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新しい生活
閑話 ブライアン・バーネット
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記憶を失う前の私が、深く愛していたという元妻。
どうしても会いたくて、元部下達の協力もあってやっと会うことが出来たのに…。
元妻から言われたのは、やり直したいとか、愛しているとかそんな言葉ではなく、別れの言葉だった…。
元部下に連れられて来た元妻を見て、私が商家で出会って惹かれていたメアリー嬢と元妻が同一人物だと確信した。
元妻でもあるメアリー嬢に、何の事情も知らない私は酷いことを言ってしまった。あの時のことも、話が出来るようなら謝りたいと思う。
あの時にメアリー嬢に惹かれたのは、愛していた妻に瓜二つだったからなのだろう。記憶喪失になっていても、心の奥底では無意識に愛する妻を求めていたのかもしれない。
今の私が結婚生活の記憶がなくても、お互い愛し合っていたようだから、時間が掛かってもまた前のように戻れるだろうと期待していた。
しかし彼女から言われたのは、お互い過去にこだわるのはやめましょうと言うことであった。
そんな言葉を受け入れることは出来ないと思い、私はやり直したいということを必死に伝える。
そんな私に、彼女から更に衝撃的なことを告げられる。
私は不貞行為をして彼女を裏切ったことがあると言うのだ。
「ただの政略結婚でしたから、貴方には別に愛する人がいたのかもしれませんと先程私は言いましたよね?
貴方は、私が何度も婚約を解消して欲しいと言っても聞き入れてくれませんでした…。
ここまで話をすれば、理解して頂けると思います。」
元妻の表情や目からは、私への愛は微塵も感じられなかった。
「団長…、大丈夫ですか?」
彼女が帰ってしまった後、放心状態であった私は、元部下に声を掛けられてハッとする。
「あ、すまないな…。」
「団長、さっき帰られるシャノン伯爵令嬢から言われたのですが……、その…、別れの挨拶を伝えられたと…。」
気まずそうにしているのが分かった。
「……私は彼女にとっていい夫ではなかったようだ。」
「はい?」
「私は不貞行為をしたらしい。別に愛する人がいたのではと言われてしまった…。」
「……だ、団長がですか?信じられないのですが。」
「彼女からは、私が心から愛する人と結ばれて、幸せになって欲しいと言われた。
嘘を言っているようには見えなかった。」
「確かに騎士は遠征だったり、不規則な勤務で家を空ける時間は多いですし、命懸けの仕事でストレスも多いですから、外で女遊びをする者は珍しくはないですけど…。
団長は奥様一筋にしか見えませんでした。
遠征に出かけた先で女を買っていたことはありましたが、それは付き合い程度でしたよね?あんなのはみんなしていましたし、浮気には入らないと思います。
女性に言い寄られても、相手にしているところを見たことはありませんでしたし、奥様と愛し合う夫婦として有名でしたので、別に愛人がいたなんて絶対にないと思っていましたが。」
私が女を買っていた?
「遠征で女を買ったとは何だ?」
「ああ、その話ですか?
遠征に行った時、飲みの席で上司によっては、発散させてこいと言って、お金をくれるのですよ。上司に勧められたら断れませんからね。喜ぶ者もいれば、付き合いで仕方なく行く者もいたと言うことです。」
「そんなことが…。」
上司に勧められたとはいえ、それは不誠実なことだと思う。
「団長が上司になってからはそんなことは無かったですけどね。行きたいやつは自分で行けと言った感じでした。」
ますます分からない。しかし、彼女のあの感じを見ると、私は相当嫌われていたのではないかと思ってしまう。
私達は仮面夫婦を演じていたのか…?
「…団長。今ふと思い出したのですが、団長の弟殿は会うことを禁止していたのですよね?
何か知っているのではないですか?私達、騎士仲間には知らないことがあるのかもしれません。
でも、誰が見ても団長は奥様を大切にされていましたし、愛していらしたと思います。」
「ありがとう…。帰ったらすぐに弟に聞いてみる。」
落ち込む気持ちを抑えながら、私は家路を急ぐことにした。
どうしても会いたくて、元部下達の協力もあってやっと会うことが出来たのに…。
元妻から言われたのは、やり直したいとか、愛しているとかそんな言葉ではなく、別れの言葉だった…。
元部下に連れられて来た元妻を見て、私が商家で出会って惹かれていたメアリー嬢と元妻が同一人物だと確信した。
元妻でもあるメアリー嬢に、何の事情も知らない私は酷いことを言ってしまった。あの時のことも、話が出来るようなら謝りたいと思う。
あの時にメアリー嬢に惹かれたのは、愛していた妻に瓜二つだったからなのだろう。記憶喪失になっていても、心の奥底では無意識に愛する妻を求めていたのかもしれない。
今の私が結婚生活の記憶がなくても、お互い愛し合っていたようだから、時間が掛かってもまた前のように戻れるだろうと期待していた。
しかし彼女から言われたのは、お互い過去にこだわるのはやめましょうと言うことであった。
そんな言葉を受け入れることは出来ないと思い、私はやり直したいということを必死に伝える。
そんな私に、彼女から更に衝撃的なことを告げられる。
私は不貞行為をして彼女を裏切ったことがあると言うのだ。
「ただの政略結婚でしたから、貴方には別に愛する人がいたのかもしれませんと先程私は言いましたよね?
貴方は、私が何度も婚約を解消して欲しいと言っても聞き入れてくれませんでした…。
ここまで話をすれば、理解して頂けると思います。」
元妻の表情や目からは、私への愛は微塵も感じられなかった。
「団長…、大丈夫ですか?」
彼女が帰ってしまった後、放心状態であった私は、元部下に声を掛けられてハッとする。
「あ、すまないな…。」
「団長、さっき帰られるシャノン伯爵令嬢から言われたのですが……、その…、別れの挨拶を伝えられたと…。」
気まずそうにしているのが分かった。
「……私は彼女にとっていい夫ではなかったようだ。」
「はい?」
「私は不貞行為をしたらしい。別に愛する人がいたのではと言われてしまった…。」
「……だ、団長がですか?信じられないのですが。」
「彼女からは、私が心から愛する人と結ばれて、幸せになって欲しいと言われた。
嘘を言っているようには見えなかった。」
「確かに騎士は遠征だったり、不規則な勤務で家を空ける時間は多いですし、命懸けの仕事でストレスも多いですから、外で女遊びをする者は珍しくはないですけど…。
団長は奥様一筋にしか見えませんでした。
遠征に出かけた先で女を買っていたことはありましたが、それは付き合い程度でしたよね?あんなのはみんなしていましたし、浮気には入らないと思います。
女性に言い寄られても、相手にしているところを見たことはありませんでしたし、奥様と愛し合う夫婦として有名でしたので、別に愛人がいたなんて絶対にないと思っていましたが。」
私が女を買っていた?
「遠征で女を買ったとは何だ?」
「ああ、その話ですか?
遠征に行った時、飲みの席で上司によっては、発散させてこいと言って、お金をくれるのですよ。上司に勧められたら断れませんからね。喜ぶ者もいれば、付き合いで仕方なく行く者もいたと言うことです。」
「そんなことが…。」
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ますます分からない。しかし、彼女のあの感じを見ると、私は相当嫌われていたのではないかと思ってしまう。
私達は仮面夫婦を演じていたのか…?
「…団長。今ふと思い出したのですが、団長の弟殿は会うことを禁止していたのですよね?
何か知っているのではないですか?私達、騎士仲間には知らないことがあるのかもしれません。
でも、誰が見ても団長は奥様を大切にされていましたし、愛していらしたと思います。」
「ありがとう…。帰ったらすぐに弟に聞いてみる。」
落ち込む気持ちを抑えながら、私は家路を急ぐことにした。
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