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38.復讐
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「ここから先は、僕たち4人でやる」
ナヅキに向かい、僕は告げる。
「……わかったわ」
ナヅキはうなずき、後ろに下がった。
「う……ぐううぅぅ……あがっ……」
首と手足のリングで、十字ハリツケの態勢に固定されたツカサは。
顔面蒼白で、震えていた。
「さて、と」
僕は、ツカサに向き直った。
「…………」
「…………」
「…………」
ユウリが、ハルカが、アイが。
無言で、武器をかまえる。
「ひいいぃっ……!」
ツカサの瞳に、恐怖の色が浮かんだ。
「ま、待って! 待ちなさい! お願いだから! お願いだから待って!」
わめくツカサを無視して。
「まずは、そうね」
ハルカが、前に出た。
「謝ってもらえる?」
「も、もちろんよ! アンタに首輪をつけたのは――」
「相手が違うわ」
ビシュビシュビシュビシュッ! ドズドズドズドズッ!
「がっ……!? ぐ、ああああああああああああああ!?」
右脚にハルカの矢の連射を受け、ツカサがわめいた。
「謝るのは、わたしたちの村よ」
「うぐううぅぅ……む……むらを……やいて……」
ビシュビシュビシュビシュビシュッ! ドズドズドズドズドズッ!
「ぶぎいいいいいいいいぃぃ!? うがああああああああああああああ!?」
ハルカの2連射目は、ツカサの左脚を貫通した。
「村の名前は?」
ハルカの視線が、ツカサを射抜く。
「ふゅうちゃむらぁ! フューチャ村ですううううううぅぅ! 燃やしてごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいいいいぃぃ!」
「次だけど」
ユウリがツカサに、剣を突き付ける。
「ひぃああぁ……!」
「あたしのお父さんに謝って。名前はファーザよ」
「ごめんなさいすみませんでしたファーザああああああぁぁ! 許してくだ――」
「呼び捨て? なめてるの?」
ザシュッッ!!
「がはああぁぁあああああああああ!?」
ユウリの放った剣閃が、ツカサの右腕を切り飛ばした。
「ぐううぅぅああああああああ!? ぎああああああああああああああああ!」
悲鳴をまき散らかしながら。
「ファーザさまああああああぁぁ! おゆるしくださいファーザさまああああああぁぁ! ファーザさまファーザさまファーザさまああああああああぁぁ!」
ツカサは許しを願い、叔父さんの名前を叫び続ける。
「今度は」
アイがツカサの背後に回ると、左肩に斧の刃を乗せた。
「いやだあああああああああああぁぁぁ! もういやだあああああああああああああああ!」
「フューチャ村の方々、全員へ謝っていただけますか? ひとりひとり、順番に」
「わからないいいいいいいいぃぃ! なまえわかるにんげんなんていないよおおおおおおぉぉ! しらないしらないわからないわからないわからないわか――」
ザゾンッッ!!
「ぐぎゃああああああああああああああぁぁ!?」
アイの無言の一撃が、ツカサの左腕を斬り落とした。
「ぐううううううううううううあああああああああああああああ!? あがっ……がっ……ががががががああああああああああああああああ!?」
獣みたいなうなり声をあげ、ツカサは全身をけいれんさせている。
そんなツカサに、僕は歩み寄る。
「弱いものイジメは最高のストレス解消法……。『封印の塔』でも。さっきも。そう言ってたな……」
言いながら、僕は。
ツカサの髪を引っつかみ。
バギィ!
顔面にパンチを入れた。
「ぐぶううううぅぅっ!?」
「こんなことがか?」
バギィ!
「はがああああああああぁぁ!? も、もうやべで――」
「こんなことが、ストレス解消になるのか!?」
バギィ!
「ごぶうううううううううぅぅ!? ぶがああああああああぁぁ!」
「こんなことで……!」
バギィ!
「ぶぐあああああああああぁぁ!? ぐううううううううぎぃぃぃぃ!?」
「こんなことなんかで、ストレス解消できてたまるかよ!!」
バギィ!
「ぶぎぃぎゃあああああああああああああああああ!」
もはやツカサの顔は、原型をとどめていない。
10年間待ち続けた、復讐の機会。
あれだけ待ち望んだ、念願の瞬間。
それなのに。
(何なんだ、この気持ちは……)
高揚感はなかった。
スカッとするなんて、とんでもなかった。
ただただ、むなしいだけだった。
……だから。
「これで、最後だ」
僕はツカサから距離を取り、右手を突き出した。
「いにしえの勇者たちよ! 僕に力を!」
右手に、白いエネルギーが集まっていく。
「貴様にもてあそばれた、すべての者たちの……」
「や……やべでええぇ……!」
「フューチャ村の人たちの……そして……!」
「ごろざないで……ごろざないでよおおおおぉぉ……!」
「ファーザ叔父さんが味わった熱さを! 苦しみを! 貴様も受けてみろ!!」
血を吐くような思いで、僕はエネルギーを解き放つ!
「セイント・フレアアアアアァァ!!」
白い炎がツカサへ向かい、一直線に伸びる。
「ひぃあ――」
ドゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!?」
白い火柱が吹き上がると、ツカサの体を包み込んだ。
「あづいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!! あづいあづいあづいだれがだれがだずげでえええええええええええええええええ! だずげでよおおおおおおおおおおおおおおおおおお……」
断末魔の叫びは、少しずつ消えていき。
火柱が消えたあと、そこには。
ツカサだったものの燃えカスが、残されているだけだった。
「終わった……のね」
ハルカが、ぽつりとつぶやいた。
「お父さん、仇は討ったわ……」
ユウリが、天を見上げた。
「フューチャ村の皆さまの魂に、安息が訪れますことを……」
アイがひざまずき、胸の前で手を握った。
「…………」
僕は無言で、その場に立ち尽くした。
心には、ポッカリと穴が開いている。
「マモルくん……」
声をかけられ、振り向いた。
ナヅキは……泣いていた。
「どうして……ナヅキが泣くんだ?」
「わからない……わからないけど……!」
ナヅキは顔を覆いながら、その場に泣き崩れた。
「涙が止まらないの! だってマモルくん、すごくつらそうで……苦しそうで……!」
そんなナヅキに、僕は。
「人間を……僕を、愚かだと思うか?」
聞かずにはいられなかった。
「自分勝手な復讐で、自分勝手にひとつの命を奪った、僕を……」
「……いいえ」
ナヅキは涙を流しながら、強く首を振った。
「胸を張っていいと思うわ……。マモルくんは、多くを救ったんだから……。無念も、命も……」
「僕は、ただ。自分勝手を貫き通しただけだよ」
そう言うと、僕は。
ナヅキに背を向け。
つぶやく。
「……ありがとう」
それから僕は、みんなに呼びかける。
「帰ろう。『カフェ・神月』へ」
そして。
「行こう。僕たちの、明日へ……」
ナヅキに向かい、僕は告げる。
「……わかったわ」
ナヅキはうなずき、後ろに下がった。
「う……ぐううぅぅ……あがっ……」
首と手足のリングで、十字ハリツケの態勢に固定されたツカサは。
顔面蒼白で、震えていた。
「さて、と」
僕は、ツカサに向き直った。
「…………」
「…………」
「…………」
ユウリが、ハルカが、アイが。
無言で、武器をかまえる。
「ひいいぃっ……!」
ツカサの瞳に、恐怖の色が浮かんだ。
「ま、待って! 待ちなさい! お願いだから! お願いだから待って!」
わめくツカサを無視して。
「まずは、そうね」
ハルカが、前に出た。
「謝ってもらえる?」
「も、もちろんよ! アンタに首輪をつけたのは――」
「相手が違うわ」
ビシュビシュビシュビシュッ! ドズドズドズドズッ!
「がっ……!? ぐ、ああああああああああああああ!?」
右脚にハルカの矢の連射を受け、ツカサがわめいた。
「謝るのは、わたしたちの村よ」
「うぐううぅぅ……む……むらを……やいて……」
ビシュビシュビシュビシュビシュッ! ドズドズドズドズドズッ!
「ぶぎいいいいいいいいぃぃ!? うがああああああああああああああ!?」
ハルカの2連射目は、ツカサの左脚を貫通した。
「村の名前は?」
ハルカの視線が、ツカサを射抜く。
「ふゅうちゃむらぁ! フューチャ村ですううううううぅぅ! 燃やしてごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいいいいぃぃ!」
「次だけど」
ユウリがツカサに、剣を突き付ける。
「ひぃああぁ……!」
「あたしのお父さんに謝って。名前はファーザよ」
「ごめんなさいすみませんでしたファーザああああああぁぁ! 許してくだ――」
「呼び捨て? なめてるの?」
ザシュッッ!!
「がはああぁぁあああああああああ!?」
ユウリの放った剣閃が、ツカサの右腕を切り飛ばした。
「ぐううぅぅああああああああ!? ぎああああああああああああああああ!」
悲鳴をまき散らかしながら。
「ファーザさまああああああぁぁ! おゆるしくださいファーザさまああああああぁぁ! ファーザさまファーザさまファーザさまああああああああぁぁ!」
ツカサは許しを願い、叔父さんの名前を叫び続ける。
「今度は」
アイがツカサの背後に回ると、左肩に斧の刃を乗せた。
「いやだあああああああああああぁぁぁ! もういやだあああああああああああああああ!」
「フューチャ村の方々、全員へ謝っていただけますか? ひとりひとり、順番に」
「わからないいいいいいいいぃぃ! なまえわかるにんげんなんていないよおおおおおおぉぉ! しらないしらないわからないわからないわからないわか――」
ザゾンッッ!!
「ぐぎゃああああああああああああああぁぁ!?」
アイの無言の一撃が、ツカサの左腕を斬り落とした。
「ぐううううううううううううあああああああああああああああ!? あがっ……がっ……ががががががああああああああああああああああ!?」
獣みたいなうなり声をあげ、ツカサは全身をけいれんさせている。
そんなツカサに、僕は歩み寄る。
「弱いものイジメは最高のストレス解消法……。『封印の塔』でも。さっきも。そう言ってたな……」
言いながら、僕は。
ツカサの髪を引っつかみ。
バギィ!
顔面にパンチを入れた。
「ぐぶううううぅぅっ!?」
「こんなことがか?」
バギィ!
「はがああああああああぁぁ!? も、もうやべで――」
「こんなことが、ストレス解消になるのか!?」
バギィ!
「ごぶうううううううううぅぅ!? ぶがああああああああぁぁ!」
「こんなことで……!」
バギィ!
「ぶぐあああああああああぁぁ!? ぐううううううううぎぃぃぃぃ!?」
「こんなことなんかで、ストレス解消できてたまるかよ!!」
バギィ!
「ぶぎぃぎゃあああああああああああああああああ!」
もはやツカサの顔は、原型をとどめていない。
10年間待ち続けた、復讐の機会。
あれだけ待ち望んだ、念願の瞬間。
それなのに。
(何なんだ、この気持ちは……)
高揚感はなかった。
スカッとするなんて、とんでもなかった。
ただただ、むなしいだけだった。
……だから。
「これで、最後だ」
僕はツカサから距離を取り、右手を突き出した。
「いにしえの勇者たちよ! 僕に力を!」
右手に、白いエネルギーが集まっていく。
「貴様にもてあそばれた、すべての者たちの……」
「や……やべでええぇ……!」
「フューチャ村の人たちの……そして……!」
「ごろざないで……ごろざないでよおおおおぉぉ……!」
「ファーザ叔父さんが味わった熱さを! 苦しみを! 貴様も受けてみろ!!」
血を吐くような思いで、僕はエネルギーを解き放つ!
「セイント・フレアアアアアァァ!!」
白い炎がツカサへ向かい、一直線に伸びる。
「ひぃあ――」
ドゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!?」
白い火柱が吹き上がると、ツカサの体を包み込んだ。
「あづいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!! あづいあづいあづいだれがだれがだずげでえええええええええええええええええ! だずげでよおおおおおおおおおおおおおおおおおお……」
断末魔の叫びは、少しずつ消えていき。
火柱が消えたあと、そこには。
ツカサだったものの燃えカスが、残されているだけだった。
「終わった……のね」
ハルカが、ぽつりとつぶやいた。
「お父さん、仇は討ったわ……」
ユウリが、天を見上げた。
「フューチャ村の皆さまの魂に、安息が訪れますことを……」
アイがひざまずき、胸の前で手を握った。
「…………」
僕は無言で、その場に立ち尽くした。
心には、ポッカリと穴が開いている。
「マモルくん……」
声をかけられ、振り向いた。
ナヅキは……泣いていた。
「どうして……ナヅキが泣くんだ?」
「わからない……わからないけど……!」
ナヅキは顔を覆いながら、その場に泣き崩れた。
「涙が止まらないの! だってマモルくん、すごくつらそうで……苦しそうで……!」
そんなナヅキに、僕は。
「人間を……僕を、愚かだと思うか?」
聞かずにはいられなかった。
「自分勝手な復讐で、自分勝手にひとつの命を奪った、僕を……」
「……いいえ」
ナヅキは涙を流しながら、強く首を振った。
「胸を張っていいと思うわ……。マモルくんは、多くを救ったんだから……。無念も、命も……」
「僕は、ただ。自分勝手を貫き通しただけだよ」
そう言うと、僕は。
ナヅキに背を向け。
つぶやく。
「……ありがとう」
それから僕は、みんなに呼びかける。
「帰ろう。『カフェ・神月』へ」
そして。
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