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新しい生活
閑話 王太子妃 エリザベス
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図書館で勉強する私に、娘ラブのお父様は優秀な家庭教師をつけてくれた。
「エリー。女性だって優秀ならば、それなりの役職に就くべきだとお父様は思っているんだ。
エリーは努力家で優秀だと家庭教師達が褒めていたよ。お父様は嬉しくてね…。
それでエリーの将来の夢は、この国初の女性君主なのかな?女王様って呼ばれるのも悪くはないと思うよ。」
SMじゃあるまいし、女王様なんて言われたくないから。
前世社畜だった私は、君主になってまで忙しく働きたくないし、そんな責任重大な役職になんて就きたくない。
私はお飾りの妃として、安全な国に嫁ぎたいの。目指すはニート妻よ。
「お父様、私が王位を狙っていると知ったら、あの方達は本気で私やお母様の命を狙ってくるでしょう。もしかしたら、そのことが原因で内戦が起こるかもしれません。
私は争いは望みませんし、平和に暮らしたいのです。しかし私が王位を狙ってなくても、もしお父様に何かがあれば、私もお母様も真っ先に命を狙われるでしょうね。」
お父様の表情が曇る。
まあ、10歳そこそこの少女が、こんな話を始めたら親としては複雑だよね。
「マリアは精霊の愛し子だから、何か危険があっても精霊達が勝手に守ってくれているから大丈夫だ。」
は?ヒロインって精霊の愛し子なの?そんな設定があったなんて知らなかったよ。
「もしかして、精霊の愛し子であるお母様には直接の手出しが出来ないから、私がいつも狙われているのでしょうか?」
「………だろうな。」
だからお母様はあんなにお人好しでも、危険な後宮で、のほほんと生きていられるのね…。
精霊の愛し子に手を出したら、命だけじゃなくて、国まで滅びる可能性があるからね。
もしかして…、学園に行っていた時も、精霊の愛し子であるお母様には嫌がらせや虐めが出来なかったから、悪役令嬢は断罪されずに済んだのかな…?
愛し子の娘の私も守ってよ!精霊のドケチ!
「あの時、池に落ちたエリーは、呼吸が止まっていてとても危険な状態だった。でも、マリアが精霊達にお願いして、エリーを助けてもらったらしい。
私には精霊の姿は見えていないから、どんなやり取りをしたのかは分からないがな…。」
「そんなことがあったのですね…。
私も精霊の姿は見えませんから、全く分かりませんでしたわ。
ふふ!お父様と一緒ですわね。」
「ああ。エリーは私の大切な娘だからな。
エリー、お父様はずっとエリーと一緒にいたい。でも命には限界があるし、私がずっとエリーを守り続けることが難しいことは理解している。
エリーを大切にしてくれそうな他の国に輿入れをするかい?エリーはそれを考えて、勉学に励んでいたんだろう?」
「よろしくお願いします。」
ヒロインと娘に弱くても、他は有能なお父様は、それから数年後に、我が国の有り余る資源の取引をチラつかせて、軍事大国であるスペン国の王太子殿下との縁談をまとめてくれた。
その頃には、私とライアンは恋人同士のようになっていた。
そのことを知ってなのか、お父様は騎士になって活躍していたライアンを私の護衛騎士にしてくれ、私の輿入れについて行って欲しいとライアンに頼んでくれたのだ。
お父様は、自分が愛するヒロインと結婚出来たからなのか、私の恋愛についても割と寛大に考えていてくれたのかもしれない。
悪役令嬢に対しては酷い男だったが、私にとっては娘を可愛がってくれる優しいパパだった。
婚約者となったスペン国の王太子殿下とは、手紙でのやり取りをすることになる。
婚約する前にお父様の方からスペン国の王室に、私は体が弱く出産は難しいだろうから、殿下には別に側室を持ってもらいたいことは伝えておいてくれたようだった。
私からは、夫婦にはなるが、私はお飾りの妃になるので、殿下は別に愛する人とお世継ぎを作って欲しいこと、本当の夫婦にはなれないけれど、親友にはなりたいこと、側室は私の命を狙わない人なら誰でもいいから、そのかわり私とライアンのことを認めて欲しいということを手紙でお願いしてみることにした。
すると、殿下からはあっさりと認めてくれるような内容の手紙が返ってきた。
殿下も別に好きな人がいるようね…。私とライアンのことを認めてくれるなら、殿下も好きな人を側室として迎えることが出来るように応援してあげよう。
でも…、私に害を及ぼすような人物や、権力に対しての執着が強い女は認めないけどね。
「エリー。女性だって優秀ならば、それなりの役職に就くべきだとお父様は思っているんだ。
エリーは努力家で優秀だと家庭教師達が褒めていたよ。お父様は嬉しくてね…。
それでエリーの将来の夢は、この国初の女性君主なのかな?女王様って呼ばれるのも悪くはないと思うよ。」
SMじゃあるまいし、女王様なんて言われたくないから。
前世社畜だった私は、君主になってまで忙しく働きたくないし、そんな責任重大な役職になんて就きたくない。
私はお飾りの妃として、安全な国に嫁ぎたいの。目指すはニート妻よ。
「お父様、私が王位を狙っていると知ったら、あの方達は本気で私やお母様の命を狙ってくるでしょう。もしかしたら、そのことが原因で内戦が起こるかもしれません。
私は争いは望みませんし、平和に暮らしたいのです。しかし私が王位を狙ってなくても、もしお父様に何かがあれば、私もお母様も真っ先に命を狙われるでしょうね。」
お父様の表情が曇る。
まあ、10歳そこそこの少女が、こんな話を始めたら親としては複雑だよね。
「マリアは精霊の愛し子だから、何か危険があっても精霊達が勝手に守ってくれているから大丈夫だ。」
は?ヒロインって精霊の愛し子なの?そんな設定があったなんて知らなかったよ。
「もしかして、精霊の愛し子であるお母様には直接の手出しが出来ないから、私がいつも狙われているのでしょうか?」
「………だろうな。」
だからお母様はあんなにお人好しでも、危険な後宮で、のほほんと生きていられるのね…。
精霊の愛し子に手を出したら、命だけじゃなくて、国まで滅びる可能性があるからね。
もしかして…、学園に行っていた時も、精霊の愛し子であるお母様には嫌がらせや虐めが出来なかったから、悪役令嬢は断罪されずに済んだのかな…?
愛し子の娘の私も守ってよ!精霊のドケチ!
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私には精霊の姿は見えていないから、どんなやり取りをしたのかは分からないがな…。」
「そんなことがあったのですね…。
私も精霊の姿は見えませんから、全く分かりませんでしたわ。
ふふ!お父様と一緒ですわね。」
「ああ。エリーは私の大切な娘だからな。
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エリーを大切にしてくれそうな他の国に輿入れをするかい?エリーはそれを考えて、勉学に励んでいたんだろう?」
「よろしくお願いします。」
ヒロインと娘に弱くても、他は有能なお父様は、それから数年後に、我が国の有り余る資源の取引をチラつかせて、軍事大国であるスペン国の王太子殿下との縁談をまとめてくれた。
その頃には、私とライアンは恋人同士のようになっていた。
そのことを知ってなのか、お父様は騎士になって活躍していたライアンを私の護衛騎士にしてくれ、私の輿入れについて行って欲しいとライアンに頼んでくれたのだ。
お父様は、自分が愛するヒロインと結婚出来たからなのか、私の恋愛についても割と寛大に考えていてくれたのかもしれない。
悪役令嬢に対しては酷い男だったが、私にとっては娘を可愛がってくれる優しいパパだった。
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すると、殿下からはあっさりと認めてくれるような内容の手紙が返ってきた。
殿下も別に好きな人がいるようね…。私とライアンのことを認めてくれるなら、殿下も好きな人を側室として迎えることが出来るように応援してあげよう。
でも…、私に害を及ぼすような人物や、権力に対しての執着が強い女は認めないけどね。
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