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第4章:幸せな夫婦の誓い
4-4.挙式の前夜――ふたりの想い
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4.挙式の前夜――ふたりの想い
挙式の当日がいよいよ明日に迫った日、クラレンス家の屋敷は大忙しになっていた。遠方から駆けつける来賓や領主の関係者、そして王都からも要人が訪れる予定だという。そこに対応するため、テオドールをはじめとする使用人たちが総出で準備を進めている。
私自身も、ドレスの最終フィッティングや式典用のアクセサリーの確認など、やることが山積みだった。少し前まで、こんな大掛かりな結婚式を自分が挙げるなんて想像もしていなかったが、いざ迎えてみると胸が高鳴る。
「お嬢様、明日が本番ですね。大変でしたけれど、こんなに華やかな式にできるなんて……わたくしも感無量です」
「本当に……リジーや皆さんのおかげよ。ありがとうございます」
リジーは目を潤ませながら微笑み、私のドレスの裾を丁寧に整えてくれる。私も鏡に映る自分の姿を見て、少しだけ見違えたように感じる。普段は落ち着いた色味の服を好んできたが、明日は純白のドレスを身にまとい、エドワードの前に立つのだ。
――“花嫁”として、誇りをもって彼の横に並びたい。そんな思いがあふれて、思わず胸がいっぱいになる。
夜が更け、屋敷の静寂が戻ってくると、私は少し散歩がしたくなって外へ出た。気温は肌寒いものの、星が美しく輝いている。庭園にはランタンが点々と灯され、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
そっと庭を歩いていると、不意に前方からエドワードが姿を現す。どうやら彼も一人で夜風に当たっていたようだ。
「こんな夜更けに外へ出るなんて、奇遇ですね」
「ええ、ちょっと気分転換に……。エドワード様こそ、明日を前にして眠れないのですか?」
「ふふ、そうかもしれない。いろいろ考えていたら、やはり身体が落ち着かなくてね」
月明かりの下で、彼は微かに笑う。その横顔はいつもどおり端正で、けれど少しだけ緊張しているようにも見えた。私も同じだ。明日が待ち遠しくて仕方ない一方、妙にそわそわしてしまう。
二人して庭のベンチに腰を下ろし、夜空を見上げる。星々が瞬く様子を眺めながら、私はぽつりと尋ねてみた。
「エドワード様……私、こんなに幸せでいいのでしょうか。政略結婚だったはずなのに、今は本当にあなたを好きで……こうしてあなたの隣にいると、すべてが夢なんじゃないかと思うことがあるんです」
素直な気持ちだ。最初は父に強要される形でクラレンス侯爵家の名を聞き、実際に会ってみたら“冷酷な策略家”という噂とは違う優しい人で――。いつの間にかこんなにも互いを求め合う関係になっているなんて、数か月前の自分には想像もできなかった。
エドワードはその言葉に少し目を伏せ、静かに返す。
「私もそう思うことがありますよ。あなたと出会ったあの日、まさかこんな形であなたを必要とするようになるなんて、正直想像できなかった。でも……あなたが私を変えてくれた。私の中にあった“利害関係だけ”の生き方を、少しずつほどいてくれたんです」
聞いたことのないエドワードの本音に、私は胸が震えた。彼はいつでも完璧で冷静な人だとばかり思っていたが、そんな彼にも迷いや孤独があったのだ。それを私と出会うことで少しでも和らげることができたなら、これ以上嬉しいことはない。
エドワードは私の手を取り、そっと重ねてくる。その感触に心が安らぎ、思わず目を閉じてしまいそうになる。
「明日、あなたを妻として迎える。その瞬間が、私の人生で最も重要な時になるでしょう。……アマンダ、どうかこれからも私の隣で笑っていてください。あなたがいてくれるなら、私はどんな困難も乗り越えられる」
「はい……私こそ。あなたとともに生きていくことが、私の願いです」
私たちは夜空の下で抱き合うように身を寄せ合い、微かに触れるだけのキスを交わした。それは熱烈なものではなく、静かで柔らかな口づけ。しかし、それだけで十分に明日の覚悟が定まっていく。
――何が起きても、私はこの人の隣を離れない。たとえランドルフ家や他の貴族が妨害しても、もう怖くない。私たちの愛は“政略”の概念を超えて、揺るぎないものへと変わろうとしているのだから。
挙式の当日がいよいよ明日に迫った日、クラレンス家の屋敷は大忙しになっていた。遠方から駆けつける来賓や領主の関係者、そして王都からも要人が訪れる予定だという。そこに対応するため、テオドールをはじめとする使用人たちが総出で準備を進めている。
私自身も、ドレスの最終フィッティングや式典用のアクセサリーの確認など、やることが山積みだった。少し前まで、こんな大掛かりな結婚式を自分が挙げるなんて想像もしていなかったが、いざ迎えてみると胸が高鳴る。
「お嬢様、明日が本番ですね。大変でしたけれど、こんなに華やかな式にできるなんて……わたくしも感無量です」
「本当に……リジーや皆さんのおかげよ。ありがとうございます」
リジーは目を潤ませながら微笑み、私のドレスの裾を丁寧に整えてくれる。私も鏡に映る自分の姿を見て、少しだけ見違えたように感じる。普段は落ち着いた色味の服を好んできたが、明日は純白のドレスを身にまとい、エドワードの前に立つのだ。
――“花嫁”として、誇りをもって彼の横に並びたい。そんな思いがあふれて、思わず胸がいっぱいになる。
夜が更け、屋敷の静寂が戻ってくると、私は少し散歩がしたくなって外へ出た。気温は肌寒いものの、星が美しく輝いている。庭園にはランタンが点々と灯され、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
そっと庭を歩いていると、不意に前方からエドワードが姿を現す。どうやら彼も一人で夜風に当たっていたようだ。
「こんな夜更けに外へ出るなんて、奇遇ですね」
「ええ、ちょっと気分転換に……。エドワード様こそ、明日を前にして眠れないのですか?」
「ふふ、そうかもしれない。いろいろ考えていたら、やはり身体が落ち着かなくてね」
月明かりの下で、彼は微かに笑う。その横顔はいつもどおり端正で、けれど少しだけ緊張しているようにも見えた。私も同じだ。明日が待ち遠しくて仕方ない一方、妙にそわそわしてしまう。
二人して庭のベンチに腰を下ろし、夜空を見上げる。星々が瞬く様子を眺めながら、私はぽつりと尋ねてみた。
「エドワード様……私、こんなに幸せでいいのでしょうか。政略結婚だったはずなのに、今は本当にあなたを好きで……こうしてあなたの隣にいると、すべてが夢なんじゃないかと思うことがあるんです」
素直な気持ちだ。最初は父に強要される形でクラレンス侯爵家の名を聞き、実際に会ってみたら“冷酷な策略家”という噂とは違う優しい人で――。いつの間にかこんなにも互いを求め合う関係になっているなんて、数か月前の自分には想像もできなかった。
エドワードはその言葉に少し目を伏せ、静かに返す。
「私もそう思うことがありますよ。あなたと出会ったあの日、まさかこんな形であなたを必要とするようになるなんて、正直想像できなかった。でも……あなたが私を変えてくれた。私の中にあった“利害関係だけ”の生き方を、少しずつほどいてくれたんです」
聞いたことのないエドワードの本音に、私は胸が震えた。彼はいつでも完璧で冷静な人だとばかり思っていたが、そんな彼にも迷いや孤独があったのだ。それを私と出会うことで少しでも和らげることができたなら、これ以上嬉しいことはない。
エドワードは私の手を取り、そっと重ねてくる。その感触に心が安らぎ、思わず目を閉じてしまいそうになる。
「明日、あなたを妻として迎える。その瞬間が、私の人生で最も重要な時になるでしょう。……アマンダ、どうかこれからも私の隣で笑っていてください。あなたがいてくれるなら、私はどんな困難も乗り越えられる」
「はい……私こそ。あなたとともに生きていくことが、私の願いです」
私たちは夜空の下で抱き合うように身を寄せ合い、微かに触れるだけのキスを交わした。それは熱烈なものではなく、静かで柔らかな口づけ。しかし、それだけで十分に明日の覚悟が定まっていく。
――何が起きても、私はこの人の隣を離れない。たとえランドルフ家や他の貴族が妨害しても、もう怖くない。私たちの愛は“政略”の概念を超えて、揺るぎないものへと変わろうとしているのだから。
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