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【9】旅路
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ステュアートはワリュデリン聖国の馬車に乗り、胸中でほくそ笑む。
正式な遠征からの帰還のため、カーン帝国で利用していた馬車とは違い、馬車にはフューリア教を示す紋が彫り込まれている。
馬車のなかも、座敷と呼ばれる伝統的な《移動する部屋》のような造りになっており、座るだけでなく横になることもできるのだ。
ワリュデリン聖国の高貴な身分にのみ許された馬車で、揺れもほとんどない。
大神官は立場上、遠征先でかなりの『聖力』を消耗するため、移動時にも休息が取れるよう配慮されていた。
そんな馬車のなかで、ステュアートはふんぞり返るように座っていた。
(計画通りです、ふふふ)
アリアドネに是と言わせるまでに骨を折ったが、雨降って地固まるともいうし、多少穏やかでは無い始まりもよいだろう。
やっと素直になったようで、アリアドネのほうから妻にして欲しいと請うてきたのだから。
ステュアートは口元を袖で隠すように微笑む。
小さく肩を震わせる姿は、口元を隠しているせいで泣いているようにも見えた。
軽く窓を叩いてからひょいと馬車のなかを覗いたアランは、これ以上ないほど顔を顰めた。
「……え、どうしたんです?」
「嬉しいのです。やっと、解放されそうですので」
――鬱陶しい、女どもから。
今後はより大神官としての仕事に集中できるだろう。
「何から解放されるんですか? というか、何かに捕まってたんですか?」
「私にも、あなたには分からない苦しみがあるのです。私事で恥ずかしいですから、詮索は無用」
ステュアートは、自他ともに認める《完璧な絶世の美男子》である。
しかし、そんなステュアートにも『モテすぎて困ってしまう』という弱点があるのだ。
それは、ステュアートにとっては恥でもあった。
「そうですか、なんとなく想像がつくので詮索はやめておきます。ま、解決したならよかったですね」
「ええ」
「あ、そうだ。そろそろ国境を抜けますが、アリアドネさんと一緒にいなくてよかったんですか? 彼女、国を出るのは生まれて始めてでしょう、不安かもしれませんよ」
「そうかもしれませんね」
アランが言外に同じ馬車に乗せてはどうかと言ってくる。
今、アリアドネはステュアートの馬車から後方に離れた馬車に乗っていた。仲の良さをアピールするために同じ馬車を使っても良いのだが、なにせ、ステュアートは美しい。
アリアドネが邪な気持ちを抱き、いきなりステュアートを押し倒してくる可能性もある。
そうなれば力でねじ伏せるだけだが、騒ぎになって不仲だという噂がたっても厄介だ。
結局自分の身を守れるのは自分だけなので、ステュアートに対して色に狂っているアリアドネとはなるべく離れた方が良いと判断したのだった。
「ですが、暫くは離れておきましょう。未婚の男女ですから、あまりずっとそばに居るのはよくないでしょうし。もし、アリアドネさんがどうしても一緒にいたいと仰るのでしたら、やぶさかではございません」
「まぁ、そうですね。じゃあ、定期的に様子を見に行ってきます」
「ええ、そうして差し上げてください」
ワリュデリン聖国までは、まだ日数がある。
夜を明かす際は道中の有力貴族の屋敷を借りることになっているため、その頃には顔を合わせるだろう。
アランが下がっていったあと、ステュアートはふむと考えた。
(しかし、初めての国外。しかも顔見知りは、深く愛しているとはいえ私のみ。……やはり心細いでしょうから、すぐに会いに来るでしょう)
ステュアートは自分用の茶菓子のなかから、アリアドネが好みそうなものをいくつか選ぶ。
しかし、相手は平凡も平凡な女である。ステュアートのような高尚な者が食べる菓子は、そうそう食べる機会がないだろう。
独特な味、と感じてしまい、食べることが出来ないかもしれない。
(……まぁ、本人に選んで貰えば良いでしょう)
そう考えて菓子箱を奧にやり、今度は重ねてあったふかふかの座布団を取り出した。
普通も普通の女なのだから、ステュアートが乗るような高尚な馬車に慣れていない可能性が高い。
ステュアートはせっせとアリアドネ用の座布団と肘置きを用意しながら、さすが私は気の利く絶世の美丈夫かつ聖人君子だと自賛した。
◇
馬車といえば、乗り合い馬車である。
それが当然の世界で生きてきたアリアドネにとって、ワリュデリン聖国の椅子のない馬車は初めてだった。
移動する座敷型の馬車は、かつて雅な位にあった者たちが権力を誇示するために使用していた『牛車』が元になっているという。
初めて見る形の馬車に驚いたアリアドネは、馬車を囲む騎士神官と呼ばれる護衛たちから、そういったワリュデリン聖国についての話を聞いていた。
馬車を使わせてもらうだけでも有り難いのに、アリアドネが乗っている馬車の周囲に騎士神官まで付けてもらっているのだから、なんとも大層な待遇である。
元々好奇心旺盛なアリアドネは、道中、騎士神官たちから沢山話を聞いた。
主に、これから向かうワリュデリン聖国のことや遠征について等で、異文化交流前の下準備のようなものだ。
「おや、随分と楽しそうですねぇ」
上手に馬を操りながら下がってきたアランが、微笑みながらアリアドネたちを見た。
騎士神官が、慌てて口を噤んで前を向く。
「何もかもわからないことだらけで、色々と教えて頂いてたんです」
「アリアドネさんは勉強家なんですね」
アランは馬車の隣につくと、声を潜めて聞いてきた。
「先程国境を越えましたが、心身共に辛いことはありませんか? 何かあれば遠慮無く、早めにおっしゃってくださいね~」
「とてもよくして頂いています。この馬車も、ベッドみたいで凄く快適ですし」
「それはよかった。実は、このタイプの馬車は異国の方には不評でして、アリアドネさんが嫌だったらどうしようと思ってたんですよ。大神官様の馬車に同乗されることも出来ますよ、あちらのほうが揺れが少ないですし。こちらの馬車は予備のようなものでして」
「いえいえ、お気遣いなく」
わざわざ馬車を分けたのだから、意味があるのだろう。
目的地は同じだし、何もステュアートと一緒に乗る必要はない。
「あ、でも少し聞いておきたいことがあるんですけど……もし話せないなら、それはそれで大丈夫なので」
「俺で答えられることでしたら」
こそりと声を潜めて言うと、アランはさらに声を潜めた。
「ステュアート様のことなんです。どうして私を妻にして下さるんでしょうか?」
愛を囁いてくれるけれどあれはどう見ても口だけだ。恋する者独特の柔らかさや暖かな雰囲気もなく、甘さもない。
むしろどことなく、アリアドネを利用しようとしているようにさえ感じる。
しかし、大神官であるステュアートがアリアドネのような平民を利用しなければならないほど、何かに悩んだり困ったりしているのならば、力になりたいと思うのだけれど。
出来ることならば早いうちに、彼は何に困っているのか、アリアドネに何を求めているのか、その辺りを知っておきたかった。
アランならば知っているだろうとふんわりとした聞き方をしたのだけれど。
彼はキラキラと瞳を輝かせて、にんまりと笑った。
「愛しているからでしょう」
「それは、ステュアート様が私を……?」
「ええ。あの大神官様が、恋。これはもう、天変地異の前触れですよ!」
(アランさんも、ステュアート様の目的をご存じないのね)
そう察して、アリアドネは質問を変えることにした。
ステュアートの側近のアランを長く傍に留めるわけにはいかないと思ったのだ。
「あの、神官様は結婚できないのに、大神官様が結婚できるのはどうしてですか?」
途端に、アランの笑顔が強ばった。
(聞いてはいけなかったかしら!?)
青くなるアリアドネには気づかず、アランは言葉を選ぶようにして話し始めた。
「フューリア教は、人に害をなすモノを【悪】としてるんですけどね」
フューリア教の根底まで、遡る必要があるようだ。
アリアドネはその辺もよく知らないなんちゃってフューリア教徒なので、有難く話を聞くことにした。
フューリア教は、人に害を成すモノを悪とする。
それはおもに異形をさすのだが、異形のなかでも『悪魔』『魔物』といった種族単位で悪と決めつけているわけではない。
あくまで人に害を為して初めて『悪』となるのだ。
その『悪』に取り憑かれた者を救うことがフューリア教の使命とされている。
「基本的に、異形を払うにはそれぞれに適した退魔法を使うんです。呪文や道具、聖水などを用いるのですが、相手によっては命懸けになります」
「そんなに危険なんですか?」
「それはもう。『悪魔』が相手だと、間違いなく返り討ちにあいますし」
「……そうでしたか」
「でも、大神官様は呪文や道具を用いずに、『聖力』を使って魔や異形を払うことができるんですよ。つまり、より苦しんでいる方々をより多く救えるのです」
ふむ、とアリアドネは頷いた。
「その『聖力』っていうのが、フューリア教ではとても重要視されるんですね」
「はい。この力は後天的に得ることができるのですが、かなり少数でして。子にもある程度『聖力』が宿るので、大神官様方には、積極的に子を作ってもらいたいというのがフューリア教の方針なんですよ」
「遺伝するんですね」
「遺伝、ではありませんね。あくまで親の力の残滓のようなものを引き継いでるだけで、子の持つ『聖力』は弱いうえに、場合によっては消失します」
アリアドネは、目をぱちくりさせた。
(そこまでして、『聖力』が欲しいなんて)
微弱で消えるかもしれないのに求められる『聖力』とは、一体どれほど重要なのか。
人を救うためというが、そのために量産される子を思うとなんだか複雑な気持ちになった。
「……ステュアート様は、とても大変なお立場なのですね。私でお力になれるでしょうか」
「ええ、きっと。これまでどれだけ結婚を勧められても断っていたあの方が、自ら進んであなたを選んだのですから。あなたの存在が、今後ステュアート様のもとに嫁いでくるだろう、他の奥方たちに良い影響を与えることは間違いないですよ」
(……ん?)
アリアドネは、アランをじっと見つめた。
変わらず微笑んでいる姿は、冗談を言っているようには見えない。
「他の奥方?」
「大神官の方々は、複数の妻を持つのが通常ですので」
(一夫多妻制だったの!? ……確かに、ちらっとそんなことを聞いたような気も……)
元々、子をつくることを義務とされる立場のようだし、もしかしたら、夫婦関係に愛など持ち込まないのが当たり前なのかもしれない。
それならば、ステュアートがアリアドネに対して気持ちがないことも理解できる。
(ステュアート様は、私に何を求めているのかしら)
何かを理由で妻にするのならば、その理由を聞きたい。
いつ頃話してくれるのかわからないため、今は推測する他ないが――。
フューリア教の大神官は一夫多妻制を用いているため、アリアドネが嫁いだあとも新たな妻候補がやってくるという。
しかし本人は、妻をとることを拒んでいたらしい。
アリアドネは考える。
そして、ある考えにたどり着いた。
(もしかして……管理人、的な立場をご所望なのかしら)
多くの妻をもてば、妻同士の争いは必ず起きるものだ。
しかし、アリアドネが円滑に満遍なくすべての妻に夜の相手を行き渡らせ、普段から争いごとになる前に妻同士を取り持てば、ステュアートが妻について頭を悩ませることも無い。
もしステュアートが王族で後宮を持つ立場ならば、身分のある者を妻にするべきだろう。
そのほうが権力を得やすいからだ。
しかし、ステュアートはフューリア教の大神官である。
彼本人もだが、嫁いできた妻が地位に驕るようでは、醜聞や失脚に繋がりかねない。
最初に平民のアリアドネを妻にして、妻たちを管理させることで自分の仕事に集中したいのだろう。
(っていうのも、推測でしかないけど。……だとしたらやっぱり、平民なら私じゃなくてもよかったんだわ)
アリアドネはほっとして微笑んだ。
自分の役割が見えてきたような気がしたのである。
(生活に慣れてきたら、積極的に良妻になりそうな人をステュアート様の妻に引き入れなきゃね!)
うんうんと頷いていると、ふいにアランが「そうだ」と思い出したように言った。
「もしステュアート様の馬車に移動されたくなったら、先に俺に言ってもらってもいいですかね?」
「勿論です。……もしかして、具合がよくないんですか? ステュアート様」
アランの苦い表情からそんな気がして、恐る恐る聞いてみると、アランは苦笑を浮かべた。
「なんだか、悩みをお抱えのようで」
「悩み……?」
「恥ずかしいらしいので詮索は無用だそうです。色々アリアドネさんをお迎えする準備も必要かと思いますので、よろしくお願い致します」
アランが離れて行くのを見送ったアリアドネは、前のほうの馬車にいるステュアートを思って悲嘆にくれた。
「恥ずかしい悩み……」
馬車に乗る前はいつも通りだったこと。
ステュアートが大神官として遠征を積極的に行っていること。
それらを考えて「恥ずかしい悩み」というのを当てはめれば、答えはすぐに出る。
「ステュアート様、痔をお持ちなんだわ。お辛いでしょうね」
今頃は、馬車のなかで少しでも楽な姿勢を取っているに違いない。
だから、いきなり尋ねるようなことは避けてほしいと、アランが言ったのだ。
アリアドネはステュアートの気持ちを慮って、決して旅の間、彼の馬車を訪れまいと誓った。
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