勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。

カズマ・ユキヒロ

文字の大きさ
24 / 40

24.推測

しおりを挟む
 『カフェ・神月』に戻るなり、僕は。



「マモルさん! よかった……本当に……!」



 カンナギの熱い抱擁に出迎えられた。



「カンナギ……」



 出会ったばかりの僕を、カンナギはこんなにも慕ってくれている。


 悲しませるようなマネは、絶対にしてはいけないと。


 僕は固く、心に誓った。




 それから僕たちは、カンナギの淹れてくれた紅茶を飲みつつ。


 ユウリやアイと、情報を交換したが。



「ハルカの手がかりはなし、か」



 ナヅキとカンナギの情報によると、ハルカ――妹も生きているはずだ。


 ユウリたちなら、何か知っていると思ったが。



「あたしはずっと、アイとふたりきりで……」



「申し訳ございません……」



 しょんぼりする、ユウリとアイに向かい。



「気を落とさないで」



「必ず会えますよ!」



 ナヅキとカンナギが微笑んだ。



「ハルカ……」



 僕の心に、幼い妹の声が浮かんでくる。




『ハルカは、弓使いになろうかな。みんなの後ろから、ビシュッて矢を撃って助けるんだ』




 なんて言ってたけど。


 ハルカは今、どこで何をしてるんだろうか……。



「それにしても。まさか村を焼いたのが、『魔王』とはね」



 ユウリが厳しい顔になる。



「ああ。絶対に許せない」



 思わぬところで、手がかりが見つかった。


 このチャンスを、逃す手はない。



「『いにしえの勇者パーティー』の力があれば、魔王とだって戦えるはずだ。この手で、必ず復讐してやる……!」



 僕は、メラメラと闘志を燃やした。



「確か魔王の名前は、『ジョウカー』だったかしら?」



「おっしゃる通りです、ナヅキさま」



 ナヅキの問いに、アイが答える。



「半年前にいきなり出現すると、人間に宣戦布告をした。そんなお話でしったけ?」



「カンナギの言う通りだよ。だから本当に、つい最近のこと……って」



 ん?



「ちょっと待った」



 僕は覚えた違和感を、口に出してみる。



「魔王ジョウカーは、本当に僕たちの復讐相手なのか?」



「え?」



 カンナギが目を丸くする。



「それは……まちがいないと思うわよ?」



 ナヅキも、戸惑った様子だ。



「魔族の話は、私も聞いたもの。村を滅ぼしたのは、ワタシが仕える魔王サマなんだ! って叫んでたし」



「あたしも同感」



 ユウリが首を縦に振る。



「それにトドメを刺す前も、ビビりまくってたしね」



「いくら魔族とはいえ。あのような精神状態の相手が、ウソを言うとは思えませんが……?」



 アイも、ふたりの意見に賛成みたいだ。



「確かに僕も、魔族はウソを言ってなかったと思う」



 僕は続ける。



「犯人は魔王。つまり僕らの復讐相手も、魔王。この認識は、間違いない」



「でも。マモルさんには、気になることがあると?」



 カンナギの問いに、僕はうなずく。



「村を滅ぼした『魔王』と、世間を騒がせている魔王・ジョウカー。このふたりは、本当に同一人物なのか?」



「えっ?」



 みんなは、目をパチクリさせる。



「どういうこと……なの?」



 目を泳がせるナヅキに、僕は言う。



「もしもジョウカーが、勝手に『魔王』を名乗っているだけだったら。復讐相手イコール、ジョウカーとはならない」



「あっ……!」



 はっとしたように、ユウリが声をあげた。



「なるほど……。おっしゃる意味がわかりました」



 アイが納得したように、首を何度も縦に振る。



「自分が王様だと、口に出すのはカンタンでも。実際にその人が、王様だとは限らない。そういうことですね、マモルさま?」



「アイの言う通りだよ。もしかするとヤツは、本当は魔王じゃないのかもしれない」



「その根拠も。マモルさんにはある、と?」



「根拠というか、引っかかることがあってさ」



 僕は、興味深げなカンナギに答える。



「よーく、考えてみてほしいんだ。僕らの村が滅ぼされたのは、何年前だ?」



「10年前よ。忘れもしないわ」



 ユウリが答える。



「そう、10年前だ。じゃあ聞くけど」



 僕は続ける。



「魔王ジョウカーが現れたのは、いつだ?」



「それは、半年前で……あっ!」



 ナヅキが、口元を手で押さえた。


 どうやら、気づいたらしい。



「そういうこと……! 時期がズレすぎてる!」



 ユウリが叫んだ。



「10年前に潜伏していた魔王が、今になって急に姿を現す……。言われてみると、確かに引っかかりますね……」



 アイは目を伏せ、考え込む。



「もちろん、明確な理由があれば納得できる。たとえば、人間を滅ぼすための準備が整った、とかならね」



 でも。



「魔王ジョウカーに、そんな様子はない。何となく宣戦布告したかと思えば、あとは黙りっきりだ。まるでゲームを楽しんでるみたいな……って」



 気がつくと。



「すごいわ……マモルくん」



「やるわね……マモル」



「さすがは、マモルさま……」



「マモルさん……お見事です」



 ナヅキも、ユウリも、アイも、カンナギも。


 尊敬の目で、僕を見ていた。



「一応、言っておくけど」



 そんなみんなに向かい、僕は付け加える。



「ここまでの話は、ぜんぶ推測だからね?」



 そう。


 すべては推測だ。



 可能性は、考えようと思えばいくらでも考えられる。


 細かいアラを探してケチをつけるのは、誰にだってできることだ。



「ともかく、重要なのは」



 くちびるをなめ、僕は言う。



「ジョウカーを倒すことで、僕らの復讐が終わると決めつけない方がいい。それだけは、お互い頭に入れておこう」



「わかったわ」



「承知しました」



 ユウリとアイがうなずいた。



「まあ……そうは言っても」



 僕は続けた。



「ジョウカーは倒す必要があるな。それも、なるべく早くに」



「マモルさんの『力』に、期限があるから……ですか?」



「ああ」



 カンナギの問いに、僕は首を縦に振る。



 『力』に目覚めたとき。


 謎の声は、確かに言っていた。




『なお。手にした力には、使える期限があります』




 と。



「ジョウカーが犯人だとしても。そうじゃなかったとしても。倒すことで、何かが見えてくるはずだ。『力』にタイムリミットがある以上、あまり時間はかけられない」



「決まりね」



 ユウリが僕の瞳を、強く見つめる。



「次のターゲットは、魔王ジョウカー。あたしも、マモルと一緒に行くわよ」



「わたくしも、お供いたします。10年間鍛え続けた斧さばきで、必ずやお役に立ってみせます」



 アイは、うやうやしくおじぎをした。



「ありがとう。ふたりがいっしょなら、僕も心強いよ!」



 僕が、ふたりに笑いかけると。



「えへへ……!」



「うふふふ……」



 なぜか、ユウリとアイは。


 にやけながら、頬を染めた。



「よし! それじゃあ、今日はもう休もう! 魔王城へは、あさってに殴り込みだ!」



「え、あさって?」



 ナヅキが首をかしげる。



「明日じゃなくて、ですか?」



「もちろん」



 不思議そうな様子のカンナギに、僕は笑った。


 だって。



「明日は大切な、『カフェ・神月』のリニューアルオープン2日目だからさ!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

処理中です...