「平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる」

鍛高譚

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第3章:動き出す野望と過去との対峙

3-8

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●それぞれの道へ

そして年末――。
グランシェル侯爵家と王家の間で正式な合意がなされ、婚約破棄に伴う賠償金と、王城施設の優先利用権をはじめとしたいくつかの優遇措置が取り決められた。これにより、長らく続いていた婚約破棄問題は公的には一応の終結を迎えた形となる。
王家側の発表は「ラウル殿下の個人的な都合による婚約解消であり、相手方であるグランシェル侯爵家には一切の落ち度はない」と明言している。もちろん内部では不満の声があがる者もいたが、第一王子を中心とする多数派は「これ以上面倒な騒ぎを起こすな」という姿勢で一致しており、事態は収束に向かった。

その一方で、ラウルとリリアはどうなったのか。王宮の噂によれば、ラウルは近々「公務視察」の名目で長期の地方巡察に出されるという話が出ている。実質的に王都から追放されるような形になるようで、リリアも同行するのかどうかは不明だ。
「リリアを王宮に残しておくと問題が増える」という意見もあるため、二人とも王都の外へ出される可能性は高い。王家としては、これ以上ラウルが王都で我が物顔に振る舞い、醜態をさらすのを防ぎたいのだろう。
その決定が正式に下されれば、ラウルとリリアは年明けにも王都を離れることになる。ひっそりとした旅立ちになるのか、それとも形だけでも式を挙げて出立するのか――どちらにせよ、もう王都の社交界で彼らを見かけることはなくなるだろう。
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