re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します～

第１章 ここから始まるDIY

十八日目② これは……ある意味テンプレか?!

　ゴブリンの魔石を回収した俺は、さらに森を探し回った。
　できれば鉄製品をつくりたいので、１０個以上は必ず確保したいところだ。

　そう思い少し森の奥まで足を延ばしてみると、湿地帯的な水辺が姿を現した。
　周囲はマングローブに似た植物で覆われており、足元はだいぶぬかるんでいた。

　何とか堅い地面を見つけながら探索を進めると、大きな湖を発見することができた。
　湖には魚影もあり、桟橋とか船も見える。
　おそらくここは漁場なのかもしれない。

　湖の周りをまわっていると、目の前に何やらフヨフヨとしたゼリー状の何かが広がっていた。
　俺はこの時、〝どうせまた異世界的物質か何かかな〟って油断しすぎていた。
　無警戒に近づいたとたん、ゼリー状の物体が飛び掛かってきた。
　慌てた俺は、強引に体をよじりながら間一髪で躱すことに成功した。
　そうすると、後方ではべちゃっという音が聞こえた。
　俺は警戒しつつ音のした方を振り向くと、またフヨフヨと蠢く塊があった。
　その真ん中には５ｃｍくらいのボール状の何かが浮いており、時折そのボールが移動している。

　こいつは……下水道で見たスライムか？
　でも形状が大分違う気がするな。
　下水道のスライムは、どちらかというとアメーバ的な感じが強かった。
　だけどこっちはゲル状というかゼリー状というか……まあ、そんな感じがする。
　きっと触るとさらさらとしていそうな。

　俺が一瞬思考の海に沈みかけたとき、もう一度スライムが飛び掛かってきた。
　俺は慌てて体を回転させながら躱した。
　回転中にちょうど脇を通り過ぎようとしているのがわかったので、手にした剣でスライムを切り裂いた。
　そうすると、ぱぁん!!という音とともに、下水道のスライムと同じように割れてしまった。
　そして全身にスライムの体液を浴びてしまった……

　あれ？臭くはないかな？

　痛い!!!!
　イタイイタイ痛い痛い痛い!!!!
　もしかしてこの液体は強酸性なのか!?

スキル【クリーン】!!

　畜生!!完全に油断してた!!
　
　慌てた俺は、全身にクリーンをかけた。

スキル【クリーン】!!
スキル【クリーン】!!
スキル【クリーン】!!
スキル【クリーン】!!
スキル【クリーン】!!
　
　何度目のスキル【クリーン】だろうか……やっと継続的な痛みは消えさった。
　下水道のスライムはただただ臭いだけだったのにな……
　こう見ると下水道のスライムの方がまだまだやさしさがあったよ。
　臭いけど……

　装備品を見てみると、ところどころ痛みが見える。
　おそらく革製品は相性が悪いのかもしれない。
　金属のパーツはそれほど被害はなく平気そうなので、強酸性の液体というより、消化液に近いのかもしれないな。
　痛みを感じたところから考えたら、おそらくはタンパク質分解酵素のようなものか？
　かなり厄介だな。
　あれに捕まったら衣服何て……
　ってもしかしてこれ……エルダにかけたら……

　ひっ!!
　
　いきなり背中に殺気を感じて振り返ってしまった。
　その方角は……鉱山跡地の方角だ……
　鉱山跡地と言えば、今エルダたちが【アーマードロックアント】の討伐作戦中か。
　
　ごめんなさい!!もうしません!!
　
　俺はいったい誰に謝っているのだろうか……

　気を取りなおして体を見回すと、皮膚が赤くなっている場所も見受けられる。

ＨＰ：１０９／１１５

　ＨＰも若干減っているってことは、やっぱりダメージを受けていたってことだな。
　至近距離で倒すときは、体液を浴びない工夫が必要かもしれない。
　それか、投擲または魔法で倒すとか。

　そうか、魔法か。
　ついでだし、魔法で倒してみよう。
　スライムだと……火魔法で焼くのが定番かな？
　そうすると【ファイアバレット】かな。

　スライムが消えた場所には、魔石（極小）が転がっており、ここでも回収ができそうだ。

　そしてよく探すと、そこら中にスライムが陣取っていることがわかる。
　それよりも、むしろ漁に来ている漁師は、このスライムたちの群れをどう処理しているんだろうか……
　それを聞いてみるのも、今後の為になるかもしれないな。

　少し集中して索敵すると、魔法の範囲内にスライムが４匹見える。
　今はＭＰも回復しているのでとりあえず、１匹づつ倒して様子を見よう。

スキル【ファイアバレット】!!

　火の弾丸も【ウォーターバレット】の時と同じように高速でスライムに向かっていく。
　あ!!そういえばどこ狙うか考えてなかった!!
　気が付くのが遅すぎたようだ。
　すでに魔法は着弾し、スライムの体の一部を蒸発させるにとどまってしまった。
　慌てた俺は、狙うのを忘れてもう一発魔法を放った。

スキル【ファイアバレット】!!

　火の弾丸は運よく中央のボール状の何かにぶつかり、スライムははじけ飛んだ。
　間合いが離れていたおかげで、どうにか体液をかぶることは無かった。
　しかし、周囲の地面や草花からジュウジュウと音が聞こえてくる。
　ほんと、切っても貫いても迷惑極まり無いモンスターだ。

　スライムが消え去った後には、青いゼリーが落ちていた。
　前に見たスライムゼリーだけど、地面に直置きって大丈夫なのだろうか……
　ここ地面が泥だよ？
　スライムゼリーを拾ってみてびっくりした。
　全然汚れていない。
　さすが異世界!!
　って思ってしまっても仕方がないと思う……