乙女ゲームに転生したことに気づかない~氷上の舞姫~

クロウ

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 今日は男子のSPプログラムの日。女子は自由時間。




「楓!」




 アリーナと意気投合し、モスクワを案内してくれることになっていたのだ。


北方領土問題で日本とロシアは若干険悪なのだが、
アリーナは親日家で最初から好意的だった。
住んでいる所はモスクワではないが、フィギュアの練習はこちらでしているらしい。




「今日はどこに行くの?」


「ポクロフスキー聖堂・トレチャコフ美術館を見た後に昼食。食後はグム百貨店に行きましょう?

可愛い服が沢山あるのよ。
それにきらびやかでインスタ映えするわ。」




 フィギュアはトップ選手ともなると年間で1000万以上もかかる。親が会社の重役だったり、社長だったりすることは珍しくなく、アリーナの父親はアイスホッケーのコーチ、母親は専業主婦。
それなりに給与の高いコーチといえどもトップ選手の育成や4人家族の大黒柱は務められない。


それが成立しているのは国からの支援金があるお陰だろう。アリーナはオリンピック代表で、かなりの額を貰っているそうな。


ロシアが強豪国って言われているのも選手へのバックアップ体制が整っているからだと思う。


 日本ではそういった体制が整っていないため、
将来は賞金やスポンサーからのお金を使って後進育成に勤めたい。




「わあ、綺麗!」


「でしょう?試合前には精神統一のため来ているの。」


「ロシアってスケールが大きいよね。

リーグや競技人口が多いことが強豪国って言われている理由なのかな。日本は練習場所がそんなに無いし。」


「それでも132.7っていう高得点を叩き出したじゃない。」




 喋りながら歩き、次の場所へと向かう。
ロシアは道幅や道路が凄く広く、歩きとなるとかなり
大変なのだが、話していると直ぐに着くと思えてくる。




「私は82.8よ?49.9差だから余程のことがない限り、
逆転は不可能だわ。」


「私が言うのも何だけど、1・2フィニッシュしよ?
アリーナと表彰台に立ちたい。」


「勿論、頑張るわ!」




 アリーナのオススメだという食事処に来たのだが、
最初は静かだったけど段々と人だかりができてきた。
スマホをこっちに向けている人がいる。




「失敗した。個室のある所にすればよかったわね。」


「いつもこんな感じ?」


「ここまで騒がれはしないわよ。今回は楓がいるから。

大会はテレビ局各社が生放送しているし、
かなりの人数が楓を見ていたと思う。
町中で見つけたから少し………って感じかしら。」


「グム百貨店は行かない方がいいかも。
ただでさえ人が多いからパニックになっちゃう。
申し訳ないけどまたの機会にしましょ?」


「そうだね。観光に来たときにお願いする。」




 人が多く歩くことが困難なため、車を呼んで帰ることにした。
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