44 / 102
二度目の話
一緒に行く
しおりを挟む
お義兄様は私を抱きしめながら、頭を優しく撫でてくれる。
ブラコンとしては嬉しいけど、もう13歳なのだから、小さな子供みたいな扱いはやめて欲しい気もするんだけど…。
ちんちくりんな私は、少し幼く見えるのよねぇ。
「お義兄様…?」
「アナの留学が決まって良かったよ。やはり、家庭教師協会長の力はすごいってことだな。
家庭教師の先生方は、アナの努力を認めてくれていて、どうしても留学させてあげたいと話していたんだ。だから私は、家庭教師協会長の力を借りれないかと先生方に頼んでみたのだが、ここまで上手く行くとは思っていなかったから驚いた。
マニー国には、私も一緒に行くことになっているから、二人でマニー国を楽しんでこような。」
お義兄様はそう言って微笑むと、私の頭にキスを落とした。
…はい?
お義兄様も一緒に行くって言ったの?
「………。」
「ふっ!そんなに固まるほど驚かないでくれ。
おっちょこちょいなアナを一人で留学させられないって、義父上と義母上は不安そうにしていたから、私も一緒に行くことにしたんだ。」
「お、お義兄様も一緒に行くのですか?
本当に?」
「本当だ。私はちょうど学園を卒業するし、マニー国とうちの侯爵家は取引があるから、いつかマニー国を見に行きたいと思っていたんだ。
それに学びたいことがあるから、マニー国にあるアカデミーで、一年間だけ学ばせてもらうことにしたよ。」
お義兄様は簡単に言うけど…
やはり、お父様とお母様はお義兄様を信頼しているのね。
私には留学の話に難色を示していたのに、お義兄様に対してはあっさりと認めたってことでしょ?
しかも、私の保護者代わりにお義兄様を寄越すってことよね。
でもそんなことをしたら、秘密の恋人と遠距離恋愛になってしまうじゃないの…。
お義兄様の幸せを応援するって決めたのに、迷惑ばかり掛けているような気がする。
「お義兄様、本当にそれでいいのでしょうか?
大切な方と一年も離れ離れだなんて、私なら耐えられませんわ。
お義兄様だけ短期の留学に出来ませんか?
私、お義兄様がいなくても、ちゃんと頑張りますから!」
しかしお義兄様は、私が言ったことに対して、悲しそうなそうな目を向けてくる。
「アナは私と一緒に行くのが嫌なのか?
一番大切なアナと離れ離れになりたくないから、私は一緒に行けることが嬉しかったのだが…。」
「大好きなお義兄様と一緒に行けるのは嬉しいですわ。
でも私は、お義兄様の幸せを優先して欲しいのです。お義兄様が大切に想う方と一緒にいられなくなるのは……」
ここでハッとした。
お義兄様は秘密の恋にしているんだった…。
だから今、私が何を言っても上手くはぐらかされてしまうわね。
私達家族に何も教えてくれないし、婚約したいと両親に話しているようにも見えない。
もしかして、両親や私には言えないような人物なのかしら?
うちの家門とは敵対する家門だとか、没落しそうな男爵家だとか。
秘密の恋人の存在が、私達家族にバレないようにとカモフラージュするために、こうやってシスコンのフリとかをしていたとしたら…、本気で傷付くし、病むわね。
私ったら、いけないわ!お義兄様はあの男みたいな屑じゃないのに。
こんな優しいお義兄様を疑うなんて…。
「大切に想うアナと一緒に留学出来るから、私は幸せだと思っている。
私もアナが大好きだからな。」
私をギュッとするお義兄様は、今日も絶好調のシスコンっぷりね。
留学が決まって嬉しかったのに、何だかモヤモヤするわー!
留学まで一年を切り、今まで以上にガリ勉していた私は、14歳になっていた。
そして、あの恐れていたことが起こる。
「お嬢様。ハンナはしばらくお仕事を休むことになりましたので、今日からはシェリーがお嬢様の専属メイドを致します。」
メイド長からの報告だった。
ハンナは確か昨日までは元気だったはず…
「ハンナは大丈夫?」
「少し咳が出るからと、スミス先生に咳止めのお薬を頂きに伺ったようですわ。
ハンナは軽い風邪だと思っていたようですが、スミス先生が初期の肺の病気だと診断されたようです。
しばらく安静にしてお薬を服用すれば治るらしいので、仕事は休ませるようにとスミス先生から指示を受けました。」
やはり…。
一度目の人生と違うことばかり起こっていたから焦っていたけど、同じことも起こるのね。
スミス先生が病気に気づいてくれてよかったわ。
ブラコンとしては嬉しいけど、もう13歳なのだから、小さな子供みたいな扱いはやめて欲しい気もするんだけど…。
ちんちくりんな私は、少し幼く見えるのよねぇ。
「お義兄様…?」
「アナの留学が決まって良かったよ。やはり、家庭教師協会長の力はすごいってことだな。
家庭教師の先生方は、アナの努力を認めてくれていて、どうしても留学させてあげたいと話していたんだ。だから私は、家庭教師協会長の力を借りれないかと先生方に頼んでみたのだが、ここまで上手く行くとは思っていなかったから驚いた。
マニー国には、私も一緒に行くことになっているから、二人でマニー国を楽しんでこような。」
お義兄様はそう言って微笑むと、私の頭にキスを落とした。
…はい?
お義兄様も一緒に行くって言ったの?
「………。」
「ふっ!そんなに固まるほど驚かないでくれ。
おっちょこちょいなアナを一人で留学させられないって、義父上と義母上は不安そうにしていたから、私も一緒に行くことにしたんだ。」
「お、お義兄様も一緒に行くのですか?
本当に?」
「本当だ。私はちょうど学園を卒業するし、マニー国とうちの侯爵家は取引があるから、いつかマニー国を見に行きたいと思っていたんだ。
それに学びたいことがあるから、マニー国にあるアカデミーで、一年間だけ学ばせてもらうことにしたよ。」
お義兄様は簡単に言うけど…
やはり、お父様とお母様はお義兄様を信頼しているのね。
私には留学の話に難色を示していたのに、お義兄様に対してはあっさりと認めたってことでしょ?
しかも、私の保護者代わりにお義兄様を寄越すってことよね。
でもそんなことをしたら、秘密の恋人と遠距離恋愛になってしまうじゃないの…。
お義兄様の幸せを応援するって決めたのに、迷惑ばかり掛けているような気がする。
「お義兄様、本当にそれでいいのでしょうか?
大切な方と一年も離れ離れだなんて、私なら耐えられませんわ。
お義兄様だけ短期の留学に出来ませんか?
私、お義兄様がいなくても、ちゃんと頑張りますから!」
しかしお義兄様は、私が言ったことに対して、悲しそうなそうな目を向けてくる。
「アナは私と一緒に行くのが嫌なのか?
一番大切なアナと離れ離れになりたくないから、私は一緒に行けることが嬉しかったのだが…。」
「大好きなお義兄様と一緒に行けるのは嬉しいですわ。
でも私は、お義兄様の幸せを優先して欲しいのです。お義兄様が大切に想う方と一緒にいられなくなるのは……」
ここでハッとした。
お義兄様は秘密の恋にしているんだった…。
だから今、私が何を言っても上手くはぐらかされてしまうわね。
私達家族に何も教えてくれないし、婚約したいと両親に話しているようにも見えない。
もしかして、両親や私には言えないような人物なのかしら?
うちの家門とは敵対する家門だとか、没落しそうな男爵家だとか。
秘密の恋人の存在が、私達家族にバレないようにとカモフラージュするために、こうやってシスコンのフリとかをしていたとしたら…、本気で傷付くし、病むわね。
私ったら、いけないわ!お義兄様はあの男みたいな屑じゃないのに。
こんな優しいお義兄様を疑うなんて…。
「大切に想うアナと一緒に留学出来るから、私は幸せだと思っている。
私もアナが大好きだからな。」
私をギュッとするお義兄様は、今日も絶好調のシスコンっぷりね。
留学が決まって嬉しかったのに、何だかモヤモヤするわー!
留学まで一年を切り、今まで以上にガリ勉していた私は、14歳になっていた。
そして、あの恐れていたことが起こる。
「お嬢様。ハンナはしばらくお仕事を休むことになりましたので、今日からはシェリーがお嬢様の専属メイドを致します。」
メイド長からの報告だった。
ハンナは確か昨日までは元気だったはず…
「ハンナは大丈夫?」
「少し咳が出るからと、スミス先生に咳止めのお薬を頂きに伺ったようですわ。
ハンナは軽い風邪だと思っていたようですが、スミス先生が初期の肺の病気だと診断されたようです。
しばらく安静にしてお薬を服用すれば治るらしいので、仕事は休ませるようにとスミス先生から指示を受けました。」
やはり…。
一度目の人生と違うことばかり起こっていたから焦っていたけど、同じことも起こるのね。
スミス先生が病気に気づいてくれてよかったわ。
応援ありがとうございます!
4
お気に入りに追加
8,221
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる