婚約破棄されたので隣国に逃げたら、溺愛公爵に囲い込まれました

4-3 リヒトとの結婚式

――その日は、隣国で最も祝福に満ちた朝だった。

長い逆境を乗り越え、自分の力で未来を切り開いたフェリシア。
そして、彼女を尊重し、支え、愛し続けてきたリヒト。

二人の“新たな門出”を祝うため、国内外から数多くの人々が集まっていた。
それは、まるで絵本のページから抜け出したような、特別な一日だった。


◆輝く朝の準備

柔らかな朝日が揺らめくカーテン越しに差し込み、フェリシアは静かに目を開けた。

「……今日が、その日。」

ドレススタンドに掛けられた純白のウェディングドレスは、まるで「彼女の努力と勇気」の結晶のように光を宿していた。

鏡の前に座ると、侍女たちが慌ただしくも丁寧に支度を進める。

髪は美しい曲線を描き、白いレースのドレスは彼女の気高さを一層引き立てていた。

「フェリシア様、本当に……お美しいですわ。」

侍女の声に、フェリシアは恥ずかしそうに微笑む。

「今日は私だけのためじゃないわ。リヒトと一緒に歩む未来のためよ。」

その表情には、過去ではなく“これから”を見つめる強く優しい光が宿っていた。

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◆教会での感動の対面
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隣国で最も古く美しい教会。
ステンドグラスから差し込む虹色の光が、集まった参列者を幻想的に照らしていた。

祭壇の前でリヒトはフェリシアを待ちながら、胸に手を当てて深呼吸する。

「（頼むから、涙だけはこらえてくれ……私）」
と、心の中で密かに格好つけようとしているものの、目元はすでに潤んでいた。

扉の前で、フェリシアはエーバーハルト公爵にエスコートされ、静かに息を整える。

そして――扉が開く。

光が一気に流れ込み、フェリシアの姿が浮かび上がると、会場は一瞬でざわめきに包まれた。

「……天使……？」
「いや、女神か……？」

バージンロードを歩むその姿は、誰の目にも神々しく映った。

リヒトは彼女を見るなり、抑えられずに呟く。

「フェリシア……君は、本当に……綺麗だ。」

フェリシアは優しく微笑み、その手を彼に差し伸べた。

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◆愛の誓い
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司祭が厳粛に声を響かせる。

「リヒト・フォン・エーバーハルト。あなたはこの女性を愛し、敬い、生涯寄り添うことを誓いますか？」

「はい、誓います。
――彼女を守り、彼女の幸せのために生きることを。」

迷いのない声。それは、すでに心に決めていた誓いだった。

続いてフェリシアへ。

「フェリシア・アストレイド。あなたはこの男性を信じ、支え、ともに歩むことを誓いますか？」

「はい、誓います。
リヒトと歩む未来を……私は、心から望んでいます。」

その瞬間、会場に温かい拍手が広がった。
二人は手を取り合い、深く頷き合う。

――ついに、二人は夫婦となった。

◆盛大な披露宴


披露宴は庭園で行われ、花々と音楽、笑顔で満ちていた。

リヒトはスピーチの場で、彼女に向き直り、胸に手を当てる。

「フェリシア。
君に出会って、君を愛すると決めた瞬間から、僕の人生は輝き始めた。
これからは、どんな時も君の隣にいる。」

フェリシアは感極まって瞳を潤ませる。

「リヒト……
あなたがそばにいてくれるから、私はここまで来られました。
これからも、共に歩んでいきましょう。」

歓声と拍手、グラスの触れ合う音が夜空に響く。

その光景は、誰の目にも「幸せ」の象徴そのものだった。

◆新たな一歩

披露宴がひと段落した後、二人は月明かりに照らされた庭園を歩く。

静かな夜風が、ドレスとタキシードを優しく揺らした。

「フェリシア。今日という日を君と迎えられて、本当に幸せだ。」

「私もよ、リヒト。
これからも、ずっと一緒にいましょうね。」

二人は手を取り合い、星の瞬く空を見上げた。

その手のぬくもりは、
“どんな未来も共に歩んでいく”
そんな確かな誓いのように温かかった。

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こうして、フェリシアとリヒトの結婚式は隣国中の人々にとっても忘れられない特別な一日となり、
二人は幸せという新たな物語を共に紡ぎはじめるのだった。