立てば芍薬、座れば牡丹、歩けば咲くは百合の花

鍵谷 雷

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二葉と早苗

会長と副会長の場合 6-2

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  翌日、生徒会がすべき選挙の準備は全て終了した。あとは、当日の司会進行くらいだろう。

「選挙準備お疲れ様でした!  乾杯!」
「かんぱーい!!」

  二葉が音頭を取ると皆一斉に手にした缶ジュースを掲げる。ジュースは、忙しいにも関わらずろくに顔を出さなかった顧問の東堂先生が買ってくれたものだ。
  打ち上げムードの中、桃子は気掛かりがあった。自身の選挙のことではない。会長と副会長のことである。今日一日、仕事に関することを除いて二人が会話するところを見ていない。どんなに忙しいときでも、二人は冗談を言い合ったりして場を和ませてくれたのに。
  そう思っていると、早苗が一人で生徒会室を出ようとしていた。桃子はトイレに行くふりをしながら副会長を追いかけた。

「如月先輩!」
「桃ちゃん、どうしたの?」
「何かありましたか?  さっきから元気が無さそうですけど……」

  早苗は軽く笑いながら、普段通りに答えた。

「大丈夫よ」
「じゃあ、私、言いたいこと言ってもいいですか?」
「何?」

  吸って吐いて、吸って吐いてと二回深呼吸をした後、少し大きめな声で


「如月先輩!  好きです!」

と言った。早苗は顔を紅潮させる。それを見た桃子は顔を少し下に向けた。

「あの、桃ちゃん……」
「いいんです、返事は。これで心置きなく生徒会長になれるんで。ただし……」

  早苗は、うつむいている顔から涙がこぼれるのに気づき何も言わずにハンカチを差し出す。桃子はそれを手だけで断って、顔を上げ、先程の言葉を続ける。

「……ただし、自分に嘘はつかないで下さい。もっと他人を頼って下さい」

「……あと、幸せになって下さい」

  くしゃくしゃの顔をYシャツの袖で拭う。早苗はその間もその後も何も言えずにいた。

「先輩たちと生徒会出来て楽しかったです……」

  そう言い残して、桃子は階段を降りていく。


  そして、生徒会選挙の当日。
  二葉が司会を行う以外、演説中は何の仕事も無かった。普段の桃子からは想像もつかないような演説に生徒会メンバーは驚いていたが、早苗だけは安心していた。
  全員の演説が終了して、その場ですぐに投票が行われ、そこから一時間程で集計が終了した。桃子はほとんど不信任を出すことなく当選していた。
  前生徒会長である城田二葉から、新生徒会長の東海林桃子に賞状と花束が渡される。会場は拍手に包まれた。そして、選挙はあっという間に終わった。

  早苗はホームルームが終わると真っ直ぐとなりの教室へと向かった。

「しろちゃん、帰りましょう」
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