婚約破棄されたので隣国に逃げたら、溺愛公爵に囲い込まれました

鍛高譚

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2-5 真実を握る手

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エーバーハルト公爵家での生活が落ち着き、フェリシアはようやく自分の未来を描けるようになっていた。

しかし——
新しい人生を歩むには、避けて通れない過去がある。

アルヴィンとクラリスの陰謀。
自らの名誉を奪われたあの日。

フェリシアは、ついに立ち向かう準備を整えていた。


---

◆計画の始まり

リヒトの執務室。
机の上には一通の手紙が置かれ、その内容がフェリシアの運命を大きく揺さぶっていた。

クラリスがアルヴィンに宛てた陰謀の指示書——
フェリシアを陥れるための「偽造手紙計画」が事細かに書かれている。

「フェリシア、この証拠は非常に強力だ。だが……危険も大きい。どう使うかは、君自身が決めるべきだ」

リヒトは慎重に言った。

フェリシアは震えを押し殺しながら、その手紙を見つめた。

「分かっています。
でも……私は復讐のためにこれを使うつもりはありません」

「フェリシア……?」

「これは、私が未来へ進むための鍵です。
私自身の名誉を取り戻すための一歩。
——もう、誰にも私を踏みにじらせない」

その決意に、リヒトは静かに頷いた。

「ならば……僕はどこまでも君の味方だ」


---

◆情報屋との連携

フェリシアとリヒトは、隣国の有能な情報屋たちと手を組んだ。
陰謀の証拠を裏付けるため、追加の情報が必要だった。

「この手紙だけでは弱い。裏付けを集めて、逃げ道を塞ぎましょう」

フェリシアの指示に、情報屋たちは即座に動き出した。

数週間の後——
集まったのは驚くべき量だった。

・クラリスが裏工作を依頼した証人の証言
・アルヴィンとクラリスの密談を聞いた侍従の報告
・偽造工作に流れた不審な金の記録

それらは全て、フェリシアの潔白を示し、二人の悪事を裏付けるものだった。

「……よくぞ、ここまで」

証拠の山を前に、フェリシアは胸の奥が震えるのを感じた。


---

◆心の葛藤

だが、真実が揃ったからといって、心が晴れるわけではなかった。

夜、窓辺で月を眺めながら、フェリシアは自問した。

(これで……私は幸せになれるの?
彼らが罰を受けても、空いた心の傷は癒えるの?)

そんな時、そっと扉がノックされた。

「フェリシア、入ってもいい?」

リヒトの声だった。

彼は彼女の傍に座り、静かに言った。

「君は、自分の未来のために戦っている。
過去の清算は、その一部に過ぎないはずだ」

フェリシアは小さく微笑んだ。

「ええ。私は過去のためではなく……未来のために、この真実を使うわ」

「フェリシア……君は本当に強い。
だから、僕もずっと君のそばにいる」

その言葉は暖かく、フェリシアの胸をそっと支えてくれた。


---

◆具体的な計画の実行

情報屋から集まった追加証拠を携え、フェリシアは王国の有力貴族へ密かに接触した。

最初の反応は懐疑だったが、証拠を提示した瞬間、空気が変わる。

「クラリス嬢と王太子が……ここまでの卑劣な真似を?」

「フェリシア嬢が濡れ衣だったとは……なんということだ」

すぐに数名の貴族が協力を申し出た。

「我々も力を貸そう。
このような不正がまかり通るなど、王国の恥だ」

フェリシアは深く礼をし、感謝を伝えた。


---

◆王国への布石

計画は最終段階へ。

控えめな舞踏会ではなく——
王族と全貴族が集う、大舞踏会。

アルヴィンとクラリスが、新たな王太子妃としてクラリスを披露する予定の場だ。

「この舞台で……すべてを明らかにする」

フェリシアの声は震えていなかった。

リヒトは真剣な目で彼女を見つめる。

「フェリシア、君なら必ず成し遂げられる。
僕がついている。安心して進んでほしい」

フェリシアは微笑み、リヒトに頷き返した。


---

◆新たな覚悟

その夜、フェリシアは決意を胸に刻み込んだ。

「私は逃げずに立ち向かう。
未来を掴むために、真実を手に取る。
二人が奪ったものを——私の手で取り返す」

フェリシアの瞳はもう揺らがない。

大舞踏会での決戦が迫る。

物語は、ついに大きく動き始める——。


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