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第12章
第18話 ドワーフの元へ
しおりを挟む雑貨屋のレベルが低すぎて、……どうするか迷っているパトリシアです。
(困ったわ……ここまで、品物のレベルが低いとは。誤算でした、庶民の生活の水準が分からなかったわ……)
普段自分の思うがままに、好き放題してるパトリシア。
それに裕福な貴族の暮らしをしてるので、(今や王族です)庶民の暮らしぶりを知らないのだ。
幼い頃この辺りを彷徨いた記憶が、全くないから余計に不安になる。
(ここは、店を出てドワーフの工房へ向かった方が早いのかしら?てか、ドワーフのおっちゃんとか言ってるけど、場所も覚えてないわ~。グレド知ってるかしら?)
「パトリシア嬢?」
「え、あ、はいなんですの?」
「何かを買うためにこの店に入ったのかな?目当ての物は有ったのかい?」
「い、いえ、それが……(殿下……入るお店を間違えましたの)」
ここは、小声で殿下に御相談です。
もしかしたら助けてくれるかも?
「(は?それは不味いだろ?)そうか…」
「(ええ、それで困ってますのよ?どうすれば良いかしら?)なにかありませんか?」
「そうだな……では、これ等どうだい?」
殿下が手に持ったのは、羽ペンにインクだった!
おお!苦し紛れで、手に取ったにしてはナイス!です殿下。
「まぁ殿下、それは良いですね?それにしますわ!グレンこれを筒んて貰って頂戴」
「畏まりました。クク」
「店主さん、また来ますわね?」
「は、はい!またのこお越しを………」
ポカンとして店主が返事をしてくれだけど、お陰で店をすんなり出てこれたわ。
ほっ……やっぱり私が独断で店を決めるのは無理かしら?これは後でグレンに怒られる……反省です。
それに私が物を見せても……、なんだが怪しい人で終わりそうだったし?!
「殿下先程は、ありがとうございました」
会計をグレンに任せて、殿下と一緒に店を出てからお礼を言う。
「嫌、助けになったのなら良かったよ。さて次は、何処に行くのかな?」
「えっと次は………あぁ、グレンありがとう。グレン、ドワーフの工房へ行きたいのよ、場所に案内して頂戴な?」
「ドワーフの工房にですか?」
「ええ、お願い」
「承知しました。でしたらこのまま向かいましょう」
グレンが先行して私達の前を歩く。
「パトリシア嬢、ドワーフに会えるのかい」
「ええ、それがどうかしましたの?」
「だってドワーフだぞ!」
「えっ?」
「ドワーフと言えば……武器や防具にその他の物を作る技術が見事だと聞くぞ……!」
な、なんか興奮してませんか?
「そ、そうですね?手先が器用ですわね?フフフ」
私からしたら唯の呑んだくれの気がしてならないけれど?
あ!お酒有ったかしら………有るわね。
確か……昔に手土産は持って行ってた筈だけど?
暫く歩いて、道具屋らしき建物の前に到着した。
店の外観に、なんとなく覚えがあるわ。
そして、店の工房の扉をグレンが開け挨拶をして中に入って行く。
「邪魔をするよ?モーリス!居りますか」
グレドが店主の名を呼ぶと店の奥から人が現れた。
「なんでぃ!誰だ」
「久しぶりだね?モーリス」
「な、なんだって?………お、お前さんはグレンじゃないか。あ、ぁぁぁぁーーじ、嬢ちゃんか?隣りに居るのは嬢ちゃんかぁ!お、おい!バッカス!嬢ちゃんが来たぞぃ!!」
大声で、ドワーフのモーリスが相方のバッカスと呼ばれるもう一人のドワーフを呼んだ。
「なんでぃ!煩せぇな!モーリス。嬢ちゃんって何処の嬢様よ!俺は知らんぞ………いや知ってるな……」
知らないとか知ってるとか……色々忙しいわね?
でも……思い出したわぁこの煩さで、思い出したわ!
モーリスのおっちゃんと、バッカスのおっちゃんよね?
その節はご迷惑をお掛けしました。
そして、これからも掛けますわ!
応援ありがとうございます!
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