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新しい生活
噂話
王妃殿下の侍女として働き出して、約1ヶ月が経った。
私は、業務の殆どの時間を王妃殿下の執務室で過ごす毎日を送っている。
王妃殿下が処理する書類の選別作業や、書類にミスがないかの確認などが主な仕事。
しかし、気になることがある。
書類によっては、重要機密文書と思われるものがあり、確認作業とはいえ、私がその書類を目にして良いのかということだ。
心配になった私は王妃殿下にそのことを聞いてみたのだが、
「アメリアを信用しているから大丈夫よ。
それに…、これからも辞めないでいてくれるでしょ?」
…と、圧のある笑顔を向けられる。
私としては、必要としてくれるならずっと続けていきたいと考えていたので、そう言って下さるのはとても嬉しく感じた。
王妃殿下の期待に応えられるように頑張ろうと思う。
そして最近、痛いほど感じるのが、王妃殿下の侍女という立場は強いということだった。
国王陛下の側近程ではないが、それに近いくらいの強い権力があると思う。
直属の上司であるヘミングウェイ伯爵夫人からは、王妃殿下の側近として可愛がられているのが誰から見ても分かるから、取り入ってやろうと色々な人間が近づいて来るので、気をつけるようにと言われている。
あまりにしつこい場合や、何か困ることがあれば、ヘミングウェイ伯爵夫人にすぐに報告しなさいとまで言われた。
それくらい、王宮は危険な場所でもあるということなのだろう。
『シャノン様、よろしければランチをご一緒しませんか?』
『次の休日はいつでしょうか?観劇でも行きませんか?』
『シャノン様。お荷物、私が運びますよ。』
『暗いので、寮までご一緒致します。』
出勤や退勤する時、昼休みなど、王宮の文官や近衛騎士達にこんな風に話しかけられることが多くてウンザリしてきた…。
私みたいな未亡人にまで取り入ってやろうと必死なのが分かる。
国王陛下や王太子殿下の側近の方々が令嬢方に人気だけど、それに近い状態なのかしら?
…いや、違うわね。あの方達は、見目麗しいし、家柄もよくて完璧な方々だもの。
幼い頃から婚約者がいて、まともに口説かれたことのない私には、中々キツイわね…。
そんな私を見て、王妃殿下とヘミングウェイ伯爵夫人は、すごい提案をしてくる。
「アメリア。予想はしていたのだけど、貴女の周りに飛び回る羽虫達に、随分と苦労しているようね?」
王妃殿下は和かに羽虫と言い切っているわ…。
「私のような未亡人にまで媚を売ろうとするなんて、あのお方達は何を考えてらっしゃるのか理解に苦しみますわ。」
「未亡人と言っても、結婚生活はたった1年よね?しかも、アメリアはまだ20歳を過ぎたばかり。
誰も貴女を未亡人としては見ていないわよ。」
「シャノン様。いっそのこと、まだ亡くなられた旦那様が忘れられないということにしてみては?」
ヘミングウェイ伯爵夫人の笑顔が黒いわね。
「全く未練なんてないのですが、それも良いかもしれませんわね。」
つい本音が出てしまった…。
「…まあ!ならば、アメリアはまだ亡くなられた旦那様が忘れられないでいるから、そっとしておくようにと私が言っていたと噂を流してもらいましょう!」
王妃殿下は楽しそうにしていた。
王妃殿下はどんな手を使ったのか分からないが、数日後には王宮内でその噂話が広まり、私にしつこくしてくる殿方はいなくなった。
王妃殿下は敵に回してはいけない人なのだと、改めて感じた私だった。
私は、業務の殆どの時間を王妃殿下の執務室で過ごす毎日を送っている。
王妃殿下が処理する書類の選別作業や、書類にミスがないかの確認などが主な仕事。
しかし、気になることがある。
書類によっては、重要機密文書と思われるものがあり、確認作業とはいえ、私がその書類を目にして良いのかということだ。
心配になった私は王妃殿下にそのことを聞いてみたのだが、
「アメリアを信用しているから大丈夫よ。
それに…、これからも辞めないでいてくれるでしょ?」
…と、圧のある笑顔を向けられる。
私としては、必要としてくれるならずっと続けていきたいと考えていたので、そう言って下さるのはとても嬉しく感じた。
王妃殿下の期待に応えられるように頑張ろうと思う。
そして最近、痛いほど感じるのが、王妃殿下の侍女という立場は強いということだった。
国王陛下の側近程ではないが、それに近いくらいの強い権力があると思う。
直属の上司であるヘミングウェイ伯爵夫人からは、王妃殿下の側近として可愛がられているのが誰から見ても分かるから、取り入ってやろうと色々な人間が近づいて来るので、気をつけるようにと言われている。
あまりにしつこい場合や、何か困ることがあれば、ヘミングウェイ伯爵夫人にすぐに報告しなさいとまで言われた。
それくらい、王宮は危険な場所でもあるということなのだろう。
『シャノン様、よろしければランチをご一緒しませんか?』
『次の休日はいつでしょうか?観劇でも行きませんか?』
『シャノン様。お荷物、私が運びますよ。』
『暗いので、寮までご一緒致します。』
出勤や退勤する時、昼休みなど、王宮の文官や近衛騎士達にこんな風に話しかけられることが多くてウンザリしてきた…。
私みたいな未亡人にまで取り入ってやろうと必死なのが分かる。
国王陛下や王太子殿下の側近の方々が令嬢方に人気だけど、それに近い状態なのかしら?
…いや、違うわね。あの方達は、見目麗しいし、家柄もよくて完璧な方々だもの。
幼い頃から婚約者がいて、まともに口説かれたことのない私には、中々キツイわね…。
そんな私を見て、王妃殿下とヘミングウェイ伯爵夫人は、すごい提案をしてくる。
「アメリア。予想はしていたのだけど、貴女の周りに飛び回る羽虫達に、随分と苦労しているようね?」
王妃殿下は和かに羽虫と言い切っているわ…。
「私のような未亡人にまで媚を売ろうとするなんて、あのお方達は何を考えてらっしゃるのか理解に苦しみますわ。」
「未亡人と言っても、結婚生活はたった1年よね?しかも、アメリアはまだ20歳を過ぎたばかり。
誰も貴女を未亡人としては見ていないわよ。」
「シャノン様。いっそのこと、まだ亡くなられた旦那様が忘れられないということにしてみては?」
ヘミングウェイ伯爵夫人の笑顔が黒いわね。
「全く未練なんてないのですが、それも良いかもしれませんわね。」
つい本音が出てしまった…。
「…まあ!ならば、アメリアはまだ亡くなられた旦那様が忘れられないでいるから、そっとしておくようにと私が言っていたと噂を流してもらいましょう!」
王妃殿下は楽しそうにしていた。
王妃殿下はどんな手を使ったのか分からないが、数日後には王宮内でその噂話が広まり、私にしつこくしてくる殿方はいなくなった。
王妃殿下は敵に回してはいけない人なのだと、改めて感じた私だった。
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