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二度目の話
関わりたくない
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お茶会はみんなで八人いて、大きな楕円形のテーブルにお義兄様と並んで座る。
その時、私は気付いてしまった…。
お茶会にいた三人の令嬢達は、お義兄様を熱のこもった目で見ていることに。
ですよねぇ。私のお義兄様は、ブラコンの視点抜きにしてもカッコいいもの。
「コールマン侯爵令息、今日はお会い出来て嬉しいですわ!」
「私もです。この前の王宮のお茶会ではお話が出来なくて、残念だと思っておりましたのよ。」
「今日は、コールマン侯爵令息のことを沢山教えて頂きたいですわ。」
さすがお義兄様だわ!モテモテね。
私は邪魔にならないように、静かにしていよう。この場で目立つのは良くないし。
「私のことは、気になさらず。
アナ。何か食べたい物があれば、私が取ってやろう。どれがいい?」
お義兄様、せっかく令嬢方が好意を寄せてくれているのに!私なんかに笑顔を向けないで、もっと愛想良くしてあげてよ。
「私は大丈夫ですわ。
それより、令嬢方に取って差し上げては?」
テーブルに並ぶ食べ物は偶然なのか、私の好きな物ばかりだった。…というか、私の好きな物しかなかった。
紅茶も、私の好きな紅茶の銘柄と同じ香りがしてくるわ。このメニューを選んだ人は公爵夫人かしら?私の好みと一緒みたい。
でも、この邸で毒を盛られた私としては、ここの食べ物は食べたいとは思わないのよ。今日は何も口にしないわ!
「コールマン侯爵令息は、妹君を大切になさっていると噂で聞いたことがありますが、本当なのですね。」
令息達が私達に興味を持って話し掛けてきた。
〝コールマン侯爵令息はシスコンですね。〟って言われているような気がして恥ずかしいから、その話はやめて欲しいわ。
「ええ。アナは私の最愛ですから。」
さすがにそのセリフには、みんなが引いている…
「コールマン侯爵令息には、勉強のやり方についてアドバイスして頂きたいのですか?」
令息達は真面目な方ばかりのようで、お義兄様も含めて勉強の話で盛り上がっているようだ。
そして、公爵家の図書室はすごいって話になったようで、令息達は図書室を見に行くことになったらしい。
そういえば、確かに立派な図書室があったわね。私は今更興味はないけれど。
「アナは図書室に行くか?」
「私はここで待っておりますわ。」
嫌なことばかり思い出すから、必要以上にこの邸内を歩き回りたくないのよ。
「分かった。すぐ戻るから、待っていてくれ。」
「はい。分かりました。」
「コールマン様、私もご一緒させて下さいませ!」
「「私も!」」
……あれ?
令嬢達までお義兄様について行ってしまったわ。
しょうがない。一人で静かに待っていよう。
一人になってお茶会の部屋を見回すと、あの時とそんなに変わっていないことに気づくわね。
今日はしょうがないから来たけど、もうこの邸には来ないからね!
一人でボーっとしていると、部屋の扉をノックする音が聞こえる。
お義兄様ったらもう戻って来たのかしら?
……げっ!
「コールマン侯爵令嬢。みんなを待つ間、良かったら庭園に花でも見に行かないか?」
ブレア公爵令息じゃないのよ!
図書室に案内だけして戻って来たってこと?
ああ…、しくじったわ。
「ご配慮ありがとうございます。
私はこうやって静かに待つのが好きなので、お気遣いなく。
私は大丈夫ですので、どうか皆さまのいる図書室にお戻り下さいませ。」
(一人でいたいから放っておいて!)
「いや、ゲストを一人で待たせるのは申し訳ない。
うちの庭園はダリアが自慢なんだ。
ぜひ君に見てもらいたい。」
その言葉は……
『シア、うちの庭園はダリアが自慢なんだ。
ぜひ君に見てもらいたい。』
「……。」
思い出したくないのに…。
「…コールマン侯爵令嬢?」
「私…、ダリアを見ると、つらいことを思い出してしまうので、少し苦手なのです。
お気持ちだけ頂戴いたしますわ。」
本当に最悪だわ。
その時だった…
「アナ?待たせて悪かったな。」
「…お義兄様?もうよろしいのですか?」
ああ…!助かったわ。
「アナが待っているから、先に戻ってきた。
……どうした?顔色が悪いぞ。」
「少し調子が悪いようでして。」
「だから珍しく食欲がなかったのだな。
ブレア公爵令息。義妹が体調が悪いようなので、私達はそろそろ失礼させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ…。体調不良に気付かずに申し訳ない。
お大事にして下さい。」
やっと帰れるわ!
「ブレア様、せっかくこのような場に招待して下さったのに、申し訳ありません。
それに…、お礼をお伝えするのが遅くなりましたが、王宮でのお茶会では助けて下さってありがとうございました。」
「気にしないでくれ。
あの令嬢達の行動は、前から酷いと思って見ていたし、当然のことをしただけだから。
君が怪我をしなくて良かった…。」
その優しそうな目にはもう騙されない。
「本当にありがとうございました。
今日はこれで失礼致します。」
ふぅー。馬車に乗ったら、一気に疲れが出てくるわね。
「アナ、本当に大丈夫か?」
「はい。邸に帰って、少し休めば大丈夫だと思いますわ。」
「アナが大好きなケーキにサンドイッチ、スコーンにフルーツ、紅茶まであったのに。
何一つ口を付けないなんて、よほど具合が悪かったようだな。
邸に着くまで寝ていいぞ。私に寄りかかっていいからな。」
お義兄様といると落ち着くわね。
「はい。ありがとうございます。」
「アナ…。先程ブレア公爵令息が、私達より先にアナのいる茶会の部屋に戻ることを予想していながら、私はわざと見逃して様子を見ていた。
ブレア公爵令息は、何としてでもアナと仲良くなりたがっているように見えた。でも、アナはあの男が苦手だろう?」
お義兄様は本当によく見ているわ。
「あの方は、私と仲良くなりたいのではなく、筆頭侯爵家である、コールマン家の者と親しくなりたいだけですわ。
公爵家の嫡男ですから、処世術に長けているだけかと思います。
私の方はお義兄様の言う通り、あの方が苦手ですのであまり関わりたくないと思っています。」
「分かった…。
今日は頑張ったな。」
その時、私は気付いてしまった…。
お茶会にいた三人の令嬢達は、お義兄様を熱のこもった目で見ていることに。
ですよねぇ。私のお義兄様は、ブラコンの視点抜きにしてもカッコいいもの。
「コールマン侯爵令息、今日はお会い出来て嬉しいですわ!」
「私もです。この前の王宮のお茶会ではお話が出来なくて、残念だと思っておりましたのよ。」
「今日は、コールマン侯爵令息のことを沢山教えて頂きたいですわ。」
さすがお義兄様だわ!モテモテね。
私は邪魔にならないように、静かにしていよう。この場で目立つのは良くないし。
「私のことは、気になさらず。
アナ。何か食べたい物があれば、私が取ってやろう。どれがいい?」
お義兄様、せっかく令嬢方が好意を寄せてくれているのに!私なんかに笑顔を向けないで、もっと愛想良くしてあげてよ。
「私は大丈夫ですわ。
それより、令嬢方に取って差し上げては?」
テーブルに並ぶ食べ物は偶然なのか、私の好きな物ばかりだった。…というか、私の好きな物しかなかった。
紅茶も、私の好きな紅茶の銘柄と同じ香りがしてくるわ。このメニューを選んだ人は公爵夫人かしら?私の好みと一緒みたい。
でも、この邸で毒を盛られた私としては、ここの食べ物は食べたいとは思わないのよ。今日は何も口にしないわ!
「コールマン侯爵令息は、妹君を大切になさっていると噂で聞いたことがありますが、本当なのですね。」
令息達が私達に興味を持って話し掛けてきた。
〝コールマン侯爵令息はシスコンですね。〟って言われているような気がして恥ずかしいから、その話はやめて欲しいわ。
「ええ。アナは私の最愛ですから。」
さすがにそのセリフには、みんなが引いている…
「コールマン侯爵令息には、勉強のやり方についてアドバイスして頂きたいのですか?」
令息達は真面目な方ばかりのようで、お義兄様も含めて勉強の話で盛り上がっているようだ。
そして、公爵家の図書室はすごいって話になったようで、令息達は図書室を見に行くことになったらしい。
そういえば、確かに立派な図書室があったわね。私は今更興味はないけれど。
「アナは図書室に行くか?」
「私はここで待っておりますわ。」
嫌なことばかり思い出すから、必要以上にこの邸内を歩き回りたくないのよ。
「分かった。すぐ戻るから、待っていてくれ。」
「はい。分かりました。」
「コールマン様、私もご一緒させて下さいませ!」
「「私も!」」
……あれ?
令嬢達までお義兄様について行ってしまったわ。
しょうがない。一人で静かに待っていよう。
一人になってお茶会の部屋を見回すと、あの時とそんなに変わっていないことに気づくわね。
今日はしょうがないから来たけど、もうこの邸には来ないからね!
一人でボーっとしていると、部屋の扉をノックする音が聞こえる。
お義兄様ったらもう戻って来たのかしら?
……げっ!
「コールマン侯爵令嬢。みんなを待つ間、良かったら庭園に花でも見に行かないか?」
ブレア公爵令息じゃないのよ!
図書室に案内だけして戻って来たってこと?
ああ…、しくじったわ。
「ご配慮ありがとうございます。
私はこうやって静かに待つのが好きなので、お気遣いなく。
私は大丈夫ですので、どうか皆さまのいる図書室にお戻り下さいませ。」
(一人でいたいから放っておいて!)
「いや、ゲストを一人で待たせるのは申し訳ない。
うちの庭園はダリアが自慢なんだ。
ぜひ君に見てもらいたい。」
その言葉は……
『シア、うちの庭園はダリアが自慢なんだ。
ぜひ君に見てもらいたい。』
「……。」
思い出したくないのに…。
「…コールマン侯爵令嬢?」
「私…、ダリアを見ると、つらいことを思い出してしまうので、少し苦手なのです。
お気持ちだけ頂戴いたしますわ。」
本当に最悪だわ。
その時だった…
「アナ?待たせて悪かったな。」
「…お義兄様?もうよろしいのですか?」
ああ…!助かったわ。
「アナが待っているから、先に戻ってきた。
……どうした?顔色が悪いぞ。」
「少し調子が悪いようでして。」
「だから珍しく食欲がなかったのだな。
ブレア公爵令息。義妹が体調が悪いようなので、私達はそろそろ失礼させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ…。体調不良に気付かずに申し訳ない。
お大事にして下さい。」
やっと帰れるわ!
「ブレア様、せっかくこのような場に招待して下さったのに、申し訳ありません。
それに…、お礼をお伝えするのが遅くなりましたが、王宮でのお茶会では助けて下さってありがとうございました。」
「気にしないでくれ。
あの令嬢達の行動は、前から酷いと思って見ていたし、当然のことをしただけだから。
君が怪我をしなくて良かった…。」
その優しそうな目にはもう騙されない。
「本当にありがとうございました。
今日はこれで失礼致します。」
ふぅー。馬車に乗ったら、一気に疲れが出てくるわね。
「アナ、本当に大丈夫か?」
「はい。邸に帰って、少し休めば大丈夫だと思いますわ。」
「アナが大好きなケーキにサンドイッチ、スコーンにフルーツ、紅茶まであったのに。
何一つ口を付けないなんて、よほど具合が悪かったようだな。
邸に着くまで寝ていいぞ。私に寄りかかっていいからな。」
お義兄様といると落ち着くわね。
「はい。ありがとうございます。」
「アナ…。先程ブレア公爵令息が、私達より先にアナのいる茶会の部屋に戻ることを予想していながら、私はわざと見逃して様子を見ていた。
ブレア公爵令息は、何としてでもアナと仲良くなりたがっているように見えた。でも、アナはあの男が苦手だろう?」
お義兄様は本当によく見ているわ。
「あの方は、私と仲良くなりたいのではなく、筆頭侯爵家である、コールマン家の者と親しくなりたいだけですわ。
公爵家の嫡男ですから、処世術に長けているだけかと思います。
私の方はお義兄様の言う通り、あの方が苦手ですのであまり関わりたくないと思っています。」
「分かった…。
今日は頑張ったな。」
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