたしも人間じゃないんだ~」
あまりにもサラッと衝撃的な事実を暴露するアザミに、ミラは口をあんぐりと開けて驚愕の表情を浮かべている。
魔族というのは、非常に優れた能力を持つ種族だったと聞く。その中でも魔王は一際卓越した力を誇っていたらしい。なるほど、それならばさっき見せた圧倒的な戦闘力にも頷ける。
「で、でもどう見たって人間にしか見えないけど……」
「魔族は限りなく人間に近いからね~、でもほら、ここ触ってみて~」
アザミはミラの手をとり、己の頭の側面へと持っていった。
「………あっ、なんかでっぱりがある、たんこぶ?」
「ツノだよ~」
ミラのとんちんかんな発言に、アザミは声を上げてケラケラと笑った。
この流れでたんこぶの紹介をするわけがないでしょ……。
「まぁラズちゃんの言うとおり~、ご先祖さまが勝手したせいで~、わたしたちの代まで迷惑被ってるわけなんだよ~」
「ら、ラズちゃん……」
「だからこの呪いを解くために世界中巡ってるってわけ~」
なるほど、武者修行というのは建前で、旅をしているのは呪いを解くためだったのか。
「誰かに協力してもらいたかったけど、正体が正体だからね~、パーティとかに入ってもしバレたりしたらと思うと怖がらせちゃうかもだし~」
「あ……ご、ごめん、聞いちゃいけないことだったかも……」
言ってしまってからじゃ遅いけど、地雷を踏んでしまっていたかもしれない。この子にとって、あまり触れられたくない話だったら非常に申し訳ない。
「いいよ別に~、わたし自身はこの呪いについてはあんまり気にしてないし~」
「え、そ、そうなの?」
「うん~、けどお母さんやお父さんは普通の人なのに~、呪いのせいで色々不便してるら~、わたしが解いてあげなくちゃ~って思って~」
……つまりこの子は、自分のことなんてどうでもよくて、親を苦しめたくない一心で旅をしているってことなのか……。
魔王の子孫って知って、少しでも警戒してしまった自分が恥ずかしい。
「う~ん…… ラズカ、なんとかして呪いを解く方法とか無いの? なんか呪いを解く魔法とか使ってさ」
「……あるにはあるけど、多分無理だと思う」
「どうして?」
「ただの魔法使いがかけたなら問題は無いんだけど……その相手が《冒賢者》ともなると、呪いが強力すぎて解けないかも」
そう。さっきも言ったけど、魔王の一族に《無防の呪い》を施したのは、伝承にある最高の魔法使い、《冒賢者》の1人だ。
伝説級の魔法使いのかけた呪いともなると、解呪魔法を使った際に何らかが起きるように、仕掛けを施しているかもしれない。
故に、うかつに解いてしまえば取り返しのつかないことになってしまう可能性があるのだ。
「下手に解いたほうが、逆に大変なことになるかもしれないから」
「そっかぁ……ごめんねアザミ、何もしてあげられなくて」
「あはは、会ったばかりで、しかも魔王の子孫なのに2人とも優しいんだね~」
アザミは申し訳なさそうに、しかし少しだけ嬉しそうにクスッと笑った。
「そんな、優しいだなんてことはないよ、ただ……」
「ただ?」
「……何でもない」
……血統のせいで色々言われる辛さは、私もよく知ってるし。
私もこの体に流れる血のおかげで、何度心無いことを言われたか分からない。現に、昨日ロベリアにだって言われてしまったし。
「……アザミはすごいね、自分の血筋にきちんと向き合ってる……」
「あは、成り行きだよ~、背負っちゃったからしょうがないよね~」
「………そういうところがすごいんだよ」
私だったら、そんなものとても重すぎて背負えやしない。
「ラズカ?」
「あっ……ご、ごめんね、ボーっとしてた」
いけない、しけた顔をしてたら、ミラに心配をかけてしまう。シャキッとしなきゃ。
「と、とにかく終わったから、ギルドに報告しに行こうか」
「うん、そうしよ~、おつかれ~」
「あたし達何もしてないけどね、はは」
私たちはアンスラが大量発生した高原をあとにして、ギルドへと報告に向かうのだった。
「…………」
その際、先を歩く私の背中を、ミラがずっと無言で見ていたことに私は気づかなかった。
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