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第10章
第12話 挨拶 1
しおりを挟むお兄様達は、お名前しか聞き覚えが無いと仰っている貴族が、私達の元にやって来ました。
さて、どんな方なのでしょうか?
「ま、シアの結界を通れたのですから。そんなに警戒をしなくても、良いとは思いますが。気を付けた方が良いですね?」
「あぁ、そうだね」
そして、その貴族が私達にご挨拶をしてきました。
「初めまして、ヴァンス・ベルガモット殿……。いえ、公王様とお呼びすれば良いのですかな?私は、エルダイン・インブルグと申す者です。隣に居るのは私の息子で……」
エルダインの言葉に、伯父様が少し反応しましたが……ここは動かずと、お考えになったようですわ。
「お初にお目に掛かる。私はエンバル・インブルグと申します。以後お見知りおきを」
「あぁ、宜しく。我が領地へよく来られた。道中大変ではなかったですか?」
「いえ、それ程でも。自分の領地を出てここに来る途中までは、多くの魔物に襲われましたが。不思議な事に?ここに近付くに連れ、魔物にも出会うことは殆んどなく、快適と言いませんが、楽に進んで来れましたよ。何せ今は、リシュタール国内は魔物が蔓延り、各領地は大変ですからね。それに比べて、このベルガモット家の領地の呑気なこと。フフフ。本当に……聖女の守りでも、あるのかと疑いたくなりますね?」
「ち、父上!口が過ぎますよ?」
「おや、これは失礼を」
聖女ですか……?そんなものはここには居りませんわよ?フフフ。リシュタール国内はそんなことになっているのね?あ!だからイリア達はここに?
まあ、後でお話を聞きましょう?今はこの方ですわね?
「そうでしたか、それは大変でしたね。詳しいことは、後程伺いましょう。ですが、私共の領地は危険は無いのでご安心ください。そして、今宵は楽しんで行かれて下さい。お泊まりの部屋もお使いの際に、何かご不便が御座いましたら。館の使用人にお申し付け下さい」
「フフフ、それでは。今宵は楽しませて貰いましょう。しかし……実に豪華なパーティーだ!」
「本当ですね、父上。今日は楽しませて貰いましょう。それで、そちらがパトリシア様ですか?」
え!……なぜ、私なのかしら?
でも、挨拶はしないと……。
「初めまして。インブルグ様。私がパトリシア・ベルガモットですわ」
「なんと、美しい方だ。王都でのパーティーに一切お顔を、お出しにならないので。……どんな方かと思って居たのですが……。宜しければ後程お話を?」
「ええ…」
「ゴホン。インブルグ殿そろそろ。また後程話す場を設けよう」
「あぁ、これは……申し訳ないですな?息子がご令嬢に失礼を。では、私共はこれで」
それだけ言って、壇上から下りて行ってくれた。
なんでしょうか?印象は……良いのか悪いのか……分かりません。
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