勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。

カズマ・ユキヒロ

文字の大きさ
37 / 40

37.決着

しおりを挟む
「いにしえの勇者たちよ! 僕に力を! キャッチ・リング!」




 ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!




 出現した5つの光のリングが、ツカサに飛ぶ!



「あっ!? きゃあ!?」



 リングはツカサの首と両手首、両足首に取りつくと。



「きゃ、きゃああああああぁぁ!?」



 そのままツカサを、十字ハリツケの形に固定した。



「は、離せ! 離しなさい! 離しなさいってば!」



 ツカサはジタバタもがいているが。


 リングの拘束は、ビクともしない。



「ど、どうなってんのよ!? だってアンタ、もう『力』は消えたはずでしょうが!?」



「僕の『いにしえの勇者パーティー』の力。使用タイムリミットは……」



 わめくツカサに、僕は告げる。



「本当は『10時』だ。『8時』じゃない」



「んな……っ!?」



 目をむくツカサに、僕は続ける。



「『絶望の崖』で、タイムリミットをアピールしたのも。『力』の温存をアピールして、この玉座の間に直接テレポートしなかったのも。ついさっき、『力』が消えたと大げさにアピールしたのも。全部、貴様を釣り出すためだ」



 僕は肩をすくめる。



「まんまと乗ってくれた。よっぽど、相手の弱みに付け込むのが好きなんだな?」



「ぐっ……ぐ……が……!」



 怒りの表情でモゴモゴ言う、ツカサを尻目に。



「さっきは助かったよ。魔王の半身――『闇のクリスタル』の解呪時間を、稼いでくれて」



 僕は、みんなにウインクした。



「ツカサの前で『解呪のキス』や、ハデな解呪の技を仮面に使おうとしたら。怪しすぎてバレたはずだ。解呪前に力を取り戻される可能性も、高かったしな」



 だけど。



「みんなは、僕の意図を察してくれた。だからツカサを質問責めにして、気をそらしてくれたんだろ?」



「だってマモルくん、ずっと仮面を握りしめてたから」



 ナヅキが微笑んだ。



「バレない方法で『解呪』しようとしてるのは、すぐにわかったわ」



「僕が『力』を失う演技で、ツカサを釣り出そうとしたときも。乗ってくれて助かったよ」



「乗ったというか、焦ったわよ!」



 ユウリが、手をぶんぶんと振る。



「でも、ジョウカーと戦う前。マモルから聞いてた『力』のタイムリミットまでは、ほとんど時間がなかったじゃない? なのにマモルは、焦ってなかったしね」



 ニヤリと、ユウリは笑う。



「何か策があるって、信じてたわ」



「それに、お兄ちゃんは言ってた。これから何が起こったとしても、僕を信じてくれって」



 ハルカの瞳には、信頼の光が宿っている。



「信じられたよ。これは目的を果たすための、布石なんだって」



「そちらの愚かな王様には。相手を信じる気持ちなど、理解できないのでしょうけどね……」



 アイが冷ややかに、ツカサを見つめると。




「ち、違う! 違うんです!」




 いきなり、ツカサが大声をあげた。



「ア、アタシは魔王じゃありません! 人間です! ただの旅の賢者、ツカサなんです!」



 ツカサは、口調を丁寧語に戻し。


 早口でまくし立てる。



「勇者パーティーには、おどされて参加しただけで! 悪事を働いてるのはわかってましたけど、抜けるに抜けられなくて!」



 ツカサの口は止まらない。



「さっきのも、全部作り話です! デタラメです! ウソっぱちなんです! 頭の中に浮かんだお話を、出来心で口に出しただけなんですよ!」



 ……コイツ。


 往生際が悪いにも、ほどがある。



「これまでした悪いことは、一生かけてつぐないます! だから、このリングを外して――」



「ウソだな。貴様は人間じゃない」



 僕は断言した。



「ど、どうしてそんなことが言えるんですか!?」



「貴様は、『絶望の崖』で言ったな。転移魔法を使えると」



「使えますよ! でも! そんなの、アタシじゃなくても使えるはず――」



「使えないよ」



「……え?」



 固まるツカサに、僕は告げる。



「転移魔法は、いにしえの時代に失われたロスト・マジックだ。『力』がある僕を除けば、この世界に使える『人間』はいない。使えるのはナヅキたち『死神』や、『魔族』ぐらいって話だ」



「な……!?」



「つまり。転移魔法が使える、ということ自体が。人外の証明なんだよ」



「そんな……そんなはずは……!?」



 ツカサがうろたえている。



「だ、だって! あの勇者……じゃない! ダイトさんたちといるときに、何度も使ったのに!?」



「どうせ。何で使えるか聞かれたときに、適当なこと言ったんだろ? で、連中は深く考えず、鵜呑みにしたんだろうな」



 もしくは。



「人外と理解した上で、仲間にした可能性もあるか。残虐なもの同士、気が合っても不思議じゃない」



「う……そ……?」



 ツカサは絶句するが。



「そ、そうです! 思い出しました! たまたま見つけた古文書に使い方が――」



「昨日」



 食い下がるツカサを無視し。


 僕は続ける。



「フューチャ村で出会った魔族に、村を滅ぼしたのが『魔王』だと聞かされてから」



 そして。



「今日、『力』の期限を知らされてから。僕がターゲットに絞ったのは、ジョウカーと貴様だった」



 だって。



「貴様が『封印の塔』で、僕を殺そうとしたときの言葉。ずっと引っかかってたからな」



 そうだ。


 今でも、よく覚えている。




『ま、運が悪かったということで。愚かな人間たちの末路なんて、だいたいこんなものですよ……ふふっ』




「『愚かな人間たちの末路』と、貴様は言った。妙だと思った。まるで自分が、人間じゃないみたいだ」



 それに。



「フューチャ村で出会った魔族の、最期の言葉も。あとから考えると、貴様を連想させるものだった」



 そうだ。


 ヤツは最期、確かにこう言っていた。




『魔王、サマ……まお……う………………カ…………サ、サマ……』




 だから。



「ハルカを助けたあとの、当初のプランは。ジョウカーを倒したあと、全力で貴様を探すことだった」



 でも。



「結果的に、探す必要はなかったけどな。ハルカの死に立ち会おうとしたのが、貴様の運の尽きだ」



「そ、そんなの! そんなのは、ただのこじつけです!」



「ひとつひとつはな。ただし」



 僕は続ける。



「たとえ、かすかな違和感でも。それが複数、積み上がるなら。仮説を立てるには十分だ」



「いい加減にしてください! そんな当てずっぽうで!」



 ツカサは声を荒げながら、僕をにらみつけてきた。



「だいたい! 村を滅ぼしたのが魔王、なんていうのは! ガンザのデタラメかもしれないじゃないですか! そんなデタラメを信じるなんて――」




「どうして名前を知ってる?」




「……え?」



「僕は、フューチャ村で出会った『魔族』、としか言ってない。ガンザなんて名前は、僕も1回ぐらいしか聞いた覚えがない」



「……あ!?」



「どうして、当時勇者パーティーにいた貴様が。出会ったこともない魔族の名前を、正確に言い当てられるんだ?」



「あ……あ……ぎ……ぐ……!?」



 口をパクパクさせる、ツカサへ向け。


 僕は告げる。



「僕の『力』は、人間を殺すと消える。いくら貴様が怪しくても、確証がなければ手は出せない。本当に人間の可能性も、あったしな」



 それに。



「人外だとわかっても。村を焼いたと自白させずに仕留めたんじゃ、真相は闇の中だ」



 かといって。



「痛めつけて、ムリヤリ口を割らせても。偽りの自白の可能性は消えない」



 とはいえ。



「『力』のタイムリミットまでに釣り出して。油断させて自白させるのは、大きな賭けだった」



 でも。



「その賭けに、僕は勝った」



 これで決着だ。



「チェックメイトだ、魔王ツカサ。僕たちの復讐、果たさせてもらう」


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

処理中です...