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アレン視点 1
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「アレン、おまえはまったく何てことをしてくれたんだい!」
「どうしたのですか母上、そんなに大きな声を出されて」
「どうしたもこうしたもないだろう。まったく、どうしておおまえは言うことを聞かないんだろうね」
「なにを言っているんですか。いつも母上の言うことだけを聞いてきたではないですか」
シーラを馬車で送り、やっと屋敷に入った途端、母の金切り声が飛んできた。
母は父が死んでからかなり神経質ではあったが、オリビアとの婚約を破棄してシーラに乗り換えた途端、一気に悪化してきた気がする。
もうこれも何度目だろうか。
元々オリビアにも厳しく当たっていたし、不細工な嫁と言っていたからシーラでもいいと思ったんだが。どうやらシーラであっても母上のお眼鏡にかなうことはなかったな。
相手は貧乏男爵だし、シーラは所詮顔だけがいい女だからな。母上が気に食わないのも無理はない。ただシーラはもうおれの子どもを妊娠してしまっているし。
なんとかなだめて、妥協してもらわないと。
「母上、何がそんなに不満なのですか。別におれの嫁は、オリビアだってシーラだって同じではないですか」
「オリビア、あの女はまだ使い道があったのに。そのシーラという娘は本当に使えるのかい? いくら顔が良くたって、うちの役に立たない嫁なんて必要ないんだよ」
「その点は大丈夫ですよ。シーラはオリビアの妹ですし、要領もいい。それにあんまり使えないようなら、オリビアにも手伝わせればいいだけですよ母上」
そう。シーラはオリビアほど頭も良くないし、使えないことなどとっくに想定済み。だから無理やりにでも難癖をつけて、オリビアを従わせればいいんだ。
そのためには、あの意味不明な宰相との婚約話をどうにかしないとな。
あれが本当かどうか確認して、もしも本当ならなんとか破棄させないと。オリビアが宰相の婚約者となったら、こき使えなくなってしまう。
冗談じゃない。あんなにタダでこき使える女を、このまま簡単に手放すわけには絶対にいかない。シーラにはオリビアが帰宅しだい、こっちにも連絡を入れるように言ってはあるが……。
あのごうつくなサルート男爵たちのことだ。宰相との婚約に目がくらんで、オリビアを隠しかねないからな。
そうなる前に手を打たないと。だいたい結婚の支度金すら十分に払えないような家の娘をもらってやるんだからな。使用人ぐらいつけてもらわないと割があわないさ。
「ところで嫁に来る娘は、本当におまえの子を妊娠しているのかい?」
「そこは大丈夫ですよ、母上。昨日うちの主治医にも診させましたから」
「そうかい。それならいいね。もちろん、その子どもは次の世継ぎになるんだろう?」
「まだ性別まではなにも言ってはいませんでしたが……」
「うちは由緒ある侯爵家なんだよ。男が産めないような役立たずはいらないさ」
「きっと大丈夫ですよ。それより、そんなに興奮なさってはお体にさわります。さあ、部屋に戻りましょう」
別にシーラが男の子を産めなかったとしても、まだほかに変わりはいる。そうあのなんの取柄もないオリビアも、だ。どうせ同じ血筋だし、問題ないだろう。
シーラよりはだいぶ見劣りするが、乳だけはデカイしな。
「まったくおまえも遊んでばかりいないで、家のことをきちんとやっておくれよ。もうここの当主となったんだから」
「もちろん分かっていますよ、母上」
ここでは今も昔も母上の言うことは絶対だからな。オリビアがいない間だけは、仕方ない、仕事をするか。
そして引き戻したあかつきには、今まで以上に使ってやらないとな。
おれは母上の手を引きながら、心の中でほくそ笑んだ。
「どうしたのですか母上、そんなに大きな声を出されて」
「どうしたもこうしたもないだろう。まったく、どうしておおまえは言うことを聞かないんだろうね」
「なにを言っているんですか。いつも母上の言うことだけを聞いてきたではないですか」
シーラを馬車で送り、やっと屋敷に入った途端、母の金切り声が飛んできた。
母は父が死んでからかなり神経質ではあったが、オリビアとの婚約を破棄してシーラに乗り換えた途端、一気に悪化してきた気がする。
もうこれも何度目だろうか。
元々オリビアにも厳しく当たっていたし、不細工な嫁と言っていたからシーラでもいいと思ったんだが。どうやらシーラであっても母上のお眼鏡にかなうことはなかったな。
相手は貧乏男爵だし、シーラは所詮顔だけがいい女だからな。母上が気に食わないのも無理はない。ただシーラはもうおれの子どもを妊娠してしまっているし。
なんとかなだめて、妥協してもらわないと。
「母上、何がそんなに不満なのですか。別におれの嫁は、オリビアだってシーラだって同じではないですか」
「オリビア、あの女はまだ使い道があったのに。そのシーラという娘は本当に使えるのかい? いくら顔が良くたって、うちの役に立たない嫁なんて必要ないんだよ」
「その点は大丈夫ですよ。シーラはオリビアの妹ですし、要領もいい。それにあんまり使えないようなら、オリビアにも手伝わせればいいだけですよ母上」
そう。シーラはオリビアほど頭も良くないし、使えないことなどとっくに想定済み。だから無理やりにでも難癖をつけて、オリビアを従わせればいいんだ。
そのためには、あの意味不明な宰相との婚約話をどうにかしないとな。
あれが本当かどうか確認して、もしも本当ならなんとか破棄させないと。オリビアが宰相の婚約者となったら、こき使えなくなってしまう。
冗談じゃない。あんなにタダでこき使える女を、このまま簡単に手放すわけには絶対にいかない。シーラにはオリビアが帰宅しだい、こっちにも連絡を入れるように言ってはあるが……。
あのごうつくなサルート男爵たちのことだ。宰相との婚約に目がくらんで、オリビアを隠しかねないからな。
そうなる前に手を打たないと。だいたい結婚の支度金すら十分に払えないような家の娘をもらってやるんだからな。使用人ぐらいつけてもらわないと割があわないさ。
「ところで嫁に来る娘は、本当におまえの子を妊娠しているのかい?」
「そこは大丈夫ですよ、母上。昨日うちの主治医にも診させましたから」
「そうかい。それならいいね。もちろん、その子どもは次の世継ぎになるんだろう?」
「まだ性別まではなにも言ってはいませんでしたが……」
「うちは由緒ある侯爵家なんだよ。男が産めないような役立たずはいらないさ」
「きっと大丈夫ですよ。それより、そんなに興奮なさってはお体にさわります。さあ、部屋に戻りましょう」
別にシーラが男の子を産めなかったとしても、まだほかに変わりはいる。そうあのなんの取柄もないオリビアも、だ。どうせ同じ血筋だし、問題ないだろう。
シーラよりはだいぶ見劣りするが、乳だけはデカイしな。
「まったくおまえも遊んでばかりいないで、家のことをきちんとやっておくれよ。もうここの当主となったんだから」
「もちろん分かっていますよ、母上」
ここでは今も昔も母上の言うことは絶対だからな。オリビアがいない間だけは、仕方ない、仕事をするか。
そして引き戻したあかつきには、今まで以上に使ってやらないとな。
おれは母上の手を引きながら、心の中でほくそ笑んだ。
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