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真実はすぐそばに(1)
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「まぁ、確かに近いと言えばそうね……」
母の言葉に私の期待はいっそう大きく膨らんだ。なかなか寝付けなかった。
次の日、日曜だというのに、私はいつもより早く起きた。昨晩は、緊張と興奮でほとんど眠れなかった。おかげで、朝起きたときはひどい顔色をしていたらしく、家族から心配されてしまった。
でも、今の私の頭の中を占めているのは、シロ先輩のことだけだ。昨晩突然に閃いたある仮説。それが本当なのか知りたくて、居ても立っても居られない気持ちだった。
(もしかすると……)
そんな予感に突き動かされるように、私は身支度を整える。支度が終わるとまだ早い時間だったが、シロ先輩にメッセージを送った。
“おはようございます。起きてますか? 今日、またあの神社で会えますか?”
しばらく待つが、既読はつかない。
(やっぱり、まだ寝てるよね)
シロ先輩の性格を考えると、こんなに早くから起きているとは思えなかった。
(仕方ないか)
そう思いながら、なんとなくテレビをつける。朝の情報番組では、占いコーナーをやっていた。
――今日は直感を大切に! ラッキーカラーは青です。
そんな言葉に、私はドキッとする。
(直感か。当たっていたら、運命かもしれないな……)
そう思いながら、私は無意識に青系統の物を探していた自分に苦笑した。
結局、シロ先輩から返信があったのは昼近くになったころだった。
“悪い。ちょっと用事があって、今日は無理なんだ”
その文面を読んで、がっかりする。それでも、返事があったことが嬉しくて、私はすぐに返事を打った。
“分かりました。また、明日会社で”
送信ボタンを押す。少し待ったが、それ以上返事はなかった。
(まあ、確かめるのは今日じゃなくても……)
私は自分を納得させる。それでも、芽生えてしまった期待は膨らむ一方で、何とか抑え込もうとするけれど上手くいかない。
悶々としながら過ごしているうちに、ある人物の顔が浮かんだ。彼なら何か知っているはずだ。私はスマホを手に取ると、早速連絡を取った。返事はすぐに来た。それを見て、私は手早く荷物を纏めると家を出る。
電車に乗り込むと、座席に座って窓の外を流れる景色をぼーっと眺めた。しかし、その目には何も映らない。頭の中では、ずっとシロ先輩のことを考えている。
私は昨晩、唐突に思いついたのだ。シロ先輩が、あのシロヤギさんではないかと。
その答え合わせをするべく、いつも訳知り顔の白谷吟と私は待ち合わせをしたのだ。
母の言葉に私の期待はいっそう大きく膨らんだ。なかなか寝付けなかった。
次の日、日曜だというのに、私はいつもより早く起きた。昨晩は、緊張と興奮でほとんど眠れなかった。おかげで、朝起きたときはひどい顔色をしていたらしく、家族から心配されてしまった。
でも、今の私の頭の中を占めているのは、シロ先輩のことだけだ。昨晩突然に閃いたある仮説。それが本当なのか知りたくて、居ても立っても居られない気持ちだった。
(もしかすると……)
そんな予感に突き動かされるように、私は身支度を整える。支度が終わるとまだ早い時間だったが、シロ先輩にメッセージを送った。
“おはようございます。起きてますか? 今日、またあの神社で会えますか?”
しばらく待つが、既読はつかない。
(やっぱり、まだ寝てるよね)
シロ先輩の性格を考えると、こんなに早くから起きているとは思えなかった。
(仕方ないか)
そう思いながら、なんとなくテレビをつける。朝の情報番組では、占いコーナーをやっていた。
――今日は直感を大切に! ラッキーカラーは青です。
そんな言葉に、私はドキッとする。
(直感か。当たっていたら、運命かもしれないな……)
そう思いながら、私は無意識に青系統の物を探していた自分に苦笑した。
結局、シロ先輩から返信があったのは昼近くになったころだった。
“悪い。ちょっと用事があって、今日は無理なんだ”
その文面を読んで、がっかりする。それでも、返事があったことが嬉しくて、私はすぐに返事を打った。
“分かりました。また、明日会社で”
送信ボタンを押す。少し待ったが、それ以上返事はなかった。
(まあ、確かめるのは今日じゃなくても……)
私は自分を納得させる。それでも、芽生えてしまった期待は膨らむ一方で、何とか抑え込もうとするけれど上手くいかない。
悶々としながら過ごしているうちに、ある人物の顔が浮かんだ。彼なら何か知っているはずだ。私はスマホを手に取ると、早速連絡を取った。返事はすぐに来た。それを見て、私は手早く荷物を纏めると家を出る。
電車に乗り込むと、座席に座って窓の外を流れる景色をぼーっと眺めた。しかし、その目には何も映らない。頭の中では、ずっとシロ先輩のことを考えている。
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その答え合わせをするべく、いつも訳知り顔の白谷吟と私は待ち合わせをしたのだ。
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