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しおりを挟む(「このソファ、ふかふかだわ…!!」)
どうも、お見合い?相手の名前を聞いて気絶しかけたフィオナ・ウィーランです
我が家の年季の入った堅くも柔らかくもないソファの上に倒れ込みながらも、恐れ多い!と断りを入れたかった私
焦る私に対してお父様は
「恋人もいない、仕事もない。そして我が家には多額の借金もある。フィオナ、逃げ場ないよ」
と、口元は笑っているが目元は笑っていないお父様からの圧により私は今こうして、テンパートン商会デナム支社の応接室のソファに座っている
あの話をしてからお父様はすぐに連絡を取り次の日にはこうやって会うことになったのだから、私が駄々を捏ねても最初からこうなっていたのかもしれない
支社に向かう途中で逃げようか、と頭をよぎったが当日の朝我が家の門までやってきたテンパートン商会の最新自動車が迎えに来たことでその作戦も頓挫した
「会長が来るまでこちらでお待ちください」と言われてから30分が経過した
目の前に置いている紅茶は空っぽでマカロンも5個目を口に放り込んだ
帝国1の商会であるテンパートン商会会長はいろんな意味で有名だ
2代目にあたる彼は帝国の中小企業だった家業をたった1代で帝国1の商会に持ち上げた敏腕として知られている
さらに帝国でも5本の指に入ると言われるほどの美貌の持ち主らしい
(「メリッサから借りた女性誌の、たしか、「抱かれたい男No. 1」だったはず」)
毎月発行される女性誌の表紙を飾っていた彼は確かにイケメンだった
夜空を連想させる黒い髪にアイスグレーの瞳を持つ彼は正直好みドストライクだった
(「服の上からでもわかるぐらい逞しい筋肉をしてたわ!あの顔で逞しいなんて…」)
なんでその相手が私なのだろうか?
7個目のマカロンを手に取りながら悶々と考えていると、コンコンと扉をノックする音が部屋に響いた
「久しぶりだねフィオナ」
蕩けるような瞳を向け、にっこりと笑う
アレックス・テンパートンが部屋へと入ってきた
ーー
「はじめまして。フィオナ・ウィーランです。えっと、どこかでお会いしたことがありましたか?」
女性誌の表紙そのままの姿をしたテンパートンさん
160cmの私が見上げるほどの長身の彼はこれまた高級そうな磨かれた革靴をカツリとならして私の目の前に歩いてきた
その距離の近さに驚きながらも使い慣れたカーテーシで挨拶をする
「そうか、フィオナにとってははじめましてだね。おいで。」
「えっあっ、はい」
流れるように私の手をふわりと握った彼は先ほどまで私が座っていたソファへと自然に腰を下ろした
私の頭の中は???状態だ
成績も平均よりちょっと上ぐらいの私の小さな頭をフルで動かしても目の前にいる彼、アレックス・テンパートンとの思い出が見つからない
「今日は髪を下ろしてるのか。学院でのポニーテールも可愛かったが、これもいいな…」
「そう、ですか」
はぁ、と気の抜けた返事しかできていない私とは違い、私の腰まである髪を一房とってくるくると指で遊んでいる彼の行動に男性歴のない私は頬が熱くなるのを感じた
「あの、今回の結婚の件なんですが、「フィオナは心配しなくていいよ。全てこちらで準備は終わってるからね」え?!いや、あの…」
言葉を遮られる
耳に心地よい低さの声を発する彼は私があたふたしているのをみてスッと目を細めた
「愛してるよ。大陸1の花嫁にしてあげるからね」
チュッと右手の甲にキスが落とされる
「ひぇっ」
気絶しなかっただけでも褒めて欲しい
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