偽聖女と断罪された私、帝国で真の力に目覚めました  ――王国はもう、救いません

鍛高譚

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第2章:出会いと覚醒――真なる力を知る時

7話

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夜明け前に王都を発ち、ひとまず目指したのは西方へ延びる街道だった。
 アストリッドとクラリッサの乗る小さな馬車は、ひんやりとした朝の空気の中、がたがたと車輪をきしませながら進む。公爵家の徽章(きしょう)などついていない、どこにでもある平凡な馬車。それでも王都を離れる間は、できるだけ人目を避けたいというアストリッドの意向に合った。
 眠気と疲労が混ざり合い、クラリッサは小さくあくびをする。だが、アストリッドの瞳は冴えていた。
「……もう少し行った先に、小さな町があるはず。今日はそこに泊まるわ」
「はい、お嬢様。そこで落ち着いて、今後のことを考えましょう」
「ええ……そうね」

 穏やかなクラリッサの声に、アストリッドは曖昧に頷く。だが、頭の中は王都での出来事でまだいっぱいだ。
 “偽りの聖女”と断じられ、婚約破棄、そして追放――それらは現実離れした悪夢のように思えて、しかしどれだけ瞬きを繰り返しても夢ではなく、冷たい現実のまま彼女の体を締めつける。
 同時に、どうしようもなく湧いてくる怒りと虚しさ。国を救うために尽力してきたはずなのに、一方的に裏切られ、捨てられたのだ。
 ――二度と、あの王国に戻ることはない。戻りたくもない。

 馬車はやがて王都の外れの関所を過ぎ、一面に広がる農地のあぜ道を抜けて舗装の甘い道を進む。辺りには時折、小さな森が点在し、その合間に細い川が流れている。空は晴れ渡っているが、彼女の心はまるで灰色に曇ったままだった。
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