11 / 275
第1章 ここから始まるDIY
五日目② 俺が悪いのか?
しおりを挟む
コンコンコン
「マスター。件の冒険者を連れてまいりました。」
「おういいぞ。はいれ。」
中から渋いおっさんの声がした。
この声どっかで聞いたような気がするが……
きっと気にしたら負けな気がしてならない。
執務室の中は、意外とこざっぱりしていた。
てっきり、ゴテゴテした装飾とかありそうだったんだけどな。
〝悪徳ギルドマスターここにあり!!〟みたいなテンプレをつい期待してしまった。
そしてキャサリンさんに促されて中に入ると、大きな執務室の机が目についた。
華美というわけではなく、実用性重視なんだろうか。
すごい書類の量でもビクともしなかった。
そして、書類の奥の執務机で書類に埋もれながら格闘しているマッチョなおっさんがいた。
あ、あの時のおっさんだ。
「おう来たな。まあ座れや。」
おっさんにソファーに座るよう促され、手前に据え付けられた応接セットのソファーに腰を下ろした。
子のソファー見た目と違って意外とクッション性はよく、長時間ここで無駄話をしても快適だとは思えた。
まあ、マッチョなおっさんと長話なんてしたくはないんだけどね。
ソファーに腰を下ろすと、すぐにキャサリンさんがお茶を用意してくれた。
「もうすぐ書類の処理が終わると思うから、少し待っててくださいね。ギルマス、さっさと書類の処理を終わらせなさい。」
「わ~てるって。ねぇ……ウォッホン、キャサリンさんもお茶を飲んでゆっくりしていてくれ。」
そう言うとギルマスがまた書類との格闘に戻っていった。
何か大事なことを言いかけていたようだけど、その瞬間キャサリンさんから何かが発せられたようで、すぐに言葉を引っ込めた。
カチ……コチ……カチ……コチ……
いまだおっさんの書類整理が終わらない……
なんだこのいたたまれない空気は……
カチ……コチ……カチ……コチ……
2杯くらいお茶をお代わりしたころだろうか。
どうにか書類の処理が終わったようで、こっちにおっさんが歩いてくる。
「待たせたなぁ。」
相も変わらずどっかの蛇さんみたいな渋い声だな……
っていかん、気にしたら負けだ。
それよりもいろいろまずいだろ……
ギルマスは疲れたといわんばかりにソファーにドカンと腰を下ろした。
その衝撃にものともせずソファーはおっさんのすべてを受け止め、包み込んでいた。
何だこの性能抜群なソファーは……
腰を下ろした後も身体をゴキゴキと音を立てながら伸ばしているところを見ると、身体が凝り固まるくらい大分時間を使って処理していたことがうかがい知れた。
「とりあえず事情聴取だ。っとその前に自己紹介がまだだったな。俺はここのギルドマスターをしているシャバズ・ウォルド=ウィリアムズだ。呼び方は……特に決まってねぇ~から、好きに呼んでくれて構わん。」
「じゃあ、適当に呼ばせてもらうよ。それじゃあ、わかっているとわ思うけど、俺の名はカイト・イシダテだ。カイトでもイシダテでも好きに呼んでくれ。」
そういって手を伸ばすときちんと握手で返してくれた。
どうやら握手の文化はこっちの世界にもちゃんとあるらしいな。
「それで本題に入るんだが、お前さん、昨日常設依頼のゴブリン退治の報告をしたろ?で、その左耳どっからとってきた?」
「なにを聞きたいかわからないけど、普通にボコって切ってきたに決まってるでしょうに。」
あ、これ完全に疑われてるパターンだ……
もし俺があの場で死んでいたら……死人に口なしってやつか……
めんどくさいけど、昨日有ったことを説明した。
東の森を探索中に戦闘を確認。
盾役が倒れて戦線崩壊。
近くに居た俺を発見し、擦り付けて逃走。
5体のゴブリンと必死に戦闘。
討伐後左耳を回収。
やっとのことで街へと帰還。
と、まあ、かいつまんで説明を行った。
それにしても、良く生き残ったもんだよ全く。
「そうか、しかしな、今朝それについて物言いがついた。自分たちが倒したゴブリンの死体から左耳かっさらったやつがいるって。そいつがお前さんだっていう話だ。」
……あいつら絶対〆る。
「つまり、俺がウソの申告をしたってことになってるってわけね?」
「ありたいていに言えばそうなるな。」
これってキレていいやつだよな?
さすがに温和な俺でもキレてあいつらを帰らぬ人にしたい気分だ。
おっと、それはさすがにまずいか……
「おいおい、そんなに殺気を漏らすな。それにしても若いのにそれだけの殺気を放てるんだ。それなりの経験をしてきたんだろ?」
「いや、俺この前なったばかりだろ?冒険者……。」
おっさんが何かよく分からないことを言い出したけど、俺としては秩序正しい現代社会からいきなりこっちの世界に連れてこられたのだだから、こっちの常識何て知る由もなかった。
あれ?でもこのやり取りになんだか見覚えが?
デジャヴってやつかな?
まいっか……
考えるだけ無駄だろうし。
今はこの状況をどうするか……って方が大事だな。
「つまり、俺がウソの報告をして、依頼達成をでっちあげ、その褒章を得た。奴らはそれを返せと言ってきている。ギルドとしてはそれを調査しなくてはならない。ってことで良いのか?」
「マスター。件の冒険者を連れてまいりました。」
「おういいぞ。はいれ。」
中から渋いおっさんの声がした。
この声どっかで聞いたような気がするが……
きっと気にしたら負けな気がしてならない。
執務室の中は、意外とこざっぱりしていた。
てっきり、ゴテゴテした装飾とかありそうだったんだけどな。
〝悪徳ギルドマスターここにあり!!〟みたいなテンプレをつい期待してしまった。
そしてキャサリンさんに促されて中に入ると、大きな執務室の机が目についた。
華美というわけではなく、実用性重視なんだろうか。
すごい書類の量でもビクともしなかった。
そして、書類の奥の執務机で書類に埋もれながら格闘しているマッチョなおっさんがいた。
あ、あの時のおっさんだ。
「おう来たな。まあ座れや。」
おっさんにソファーに座るよう促され、手前に据え付けられた応接セットのソファーに腰を下ろした。
子のソファー見た目と違って意外とクッション性はよく、長時間ここで無駄話をしても快適だとは思えた。
まあ、マッチョなおっさんと長話なんてしたくはないんだけどね。
ソファーに腰を下ろすと、すぐにキャサリンさんがお茶を用意してくれた。
「もうすぐ書類の処理が終わると思うから、少し待っててくださいね。ギルマス、さっさと書類の処理を終わらせなさい。」
「わ~てるって。ねぇ……ウォッホン、キャサリンさんもお茶を飲んでゆっくりしていてくれ。」
そう言うとギルマスがまた書類との格闘に戻っていった。
何か大事なことを言いかけていたようだけど、その瞬間キャサリンさんから何かが発せられたようで、すぐに言葉を引っ込めた。
カチ……コチ……カチ……コチ……
いまだおっさんの書類整理が終わらない……
なんだこのいたたまれない空気は……
カチ……コチ……カチ……コチ……
2杯くらいお茶をお代わりしたころだろうか。
どうにか書類の処理が終わったようで、こっちにおっさんが歩いてくる。
「待たせたなぁ。」
相も変わらずどっかの蛇さんみたいな渋い声だな……
っていかん、気にしたら負けだ。
それよりもいろいろまずいだろ……
ギルマスは疲れたといわんばかりにソファーにドカンと腰を下ろした。
その衝撃にものともせずソファーはおっさんのすべてを受け止め、包み込んでいた。
何だこの性能抜群なソファーは……
腰を下ろした後も身体をゴキゴキと音を立てながら伸ばしているところを見ると、身体が凝り固まるくらい大分時間を使って処理していたことがうかがい知れた。
「とりあえず事情聴取だ。っとその前に自己紹介がまだだったな。俺はここのギルドマスターをしているシャバズ・ウォルド=ウィリアムズだ。呼び方は……特に決まってねぇ~から、好きに呼んでくれて構わん。」
「じゃあ、適当に呼ばせてもらうよ。それじゃあ、わかっているとわ思うけど、俺の名はカイト・イシダテだ。カイトでもイシダテでも好きに呼んでくれ。」
そういって手を伸ばすときちんと握手で返してくれた。
どうやら握手の文化はこっちの世界にもちゃんとあるらしいな。
「それで本題に入るんだが、お前さん、昨日常設依頼のゴブリン退治の報告をしたろ?で、その左耳どっからとってきた?」
「なにを聞きたいかわからないけど、普通にボコって切ってきたに決まってるでしょうに。」
あ、これ完全に疑われてるパターンだ……
もし俺があの場で死んでいたら……死人に口なしってやつか……
めんどくさいけど、昨日有ったことを説明した。
東の森を探索中に戦闘を確認。
盾役が倒れて戦線崩壊。
近くに居た俺を発見し、擦り付けて逃走。
5体のゴブリンと必死に戦闘。
討伐後左耳を回収。
やっとのことで街へと帰還。
と、まあ、かいつまんで説明を行った。
それにしても、良く生き残ったもんだよ全く。
「そうか、しかしな、今朝それについて物言いがついた。自分たちが倒したゴブリンの死体から左耳かっさらったやつがいるって。そいつがお前さんだっていう話だ。」
……あいつら絶対〆る。
「つまり、俺がウソの申告をしたってことになってるってわけね?」
「ありたいていに言えばそうなるな。」
これってキレていいやつだよな?
さすがに温和な俺でもキレてあいつらを帰らぬ人にしたい気分だ。
おっと、それはさすがにまずいか……
「おいおい、そんなに殺気を漏らすな。それにしても若いのにそれだけの殺気を放てるんだ。それなりの経験をしてきたんだろ?」
「いや、俺この前なったばかりだろ?冒険者……。」
おっさんが何かよく分からないことを言い出したけど、俺としては秩序正しい現代社会からいきなりこっちの世界に連れてこられたのだだから、こっちの常識何て知る由もなかった。
あれ?でもこのやり取りになんだか見覚えが?
デジャヴってやつかな?
まいっか……
考えるだけ無駄だろうし。
今はこの状況をどうするか……って方が大事だな。
「つまり、俺がウソの報告をして、依頼達成をでっちあげ、その褒章を得た。奴らはそれを返せと言ってきている。ギルドとしてはそれを調査しなくてはならない。ってことで良いのか?」
応援ありがとうございます!
1,391
お気に入りに追加
2,969
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる