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二度目の話
異国のデビュタント
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「アナ、凄いじゃないの!
2位よ!1位の王子殿下との点数差はたったの2点だし。
普段はなんか抜けていて、おっちょこちょいなのに、凄いわねぇ!」
チェルシーが、張り出されたテストの結果を見て興奮している。
こんな時、性格がサバサバしていて裏表のないチェルシーは付き合いやすいと思ってしまう。
表面上は私を褒めるような言動を繰り返しながら、裏で陰口を叩いていたり、隙を見ては引き摺り下ろそうと考えていたりする令嬢を、一度目の人生で私は沢山見てきたからだ。
「お義兄様が勉強にだけは厳しいの。
テスト前にお義兄様がテスト対策問題を作成してくれて、沢山問題を解かされたのよ。
本当に…、地獄だったわ…。
もしテストの結果が悪かったら、しばらくチェルシーと放課後にお茶に行くことを許されなかったかもしれないわね。
無事に終わって良かったと思っているのよ…。」
「そ、そうなのね…。」
「チェルシーが羨ましいわよ。
私みたいに追い詰められてガリ勉しなくても、6位でしょ?
さすが外交官の家門の御令嬢だけあって、優秀なのね。」
「あら、私だってお父様から煩くは言われているのよ。
アナのお義兄様ほど厳しくはないけどね。
それより、もうすぐこの国のデビュタントでしょう?
アナはもう白いドレスの準備はした?」
留学生と言っても、貴族である限り社交はしなければならないので、私とお義兄様もこの国のデビュタントには出るようにと両親から言われているのだ。
「勿論よ。私よりもお義兄様の方がドレス選びには煩いくらいだもの。」
「なんだかんだで二人は仲良しよね。
デビュタントの日が楽しみだわ!」
そうは言っても、デビュタントに向けてダンスの練習をしたり、マニー国のマナーを学び直したりするのは、結構大変だった。
そして、デビュタントの日を迎える。
まさか遠い異国の地でデビュタントを迎えることになるとは。
人生いろいろね…
「こんなに美しいアナのデビュタントをエスコート出来るなんて、私はなんて幸せなんだろう。
今日は私の側から離れてはいけないよ。
アナはおっちょこちょいだから、迷子になったり、よく分からない令息に連れて行かれたりするかもしれないからな。」
「…分かっておりますわ。
それより、お義兄様が選んで下さったこの清楚な雰囲気のドレスはとても素敵で私のお気に入りですわ。
ネックレスは私の瞳の色に合わせてくれたのですね。
ありがとうございます。」
「アナの瞳の色か…。それだけではないが、そのドレスを気に入ってくれて良かった。
世界一可愛いアナのドレスを選ぶのは、私の大切な仕事だからな。」
シスコン発言を連発しているお義兄様にドレスを選んでもらえるのも今だけ…。
お義兄様が結婚したら、こんなことはもうないだろうから、今だけはいいわよね…。
デビュタントは、王族に挨拶をして、一言ずつ声を掛けてもらうところから始まった。
あ…!あれはアルバーン元公爵令嬢だわ。マニー国の第二王子と結婚したとは聞いていたけど、一度目の時と雰囲気が違う気がする。
一度目の時にパーティーで見たアルバーン公爵令嬢は、あんな風に柔らかく微笑む人ではなかった。
きっと今は幸せなのね…。
マニー国の第二王子殿下は、穏やかで優しそうな方に見えるから、はっきりした性格のアルバーン元公爵令嬢と相性がいいのかもしれない。
一度目の時に結婚した大公殿下は、個性的で自我が強い方のようだったから、反りが合わないように見えたし、不仲だと噂になっていたもの。
王太子殿下はみんなの幸せのために奮闘しているのね。
私は自分のことで精一杯なのに、王太子殿下は本当に素晴らしいお方だわ。
その後、王族のダンスから始まり、第三王子殿下が令嬢とダンスを踊っている姿が新鮮だった。
あの御令嬢は誰だろう?凄い綺麗な方だわ…。
「アナのご学友である第三王子殿下とダンスをしているのは、王子殿下の従姉弟のアンゲラー公爵令嬢だ。
私のアカデミーの同級生だ。」
お義兄様には、私が王子殿下を見ていたことがバレていたらしい。
「アカデミーで学ばれるほど優秀なだけでなく、女神様のようにお美しい方ですわね。
王子殿下ととてもお似合いですわ。」
「いや、弟のような存在だと話していた。昔から姉弟喧嘩をよくするような仲だったらしい。」
お義兄様がアンゲラー公爵令嬢のことを楽しそうに話している…。
御令嬢のことをそんな表情で話しているのは初めて見るかもしれない。
もしかして…!
遠距離恋愛中の秘密の恋人のことは、もう忘れてしまったの?
ま、まさかね。お義兄様はそんな人ではないわ。
王族のダンスが終わった後に、デビュタントのダンスが始まる。
お義兄様とのダンスは踊りやすいから、何の心配もなく踊れるのよね。
しかし、ダンスを踊り終わった後に事件は起こるのであった。
2位よ!1位の王子殿下との点数差はたったの2点だし。
普段はなんか抜けていて、おっちょこちょいなのに、凄いわねぇ!」
チェルシーが、張り出されたテストの結果を見て興奮している。
こんな時、性格がサバサバしていて裏表のないチェルシーは付き合いやすいと思ってしまう。
表面上は私を褒めるような言動を繰り返しながら、裏で陰口を叩いていたり、隙を見ては引き摺り下ろそうと考えていたりする令嬢を、一度目の人生で私は沢山見てきたからだ。
「お義兄様が勉強にだけは厳しいの。
テスト前にお義兄様がテスト対策問題を作成してくれて、沢山問題を解かされたのよ。
本当に…、地獄だったわ…。
もしテストの結果が悪かったら、しばらくチェルシーと放課後にお茶に行くことを許されなかったかもしれないわね。
無事に終わって良かったと思っているのよ…。」
「そ、そうなのね…。」
「チェルシーが羨ましいわよ。
私みたいに追い詰められてガリ勉しなくても、6位でしょ?
さすが外交官の家門の御令嬢だけあって、優秀なのね。」
「あら、私だってお父様から煩くは言われているのよ。
アナのお義兄様ほど厳しくはないけどね。
それより、もうすぐこの国のデビュタントでしょう?
アナはもう白いドレスの準備はした?」
留学生と言っても、貴族である限り社交はしなければならないので、私とお義兄様もこの国のデビュタントには出るようにと両親から言われているのだ。
「勿論よ。私よりもお義兄様の方がドレス選びには煩いくらいだもの。」
「なんだかんだで二人は仲良しよね。
デビュタントの日が楽しみだわ!」
そうは言っても、デビュタントに向けてダンスの練習をしたり、マニー国のマナーを学び直したりするのは、結構大変だった。
そして、デビュタントの日を迎える。
まさか遠い異国の地でデビュタントを迎えることになるとは。
人生いろいろね…
「こんなに美しいアナのデビュタントをエスコート出来るなんて、私はなんて幸せなんだろう。
今日は私の側から離れてはいけないよ。
アナはおっちょこちょいだから、迷子になったり、よく分からない令息に連れて行かれたりするかもしれないからな。」
「…分かっておりますわ。
それより、お義兄様が選んで下さったこの清楚な雰囲気のドレスはとても素敵で私のお気に入りですわ。
ネックレスは私の瞳の色に合わせてくれたのですね。
ありがとうございます。」
「アナの瞳の色か…。それだけではないが、そのドレスを気に入ってくれて良かった。
世界一可愛いアナのドレスを選ぶのは、私の大切な仕事だからな。」
シスコン発言を連発しているお義兄様にドレスを選んでもらえるのも今だけ…。
お義兄様が結婚したら、こんなことはもうないだろうから、今だけはいいわよね…。
デビュタントは、王族に挨拶をして、一言ずつ声を掛けてもらうところから始まった。
あ…!あれはアルバーン元公爵令嬢だわ。マニー国の第二王子と結婚したとは聞いていたけど、一度目の時と雰囲気が違う気がする。
一度目の時にパーティーで見たアルバーン公爵令嬢は、あんな風に柔らかく微笑む人ではなかった。
きっと今は幸せなのね…。
マニー国の第二王子殿下は、穏やかで優しそうな方に見えるから、はっきりした性格のアルバーン元公爵令嬢と相性がいいのかもしれない。
一度目の時に結婚した大公殿下は、個性的で自我が強い方のようだったから、反りが合わないように見えたし、不仲だと噂になっていたもの。
王太子殿下はみんなの幸せのために奮闘しているのね。
私は自分のことで精一杯なのに、王太子殿下は本当に素晴らしいお方だわ。
その後、王族のダンスから始まり、第三王子殿下が令嬢とダンスを踊っている姿が新鮮だった。
あの御令嬢は誰だろう?凄い綺麗な方だわ…。
「アナのご学友である第三王子殿下とダンスをしているのは、王子殿下の従姉弟のアンゲラー公爵令嬢だ。
私のアカデミーの同級生だ。」
お義兄様には、私が王子殿下を見ていたことがバレていたらしい。
「アカデミーで学ばれるほど優秀なだけでなく、女神様のようにお美しい方ですわね。
王子殿下ととてもお似合いですわ。」
「いや、弟のような存在だと話していた。昔から姉弟喧嘩をよくするような仲だったらしい。」
お義兄様がアンゲラー公爵令嬢のことを楽しそうに話している…。
御令嬢のことをそんな表情で話しているのは初めて見るかもしれない。
もしかして…!
遠距離恋愛中の秘密の恋人のことは、もう忘れてしまったの?
ま、まさかね。お義兄様はそんな人ではないわ。
王族のダンスが終わった後に、デビュタントのダンスが始まる。
お義兄様とのダンスは踊りやすいから、何の心配もなく踊れるのよね。
しかし、ダンスを踊り終わった後に事件は起こるのであった。
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