婚約破棄されたので隣国に逃げたら、溺愛公爵に囲い込まれました

鍛高譚

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3-3 名誉の回復

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アルヴィンとクラリスの陰謀が暴かれた夜――
舞踏会の空気は、一瞬で凍りつき、そして爆ぜた。

会場中の貴族がざわめき、二人に向けられる視線は、先ほどまでとは正反対の、鋭く冷たいものへと変わっていた。


---

◆非難の嵐

「王太子が、こんな卑劣な計画に関わっていたなど……!」
「クラリス嬢も、なんという浅ましい真似を!」

怒りと失望の声が飛び交い、アルヴィンとクラリスは逃げるように会場を後にした。

その中心で、フェリシアは静かに立っていた。
怒りも勝ち誇りも見せず、ただ澄んだ瞳で事の成り行きを見守る。

(私は真実を示した。それだけで十分よ……)

その凛とした姿は、もはや“悪女”と呼ばれた令嬢ではなく、誰もが尊敬の視線を向ける存在だった。


---

◆王宮の怒りと決断

翌朝。
舞踏会での出来事は王宮に轟き、ついに国王の耳にも届いた。

「アルヴィン……お前が本当に、フェリシア嬢を陥れたというのか。」

国王の声には、怒りだけでなく深い失望が混じっていた。

「父上!私は……彼女が悪女だと……クラリスがそう言うから……!」

(※言い訳にしては破壊力が弱い。むしろマイナスである。)

国王は厳しく言い放った。

「もうよい。お前は王太子失格だ。」

広間が静まり返る。

「本日をもって、お前を王太子の座から退ける。次期国王は第二王子とする。」

アルヴィンは膝をつくように崩れ、クラリスは泣き叫ぶようにしがみつく。しかし、誰一人として彼らの肩を持つ者はいなかった。


---

◆フェリシア、王宮へ呼ばれる

その後、国王はフェリシアを宮廷に招いた。

「フェリシア嬢。まずは……この国の王として、深く謝罪を申し上げる。」

国王は頭を垂れた。
大広間がどよめく中、フェリシアは静かに言葉を返した。

「陛下、そのお気持ちだけで十分でございます。私は復讐のために動いたわけではありません。
ただ、真実を……そして未来を取り戻したかっただけなのです。」

その凛とした言葉に、王は深く頷いた。

「あなたの清廉さに、私は感服している。何か望むものがあれば、遠慮なく申すとよい。」

「ありがとうございます。しかし、私はもう……過去に縛られるつもりはございません。」

フェリシアの言葉には、迷いのかけらもなかった。


---

◆貴族社会の反響

フェリシアの名誉は完全に回復した――
いや、それ以上に、彼女への評価は新たなものへと変わっていた。

「フェリシア様こそ、真の淑女ですわ……!」
「騙されていたとはいえ、疑ってしまい申し訳ありません!」

次々と謝罪と称賛が寄せられる。
フェリシアは微笑んで返した。

「もう過去のことですわ。私のためにお気遣いくださって、ありがとうございます。」

その清らかさに、多くの貴族が胸を打たれた。


---

◆フェリシアの選択

その日の夕暮れ。
王宮のバルコニーにて、フェリシアはリヒトと並んで街を見下ろしていた。

「これで君は、王国の中心に戻れるはずだ。」
リヒトは穏やかな声で言った。

しかし、フェリシアは首を横に振る。

「いいえ。私はもう、王国だけで生きるつもりはありません。
隣国で築いた自分の道を、これからも歩いていきたいの。」

風に揺れる金の髪。
その横顔は、かつてよりもずっと大人びて、強く、美しい。

「あなたが……私のそばにいてくださるのなら、怖いものはありません。」

リヒトはわずかに目を見開き、そして微笑んだ。

「もちろんだ。フェリシア。君がどこへ行こうとも、僕は必ず隣にいる。」

そっと重ねられた手。
その温もりは、フェリシアに未来の輝きを確信させた。


---

◆新しい未来へ

名誉は回復された。
過去は清算された。

だが、それは“終わり”ではなく――
彼女が自ら選び取る“始まり”だった。

(私は私の力で未来を切り開く。もう誰にも奪わせない。)

隣国での新たな事業、そしてリヒトと歩む道――

フェリシアは胸を張り、堂々と前へ進んでいく。
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